日光の食べ歩きグルメはこれだ! 創業300年の老舗から新店まで集めました

栃木県日光市は、日本三大名瀑に数えられる華厳ノ滝をはじめ、パワースポットの宝庫です。人気観光地でユネスコ世界遺産登録の日光東照宮も、北極星と東京(江戸城)を結ぶ直線上に築かれた強力なパワースポットだという説があるくらい。そんなご利益の町・日光で、100円から買える安くて美味しい食べ歩きグルメを探してきました。名物の湯波(ゆば、湯葉)を使った懐石料理やスイーツはじめ、老舗の羊羹、地元民から愛されるB級グルメなどオススメを厳選しました。京都や奈良と並ぶ国際的観光地である日光で、世界遺産めぐりと食べ歩きを楽しみましょう!(日光のグルメ

日光の食べ歩きグルメはこれだ! 創業300年の老舗から新店まで集めました

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徳川家康を祀った日光東照宮の門前町として発展してきた日光。隣接する日光二荒山神社、日光輪王寺と共にユネスコ世界遺産(文化遺産)に登録され、外国からの観光客も1年を通して訪れています。

そんな日光の名物は、僧侶たちの栄養ある精進料理として重宝された湯波(ゆば:普通は湯葉と書きますが、日光では湯波)と、日持ちする土産として人気だった羊羹です。

今回のご案内役は、父親が日光で働いていたため、物心つく前から日光に連れて行かれていた地元ライターの“聞き書きニスト”中嶋かずおが担当させていただきます。

 

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歴史の町・日光では、たった3軒で営業年数700年を超す“老舗中の老舗”があります。そんな歴史あるトップ3から今年7月にオープンした新店まで12軒を回ってきました。価格帯も100円から2,700円までとリーズナブル。

日光では人気の土産品は、帰りに買おうとすると完売していることがあります。取り置きや予約方法も調べてきましたので、参考になさってください。

 

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今回取り上げるエリアは、JR日光駅・東武日光駅から世界遺産地区の前を通り、大正天皇の静養所として建造された御用邸(日光田母沢御用邸記念公園)まで約3km。一本道を駅前から順番にご紹介します。

 

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駅から世界遺産地区方向は上り坂が続きます。12軒すべて、東武バスの500円1日券「世界遺産めぐり手形」フリーエリア内にありますので、10~20分間隔で走るバスも上手に使ってみてください。

 

では駅前からスタートです。

【もくじ】

 

 

1. 【揚げゆばまんじゅう】1つから買える「日光さかえや」の日光スイーツ入門編

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「テレビで見たお店だ」

「これ、食べたかったんだ~」

東武日光駅正面出口から歩いて1分の日光さかえやから、毎日そんな声が聞こえてきます。

バス乗り場正面にある小さな店ですが、休日ともなると前のベンチは、アツアツのあげゆばまんじゅうにかじりつく人たちでいっぱい。

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あげゆばまんじゅうが誕生したのは平成12年(2000年)。

土産物店激戦区の駅前で、ライバルに押され気味だった店を継いだ2代目社長・山本敏さんが、「他店にないもの、記憶に残るものを」と試行錯誤の末に完成させました。

日光湯波(ゆば)製造元・まつたかの湯波を刻んで、国内産大豆の豆乳と一緒にまんじゅう生地に練り込みます。生地の甘さを邪魔しない控えめなあんこは、日光市内の黒須製餡所製。ゆば入りまんじゅうを、天ぷら衣にくぐらせてカラリと揚げたら、甘さを際立たせる名脇役「ごえんの塩」をパラパラと振りかけて出来上がり。

 

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「最初は全然売れませんでしたが、テレビで何度か取り上げて頂くうち、2010年ごろからブレイクしました。その後はSNSやインスタに取り上げてもらえるようになり、若い女性のお客さん、外国からのお客さんが増えています」(山本さん)

こだわりは、常に揚げたてを提供すること、品切れを出さないこと。

「リピーターのお客様が多いので、電車に乗る前に立ち寄ってくださったときにも、さっとお渡しできるように心がけています。ここ数年は売り切れを出していません

 

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火傷しないように気をつけながら、大きな口をあけてアツアツにかじりつきましょう。繰り返しになるけど「ごえんの塩」がいい仕事しています。

あげゆばまんじゅうのほか、三ツ星氷室の日光天然氷で作るかき氷も人気です。

●アドバイス/予約なしで大丈夫

 

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店名:日光さかえや
住所:栃木県日光市松原町10-1
TEL:0288-54-1528
営業時間:9:30~18:00
定休日:不定休(ほぼ無休)
URL:https://r.gnavi.co.jp/hrbepfap0000/

 

2.【ゆばむすび】「ふだらく本舗・石屋町店」の不思議感覚で美味しい日光の新名物

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ソフトクリームやサンドイッチを除けば、日光には片手で食べられる軽食がほとんどありませんでした。そんな中で「旅のお客さんが、手軽に小腹を満たせるものを」と10年前に考案されたのが、ふだらく本舗の「ゆばむすび」(2個入り400円)です。

まんじゅう、もなかが人気の和菓子店ですが、2代目・川嶋紀明さんが、以前は茶飯も売っていたことを思い出したのが、ゆばむすび誕生のきっかけになりました。茶飯では日光らしさに欠けるので、湯波を使うことに。

「湯波は値段が高いというイメージを覆したかったんです。座って食べるお膳じゃなくて、手軽なおむすびで提供できないかと。でも、切って白米に混ぜるとご飯がパサパサになったり失敗の連続で、もち米のおこわを湯波で包む現在の形になるまで半年かかりました」(川嶋さん)

 

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何軒もの湯波製造元に相談し、半生の平湯波を見つけました。それを大きいままで仕入れ、おむすびサイズに切り分けます。大鍋で一度に煮ると溶けてしまうため、味付けは1枚ずつ。

濡れているわけじゃないのにピタっと吸いついてくる独特な肌触りは、ご自分の指で感じてください。手間がかかる上に熟練職人しか作れないので、行楽シーズンでも1日300個作るのがやっとだとか。

一度炊いた栃木県産もち米を、アゴだし、カツオだしなどで味付けしてから、さらにふっくら炊きあげるのは、和菓子屋ならではの技。一部の調味料を除き、湯波・もち米・隠し味の酒など、できる限り栃木県産を使っています。

 

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「外国のお客さんには、rice ball with tofu skin と説明します。不思議そうに買って行った人が戻ってきて“もう1つくれ!”とか言われると、うれしいですね」

基本は2つ入り1パックですが、材料があるときは1つでも売ってくれます。持ち帰りのほか、イートインも可。

 

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名物ふだらく饅頭110円、日本最大(直径15.5cm)の最中「山菅」950円も、お土産に人気です。

●アドバイス/電話予約可。観光シーズンは売り切れることあり

 

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店名:ふだらく本舗・石屋町店
住所:栃木県日光市石屋町406-4
TEL:0288-53-4623
営業時間:9:30~17:30
定休日:無休
URL:https://r.gnavi.co.jp/gh1pweem0000/

 

3.【人形焼】日光彫アーティストが手がけた「みしまや」の食べられる芸術品

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日光東照宮の造営と補修のため全国から集められた職人たちが、東照宮の仕事の合間にたんすや盆などを彫ったのが起源とされる伝統工芸品・日光彫

その日光彫の老舗「三島屋」の前を通ると、甘い匂いが漂ってきます。工芸店の脇に併設された「日光人形焼みしまや」が、おいしい匂いの発生源です。

店主は、三島屋4代目・中山圭一さん。日光彫アーティストとしての実績がある方ですが…。

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「東京の美大に通っていたとき、帰省する日には(途中の)浅草で、いつも人形焼きを土産に買っていました。

そのうち『日光には三猿や陽明門など有名キャラクターがいっぱいあるから、人形焼にしたら面白いよね』と考えるようになりました。妻や親に話したら賛成してくれまして。

ちょうど道路拡張工事で店が建て直しになるときだったので、“横に小さな人形焼スペースを作っておくよ”と」

東京の有名人形焼を食べ歩き、人形町の店をヒントにサイズ大きめの人形焼を独学で作り上げました。芸術家魂が炸裂したのが、人形焼を焼く金型。原形は自らの手で作り上げました。オープンは平成26年(2014年)。

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北海道産小麦粉、生臭さのない栃木県産・磨宝卵(まほうらん)、不純物の少ない砂糖・鬼ザラメ糖を使うなど、材料にもこだわりました。

日光彫の代表的デザインの椿の花、「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿など、現在8種類の人形焼があります。

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東照宮方面から歩いて帰ってくる人から見えやすい場所に、商品のサンプル台が置いてあります。

「女性の声で“かわいい~”って聞こえてくるんです。僕がかわいいって褒められているみたいで、気分は悪くないですね(笑)」

●アドバイス/夕方は完売が多いので予約を。

椿100円、三猿1つ130円は1個から販売可。陽明門・眠り猫・龍の入った詰め合わせ(写真右)は、焼き型の都合でバラ売りできません(1箱1,300円)。

 

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店名:日光人形焼き みしまや
住所:栃木県日光市石屋町440
TEL:0288-54-0488
営業時間:9:00~17:00
定休日:木曜定休
URL:http://www.nikko-n.com/

 

4.【宮前だんご】味噌だれと黒みつの二重奏がたまらない創業300年のおだんご

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日光駅から神橋に向かう中間地点に、歴史の長い店ベスト3が集まっています。

平成17年(2005年)の春まで、日光東照宮の前で営業していたから「宮前だんご」。創業は享保8年(1723年)で、『暴れん坊将軍』のモデル・徳川吉宗が8代将軍だった時代です。

戦争による中断や、現在地への移転はあったものの、今年で294年目。飲食店はほとんど取り上げないNHK『ブラタモリ』の日光編で、タモリさんたちが立ち寄った店というのも注目ポイントです。

 

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看板商品「宮前だんご」は、うるち米と米粉で作る独特な製法を守っています。電器釜は使わず、大鍋で炊いたご飯に米粉を混ぜ、手作業で粗くつぶしながら、1つ1つ形を作ります。秘伝の味噌だれを塗って焼き、黒砂糖のみつを仕上げに塗れば出来上がり。

5本1皿でだんごを頼むときは、醤油味もまぜてもらいましょう。

醤油味は、一般的なまんまるモチモチだんご、味噌だんごは平たく米粒を感じるだんご。食べ比べると違いがよ~くわかります。

だんご5本1皿550円、抹茶とだんご2本で550円。

 

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宮前だんごを守るのは、10代目の斎藤芙士子さん(写真右)と、嫁で11代目の祐美子さん。

「太平洋戦争前まで日光東照宮の周りには、だんご屋が4軒ありました。戦時中は営業停止になり、家族が戦死した2軒だけは(戦災の救済措置だったのか)戦後に営業再開のお許しが出ました。

(2005年に)東照宮脇での営業ができなくなったとき、一時はもう辞めてしまおうかと思ったのですが、この人(祐美子さん)がだんご屋に専念するためにちょうど会社勤めを辞めたばかりで…。それで大通りに移転して、続けることにしたのです」(斎藤芙士子さん)

 

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ゴールデンウィークなど繁忙期は、米を一升ずつ1日3回炊いても売り切れるほどの人気ぶりです。また味噌だれの宮前だんごはすぐ固くなるので、テイクアウトが出来ません。焼きたてをお店で食べましょう。

●アドバイス/夕方は売り切れるのでお早めに。午後1時ごろはすいています。

 

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店名:宮前だんご
住所:栃木県日光市下鉢石町956
TEL:0288-53-3344
営業時間:11:00~17:00
定休日:木曜(冬期は臨時休あり)
URL:https://r.gnavi.co.jp/8hh7g3770000/

 

5.【羊羹羊羹を煉り続けて230年。「綿半」伝統の「特製竹皮包煉羊羹

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創業は天明7年(1787年)、一子相伝ならば日光で一番古い老舗となる“元祖日光煉羊羹”綿半にも取材許可を頂きました。

江戸から日光まで歩いて1週間かかった時代、砂糖を惜しまず使った綿半の羊羹は、日持ちする土産として重宝されました。初代店主の作った羊羹を日光宮輪王寺法親王殿下が気に入ってくださったことから、日光東照宮・日光山輪王寺・日光二荒山神社の御用を勤めることになりました。

…分かりやすく言い直すと、日光(徳川家康)に参拝に来た大名や朝廷の関係者が、土産にもらった綿半の羊羹を大切に国元に持って帰ったわけ。ただでさえ甘いものが貴重だった江戸時代、元祖日光煉羊羹はごちそうの中のごちそうだったことでしょう。

 

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伝統製法を守る「特製竹皮包煉羊羹」は1本2,050円。

「よく煉っているので、力強い歯ごたえが特徴です。本物の竹の皮に包んでいるため、空気に触れた部分はすぐに砂糖が結晶化します。ほかの羊羹は味が変わらないように真空パックしますが、『竹皮包』は作り方も包装も昔のままです。

ご予約を優先しますので、店頭には数本しか並ばない日もございます。ご希望のお客様は、前日までにお電話ください」と、8代目主人・塚原弘展さん。

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限界寸前まで砂糖を入れて煉っているので、作った翌日から“シャリ”と呼ばれる白い砂糖皮膜が浮き出てきます。羊羹マニアは、そのシャリをガリガリかじりながら渋茶を飲むのが至福の時だとか。

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羊羹も、夕方には売り切れる人気の品。日光では水羊羹を切り分け、箱に入れて売るので、缶入りしか知らないお客は驚くそうです。

「水羊羹は消費期限が4日間しかないので、通信販売を行っていません。水(蜜)が分離すると、小豆の味も抜けてしまいます。できる限りお早めにお召し上がりください」

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●アドバイス/「特製竹皮包煉羊羹」は前日までに電話予約を。通常の煉羊羹は、いつでも買えるように作っています

 

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店名:元祖日光羊羹 綿半・大通り店
住所:栃木県日光市下鉢石町799
TEL:0288-53-3888
営業時間:08:30~17:30
定休日:火曜
URL:https://r.gnavi.co.jp/b1gj1exe0000/

 

6.【酒まんじゅう】「湯沢屋」に200年以上伝わる、天然酵母が醸し出すやさしい香り

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「酒まんじゅうは、出来立てが一番おいしいんです。あつあつを、お茶と一緒に食べたら最高! 創業200年を迎えたときに、出来立てが食べられる和風喫茶スペース『湯沢屋茶寮』を本店の隣に作りました」(7代目店主・高村英幸さん)

茶寮で出来立てを食べるなら、元祖日光酒まんじゅうを両手で持って2つに割りましょう。肌に貼りつくような、しっとりした皮の感触、中からはフンワリと酒の香りが立ち上ります。

湯沢屋茶寮の一番人気、酒まんじゅうと抹茶セットは540円。

 

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文化元年(1804年)創業の湯沢屋は、歴史年表的に3番目(一子相伝なら2番目)の老舗。麹作りから延べ7日間もかかる伝統製法を守っています。2010年放送のEテレ『彩りの和菓子 春紀行』シリーズでは、湯沢屋の酒まんじゅう特集で番組1本が作られたほどに有名です。

 

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味を守るのは、7代目・高村英幸さん。

200年以上も湯沢屋に伝わる天然酵母は、機嫌が悪いと(まんじゅうの皮が)膨らんでくれません。その管理に気を使います。この仕事は、長期休暇がとれません」

子供のころから湯沢屋の酒まんじゅうを土産にもらって食べていた私(筆者)は、酒まんじゅうは全国的にこの味だと信じこんでいました。

でも…違いました。日本酒で香りづけして膨張剤で膨らませた、手間を省いた酒まんじゅうも少なくないのです。発酵力から生れるかすかな酸味と酒の香りは、ほかではなかなか出会えないもの。甘さ控えめなあんこも絶品です。

湯沢屋茶寮でしか食べられないオリジナル商品が焼酒饅430円。

最初は焼饅頭という名前で売っていましたが「(蒸しパンみたいな)群馬の焼きまんじゅうと違う」とクレームが出たので、焼酒饅に変更したそうです。普通より小ぶりに作った、あんこ入りの酒まんじゅうを串に刺し、あぶって表面カリカリにして、味噌だれを塗って仕上げています。

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香ばしい匂いが漂うので、焼酒饅が1本売れると、周りのお客さんから追加が入るという隠れた人気商品です。

本店では、酒まんじゅうや水羊羹を販売しています。酒まんじゅうはすぐ固くなるので、家で食べるときには①蒸かす、②オーブントースターで焼く、③油で揚げるなど加熱すると、おいしさが蘇ります。

●アドバイス/夕方は完売することあり。本店の酒まんじゅう類は電話予約できます

 

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店名:湯沢屋茶寮
住所:栃木県日光市下鉢石町946 
TEL:0288-54-0038
湯沢屋茶寮:10:00~16:00(閉店16:30)
湯沢屋本店:8:00~18:00(売り切れじまい)
定休日:不定休
URL:https://r.gnavi.co.jp/7uvpzhm40000/
URL:http://www.yuzawaya.jp/

 

7.【水羊羹】味が濃いのに舌触り滑らかな「三ツ山羊羹本舗」の逸品

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羊羹製造元の多い日光では、人それぞれにご贔屓があります。

今回の取材中、綿半と並んで名前を挙げる人が多かったのが、三ッ山羊羹本舗です。作っているのは、煉羊羹、一口羊羹、水羊羹のみという、まさに羊羹専門店。

「日光では羊羹は冬のもの」という話を、三ッ山泰弘さんが説明してくれました。

 

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「栗きんとんなどと同じで、日光では正月のお節に水羊羹が欠かせません。

昔は、寒くなる11月くらいから水羊羹を売り始め、春になり温かくなると販売終了していたようです。電気冷蔵庫が普及する前は、保存がきかなかったので、水羊羹は寒い時期だけの食べ物でした。

長持ちする缶入り水羊羹が発売されて、夏に冷やして食べるようになりましたが、日光では今も真冬にこたつで水羊羹の風習が残っています」

いただいた水羊羹は、味が濃いのに舌触り滑らか。竹楊枝で刺しても崩れない固さと密度があるのに、喉をツルンと滑り落ちていきました。

 

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「日光で羊羹が広まったのは、隣の今市で良質な小豆がとれたからだと言われます。三ッ山の羊羹は、厳選された国産小豆のみを使用しています」

 

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販売店には出さず、ここ本店に来ないと買えない三ッ山羊羹

「もうひとつ心がけているのは、品切れを出さないこと。電話予約していただければ、水羊羹も取り置きします。

消費期限5日間ですが、出来立てのおいしさをお楽しみいただきたいので、なるべく早くお召し上がりください

●アドバイス/訪問が夕方になるとき、水羊羹は電話で取り置き予約を 

 

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店名:三ッ山羊羹本舗
住所:栃木県日光市中鉢石町914
TEL:0288-54-0068
営業時間:8:00~18:30
定休日:元日のみ

 

8.【湯波懐石】「和み茶屋」の本物なのにリーズナブルなランチ懐石

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日光湯波料理の相場を知る人なら、この懐石コース9品で税込2,700円(サービス料なし)は絶対安いと思うはず!

店主・村松隆次さんは20歳で料理の道に入り、日光の名門「堯心亭」で14年間働いた後、2010年にfudan懐石 和み茶屋をオープンさせました。

 

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「若い方が、値段表を見てあきらめて帰る姿も見ていましたから、自分が独立したらリーズナブルに本物の日光湯波を食べてもらおうと。実際やってみたら、毎日が原価計算との戦いになりました(笑)」

日光湯波製造元でも老舗、2軒の重鎮「海老屋」「ふじや」を、料理によって使い分けるこだわりよう。

中国から京都・比叡山へ、比叡山から修験者が日光に伝えた湯波は、豆乳を加熱すると表面に出来る薄い皮をすくい上げたもの。

動物性タンパク質を食べることが禁じられていた修験者たちの栄養補給のため、日光では少しでも食べ応えがあるように、厚く大きくと独自の進化を遂げました。

 

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日光湯波を代表する調理法が、紙のように薄い湯波をだし巻き玉子みたいに巻いた「揚巻湯波」です。日光では、家庭のお節料理に欠かせないくらいポピュラーな食べ物ですが、油抜きなど調理に手間と時間がかかります。

「海老屋の揚巻湯波はデリケートで難しいんですが、手間をかけたらかけたぶん、応えてくれます。煮崩れしないよう、時間をかけてじっくり柔らかく煮ています」

 

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そのこだわりはクチコミで伝わり、リピーターが急増中。天ぷらも全品に、湯波を使って細工が施されています。メニューの半分は月がわりで、とにかく仕込みに時間がかかるため、1日最大50食限定です。

●アドバイス/予約をお薦め。午前中なら当日でも入れることがありますが、午後は予約で満杯の日が増えています。

 

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店名:fudan懐石 和み茶屋
住所:栃木県日光市上鉢石町1016
TEL:0288-54-3770
営業時間:11:30~14:30(閉店16:00)
定休日:水曜(臨時休あり)
URL:https://r.gnavi.co.jp/5r613dks0000/

 

9.【プリン】「日光ぷりん亭」はブラウンスイス牛乳と地元産卵黄で手作りする進化系

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今年7月21日にオープンしたばかりなのに、既に人気店の仲間入りをした「日光ぷりん亭」。

一番人気「日光ぷりん」380円は、生クリームに近い、文字どおりとろける舌触り。卵は黄身だけを使い、たっぷりの牛乳やクリームと混ぜて作ります。

牛乳は、日光霧降高原大笹牧場のブラウンスイス牛乳(乳脂肪分4%、無脂固形分9%)。上品な甘さを邪魔しないよう、底に忍ばせるカラメルソースは苦み控えめです。

 

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「日光ぷりん」のプリン液はあまりに柔らかいため、ジュレやソースをのせると沈んでしまい、ほかのメニューに流用できません。

いちごのとちおとめジュレをかけた「乙女ぷりん」420円や、季節限定「モンブランぷりん」420円は、土台となるプリンの固さ調整をしています。

店内で食べるときは、びんを返却すると10円キャッシュバックされます。お得ですね。

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ソフトクリームも、ぷりん・いちご・バニラ・ミックスの4種類をご用意。

外国人観光客はバニラを選ぶそうですが、日本人のお客さんには「ぷりん」ソフトクリームが人気です。

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食べてみたら、味はプリンなのに、舌触りはソフトクリーム!? 

おいしいけど不思議食感で、ちょっと脳内が混乱してしまいました。こういう食べ物は記憶に残りますね。また食べたい。

カラメルソースがけ「ぷりん」ソフトクリームは420円でした。

●アドバイス/今のところ、品切れはほぼありません。

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店名:日光ぷりん亭
住所:栃木県日光市上鉢石町1017
TEL:0288-25-6186
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休
URL:http://nikko-pudding.jp/

 

《観光ポイント》世界遺産「日光の社寺」の入り口、神橋

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やっと世界遺産エリア「日光の社寺」の入り口、神橋に到着しました。

東武日光駅から神橋まで1.5km、全行程のちょうど半分。歩いて来る人も多いですが、ずっと上り坂が続くので荷物はなるべく軽くしましょう(駅にコインロッカーがあります)。

日光駅から神橋までは、大通りの左右に羊羹製造元が並び“羊羹ストリート”と言われていましたが…。

取材中にその話をしたら「小豆を使う和菓子屋、大豆を使う湯波屋が密集しているから、お豆ストリートのほうふさわしいと思います」という方が。

お~い山田くん、座布団1枚差し上げてぇ~!!

後半は神橋~日光田母沢御用邸記念公園。残り3軒、行ってみましょ~!

 

10.【鶏唐揚げ】5分待って出来立てを!ジューシーあつあつな「吉原精肉店」の唐揚げ

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こだわりは「いつも揚げたて」。注文を受けて5分で、那須どりの唐揚げ(5個400円)が出来上がります。

吉原精肉店はこの地で創業して約50年。旅館や食堂への卸しが本業です。

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「日光は食べ歩きできるものが少ないから、唐揚げでもやってみたら? と知り合いに言われたんですよ」と笑うのは、2代目の吉原広之さん。始めたのは2011年で、クチコミで有名になりました。しかも「お客さんが驚く顔が見たくて」と、肉の切り方がどんどん大きくなっています(まるでどこかのラーメン店みたい!?)。

「(旅館へ卸す肉も)せっかく日光に来てくれたお客に出すものですから、地元ブランドを食べてほしい。生産量が少なくてスーパーには並ばない日光HIMITSU豚や、とちぎ和牛を扱っています。

残念ながら“日光どり”というブランドはなかったので、唐揚げは(日光の近くの)那須どりです。平飼いで運動量も多いので、肉に旨味がありますよ」

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胸肉を使う唐揚げは、パサつかないようプロの技で柔らかくふっくらと。ニンニクを効かせた醤油ベースのタレに漬け込みますが、肉の風味を邪魔しない程度に味付けは控えめ。

「あくまでおやつ用に作っているんですが、地元の人はおかずとして買って行くんです」

コンビニから缶ビールを買ってきて、店前のベンチで揚げたてと一緒に食べる強者もいるそうです。

 

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「作るのに手間がかかるので、取材にはあまり出さないのですが…」と、奥さん・結美さんがこっそり教えてくれたのがメンチカツ200円。大きめに刻んだ牛・豚肉と玉ねぎがたっぷり、口の中で肉の粒が踊るようでした。

●アドバイス/観光客の多い季節は、夕方に売り切れあり

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店名:吉原精肉店
住所:栃木県日光市安川町4-4
TEL:0288-54-3304
営業時間:12:00~17:30
定休日:水曜
URL:https://www.facebook.com/%E5%90%89%E5%8E%9F%E7%B2%BE%E8%82%89%E5%BA%97-269325996472516/

 

11.【かき氷】大人気の日光天然氷!「日光珈琲 御用邸通」の淡雪のように溶けるかき氷

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日光に来たら絶対食べたい!と人気なのが天然氷のかき氷

天然湧水を人口池に引き込み、冬の寒さだけで結氷させる氷室は日本に5軒しか残っていません。そのうちの3軒、松月氷室、三ツ星氷室、四代目徳次郎(三代目吉新氷室)は、日光市内にあるのです。

日光珈琲 御用邸通では、四代目徳次郎の天然氷で作ったかき氷がいただけけます。

シロップは、とちおとめ、桃、りんごなどフルーツ系6種類が756円(練乳かけ864円)。

 

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店長・井上淳さんにお話を伺いました。

「冷凍庫から出したばかりの氷は、固すぎてきれいに削れません。溶けすぎても食感が悪くなるので、マイナス5℃を目安にしています。

削る途中で、3回に分けてシロップと練乳をかけます。シロップは、素材の形が残っていて、果物をつぶしたことがわかるものです」

 

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天然氷のかき氷は、写真を記録したら、溶け始める前に素早く食べましょう。温度管理されているので、急いで食べてもキーンと頭が痛くなったりしません。

「一番売れるのは夏ですが、秋冬でも注文が増えています。それだけ日光天然氷のブランド力が浸透してきたのでしょう」

日光珈琲 御用邸通では、カフェメニューも人気です。カレーライスには、11.の【鶏唐揚げ】で紹介した吉原精肉店から仕入れる日光HIMITSU豚が使われています。

●アドバイス/比較的すいているのは、オープンから昼まで。待っている客が多い日は、閉店間際の訪問は断られる場合があります。時間に余裕を持って

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店名:日光珈琲 御用邸通
住所:栃木県日光市本町3-13
TEL:0288-53-2335
営業時間:10:00~18:00(17:00 L.O.)
定休日:月曜日・第1、3火曜日(祝日の際は翌日)
URL:http://nikko-coffee.com/

 

12.【パン】旅のプロも御用達の金谷ホテルのパンが食べられる「カテッジイン・レストラン」

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観光バスの添乗員、ツアコンなどの旅のプロが、日光土産に買っていく金谷ホテルのパン。東武日光駅前や神橋脇の売店でも販売されていますが、今回は金谷ホテルベーカリー直営「カテッジイン店」をご紹介します。

 

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この建物は、日光金谷ホテル歴史館:カテッジイン・レストラン&ベーカリー。

神橋のすぐ脇にある日光金谷ホテルは1893年(明治26年)に開業したもの。その前身、外国人向けの民宿として1873年(明治6年)に始まった金谷カテッジインは、今は金谷ホテル歴史館となって見学客を待っています。

歴史館の入口に、カテッジイン・レストランと、併設された金谷ホテルベーカリーがあります。平日でも約25種類、週末や行楽シーズンはさらに多くのパンが棚に並びます。

 

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人気No.1は、ホテルの朝食で出されている「ロイヤルブレッド」652円。きめ細かく、ずっしり重い食パンです。

2位は、サイコロ風に切ったチェダーチーズを巻き込んだ円筒形の「チーズロード」735円。トーストするだけでおいしいのですが、マーガリンやバターで塩味を加えると生地の甘さが引き立ちます。

 

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カテッジイン・レストランでも、金谷ホテルのパンが食べられます。ここだけの限定メニュー「ハンバーグ・シチュー パングラタン」は、サラダとコーヒー(紅茶)付きで2,160円。

パングラタンのためだけに焼かれた直径約12cmの特製カンパーニュをくり抜き、合い挽き肉のハンバーグを2段重ねで詰め、チーズをのせてオーブンで焼きます。

 

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カンパーニュの歯ごたえを楽しんでもらうため、ハンバーグは舌で崩れるくらいのソフト仕上げ。ナイフを入れると溢れ出るデミグラスソースは、シェフがレストランの厨房で煮込んでいます。

3種類のトースト594円(朝食セット756円)などお手頃価格のメニューも豊富です。

●アドバイス/パンが種類豊富にあるのは開店直後。昼前から売り切れが出る日もあるのでお早めに。購入後に観光されるなら、無料で預かってくれます。

 

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店名:カテッジイン・レストラン(併設:金谷ホテルベーカリー カテッジイン店)
住所:栃木県日光市本町1-25
TEL:0288-50-1873
営業時間:9:00~17:00(15:00以降はスウィーツとドリンクのみ提供)
定休日:4月~11月は無休(12~3月は不定休)
※ベーカリーは無休
URL:https://r.gnavi.co.jp/39useys60000/

 

《まとめ》おもてなし精神満載の12軒。老舗もお気軽に

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金谷カテッジイン(金谷ホテル歴史館)の斜め前が、大正天皇の静養所として作られた御用邸(現在は日光田母沢御用邸記念公園)です。

明治時代の銀行家・小林年保の別邸に、東京から旧紀州徳川家江戸中屋敷の一部を移築、新築した部分もあるという豪華な建物で、庭園も必見です。日光東照宮など二社一寺と一緒に、ぜひ見学してみてください。

日光はこの先に、いろは坂、華厳ノ滝、中禅寺湖、奥日光(戦場ヶ原、日光湯元温泉)と続きます。奥日光まで足を延ばすと約30kmなので、今回はその1/10の東武日光駅~日光田母沢御用邸記念公園、約3kmでまとめてみました。

 
200年超の老舗3軒は「絶対に断られるだろう!?」とダメもとで交渉したところ、奇跡的に全部OKをいただきました。ほかのお店も、おもてなし精神全開で、気持ちよく対応してくださいました。

秋の紅葉、初夏の新緑、夏は避暑地としても人気の日光。日帰りでも遊べますし食べ歩きできますので、気軽にご訪問ください。

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著者プロフィール

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中嶋かずお

栃木県生まれの“聞き書きニスト”。東京の雑誌編集部で約20年働いた後、故郷に戻って自称・フリーライター生活中。青春18きっぷや大人の休日倶楽部パスなど、お得な切符を駆使して旅するのが趣味。おいしいラーメンとご当地グルメ探訪を続けています。

ブログ:ワンコイン的食べ歩き生活。http://blog.livedoor.jp/kaz823ad/
ツイッター:https://twitter.com/gizmo355

                             
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