湘南の老舗日本そば屋で9割のお客が注文するラーメンはワンダーな味がした。【フミコフミオの夫婦前菜第26回・無職編】

人気連載「フミコフミオの夫婦前菜・無職編」です。今回は湘南・平塚の日本蕎麦の人気店「大黒庵」でラーメン(!?)をいただきます。平塚でラーメンといえば凪ややまかわ、ひでたんに火山にあかつき…と家系などいろんな人気ラーメン店がありますが、あえての「日本蕎麦屋のでラーメン」をフミコフミオが選んだ理由とは?そこには、なみなみならぬ再就職への情熱が隠されていました。「芯のある人間になりたい」という願いを叶えるため、人気メニューにチャレンジしようとしますが…(平塚のグルメラーメン・つけ麺

湘南の老舗日本そば屋で9割のお客が注文するラーメンはワンダーな味がした。【フミコフミオの夫婦前菜第26回・無職編】

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再就職が成就しないのは、僕の能力や人格や経歴だけでなく、僕に確固たる「芯」がないからである。ふらふらして、だらしない。こんな人間を採用したがる有力企業などあるはずがない。そんな絶望の淵で僕が思い出したのは、教室の片隅でアスファルトに咲く花のように、ひっそり、だが力強く生きていた高校時代の自分の姿である。人間は食べ物で出来ている。ならばあの、アスファルト時代に食べていたものを食せば、芯を取り戻せるのではないか。そんな浅はかな想いがメタボ危機のカラダを衝き動かしたのである。

 

神奈川県平塚市にある日本そば屋、大黒庵。20数年ぶりに訪れたその店は、老舗の蕎麦屋さんにもかかわらず、開業以来60年間、ほとんどのお客さんがラーメンを頼むというワンダーなお店で、フツーなら蕎麦屋からラーメン屋へジョブチェンジするところ、あえてそれをしないあたりに店主の芯を感じる。店頭のサンプルケース内で、こんな凶悪なブツを発見。

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チョーデカラン。事前リサーチで存在は知っていたけれども、実物は圧倒的じゃないか。だが、恰好のネタである。素人食レポーターとしてこれを見逃すわけにはいかない。

 

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現在の完食は男性65名女性2名。チョー。68人目の勇者に俺はなる。そんな意気込みでラーメン屋にしか見えない老舗日本そば屋に入ったのである。そして、席についた僕俺私はおもむろにメニューを取り、普通のラーメンを頼んだ。なぜ攻めなかったのか。怖かったのもある。メタボ。高血圧。成人病。それらの前兆がはっきりと健診に出ている。男性機能も低下したままだ。だが、それがチョーデカランを回避した決定的な理由ではない。経済的な理由である。絶賛無職中の身で、財布の中に千円札一枚しかなかったのである。もし、チャレンジに失敗したら、店のおばちゃんに羽交い絞めにされ駆け付けた警官に無銭飲食で現行犯逮捕。テレビ神奈川の「NEWS930α」で奥田民生似の顔を「無職43歳」というキャプチャとともに晒され、そこに「なお、容疑者はお金がなかったと供述しており」などと涙を誘うナレーションが重ねられる。そんなハメになったら切腹して果てるしかない。

 

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オーダーしたラーメンが到着。「タマゴ入りラーメン。チョードンパリ

チョードンパリというオーダーに「麺をかためにすれば、精神や肉体の一部もかたく強固になるのではないか。なるにちがいない」そんな祈りが込められていたのを僕以外の人類が知る由もない。無職の分際でタマゴを入れました。サーセン。

見た目は普通のラーメンであるが、この自家製の麺、狂おしいほどパリパリして固いのである(ドンパリにしなくても)。この食感は他のお店では味わえない。独特。食べごたえ満点でチョーデカランを完食する猛者の胃と顎はどうなっているんだろう。無理すぎる。

 

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見た目は細くごわごわしている。芯がある。

スープは麺と同じように独特で、しじみベース。僕が頼んだのは醤油ラーメンだけれど、しじみベースというにはアレなほど、「しじみ風味」が効いていた。ガツンとしたラーメンも好きだけど、こういうカラダに優しい味もいい。おいしい。

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はっきりいってラーメンを楽しめるそば屋さんのレベルじゃない。じっさい、僕が訪れていたときも、 お客さんは全員ラーメンを食べていた。だが、日本そば屋の看板はおろさない。そのこだわりと強さが麺の腰にあらわれているのではないか。僕も見習わなくてはならない。老舗日本そば屋の9割のお客が食べるラーメン、おすすめなのである。

 

さて、今回のレポートに妻の気配がいっさいないことにお気づきだろうか。事前のリサーチでチョーデカランが月~金の午後しかチャレンジできないことを察知していた僕は、妻にその旨を伝えた。妻は僕に「無職はいいですね。その時間帯にフリーダムで。私はその時間帯は家計を助けるためにパートをしております。おひとりでどうぞ」と言ってにっこり笑い、以後沈黙。無視。ああ、無視の家計簿。僕も日本そば屋のラーメンや妻のように芯の強い男にならなければならない。ではまた。

 

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▲60年!9割が注文!

 

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▲ラーメン屋よりも細やかなオーダーが可能。しつこいようだが日本そば屋です。

 

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 ▲「まずい」とダイレクトに言える精神力があれば、就職なんてたやすいはず・・・。

 

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▲腰の強い麺。僕の腰も強くなればいいのだけれど。

 

 

紹介したお店

 

書いてる元サラリーマン

フミコフミオ

海辺の町でロックンロールを叫ぶ不惑の元会社員、現無職マンです。90年代末からWeb日記で恥を綴り続けて15年、現在の主戦場ははてなブログ。最近は諸行無常を嘆く日々。更新はおっさんの不整脈並みに不定期。でも、それがロックってもんだろう?ピース!

ブログ「Everything you've ever Dreamed」:http://delete-all.hatenablog.com/

ツイッター:https://twitter.com/Delete_All

 

フミコフミオさんの過去の記事はこちらから

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