噂のコミジョイとは?
今年の春、秋田港の「うどん・そば自動販売機」が撤去される!? というニュースが注目を集めましたが、鹿児島県には九州で唯一、現役で稼働している「うどん・そば自動販売機」があります。
その場所は私の出身地でもあり、子どものころからその存在を知っていたのですが、実際に食べた記憶はありませんでした。しかも九州唯一ということで、メディアやネットでも紹介される機会も増え、これはぜひ一度食べておかねばということで、行ってきました!
自動販売機があるのは南さつま市加世田小湊。山あり畑ありののどかな風景のなかを貫く国道226号線沿いで、すぐにわかります。
↑ここが噂の「コミジョイ」
↑この看板が遠くからでも目立ちます
こちらの自販機コーナーはすぐ後方にある「阿久根商店」の敷地にあり、いつの頃からか地元の高校生などから「コミジョイ」と呼ばれるように。これは「小湊(こみなと)のジョイフル」の略で、“ジョイフル”とは九州を中心に展開するファミレスの名前です。周辺にはコンビニやファミレスもなく、ここが24時間いつでも利用できることからこのような名前になったそうです。
↑氷やジュースの自動販売機もあります。右の箱は食べ終えた容器入れ
↑イス・テーブルも完備
うどん・そばの販売機があった!いざ、実食!
ということで、いざ、うどん・そばの販売機の前へ。
設置されたのはもう35年ほど前ということで外見は所々傷んでいるところもあり、初めての人はちょっと抵抗があるかも? でもご安心ください、毎日阿久根商店の社員の方が掃除し、何か不具合があればすぐに対応してもらえます。
↑自動販売機ですが営業許可証をもらっています
販売しているのはうどんとそばの2種類で阿久根商店製。この阿久根商店は昭和23年創業の麺類の製造、販売、卸の会社で、うどん、そばのほかラーメンや、地元の学校給食用に「ソフトめん」も作っている老舗企業です。
さっそくお金を投入し・・・おっと、小銭がない! 仕方ないので1000円札をと思ったのですが、お札には非対応!
↑500円硬貨登場前の設置なので、500円も非対応
500円硬貨にも非対応というハードコア仕様なので、ご注意ください(笑)。気を取りなおして350円を投入、「天ぷらうどん」のボタンを押して待つこと30秒ほど。ゴトゴトと音がしてうどんが出来上がりました。
↑割りばしと七味唐辛子も備えつけられています
まるでうどんの器にふたをするように大きな天ぷらが乗った姿には軽く感動さえ覚えます。さらに天ぷらの下にはつけあげ(さつま揚げ)も。
出汁は鹿児島らしくほんのり甘めで、天ぷらのふたのおかげでアツアツ。うどんもコシがあり、本当に自動販売機から出てきたの?と思うほど本格的なうどんでした。
↑半分近く食べてもまだアツアツ
↑出汁は濃縮タイプなので、食べる前に軽くかき混ぜるといいそうです(私は途中で気づきました)
10%の確率で「当たり」がある!
ちなみにうどん、そばともに約10%の確率で「当たり」があります。当たりには同社特製のチャーシューが入っているそうなので、ビックリしないでくださいね。
懐かしのハンバーガーも健在!
そしてこのうどん・そば自販機の隣には、これまた懐かしいハンバーガーの販売機も!
せっかくなのでイチオシのチーズ入りハンバーガーを食べてみることに(あ、1種類しかなかった・・・)。
こちらもお金を投入から1分足らずでアツアツに温められたハンバーガーが出てきました。
↑パッケージもレトロな雰囲気
ハンバーガー自体はコンビニなどでも売られているものと似ていますが、しっかり温められてチーズも柔らかくなっており、これまたプチ感動!
↑チーズもしっかり溶けてます
うどんとハンバーガーでお腹いっぱいになったあと、阿久根商店の工場長・大迫さんにお話を伺うと「メーカー自体がこの販売機を製造していないので、壊れても交換する部品さえありません。でも似たような部品を代用したりしながら、なんとか販売を続けています」とのこと。
実際に「コミジョイ」ファンは多く、特に近隣の海で夜釣りをする人などから継続を要望する声が多いそうです。私が食べたり撮影している間も、常連と思われる方が数名立ち寄り、美味しそうに食べていました。
コンビニでもファミレスでもない“究極のファストフード”の自販機グルメ、味わってみませんか?
ちなみに公共交通機関で行くには、JR鹿児島中央駅から加世田行き路線バスで約1時間半、加世田から野間池行路線バスに乗り換えて約15分。迎(むかえ)バス停から野間池方面へ徒歩4分ほどです。
↑加世田バスステーション、昔は南薩鉄道加世田駅でした
↑コミジョイ最寄りバス停、バスは1時間に1本ほど
紹介したお店 コミジョイ
鹿児島県南さつま市加世田小港9035
☎ 0993-53-9411(阿久根商店)
営業時間 24時間
休み なし
駐車場 10台
おばらけいこ プロフィール
鹿児島は南薩に生まれ、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」のひとつ旧集成館にほど近い上町エリア在住のフリーライター。
地元タウン誌出身、取材範囲は鹿児島を中心に九州全域の観光関連情報を中心にあれこれ。
芋焼酎のお湯割りと鶏刺しがあればとりあえずご機嫌になります。