こんにちは。ライターの斎藤充博です。
この間テレビで「海外で間違って伝わってしまった寿司を、日本人の職人が正す」という番組をやっていました。
確かにそこに出てきた「寿司」は日本人の僕が思い浮かべる寿司とは違うものでした。例えば、海外で独自に発展した、カリフォルニアロールとか。
それを、日本人の寿司職人が正すわけです。ところがそのテレビを観ていて、僕はこう思いました。
「海外の間違った寿司、うまそうだな……」
海外の寿司を日本でも食べられるところはないものか? 探してみたらわりとあっさり見つかりました。
うらまきの専門店「うらまきや」
※編集部追記:2019年3月末をもって「うらまきや」は閉店されたそうです。
東京の麻布にある「うらまき」の専門店、うらまき屋。「うらまき」とは、海苔巻きの海苔が内側に巻き込まれているものです。
英語では「inside out rolls」というらしい。なんか英語にするとかっこいいですね……。
店内はこんな感じ。元々は飲食店(イートインスタイル)だったのですが、今年の8月にテイクアウトとデリバリーの専門店になったそうです。右側にカウンターの名残がありますね。
メニューには30種類のうらまきがあります。メニューの最初に書いてあるのはカリフォルニアロール。やっぱりこれが定番なんでしょうか。
「スパイシーYT」というナゾのメニューもありました(画像右)。聞いてみたら、YTとは「yellow tale」の略で、「ハマチ」のことなんだそうです。
「セクシー」ってなんだろ? エビ天とハマチが入っているのも斬新ですね。とにかく異国感がびんびんに伝わってきます。
いくつか注文すると、マスターはまずエビの天ぷらを揚げ始めました。注文のたびにちゃんと揚げているそうです。
小気味よく海苔やご飯をセッティングしていきます。一見すると、ここまでは普通の寿司と変わらないですね。言い忘れましたが、作っているのは日本人です。
あっ。アボカド乗っけた!
バーナーも出てきた! あぶっているのはチリマヨネーズだそう。
出来上がりです。左から
「タイガー」(エビ天ぷら、キュウリ、スパイシーツナ、アボカド、タレ、ゴマ)
「スパイシーYT」(ハマチ、キュウリ、ネギ、ゴマ)
「カリフォルニアロール」(カニカマ、キュウリ、アボカド、トビコ)
別の容器でもう一つ。
「サンライズ」(ゆでエビ、スパイシーハマチ、キュウリ、マヨネーズ、タレ)です。天かすまみれになっていて、何が何だか分かりませんが……。
持ち帰って食べてみたんですが、どれもうまいです。「スパイシーYT」や「サンライズ」みたいな味が濃いものの方がおいしかった。
ただ……ちょっと気になるところもあります。特に「カリフォルニアロール」なんですが……。(後述)
いや。実は料理そのものより気になっていることがあります。マスターの存在です。日本人の職人さんがアメリカのうらまき専門店をやっているって、どういうこと? ウケ狙い?
どうしてこんなことをしているのか、仕事の休憩時間に行って、詳しく話を聞いてみました。(この記事はここからが本番です)
これまで5か国で働いてきた寿司職人
うらまきやのマスターは菊池秀一郎さん(43歳)。2015年5月にうらまきやを始めました。今日はお店のバックヤードでお話を聞かせてもらっています。
斎藤「どうして日本人の職人さんが、うらまきの専門店をやっているんですか?」
菊池「うらまきっていうのが、かわいそうで。寿司から独立させてあげようと思ったんですよ」
ん? どういうこと? 謎が深まった……。なんでも菊池さんはこれまでに日本、アメリカ、オーストラリア、スイス、ギリシャの5か国で寿司職人として働いてきたそうです。ものすごく興味深い。せっかくなので半生を全部聞いてみました。
日本で約10年修行する
菊池「私は高校卒業後に料理の世界に入りまして、10年ほど割烹やお寿司屋さんなどで修行をしていました」
斎藤「それは普通のお寿司屋さんですよね?」
菊池「そうです。普通の職人を、約10年間。でもその中で海外で仕事をしてみたいって気持ちが出てきたんです」
斎藤「ふむ……」
菊池「そんな時です。カリフォルニアで寿司店を経営している人と偶然知り合うことができました」
斎藤「えっ。いきなり知り合えるものなんですね」
菊池「彼は当時私が働いていた寿司店のOBだったんです。その人がカリフォルニアだけでなく、ラスベガスにも店を出すことになり、事務手続きのために一時日本に帰国していたんですね。そこで昔働いていたお店にちょっと寄ったというわけです」
斎藤「すると、その人にお願いしてラスベガスに一緒に行くことになったんですか?」
菊池「いや。あいさつはしたんですが、その時はまだ相手にされていなくて。でも、もらった名刺にメールアドレスが書いてあったんで、パソコンを買ってきて、メールを何度もしたんです」
斎藤「メールのためにパソコン買ったんですね……」
菊池「そうです。私もアメリカで仕事がしたいとメールをしまくりまして。あの頻度は、まるっきりストーカーでしたね。そして、とうとう根負けしたのか、ラスベガスのお店で働かせてもらうことになりました。2001年の7月にアメリカに入国したんです」
最初は「うらまきなんて邪道」と思っていた
斎藤「普通の職人がいきなりラスベガスで握ることになるんですね。そこで『うらまき』を作ることになったんですか?」
菊池「いや……。まだ先です。ラスベガスの店は、従業員もお客様もほどんど日本人でした。出しているお寿司も、伝統的な日本のお寿司です。
うらまきも少しは出していたんですが、私はこんなの寿司じゃねえって見下していて。作ろうともしませんでした」
斎藤「最初は嫌っていたんだ!」
菊池「嫌っていましたね。だって、寿司にマヨネーズかけたりするでしょう。そんなの邪道じゃないですか。許せなかったんです」
斎藤「ま、まあ、寿司職人の方からしたらそうなりますよね」
この場合、どう答えるのが正解なんでしょうか……。だってここには、デスソースをかけたメニューもあるんだよな……。
同時多発テロで店がつぶれる
菊池「そんなふうに仕事をしていたんですが、問題はラスベガスで働き始めた2か月後の2001年9月です。ニューヨークで同時多発テロが起きてしまいました」
斎藤「ああ……! 直接的な被害はないかもしれませんが、ひょっとしたら、アメリカのムードが最悪になっちゃった感じですか?」
菊池「その通りです。日本人向けのお店だったのですが、ピタリとお客さんが来なくなってしまいました。いろいろなイベントや会議が中止になってしまったのも大きかったです。結局、その寿司店は閉店してしまいました……」
斎藤「あれ? うらまきが嫌いなまま潰れてしまいましたが……」
「うらまきってうまくないか?」
菊池「お店は潰れてしまったんですが、私はラスベガスの違うお寿司屋さんに拾ってもらうことができました。そこが外国人向け(*)のお店で。注文されるもののほとんどが、うらまきだったんです」
(*)アメリカなのでよく考えたら外国人は菊池さんの方なんですが、ややこしいので、この記事では日本人じゃない人のことを外国人ということにします
斎藤「じゃあ、今度はうらまきを作らざるをえないですね?」
菊池「そうです。はじめは嫌々作っていましたね。うらまきを丸ごと天ぷらにしたりするんですよ。それにクリームチーズを乗せて、タレをかけて食べたりする」
斎藤「なんだそれ、すごいな」
菊池「おれはこんなことのためにアメリカに来て職人やっているのか?って思っていました」
斎藤「でも、気持ちが変化していったんですよね? 何かのタイミングで……」
菊池「そうなんです。アメリカの人たちがあまりにうまそうに食べるので、私も素直な気持ちで食べてみたら、あれ? これ、うまくないか?って思っちゃったんです。それでだんだん好きに……」
斎藤「うまいって思っちゃったんだ!」
菊池「そうです。そもそも、うらまきには約60年の歴史があります。カリフォルニアの日本人街にあるお寿司屋さんが外国人になんとかお寿司を食べてもらおうと考えたのが、カリフォルニアロールです」
斎藤「60年! 意外と歴史あるんですね」
菊池「黒い海苔が嫌われるから、海苔を内側に巻く。生魚が嫌われるから、ボイルしたカニと野菜を入れる。黒いソース(醤油)が嫌われるから、マヨネーズをつける。そうやって、一つ一つ嫌われる要因をつぶしてヒットしたのがカリフォルニアロールです」
斎藤「現地で受け入れられようとした結果の形なんですね」
菊池「その後、1980年代に和食ブームがアメリカ中で起こって、同時にうらまきも広がります。さらに1990年代にはヨーロッパでも和食ブームが広がりました。今では世界中にうらまきがあって、世界の人たちはおいしく食べているんです。それがおいしくないわけないだろう、と」
斎藤「日本人だけが先入観を持っているから、食べていないってわけか……。たしかにそれはなんかヘンですね……」
オーストラリアにはかんたんに行けるけど……
菊池「それで、アメリカで2年ほど働いた後に、私はオーストラリアに渡ることにしました」
斎藤「ん? なんでオーストラリアなんですか?」
菊池「オーストラリアにワーキングホリデービザっていう制度があって、30歳以下ならかんたんにビザが取れるんですね。私はいろんな国で働きたくて、30歳になる前にオーストラリアに行こうとしたんです」
斎藤「行動力がすごいですね(僕なんか同じ市内に引っ越すのにもここ2年くらい悩んでいたのになあ……)」
菊池「オーストラリアには1年くらいいましたかね。
オーストラリアのシドニーって南半球最大の魚市場があるんですよ。カニなんか最高においしいです。そこでもやっぱりうらまきは人気でした。
ただ……。労働条件があんまり良くなくて。ワーキングホリデービザは誰でも取れるんで、アルバイトがあふれているんですね。給料を上げてくれって言ったら、じゃあ他のバイト探すよって言われちゃうんです」
斎藤「わ~。キツいですね」
菊池「それで、ビザの有効期限も近づき、ネットで他の仕事を探していたんです。そうしていたら、スイスのチューリッヒで寿司職人の募集を見つけました。メールをしたらすぐに電話がかかってきて……」
斎藤「いきなりまた遠いですね! 向こうもオーストラリアから日本の寿司職人が応募してくるなんて思ってなかったでしょうね」
菊池「びっくりしたと思います。そのオーナーの方はものすごく話が早くて、チケット代出すからスイスに来てくれって話になったんです」
スイスでうらまきがものすごくウケた
斎藤「スイスはどんなお店だったんですか?」
菊池「新店のオープンでした。オーナーの方はオーソドックスなお寿司を出そうと思っていたようなのですが、僕がそこで20種類のうらまきのメニューを作りました。それがスイスの方々にものすごくウケて。昼も夜も満員でしたね……」
▲そのお店での菊池さん
斎藤「なんでそんなにスイスでウケるんですか?」
菊池「スイスの日本食レストランって、高級なお店が多くて、うらまきを出しているお店なんてほとんどなかったんです。そこに20種類のうらまきが来た。これが新鮮だったんでしょうね」
斎藤「なるほど……。確かに珍しい海外の食べ物が一気に流行るのって日本でもありますね。そういうのよく見ます(王様のブランチで)」
ギリシャの高級寿司店で働く
菊池「でも、そこも3年半で辞めました。次はギリシャに行くことになりました」
斎藤「なんで流行っていたのに辞めてしまったんですか?」
菊池「スイスのお店が、寿司の他に、カレーやラーメンも出しているような、大衆的なお店だったんですよ。
そのお店では、オーナーにはすごくかわいがっていただいて、お店も繁盛していたのですが……。一度は、海外の高級店で働いてみたいと思ったんです」
斎藤「好奇心を満たすために転職しようとするのすごいですね」
菊池「働きたかったのは、ノブという世界中に30店舗ほどある有名なお寿司屋さんです。ツテをたどってお願いしたら、ギリシャのミコノス島という小さな島にある、マツヒサというノブの系列のお店に空きがあると。そこで働けることになりました。マツヒサもとても高級なお店です。
ところが、このミコノス島はリゾート地で、しかも夏しか観光客が来ないところなんです。マツヒサの営業も4月から9月まで。
それ以外の10月から3月は、厨房チームが丸ごとスイスに引っ越して、サンモリッツのバドルッツパレスホテル内にあるノブで働くんです」
斎藤「夏はギリシャのミコノス島、冬はスイスのサンモリッツ……? あれ、またスイスに戻っている……?」
菊池「そうなんですよ」
斎藤「そうだ、ギリシャってギリシャ語じゃないですか。言葉は大丈夫だったんですか?」
菊池「厨房の中は英語だったんで、なんとかなりました。ギリシャ語は今でも話せないし、読めないですね。ギリシャは中心地から少し離れると、看板から英語の表記がなくなって、自分がどこにいるのか分からなくなっちゃうんです。あれは恐かった……」
斎藤「僕は菊池さんの行動力がなんか恐いですが……」
うらまきを寿司から独立させよう
菊池「ギリシャで働きながらでうらまきについてずっと考えていて、一つの結論が自分の中で出ました。寿司の歴史を考えると、やっぱりマヨネーズを使ったり、揚げ物を入れたりするのは、寿司ではないと思うんです。伝統的な寿司の文化は守っていくべきです。うらまきを寿司というのは無理があるな、と」
斎藤「なるほど。寿司だと思うから、違和感が出るんですね。うらまきは寿司じゃないって割り切っちゃえばいい」
菊池「でも、寿司じゃないって言い切っちゃうのも、かわいそうで。うらまきは寿司から独立した食べ物って呼びたいんです」
斎藤「なんか複雑な感情ですね……。でもよくわかりました」
菊池「このころから、独立してうらまきの店を出したい、という気持ちも出てきました。やるなら東京の港区だろうと。計画を練っていたんです」
斎藤「だんだん現在に近づいてきましたね!」
日本に戻るもなじめない
菊池「ギリシャとスイスを行ったり来たりしながら2年ほど働いた後に、日本に戻りました。
日本では縁あって熊本で働くことになったんです。しかし、知り合いがほとんどいなくて、なかなかなじめませんでした」
斎藤「これだけ海外でやっていける人が、日本の地方でなじめないの、おもしろいですね」
菊池「私はお金を貯めて、うらまきの店を出したかったんですが、地方のレストランで働いていると、なかなかお金も貯まらない」
斎藤「港区に店を出すの、大金がかかりますもんね」
菊池「まあ、私は腐っていたんです。そんなときにスイスで働いていたときのオーナーから電話があって。自分の現状をしゃべっていたらもう一度スイスにこないか?って言われたんです。スイスに出稼ぎに来て金を貯めて独立しろと。ありがたかったです」
スイスに出稼ぎして1000万貯める
斎藤「スイスの方が日本より給料いいんですか?」
菊池「ずっといいんです。たとえば、マクドナルドの店員さんの時給が日本でいったら2500円くらいある。もっとも、物価も高くて、ミネラルウォーターが1本500円くらいしますが……」
斎藤「なんか極端すぎて、損なのか得なのか、よくわかんない……」
菊池「寿司職人だと月給80万くらいとる人もいますね。私はそこまではもらっていませんでしたが。暮らすにはいいと思います。ただ、旅行するには大変かもしれませんね」
斎藤「なるほど」
菊池「労働環境もいいんですよ。有給休暇は4週間もらえます。これは必ず消化する義務があります。人手が足りないときは、店を閉めて有休消化したこともあります。
また、残業もほとんどありません。残業をすると2~3倍くらいの割り増し賃金を経営者が払わなくてはいけないので、残業が嫌われるんです」
斎藤「それって、仕事の密度が濃くて、逆に大変になったりしませんか?」
菊池「人それぞれで難しいんですけれどもね。私としてはスイスの働き方を知ってしまうと、日本の働き方がちょっとつらいなと思ってしまいますが……」
斎藤「それで、どのくらい貯めたんですか?」
菊池「2年間、一度も日本に帰らずにガッツリお金を貯めて、1000万作りました」
斎藤「けっこう貯まりますね……」
菊池「自炊はもちろん、休日はあまり外出しないようにしてお金をセーブしていました。当時、スイスフランと日本円の為替レートも良かったですし」
うらまきや開店
斎藤「で、日本に帰って、いよいよこのお店ができるわけですね?」
菊池「自己資金1000万って、店を始めるには少ないんですが、運良く物件が見つかりまして、うらまきやを始めることができました」
斎藤「客層は、外国人が多いんですか?」
菊池「かなり多いですね。まず、うらまきって、海外では食べられるけれども、日本ではなかなか食べにくい。外国人からすると、懐かしい味に感じられるのではないかと」
斎藤「なんかおもしろい感じですね……」
間違っていてもいいから英語を書く
菊池「店作りも外国人の方を意識しています。全てのメニューを英語表記をしている。電話は(英語が可能な)私が応対する」
斎藤「それだけですか? わりと普通のことの気がしますが……」
菊池「いや、それだけでも全然いいんですよ。私の英語なんて、グーグル翻訳を通しただけの、不正確なものなんですが、それでもあるのとないのとじゃ全然違います」
斎藤「それじゃあ、普通の日本のお寿司屋さんも、英語表記すれば、外国人観光客を取り込めますかね?」
菊池「取り込めるでしょうね。外国人って、うらまきを食べてくれるんですが、それと同時に日本の伝統的な寿司にもものすごく興味があるんです」
斎藤「なるほどー……」
菊池「知り合いのお寿司屋さんに聞いたんですが、外国人が来ると外国の人来ちゃったな~。言葉通じないしどうしよう……って雰囲気になっちゃうらしいんですよね。どうしても……。それだと外国人は来にくいですよね」
斎藤「そこは、お寿司屋さんが歩み寄らなくちゃいけない部分ですよね……」
菊池「うーん。どうなんでしょうね。そんなこともないと思っています。日本人だけを相手に商売をするというのは、決して悪いことではないので。うちはたまたま、うらまきという商品を扱っているので、外国人のお客様が多いというだけですね」
斎藤「なんかもったいないような気がするけどなあ……」
酢飯を使わないという決意
斎藤「うらまきやさんのうらまきを食べて、ちょっと気になったことがありました。酢飯じゃないんですね。海外のうらまきは酢飯を使わないんですか?」
菊池「いや。海外のうらまきは酢飯です。うちがご飯を使っているのは、うらまきをお寿司から独立させるのにどうしたらいいか、と悩み抜いた結果なんですよ。酢飯を使っているから寿司と思われちゃうんじゃないか、と」
斎藤「酢飯を使わないのは、菊池さんのオリジナルなんですね」
菊池「正直、酢飯を使わないことには賛否両論あるかなと思いました。実際、合う合わないという両意見を頂きます。
強い味付けのものはご飯でいいけれども、マグロアボカドロールのようなシンプルなものは、酢飯が欲しいっていう人がいますね」
斎藤「ああ、確かに。僕はカリフォルニアロールを食べて酢飯の方が合うかもって思いました。でもその他のものは、ご飯がいいような気がしましたね」
菊池「ありがとうございます。酢飯を使わないのがいいことなのか、悪いことなのか。その結論は私の中で正直まだ出ていません。
ただ、酢飯ではないうらまきに理解を示して頂き、日本人、外国人問わず、お得意様になって頂いたお客様は確実に増えていると感じています。
そして、そうかんたんにコンセプトを変えてはいけない、とも思っています」
斎藤「また僕も来たいですし、これからどんどん流行ると思うな~。うらまきやさん」
菊池「うらまきの専門店って、うちだけだと思っていたんですが、2年ほど前に大阪の方にもできたみたいなんですよ。インスタのアカウントではお互い繋がっているんですが、まだ面識はなくて」
斎藤「競合の出現ですね」
菊池「いや、私はこの調子で、うらまきを出す店がどんどん増えてほしいんですよ」
斎藤「えっ。どうしてですか?」
菊池「うらまきっていう世界があるってことを、もっとみんなに知ってほしいんです」
斎藤「かっこいい!」
話を聞いた後だと、うらまきが、なにかこう、光り輝いて見えてくる……。すでに世界では定番の食べ物「うらまき」。これから日本でも流行していくんでしょうか?
それにしても菊池さんの話はおもしろかったです。海外の職人体験を記した新書でも出してくれないかなあ……。それを読みながらうらまき食べたい。そんなことを勝手に思いました。
紹介したお店
※編集部追記:2019年3月末をもって「うらまきや」は閉店されたそうです。
住所:東京都港区東麻布2-4-7 白井ビル1F
TEL:03-5114-5590
公式ホームページ
うらまきや
プロフィール
斎藤充博
1982年生まれの指圧師(国家資格所有)。著書『子育てでカラダが限界なんですがどうしたらいいですか?』(青月社)が好評発売中。ウェブで記事を書くことをやめられない。
ツイッター:@3216
ホームページ:田端ふしぎ指圧