今年の「無い内定」は怖くない!? 女子大生が就活前に知っておくべき日本の現実

数多くの就活生からのヒアリング経験を持つトイアンナさん。様々な媒体で就活生と就活のリアルについての記事を書かれています。今回のみんなのごはんでのテーマは「就活を始める前に知るべき、女性のキャリアに関する3つの前提知識」。現在就活中の方もそうでない方も、2016年の就活事情に触れてみてはいかがでしょうか。専修大学のある九段下にほど近いイタリアン「gazzo」さんが今回のヒアリングの舞台となりました。(九段下のグルメイタリアン

今年の「無い内定」は怖くない!? 女子大生が就活前に知っておくべき日本の現実

就活生数百人からヒアリング経験を持つトイアンナが、学生さん2人からOBG訪問を受けた。片方の学生さんが通う専修大学から、ほど近い水道橋駅のイタリアン。

最初は、普通の就活トークをするつもりだった。

しかし、私の予期せぬ方向へ話は進んでゆく。

 

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その一……現在の一般職は、総合職より高倍率

―志望業界はどこですか?

女子大生A:ぼんやり、鉄道やインフラの一般職かなあって。

女子大生B:私もぼんやり、中堅メーカーです。

  

最初の問答で、少し危なさを感じた。一般職は現在、高学歴女子の応募が増加している。東大・早慶といった今までなら総合職を目指していた女子学生も、早婚志向やワーク・ライフ・バランスのために一般職を目指しているのだ。

かつリーマン・ショック後、各企業は一般職を契約社員・派遣社員に切り替えた。一般職の減少と応募者数の増加があいまって、総合商社などでは一般職の内定倍率が総合職を超えている。「もはや、一般職は総合職より内定するのが難しい」とすら言えるかもしれない。

そもそもインフラ系業界には、ほぼ正社員の一般職が存在していない……。

女子大生A:そうなんですか!?

 

話が長くなりそうなので、冷めても美味しいメニューを頼んでみた。gazzoイチオシ、「豚盛り」に手をつける。

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逆に質問してみたいことはありますか?

女子大生B:ダイバーシティ(多様性)について知りたいですね。私がLGBT、性的マイノリティの活動に関わっていることもあって、どれくらい達成できているのか。

 

その二……日本の多様性は「男女平等」でまだ止まっている

近年は ダイバーシティという単語で、学生が想像する範囲が広くなったと痛感する。

  • 男女平等
  • 外国人の採用
  • LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)
  • 飲み会へ参加しない、自宅勤務など働き方の自由

こういった内容を期待して「ダイバーシティ」について質問すると、面食らうことになると思う。一部の先進的な企業を除いて多くの日本企業は「男女平等」 へ努力している段階だ。

 

近年は女性の採用を増やしたものの、キャリア育成の段階でつまずいていることが多い。年功序列に従うと女性が育児休暇を取る年齢層で昇進に差がつく、女性を管理職にしても取引先が「女なんか出すなんて、ナメてるのか。男の責任者を出せ」と怒らせてしまうなど、女性が働きにくい構造が残っているからだ。

特に、女子大生Aさん、女子大生Bさんが受けるインフラ・日本の中堅メーカーはそうだろう。

 

女子大生A:日本って、そんなに遅れてたんですか……。

女子大生B……うわぁ……。

 

 

企業ごとに差もあるので一概には言えないが、男女同じようにバリバリ働きたいなら、ベンチャーや外資系を目指したほうがいい。 彼女たちを笑うのが目的ではない。私も就職活動時はまさか「男女差別が企業内に残っている」なんて信じられなかった。

 

私たちは大学教育まで完全に平等なのに、いきなり就活で「大丈夫、女子就活コースがあるから。こっちなら、結婚も出産もできるんだよ」と示される。結婚も出産もしたくない女子や、主夫になりたい男子は置いてけぼり。そりゃ、びっくりしてのけぞるだろう。 だったら最初から教えてよ、そしたら早く覚悟ができるのに!と思う。

 

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女子大生B:でも、今教えてもらえてよかった。

その三……好景気と不景気で違うのは「内定ゼロ」の重さ

女子大生B:今年就活する学生は、売り手市場って言われてて就職に有利なのを知っているんで、あまり学内セミナーとか行かないんです。何とかなるだろうって思ってる。学事が頑張ってくれてるのは知っているんですけどね。

 

それは事実かもしれない。2011年卒(リーマン・ショック直後)と今では、内定の取りやすさは全く違う。だが不景気でも内定ゼロはよくある。ただその悲惨さに違いがあるのだ。リーマン・ショック後は東大卒でも派遣社員にすら採用されないケースもあった。今年の無い内定は「正社員になれない」というだけで、フリーターには誰でもなりうる。

 

女子大生A:それを聞いたら、がぜん就活やる気が沸いてきました。

 

男女差別がまだ残っているなら、差別がない会社を選べる。一般職が高倍率なら、東大・早慶に勝てる事務スキルを身につければいい。好景気でも内定が難しいなら、今から始めればいい。現実を直視することは、希望へも繋がる。だから厳しくても現実を直視できる人が、最後に笑う者となるのだ。

 

今回取材させていただいたお店はこちら

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r.gnavi.co.jp

 

※ 個人情報を保護するため、取材内容は一部改変しております。あらかじめご了承ください。

 

著者プロフィール

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外資系企業出身、現ライター。稼いだお金を酒とご飯につぎ込む食道楽。アラサー男女のキャリアを考えるブログ「トイアンナのぐだぐだ」は月間50万ページビューを記録。現在もWebを中心に複数媒体でコラム連載中。

Twitterアカウント:トイアンナ   ブログ:外資系OLのぐだぐだ

                             
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