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ああ、なるほど 和食の素材
和食は基本的に季節料理になります。
本来は材料の取れる時期に、その材料を使って季節感を出して作るのですが、
現在では流通の便利・貯蔵技術・栽培技術の進歩で、
多くの材料が一年中出回るようになりました。
きゅうり・ナスは5月になったら、とか、キノコは秋・冬と決まっていましたが、
今ではいつでも手に入りますよね。
魚にしても、1年中・世界中を追いかけて獲って冷凍しているから
スーパーでお会いする事ができるのです(笑)
それでも、日本近海で獲れる季節の魚はやっぱり、
脂ののりもよくて新鮮でおいしい!
「食材はその一番旬のときに食する」これが日本人の鉄則です(笑)
旬の食材は絶品なんだって実感できますよ。
蛍烏賊(ほたるいか)
桜の咲く時期からゴールデンウィークまでの間に出回る小さなイカ。別名 まついか とも言います。一年に一回、これを食べないと本当の春は来ない(笑)。
発光器を備えていて、シーズンの夜に富山湾の海面を群遊し、漁師の網に触れて発光する様は有名です。春、産卵のために岸に近づく際の蛍烏賊漁は富山湾の風物詩。富山湾はホタルイカ群遊海面として天然記念物に指定されています。小振りで内臓ごと食べていただくと独特の旨みと甘味があります。調理方法は天ぷら、豆腐との煮物、吸い物、みりん干しなど。また、生で主にお造り・酢の物でお出ししますが、やっぱり酢味噌和えがぴったり。旬は春から初夏になります。
板長から奥様にワンポイント・調理方法
浅茹でした蛍烏賊または茹で売りの蛍烏賊を針生姜と共に地に漬け込みます。大きさにもよりますが、1日〜2日ほど漬け置きます。ポン酢を使うことで、穀物酢よりもフルーティに仕上がります。漬け地・ポン酢200cc、淡口醤油50cc、鰹出汁150cc、昆布酒10cc、砂糖20cc
なまこ
ぬるぬるしてちょっと不思議な形をしていますが、棘皮動物という立派な海の生き物です。赤なまこ(アカコ)は岩などに着いて生息し、砂地に住む青なまこ(アオコ)・黒なまことは異なる種類。体はきわめて単純な構造でありながら、生は下処理をして酢のものに、腸はコノワタという珍味に、卵巣は干してコノコ(クチコ)となり火であぶって美味しく食べられます。つまり、全身が珍味というありがたい海の幸です。
なまこの処理は両端を切り、内臓を取り出して、ザルに小石とともにいれて水洗い。これを"石ぶり"といって、外側のぬめりと埋まっている小骨状の固いものを取り出す珍しい調理法です。
きれいに洗ったら次には番茶の葉でおおい、上から湯を注いで柔らかくする。これもまたユニークな調理法。不思議な食材には不思議な調理法が生まれます。コノコは三角形の板状に成形され、天日干しされる。
最近では生産量も少なくなり、高級珍味として食通に好まれています。
コノコを料理に使うのは、産地の青森ならではの贅沢な料亭料理。なまこは12月から1月が旬、コノコは北国の遅い春の日にさらして干し上がる3月が旬です。
しいたけ
最近、海外の料理レシピにも「SHIITAKE」という名称で登場するようになりました。
いうまでもなく、日本を代表するキノコ。日本でもっとも栽培量の多い
キノコですが、栽培の歴史は古く、1600年代にまで遡ることができます。
全国各地で栽培されています。山々の恵まれた自然・原木の質がよいことがしいたけの旨みをよりいっそう高めます。年間の降水が豊かで、ナラやクヌギなどの落葉広葉樹が繁茂しやすく、その栄養分をしっかり吸って椎茸がおいしく育ちます。原木に椎茸の菌を植えつけたものを"ほだ木"といいますが、この木を山林の中に置き1年半から2年もの間、じっと育てていきます。ときには苛酷な自然条件が、じっくりと強くて美味しい椎茸の生みの親になるのです。
椎茸には免疫力を高める効果があることも証明されています。細胞の働きを強くすることで、病気にかかりにくい体を作るとされて、質の良い椎茸の栽培や料理に拍車がかかるようになりました。年間を通じて栽培されていますが、食卓に登場する頻度の多いのは、やはり鍋料理の多い冬から春にかけてでしょうか。
夏といえば鱧(ハモ)
はも料理は関東よりも関西の方がさかんなんですよ。特に京都では、祇園祭りをはも祭りというほど、はもは季節感の中にしっかり定着しています。
旬は、6・7月で大きなものは2メートルほどにもなりますが、おいしいのは1メートル前後のものです。白身で、脂肪が多く、濃厚な味わい。はもには小骨がたいへん多く、腹から開き、背骨を取ったあと、骨切りをします。
「一寸に二十四」といわれるほど細かく包丁をいれて骨を切ります。しかも、皮は切らずに残しておくので大正館の板前の腕の見せどころということです。
はも料理は、湯引きといわれる刺身、落とし、はもきゅう(酢のもの)、はもしゃぶしゃぶ、はも寿司などがあります。いずれも皮が残してありますが、皮にはコンドロイチンがたくさん含まれており、皮膚の老化を防止する効果がありますので、紫外線が強く体力を消耗する夏にはうってつけの魚といえます。
梅肉じょう油か、煎り油で割った醤油、ぽん酢にもみじおろしを入れたものにつけて食べます。さっぱりと口あたりもよく、食欲不振の人も、これなら食がすすみます。お刺身にすれば夏フグとでも言える歯ごたえ、味はそれをもしのぎ、ご来店のお客様には絶賛のお言葉を頂いております。
板長よりお母さんにチョットいい話
簡単!はもの湯引き
骨切りしたはもを穴のあいているおたま、又はアミに皮を下にして置き、煮たったお湯にサッと入れます。すぐに取り出して、氷水に入れて冷やしますと、身が花のようにまっ白になります。さめたらすぐに引き上げ、水気をよくきって氷を敷いた上に盛って出来上り。梅肉がなければ、「ポン酢に大根おろし」でも十分はもを堪能できますよ。
銀杏
銀杏の生産地は濃尾平野の西方、木曾川に接する祖父江町で、全国の七割ほどを産出しています。
町を訪れると、イチョウ畑というよりもイチョウの杜が点在し、垣根を巡らした庭には必ずというほど数十年以上は経たであろう大木があり、それらが一斉にたわわに実らせた銀杏に出会うと、いささか目のくらむような感動を覚えます。
祖父江町近在の銀杏には、久治、藤九郎、金兵衛、栄進などの品種があります。中でも、藤九郎は食味が良く粒が大きく、貯蓄性もあるため、市場価格が高いものです。茶碗蒸し、がんもどき、土瓶蒸しなどに使う銀杏は脇役ですが、酒の肴によく合う煎銀杏は、風味の良い主役となります。
晩秋になり、よく実った銀杏はもっちりとして旨みも深く、十分に茹でて餅のように搗き、団子として薄葛仕立てでいただきます。
蓮根
蓮根はスイレン科の植物で、ハスと呼びますが、これは果実の入っている花托が蜂の巣に似ていることからついた古名「ハチス」に由来しているそうです。
食用のハスは、中国や朝鮮から鎌倉時代に伝来して在来種となり、明治初期に再び中国から輸入されました。在来種の日本の赤蓮根はムチン質を多く含み、良く糸を出し、旨味も格段ですが、収量が少なく病気に弱く、地下茎が土の中深く潜り込んでいて手間がかかることなどから、栽培料は落ちています。市場に出ているのは中国系がほとんどで、糸も引かず、日本種に比べるとイモに近い味だといえます。
早生の新蓮根は七、八月に市場に出回り、色白で歯ごたえの良さを珍重しています。しかし、蓮根本来、赤蓮根の糸を引くもっちりとした旨味は十月を過ぎてからです。そのまま煮ても十分おいしいのですが、一工夫して小豆を詰めて薄味でこっくりと煮て小豆蓮根といたします。さらに寒さも深まれば、蓮根をすりおろして季節の具を入れて蓮根饅頭とし、薄葛あんかけでお出しします。
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