まいど憶良(おくら)です。
これはいくらです。
さて、今回私は食い倒れ都市、大阪は上本町にやってきました。
今回は大阪が全国に誇る安くて旨いお寿司屋さんをご紹介します。
JR鶴橋駅から徒歩10分にある噂のお寿司屋さん
JR鶴橋から徒歩10分、あの有名な上本町ハイハイタウンの近くです(知らないって)。
その有名なハイハイタウンの近くに安くて旨いがあると聞いてきました。
それがここ、大市寿司です。
いたって普通の、ちょっと高そうなお寿司屋さん。お品書きに値段が書いていないので、入店早々ちょっぴり不安になります。
表に「定食750円」の看板が出てなかったら、高そうだなぁ、と敬遠してしまいそう。
ここのランチが凄いらしい。
と、いうことで当然、「ランチ、お願いします」と注文しました。
このボリュームの寿司定食が750円とは…!
親父さん、「はいよっ」と。言ってからが早い。
ものすごいスピードでリズムよく握っていきます。にしても、ネタが大きい。
ああっ、これはしまったぁ! 「750円の定食」と念押しするのを忘れてしまった!
どう考えてもこのネタの大きさで、750円はないんじゃ…と不安に。
と、思っているうちにできました。赤だし付きです。デカいです(比較対象、皿のすぐ後ろにあるウニの箱)。
ネタの大きさを見て不安になったので聞いてみました。
私:「すみません、このランチはおいくらですか?」
店主:「えっ、750円ですけど」
私:「ええっ!」
これが?
とても信じられないです。
梅ソースのかかったタコは、口の中で踊るような弾力と、吸盤のプチっとした歯ごたえ。
1つ1つのネタが口の中一杯になるくらいの大きさ。醤油をつけなくても、ネタの甘さだけで食べられます。そうすると、シャリの旨さも引き立ちます。
これまた箸が止まりません。
赤だしの中にはタマゴ1個がまるまる沈んでいました。椀の大きさ、ネタの大きさが何となく分かっていただけますでしょうか。
一品ものもスゴい!豪快にこぼれまくったイクラは必食だ
親父さんに「ここって、お昼のメニューは定食だけなんですか」とお聞きしますと、「そうやねぇ、ほとんど毎日、昼時は凄い忙しいからできないけれど、ちょっと時間に余裕がある時には一品ものもお出ししますよ」とのことでした。
さて、一品ものが頼めそうですので、イクラを注文します。実は、イクラが美味しいということは噂でも聞いていたのです。
「イクラお願いします」「はいよっ」
はいどうぞ。
うわあっ、何これ、美味しそーなイクラ、これいくらするのっ?って、コラーッ。
イクラがないやん!と思っていましたら…
まっ、まさかその手にあるのは…
こういうこと?
どーん。
ドドーン!
ええっと、これをどうやって食べればいいですか。
「そーやねぇ、横の海苔でまずこぼれたイクラを食べて行って、食べれるサイズになったら、食べて」
なるほど。
海苔で、イクラを掴む。
ひっくり返してわさびを乗せる。
たたんで食べる…。足りなかったら、その上にさらに足す。
ここでも、こぼれる。
そして醤油、ちょーんとして、パクッ。
口の中でぷちぷちぷちぷちっっっっ…。
うおおっ。美味しいっ!
このままではなかなかなくならないので、定食の鯛にのせて食べてみます。
醤油なしで、イクラの塩気と、鯛の甘みと、シャリの味で。
うむっ。うまいっ。こら旨いっ。
後ろを振り向きますと、こぼれイクラは名物のようです。ウニも「こぼれ」があるみたいですね。なぁるほど。
じゃ、もう一品は、こぼれウニで。と、言うと、「おすすめは鰻だよ」とのこと。
えっ、名物なんじゃ…。いや、名物やけど、お勧めは鰻やなぁ。
んじゃ、鰻をお願いします。
とはいえ、あの写真のインパクトはもったいないなぁ…。と思っていると、来ました。
鰻は巨大すぎて切断しないと絶対に食べられない(笑)
どっすん。
さぁ、食べよかっ・・・て、持ち上がりません。
ということで切ります。
と、言われてもこの大きさ。そしてこの身の厚さが凄い。
鰻をつかもうとすると、それなりの力が必要なので、シャリが逃げてしまいます。
仕方がないのでシャリからはみ出しまくった部分をパクパクと食べていき、
やっと寿司らしくなったサイズで、頂きました。
そして、この鰻がただ大きいだけでない。とにかく美味しいんです。脂がしっかりのっていて、皮と肉の間のところがこれまた旨い。ずっとモグモグしていたい旨さのやつです。
なんで、こんなに旨いのか、聞いてみました。
すると「鰻はしっかりと焼き切ってやることやなぁ」とのお返事が。
さらに「中途半端に焼くと、鰻の臭みが感じられてあかん。焼き過ぎると、これはこれであかん。ちょうどの火との距離で、しっかりと焼く。焼き切ってやる。このタイミングは、もう長年かかって身に付いたもんやねぇ」と、笑顔で答えてくれました。
夜はイタリアンも食べられるという衝撃の事実が発覚
やっと寿司サイズになったイクラを食べながら寿司へのこだわりをお聞きしました。
仕入れは鶴橋とか木津市場に行って、その日のいいやつを仕入れる。養殖とか、天然にはこだわらない。
状態のいいもの優先。天然の、いまいちのやつと養殖のいい状態のもんやったら、養殖を選ぶ。
「美味しいもんが、やっぱりええねん。ネームバリューとちゃう」。これが仕入れの哲学。
後は、息子があちこち行ってはおもろい食材を探してくるなぁ。今回は鳥取の、「ばばあ」のええのんがあったんで、唐揚げにして出してるで。今も、仕入れに行ってるわ。
やっぱり、普段からネタ探しには時間を割いているんですねぇ。しかし、「息子さんもやっぱり後を継いで、お寿司屋さんですか?」と聞くと、「イタリアンやねん」とのお返事が。
なんと、イタリアン、中華、和食と、なんでもござれの息子さんは、夜になるとこの店でイタリアンシェフとして、寿司を握って半世紀の親父の横で料理の腕を振るっているんです。
お客さんは、寿司を食べ、さらに同じ食材をイタリアンで食するという、変わった楽しみ方ができるんです。
「寿司を食べに来た人のほとんどの人が最後の締めにパスタであがるっていう感じやなぁ。わしが言うのもなんやけど、パスタ、旨いで。是非食べたって」とのこと
どんだけ珍しい寿司屋やねん!
お昼は寿司定食だけですが、夜になると親子対決が楽しめる、奥の深いお店でした。
さて、お会計。
定食は750円でしたが、流れのまま、値段を聞かずに注文してしまったあのイクラと鰻はさていくら。
イクラの量、ウナギの大きさ、あの厚み、脂。その辺のスーパーで買ったとして、どんなに安くてもイクラ1,500円、鰻2,000円くらいかなぁ。
正解は、どちらも800円でした。
はい、無茶苦茶です。
「こんなん、儲けないんと違います?」と聞きました(←聞くなよ、失礼な)。
すると、こんな話が聞けました。
「儲けなんか、自分らが食べていけるだけ出たらええねん。ようけ儲けようと思たら、お客さんにもそんなんわかってしまうから、来てくれんようになる。もしも、あと100円、200円欲しいなぁと思った時には、100円、200円まけたんねん(おまけしてあげるの意)。そしたら、またあそこに行こか、と、なるやん?」
そして「3貫で儲ける100円より、10貫で儲ける100円の方が長続きするんで、結局はその方が値打ちがあるんや」と自身の経営哲学を披露されました。
「儲けが薄うても、店が人で一杯になってるうちは、まぁ、なんとかなるもんやで」と、笑いながらお釣りをくれた親父さんが、なんかすごく恰好よく見えるなぁ、と思いながら帰途につきました。
紹介したお店 大市寿司
大阪市天王寺区東高津町11-7 1F
050-5589-7571 (予約専用番号)
06-6767-5328 (お問い合わせ専用番号)
11:30~13:30 ※数量限定。なくなり次第終了。
本当に余裕のある時のみ、一品ものも対応できる場合あり。
定休日 不定
プロフィール
憶良(おくら) : 元ゲームプランナー、元ゲームプロデューサー。
ゲーム企画講師や駄菓子屋店長などを経て現在に至る。
休日は名古屋から鳥取あたりの温泉に浸かり、地元スーパーで珍しい食材を買っては料理する。
その際食べ歩きにも積極的と、食に対してはかなり貪欲。
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