スポーツ国際大会における「おもてなし」とは?…メディアセンターでの食事の記憶【ごはん、ときどきサッカー 特別編】

サッカージャーナリスト・森雅史がお送りする「ごはん、ときどきサッカー」は、サッカー関係者の人生をテーマにしていますが、今回は特別編。「食べ物の恨みはおそろしい」みたいなこと、どんな方でも頭をよぎったこと少なからずあるのではないでしょうか?スポーツに限らず国際大会のメディアセンターでは世界各国の報道陣に向けた食事が提供されますが、有償のことも無償のこともあるそうです。ワールドカップやアジアカップ、東アジア選手権のメディアセンターの食事の記憶を振り返ります。(有楽町・日比谷のグルメバイキング(ビュッフェ)

スポーツ国際大会における「おもてなし」とは?…メディアセンターでの食事の記憶【ごはん、ときどきサッカー 特別編】

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五輪のメディアセンター(メインプレスセンター)のご飯が高いってネットニュースになってました。

 

実はワタクシ、フードライターのかたわらサッカーの取材——ではなくてサッカーの記事執筆が本業でして、そのせいで「ごはん、ときどきサッカー」の連載でもつい前文のサッカーのところが長くなってしまって……。

 

だけど(と無理矢理話題を変えて)!!  そんな私ですからメディアセンターの食事がとても大切なのはよく分かるんです。

だってメディアは情報収集などのためにメディアセンターにいる時間がめちゃくちゃ長いし、数少ない楽しみの一つがご飯ですから。特に今回は新型コロナウイルス対策でメディアもいろいろ出歩けないから余計にそうでしょう。

それに、普通はメディアセンターの周りってあまり店がなくて、もしこういう食事を提供してもらえなかったら毎日食べ物を探して右往左往しなければいけないんです(今回のメインプレスセンターや東京メディアセンターは店には困らないんでしょうけど。外出の規制とかなければ)。

国際大会のメディアセンターで提供される食事が、「味はともあれ、値段がすごい」ということは実は珍しくありません。いっぽうで、「これは素晴らしい!」と思わず感激することもあります。

というわけで、近年の国際大会における各国の「おもてなし」を比較してみました。

 

2010年のティキタカとショートパスタ

サッカーで言うと、2010年南アフリカワールドカップまではそんなに高くなかったんです。換算レートの問題もありますけど、だいたい1,000円以内で収まってました。

 

まず大会が始まってまだ懐が温かいときは「ホット・ミール・オブ・ザ・デイ」。メインプレートとサラダを選べます。メインプレートのバリエーションは3つ。カレーかラザニアかチキン。

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サラダは好きなだけ取れるのですが、めちゃくちゃ塩っぽいオリーブや、口に入れた瞬間に痺れるほど酸っぱいオニオンなどがあり、ショートパスタにトマトやキュウリだけを選んで食べてました。これが飲み物まで入れて75ランド(当時の換算で約980円。以下同じ)。

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そして次第にお金が無くなってくるとハンバーガーに移行します。

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このハンバーガーが35ランド、ポテトが10ランド、コーラが15ランドの合計60ランド(約780円)。ハンバーガーには一枚レタスが挟まっています。肉は分厚いけど味は淡泊。

 

さらに貧しくなってきたらコーラとパンとバナナ。でもこれで55ランド(約720円)。

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でも外で食べるとこのバーベキューが全部で約2,000円しないぐらい。

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南アフリカ危なくて外出できなくて食事がなかなか出来ないという問題がありましたけど、今思えばまだよかったんです。

 

2014年、ミネイロンの惨劇(およそ1対7)

これが2014年ブラジルワールドカップになると!! まず飲食物の持ち込みが厳しく規制されるようになりました。ですから通称「FIFA(国際サッカー連盟)メシ」を食べるしかない!!

すると……

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これが38レアル(1,900円)。コーラも水も小さなポテトパイも6レアル(約300円)。外で買えば水は500mlで0.89レアル(約45円)ですよ!!  コーラでも約90円ぐらい。

たぶん今回の五輪でも、会社からの派遣できている人も食事代は自腹でしょう。頼むからこれで儲けないでくれ~という感じです。

 

中東の衝撃@アジアカップ

ただ実は、国際大会に行くと苦労してるってだけでもないんですよ。特に中東はすごい!!

まず2011年カタールアジアカップのときは、毎日2回フードチケットが配られて、こんな食事が無料で提供されました。チキンはあります。ポークはありません。ついでにお酒ももちろんありません。

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それでもたっぷり出してもらうと何の問題もなく感じるものです。

 

さらに大会の終盤にはこんなパーティーも開いてくれました。

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デザートも山盛り。「もうJリーグもずっとカタールでやっていいんじゃね?」という声が上がるくらい。

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このおもてなし精神は2019年UAEアジアカップのときも変わらなくて、

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と、毎日1回この食事を無料で提供してくれてたんです。「もうアジアカップ、毎回UAEでやっていいんじゃね?」という声もあったくらい。

 

心温まる東アジア情勢

もっと規模が小さな大会、たとえば東アジアだけで開催されるE-1選手権は、日本、韓国、中国で持ち回り開催ですが、日本以外だと食べ物が提供されます。

 

2019年12月に韓国・釜山で開催されたとき、試合前に出ていた弁当は、

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これがピリ辛でおいしい!! スープを付けてくれることもあって、心温か。

 

2015年8月に中国・武漢で開催された大会ではフルーツとサンドウィッチ、

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カップラーメンを提供してもらいました。食に困らせないというのが中国の歓迎の仕方か!! うれしいぞ!!

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あ、そう言えばヨーロッパで開催される大会だと、

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食事だけじゃなくてお酒を提供してもらうことも。日本サッカー協会もヨーロッパで試合をするとき、軽食を提供して「ヨーロッパ基準」に合わせたこともありました。

 

そういう基準で考えてたら国際オリンピック委員会(IOC)やFIFAが提供するご飯って間違いなく報道陣には不評なんでしょうね。特に美食の国から来た人だったら。

そこでワタクシ、五輪の組織委員会に提案したいことがあります。メディアセンターのご飯、タダにしてあげたらいかがでしょう? それだけでグッとイメージ向上するのは間違いない!

「メシを食わせて懐柔するのか?!」と言われたらそのとおりかもしれないんですけど、ほら、やっぱり「食べ物の恨みは恐ろしい」ってのは真実ですからね!!

 

著者プロフィール

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佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。

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