みなさんこんにちは。今回記事を担当する盛岡 透(もりおか とおる)と申します。マーケティング・リサーチを生業としている、しがないサラリーマンです。
仕事柄、気になることは調べなくては気が済まない性分です。統計情報はいろんなことを浮き彫りにします。データは嘘はつきません。つまり・・・
データ分析は世界を救う︕
・・・ちょっと大げさになりましたが、早速「みんなのごはん」にふさわしい調査結果のデータをお届けしましょう。
最近、どうしても気になることがあり、ある調査をしてみました。
ある日、うちの若手男性社員(20代)と昼休みに定食屋に行ったら、ご飯を食べる時「いただきます」と手を合わせて言っていたのです。
『そういえば、こんなにはっきり「いただきます」という人を見たのは久しぶりだ。そもそも現代の日本、各家庭ではきちんと「いただきます」が言われているのだろうか』と気になり始めたのです…。
いつも声に出して「いただきます」と言う人はたったの35%
あなたは食事の前に「いただきます」と声に出して言っていますか? 子どもの頃は、親からさんざんしつけられてきたのにもかかわらず、多くの大人たちがそれを忘れてしまっているようです。20歳~69歳の男女1,200人に調査したところ、朝食・昼食・夕食時に「いただきます」と声に出して言う人はたったの35%という結果に。
残りの65%は、一体どうしてしまったのでしょうか︖ちょっと悲しくなりますね。せめて心の中では言っていてほしいものです。
家では60%以上が声を出して言うのに、会社や学校で言う人は20%だけ
・・・ん? 先ほど35%は「いただきます」って声に出して言うと言っていましたよね。
結果が違うじゃないのォ!?
…失礼しました。
「いただきます」についてさらに追求していくと、どうやら言う言わないはシチュエーションによって変わってくるようです。言いやすいのは、やはり自宅で家族と一緒に食事をする時。これに対して、家族以外の相手と食事をする時に「いただきます」ときちんと言うのは4割以下しかいませんでした。もしかしたら、家族と一緒に食事をする機会が減っていることが、「いただきます」が減っている本当の原因なのかもしれません。
まあ、なんというか…会社で上司や同僚の前でも「いただきます」とハッキリ言えるほうがオトコらしいといいますか、私好みといいますか…。
男性は誰と食べるかで「いただきます」を言うかどうか変えるツ・ン・デ・レ
年齢別・男女別に掘り下げてみると、一番「いただきます」と言ってい るのは20代の女性でした。やはり女性は比較的言いやすいのかもしれません。それに対して男性はちょっと複雑。20代男性は、家族といる時は最下位なのに、一人でいる時は比較的上位に食い込んでいる・・・ってどういうことでしょう!?
つまり、家族といるときはイキがって言わないのかもしれないけど、一 人暮らしの一室でコンビニ弁当の前に座って、一人で「…いただきます。」って言う・・・・そんな姿を想像すると、なんだかカワイイと思うのはワタシだけかしら?
もう少し詳しく見てみると、50代の男性は家族といるときは男性の中で最も言う人が多いのに、友人・会社の上司や同僚と食事をする時は最下位。これは家では子どもへのしつけのため、外では男らしさを追求しているからなのかしら…? シチュエーションによって使い分けているなんて…あざとい生き物ね、オトコって︕
外食時、食べ終わった後は「ごちそうさま」派多数。「ありがとう」派少数。
ところで外で食事をした後、店員さんになんて言いますか︖ 私は「ご ちそうさま」と言いますが、「ありがとう」と言う人もいるようです。調査データでも「ごちそうさま」が79.5%で断トツ一位。「何も言わない」の13.2%は妥当な数字かもしれませんね。でも「ありがとう」派も6%いるのも見逃せません。それぞれの言い分を見てみましょう。
店員さんに「ごちそうさま」と言う人にとっては、食事をいただいたら 「ごちそうさま」が普通だろうという意見や、そもそも「ありがとう」は店側が言うセリフだとか、「ありがとう」はおかしいと感じる人もいました。
一方、「ありがとう」と言う人は、サービスをしてくれた相手への感謝の意味や、礼儀の意味で言っているようです。「ごちそうさま」は、料理人や食材、料理に対して言う言葉であって、店員に言うのはおかしいという声もありました。
どっちにしても、みんな「ごちそうさま」や「ありがとう」に、おいしかったの意味や、サービスへの感謝、食べ物への感謝、礼儀、会計の合図など、色々な意味を込めて言っているってことね︕ ウフフ、ちょっとひとつの言葉の意味を浅はかに見過ぎていたわ︕
…しつれい。言葉遣いが少々慣れ慣れしくなってしまいました。
今回の調査により、現代の大人の多くが「いただきます」を言っていないという現実が浮き彫りになってしまいました。その背景は、家族みんなで食卓に集まり、「いただきます」と声を揃えて言う習慣が少なくなっているのではないかと、個人的には感じます。外国にはない日本独自の感謝の言葉「いただきます」。ぜひ未来を担う子どもたちに、「いただきます」や「ごちそうさま」を言う時の深い思いを伝えてあげてほしいと思います。
【調査期間】2014年9月2日~9月4日 【調査方法】インターネットによる任意回答
【調査対象】20歳~69歳のぐるなび会員1,200人(男性600人女性600人)
▼「いただきます」と言いたくなる日本橋の和食店
http://r.gnavi.co.jp/area/aream2143/japanese/rs/
▼「いただきます」を元気よく子どもの前で言いましょう。子連れOKのレストラン
http://r.gnavi.co.jp/character/kods00073/rs/
▼一人でも「いただきます」を言いましょう。お一人様歓迎のレストラン
http://r.gnavi.co.jp/character/kods00147/rs/
【ライター情報】 盛岡 透
某企業でマーケティング・リサーチを生業とするサラリーマン。世の中の許せないことや疑問に思ったことを、統計情報で独自に解析する。 興奮するとおねぇ口調になってしまう。夜は違う姿で、新宿二丁目のワインバーに出没するという噂も・・・︕︖
その他の連載︓新宿二丁目 キャサリンの恋愛ワインデータ学