こんにちは、 昼飲み大好きなアカサカです!主に京都の美味しいお店を巡り歩いています。
実は京都には、最近立ち飲み屋さんが増えています。私のような昼飲み族にも嬉しい、昼から営業のお店もたくさんあるんですよ。
今回はそんな京都の立ち飲み店のなかでも、ちょっとおもしろい立ち飲み屋さん「レボリューションブックス」を紹介します。こちらは食に関する本が並ぶ本屋さんでもあり、立ち飲み屋さんでもあるというお店。
ユニークな形態ですが、お料理もお酒も抜群に美味しいので、ついつい足が向いてしまいます。筆者のようなファンが多いのか、2016年4月オープンと新しいお店にもかかわらず、もうすっかり人気店の仲間入りです。
今回はお料理だけでなく本も紹介したかったので、店主の西谷さんに「みんなのごはん」読者向けオススメ本を11冊セレクトしてもらいました。後半で紹介していますので、ぜひご覧くださいね。
立ち飲み店+本屋さん=レボリューションブックス
レボリューションブックスがあるのは河原町のあたり。最近女性から人気の縁切り・縁結びで有名な安井金比羅宮からも徒歩圏内です。少し歩きますが、八坂神社、円山公園からも歩ける場所です。
裏道を入った少しわかりにくい場所にありますが(アクセス詳細は後述)、このカラフルでかわいらしい看板が目印です。
お店は建物の2階にあって、隣はレンタル着物店です。
立ち飲み屋さんですが、そばには本棚が!
店内にずらりと貼られたこのメニュー!手書きで味がある(ごくまれに添えてあるイラストもかわいいですw)。だいぶ種類も豊富ですが、とにかくお値段が安すぎます。しかも、揚げ物は黄色、炒め物は赤色、とさりげなく色分けされているのも気づきましたか?
この画用紙メニューのほか、日替わりメニューも黒板に書いてありますので要チェック!
メニューは時間帯によって異なります。右下にちょこんと描かれたお日様マークはお昼も夜も頼めるもの、「夜」マークは17時以降しか頼めないもの、という区分ですね。
カウンターのネタケースには、お昼に注文できるメニューが並んでいます。こちらから選んでももちろんOK!
昼と夜でメニューが分かれているのは、店主の西谷さんが仕入れる本のセレクトを昼間にしているから。昼は本屋業中心の時間帯なのです。片っ端からネットで情報を調べ、パソコンとにらめっこしつつ、「これだ!」と決めた本を取次店から仕入れるそう。大変な作業ですが、だからこそ西谷さんのセンスが生きたお店になるわけですね。
さて、最初にオーダーしたのはこんな感じ。
パクチーサワー(400円)
厚切りベーコンチーズ(400円)
きずし(400円)
きずしとは「しめ鯖」のこと。本来は夜メニューですが、特別に出していただきました。酢じめがキツすぎなくて、あっさりめ。実は酸味が強めの方が好きなんですが、ここのはあっさりでもとても美味しくて、なんだか嬉しくなっちゃいました。ミョウガがいい仕事しています。まるで和食店で出てくる一品のよう。5切れもあって400円というのは安いなぁ。サワーも自然と進みます。
厚切りベーコンチーズは、まさにサワー系にピッタリながっつり系。「2cmあるよね?」ってくらい分厚いベーコンにたっぷりのチーズ……!
できたてだからチーズはトロ~リ。分厚いし、とにかくデカいので、お行儀なんて気にせずにかぶりつくべし。アッツアツなベーコンにかぶりつくと一瞬で幸せになれます。そこへサワーを流し込むと、幸せループに突入です……!
パクチーサワーはさっぱりしていて美味しいです。あっさりサワーに、少しクセのあるパクチーがたっぷり!飲むときに鼻につくレベルのパクチー量で、サワーにもパクチーの風味が溶け込んでいます。鼻からも口からもパクチー。
サワー系のメニューがとても充実しているので、いつもビール党なのについついサワー類を頼んじゃう。
スタッフの「いるかちゃん」がいるときだけ注文できる「ドルフィンサワー」なんてメニューも!どんなサワーか書くとネタバレになっちゃうので、ぜひ実際に訪れて確認してみてくださいね。
筆者は一人飲みでよく訪れるのですが、それぞれの料理がちょうど良いボリューム。いろいろな料理を楽しめるのも、実はとても嬉しかったりします。
パクチーサワーに続いてお願いしたのは「生姜サワー」(350円)お隣のお客さんがあまりに美味しそうに飲んでいたので、気になっちゃいました。
思いのほか、ガッツリと生姜が効いていて美味しい!
そんな生姜サワーに合わせるのは「おばけ」(330円)。関西ではさらし鯨のことをこんなふうに呼びます。
おばけってご存知ですか?漢字では「尾羽毛」と書き、クジラの尾びれの皮の部分です。黒く見えるところが皮で、あとはゼラチン質なんです。特別に味があるというわけではないんだけど、しゃきフニャッという食感が面白い食べ物です。
生臭さも全くなく、酢味噌でいただくのがベーシック。昔に比べてクジラのメニューはそうそう見ることがなくなりましたし、関西でもめったにお目にかかれません。ましてや立ち飲み屋さんで気軽に出会えるメニューでもなく……今回は「おばけがある!」という驚きと、生姜サワーに合いそうかなと注文してみました。
筆者が飲んでいたのはお昼時。にもかかわらず、常連さん、初訪問というお客さんがひっきりなしにやってきます。近くにいた常連さんにお話を聞いてみると、なんと女子大生(もちろん成人していますよ)。彼女は京都の大学に通っており、最初はお友達のすすめで来たんだとか。そこからすっかり気に入ってしまい、友達と、あるいは1人でしばしば来店するそうです。
まさか女子大生と立ち飲み店で知り合うとは。「誰にとっても居心地が良い」というレボリューションブックスの雰囲気が、そんな出会いをもたらしてくれたのかもしれません。
あの有名店のメニューにも出会えるかもしれない
さて、メニューで気になるのがこの赤枠。
実は店主・西谷さん、以前に一乗寺の人気ラーメン店「ラーメン荘 夢を語れ」の店長をされていたそう。(ちなみに、夢を語れとは京都発の二郎系ラーメン店。最近、東京・白山にも店舗がオープンしました!)
立ち飲み店をオープンするにあたり、大阪・京橋にある「岡室酒店直売所」でさらに修行を積んだそうです。岡室酒店直売所は関西でも有名かつ人気の立ち飲み屋さん。京橋で飲むなら外せない名店です。
↓「岡室酒店直売所」の紹介はこちらをどうぞ。
前置きが長くなりましたが、赤枠で囲んであるのは「夢を語れ」関連メニューなのです。 ラーメン好きにもたまらない仕掛けですよね。
でもこの赤枠メニュー、夜しか頼めない……!
というわけで、夜にもお邪魔しました。
こちらが「アブラダレ炒め麺 feat 夢を語れ」(500円)。
これがものすごく美味しい……!ニンニクががっつりと効いています(ニンニク抜きも注文可)。
いうなれば、「夢を語れ」のラーメン汁なし版です。夢を語れのラーメンは背脂ガッツリ系のこってりスープを、うどんかと思うほど太い麺に絡ませていただくタイプ。レボリューションブックスでは汁なし版をいただけます。凝縮されたタレが麺ともやしに絡まってクセになる!
ジロリアンで酒好きの方は、お世辞でなく天国だと思います。「二郎系をつまみに飲める」じゃないですか…!
お茶碗サイズのボリュームも立ち飲み店にはピッタリ。……矛盾するけど10杯くらい食べられそうな勢いでウマいです。
さらに赤枠メニューからもう一品。
「レボリューションチキン」(430円)です。
何かというと、揚げたてアッツアツの唐揚げ。衣は薄めでさっくりです。にしても、タレが異様に美味しいんです。おそらくスパイスを何種類も使っていて、複雑な味わい。しっかりした味付けだけどピリ辛というわけでもなく……お酒も進むし白いご飯もほしくなる、そんな味なんです。
あまりに美味しいので「このタレ、何が入っているんですか?」とスタッフさんに聞いてみたら「秘密のタレです~」と返されてしまいました。残念。
レボリューションブックスは昼も夜もハズレなしの美味しいメニューだらけ。他のメニューも気になるものがいっぱいなので、しばらく通うことになりそうです。
奥の間は完全に本屋さん
立ち飲みスペースの奥にはびっしりと本が並んでいます。もう見た目は普通に本屋さんです。並ぶのは食に関する本ばかり。絵本や新書、写真集、エッセイなど幅広いラインナップです。もちろんこれらは購入できますよ。
店内が混んでくると、この真ん中のテーブルも立ち飲みテーブルに変身するそうです。こんなふうに本に囲まれていますが、飲食している場に購入していない本を持ち込むのはNG。気になる本があったら本棚の前でどうぞ。買ってしまえばあとはご自由に。購入済みの本なら、もちろん飲食しながら眺めてOKです。
実は立ち飲みスペースのディスプレイ台にも本が並んでいます。夜になると、ここも立ち飲みテーブルに変身します。
そもそも、どうしてレボリューションブックスのようなお店を考えたのでしょうか。
西谷さんによれば、「海外にある食専門の本屋さんからヒントを得て、新しい店作りを考えた」とのこと。
最近ではブックカフェという形態が一般的になってきていますが、西谷さん自身がカフェにはあまり行かないそう。だったら、「自分にとって身近な飲み屋さんにしよう!」と、この形態にしたんだとか。
そのようにして、「立ち飲み店」+「本屋さん」のレボリューションブックスが生まれたわけですね。ただ、ご本人は「本屋っていうか、セレクトショップだと思ってます」とのことです。その言葉通り、センスがたっぷり詰まっています。
カフェの話題が出たついでに補足しておくと、レボリューションブックスにはカフェメニューがなく、カフェっぽいメニューといえば「WEEKENDERS COFFEE」さんの豆で淹れたコーヒーのみとなります(問答無用でブラックが出てきます)。
にしても、本に囲まれながらお酒を飲む体験ができるのって、なかなかおもしろいと思いませんか?しかも、西谷さんが厳選した本たちです。本をきっかけに、飲みスペースでの会話もはずみそうですね。
オススメ本をセレクトしてもらいました
さて、では店主の西谷さんが「みんなのごはん」読者のためにセレクトしてくれたオススメ本11冊を紹介します。西谷さんのコメント付きです。
※以下で紹介している本は、取材時に販売されていたものです。すでに売り切れてしまったものもあるかもしれませんので、あらかじめご了承ください。
【1冊目】
「とうがらしマニアックス」 とうがらしマニアックス編集部 著(山と溪谷社)
西谷さんより:
世界のとうがらしにまつわるあれやこれやをマニアックに紹介。とうがらし料理のレシピも載っています。
【2冊目】
「パン語辞典」 ぱんとたまねぎ 著(誠文堂新光社)
西谷さんより:
ユーモアたっぷりにパンに関する用語を解説してくれる、とても可愛い辞典です。
【3冊目】
「屠場」 本橋成一 写真(平凡社)
西谷さんより:
ともすればタブー視されがちな屠畜の世界を切り取った、刺さるような写真集です。
【4冊目】
「ラーメンと愛国」 速水健朗 著(講談社現代新書)
西谷さんより:
速水健朗氏がラーメンについて、味以外の全てのことについて語り尽くした一冊です。
【5冊目】
「まないたに りょうりを あげないこと」 シゲタサヤカ 著(講談社)
西谷さんより:
著者特有のユーモアに溢れる絵本。大人が読んでもクスクス笑ってしまいます。
【6冊目】
「図解文集 世界手づくり酒 宝典」 貝原浩 著(農山漁村文化協会)
西谷さんより:
世界中の手作り酒の作り方をレポート。イラスト付で楽しめます。
【7冊目】
「世界のホットドリンクレシピ」(誠文堂新光社)
西谷さんより:
書名の通り、世界中の温かい飲み物のレシピ集です。疲れた身体をホッと温めてくれる一冊です。
【8冊目】
「世界の食文化 第20巻 極北」 岸上伸啓 責任編集(農山漁村文化協会)
この飽食の時代、最後に残された聖域は極北地域ではないでしょうか。なかなか知ることのできない極北の食事情に通じた一冊。
【9冊目】
「マタギ 矛盾なき労働と食文化」 田中康弘 著(エイ出版社)
西谷さんより:
現代を生きるマタギ達の記録。 長年にわたり、マタギの世界を取材し続けている著者だからこそ書ける一冊です。
【10冊目】
「味なメニュー」 平松洋子 著(幻冬社)
西谷さんより:
平松洋子さんによる食のエッセイ。メニューに注目することで他の食のエッセイよりグッとお腹に響くのは何故でしょう。
【11冊目】
「ミルク世紀」 寄藤文平 & チーム・ミルク・ジャパン 著(美術出版社)
西谷さんより:
ミルクについてのあれやこれやを、可愛いイラストと共に解説。 見かけによらずマニアックな一冊です。
以上、オススメ本11冊でした。
本のセレクトを楽しみつつ、美味しいお酒とお料理も味わえる、とっても贅沢な気分になるお店です。ちょっと1杯、というときでも立ち飲みだから気軽に行けてうれしい。ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
レボリューションブックスへのアクセス
レボリューションブックスは河原町か祇園四条が最寄駅となります。大通りに面していないので少しわかりにくいですが、濃厚な宇治金時で人気の甘味処「弥次喜多」の近くにあります。
バスも通る大きな河原町通り沿いにCoCo壱番屋があるので、そこを1本裏へ。弥次喜多を左に曲がると、突き当たり左手にレボリューションブックスの入る建物があります。
ちなみに、1階も「nokishita711」というおもしろいお店なのです。また機会があったら紹介したいところ。
レボリューションブックス、nokishita711以外にも、このあたりは良いお店がたくさんあるので、かなりの頻度で出没しています。
レボリューションブックスの建物をさらに過ぎて道を進むと、高瀬川通りに出ます。
観光で京都に来た人はなかなか難しいかもしれませんが、裏通りにもたくさん素敵なお店があるんですよ。ぜひ参考にしてみてくださいね。
紹介したお店
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
プロフィール
アカサカナツコ
食べて飲んでうろうろして、がまぐちも作ってます。
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