南極料理人!?南極の地に2度までも渡ったシェフの話と料理が楽しすぎる!
横浜のとあるビルの一角に入っている一軒のお店。失礼ながら全く目立つ場所でもなく、入りやすいとも言いづらい外観なのですが、勇気を出して入ってみたらマジで楽しかったんです。
店名はズバリ「BAR de 南極料理人 Mirai(ミライ)」。関内駅からわずか5、6分ほどの路地裏に、なんと南極の地に2度も渡り、これまでに世界70カ国、200都市以上、世界を約10周分も巡っているという、途方もない経験を持っているシェフがいるのです。
ある日の夜、思い切って店内へ入ってみると、常連さんらしきお客さんと初めてのお客さんが仲良く打ち解けていて、なんともアットホームな雰囲気。そしてそんな雰囲気の中で迎えてくれたのが、こちらのお店のオーナーシェフである篠原洋一さんでした。
一見するだけだと、居酒屋の優しいお父さんのようにも見えてしまいますが、実はこのオーナーシェフの篠原さんこそが、地球の果てにある極寒の地、南極において、日本の「南極越冬隊(南極地域観測隊)」の毎日の食を支え続けてきた人なのです。
知られざる南極の地の記録、資料、写真などが溢れる店内
店内の壁や棚には知られざる南極の地の記録や資料、写真などがこれでもかというほど溢れています。1956年に南極観測船「宗谷(そうや)」(現在は「船の科学館」にて展示されています)に乗り、初めて南極の地に降り立つ事ができた日本の第1次隊。そしてそれ以来、現在までに第59次もの観測隊が編成され、観測隊の一部のメンバーが越冬隊として、極寒の地で1年3ヶ月もの時間を過ごすのだそうです。
ちなみにオーナーシェフの篠原さんは第33次、第50次(2009年に帰国)と、2度までも南極に行っちゃったそうで、下手したら命の危機に陥ってしまう環境のなか、毎日の食事が最大の楽しみである隊員さんたちのために、工夫していろんな料理を作っていたのだそう。
南極にいる間、実際に作って食べていたメニューの内容を見て驚いた
店内には南極の地で見たオーロラやペンギンなど、かなりたくさんの写真があるわけですが、面白かったのは南極で食べていた、日々のメニューに関する記録写真でした。
見せてもらったのはある日のメニュー写真。昼間はタイ料理の「レッドカレー」を食べ、南極なのに「スイカバーBIG」とアイスまで出てきちゃう。さらに夜には「うなぎの白焼き」や「天ぷら」まで出てくる……!南極のイメージを完全に覆すほどの充実っぷりですよ。
さらにこちらは可愛いイラストで、北海道の海の幸を楽しむという「北海道ナイト」のメニュー写真。何コレ、めっちゃ楽しそう……!
篠原さんに話を聞くと、あらかじめ日本で滞在期間分(1年3ヶ月)の食材を仕入れておき、さらに万が一、翌年に次の南極観測隊が到着できないというような事態にも備え、プラス1年分くらいの食材を一気に南極へ持って行くとのこと。そこで隊員たちのリクエストを聞きつつ、健康バランスの事も考えて、日々いろんなメニューを作っていたのだそうです。
南極観測隊の間で人気だった「南極ドライカレー」を食べよう
こちらの「BAR de 南極料理人 Mirai(ミライ)」は、オーナーシェフの篠原さんが2度目の南極から戻って来て開いたお店で、南極観測隊員たちの間で人気だったという「南極ドライカレー」(780円)などの名物も味わえてしまうのです。
運ばれてきた「南極ドライカレー」がこちら!実はドライカレーというのは日本が発祥の食べ物だと言われていて、約100年前、日本郵船の客船だった三島丸の食堂で生まれたメニューがルーツなのだとか。そんなドライカレーの味を継承しているこちらのドライカレー。牛肉100%、フライドオニオンとスライスエッグをトッピングするのが定番とのことです。このクラシックスタイルの見た目が何ともイイ感じ!
口の中に入れてみると、辛みよりも牛肉の甘みがジ~ンと溢れ出て、意外にも軽やかな美味しさ!
思わずバクバクと平らげてしまいましたが、パイナップルやはちみつなどの隠し味に加え、味が重たくなりすぎないよう、あえて赤ワインでなく、白ワインを使用するなどの工夫も行っているのだそう。これは南極観測隊員でなくてもリピートしたくなる美味しさですよ!
そしてもう1つ、こちらも南極で人気だったという「海老とホタテのアヒージョ」(900円)をオーダー。このアヒージョもオイリー感がなく、海老とホタテの旨味がよく染み出ていて、スープのように飲み干してしまうほどの美味しさでした!
さらにこちらは南極観測隊名物の「スパムおにぎり」(2個・650円)。ラップで包んで用意しておくと、あっという間になくなってしまうほどの名物で、基地の中や外で働く隊員さんたちがポケットに入れ、時にはおやつ代わりに食べた思い出の一品なのだとか。中にはとろ~りチーズも挟まり、大ぶりで食べ応えも十分です!
最後は篠原さんにおすすめのラムを選んでもらい、濃密な話を教えてもらいながらの一杯。
篠原さんはあの豪華客船「飛鳥」の中で働いていた時代もあり、料理をしながら世界中の街を巡ったのだそう。そのせいもあってか、今では世界中のラムが200種類以上もココに揃う結果に。
南極の地で目にした多種多様なオーロラに魅せられ、もう1度南極に行こうと決意した話。そしてホワイトアウトやブリザードとの遭遇、さらに発電機が壊れて停電したり、暖房が止まってしまい、あちこちがどんどん凍っていく中で一丸となって復旧させる話など、非日常すぎる話を教えてもらったひと時。
オーナーシェフの篠原さんは講演活動も行っているため、時には不定休で休みになる場合があるものの、優しい南極料理人の話と料理は想像をはるかに上回る面白さ。皆さんもぜひ行ってみるといいですよ!
紹介したお店
BAR de 南極料理人 Mirai
住所:神奈川県横浜市中区吉田町2-7 VALS吉田町 B1F
営業時間:17:00~25:00
定休日:不定休(講演等の都合で休みを頂く場合あり)
電話番号:045-326-6475
最寄り駅:関内駅
https://r.gnavi.co.jp/rumv1a0s0000/
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