▲小料理屋のようにみえるが、れっきとした中華料理屋だ
生まれも育ちも新小岩。
途中で数年、荻窪に住んだり、両国に住んだりしたものの、人生の大半を東京都の東の外れ、新小岩で過ごしてきた。
新小岩のウマい店については、平素から情報収集を欠かさず、あっちこっちに飛びこんで、いっぱしの新小岩ツウであるかのように気取っていた。
が、つい先日、とんでもねえ超ド級の激ウマ中華料理屋を発見してしまった。
発見といっても、10年前から営業していたお店なのだが、佇まいがまず中華料理屋には見えない。こじんまりとした呑み屋、もしくは小料理屋といった外観だ。
お店があるエリアも、スナックなどが立ちならぶ一角で、あまり注意して店探しをしないあたりだったというのも、不覚にも発見が遅れた一因だ。
一度ハマってしまってからは、もうすでに何度も足を運んでいる。
店内はカウンターが8席ほどで、奥にお座敷席もある。
カウンターに立ってホール担当する奥さんと、厨房にシェフである旦那さん。2人で切り盛りしている。早い時間から常連さんたちが料理を楽しんでいるので、時間帯によっては入店できないこともある。
土日、確実入りたいのなら、開店時間の5時~6時あたりに行くのが得策だろう。
常連さんたちと女将さんの会話を聞くとはなしに聞きながら、お通しのメンマを肴に芋焼酎を呑む。
酒を飲むとすぐさま顔が赤く体質なので、入店早々、真っ赤な顔をしていたのだが「顔に出るほうがいいのよ!出ないのは危ないの!」とすかさず女将さんがフォローをしてくれ、でっかいグラスに大量の水を注いでくれた。
日によってお通しは、煮物の小鉢だったりする。 お通しのチョイスも、カウンターの雰囲気も、やっぱり中華料理屋というよりは小料理屋という感じで、妙に落ち着く。
▲青菜の塩炒め 600円
まずは軽い腹ごなしに、青菜の塩炒めを注文。
ニンニク風味のタレで青菜を炒めただけの極めてシンプルな料理なんだけど、これがすこぶる白米のお供になる。ぼりぼりと青菜を食べては、飯を口のなかにほうりこむ。そんな作業を無心で繰り返していると、気づいたときには、茶碗は空っぽだ。
▲モンゴいかの唐辛子炒め 1,000円
野菜中心のメニューであれば、モンゴいか(モンゴウイカ)の唐辛子炒めも最高だ。
辛さは控えめで、カリカリに焼かれた唐辛子本体を食べても、それほどダメージはない。むちっと柔らかいモンゴいかと、しゃきっとしたピーマンやネギを一緒くたに噛みしめる。
▲花巻 150円
はやばやとご飯がなくなったところで、花巻を投入だ。注文を受けてから蒸しあげる蒸しパンなので、ホカホカと温かい。
甘くて柔らかいパンをちぎって、モンゴイカの唐辛子炒めの皿にちょびっと残ってるタレにつけて食べるのがたまらない。白米で食べるのとは、まるで違ったウマさを楽しめる。
▲四川麻婆豆腐 800円
腹ごなしもすんだところで、いよいよメインディッシュの麻婆豆腐をいただく。まずは定番の四川麻婆豆腐。真っ赤な色をした、見るだに辛そうな一品だ。
山椒の粉がたっぷりかかって、舌がびりびりと痺れる本格的な辛さ。やっぱり麻婆豆腐はこれぐらいガツンと辛いのがうれしい。
水を飲むとかえって辛さが増してしまうので、白米をかっこむことで中和させる。必然、米がまぁすぐ無くなるったらない。
▲白麻婆豆腐 700円
締めはもう1品、麻婆豆腐。変わり種の白い麻婆豆腐である。
赤い麻婆豆腐とは使っている唐辛子が違う。豆腐も細かく砕いているし、肉も用いていない。中国では、麻婆豆腐とは別の料理として出されるものだが、分かりやすいだろうと「白麻婆豆腐」と名づけたそうだ。
白麻婆豆腐なら、辛いのが苦手な人でも平気。多少ぴりっとくるけれど、辛さはそれほど強くない。赤麻婆とは味つけもまるっきり異なっていて、こちらは塩味。塩気が効いているから、これはこれでやっぱり白米がすすむ。
あたかもワインをたしなむように、赤と白、ぜひとも両方の麻婆豆腐を食べ比べてみてほしい。
取材したお店
作者:松澤茂信(まつざわしげのぶ)
東京別視点ガイド編集長。
るるぶとか東京ウォーカーが積極的に載せないようなとこばっかし巡ってます。
そういう人生です。けっこー楽しいです。
(編集:編集プロダクション studio woofoo by GMO)
東京別視点ガイド:http://www.another-tokyo.com/
Twitter:https://twitter.com/matsuzawa_s