新宿・思い出横丁の生ける伝説「つるかめ食堂」は昭和の記憶がなくなってしまう前に行っておきたい心のふるさと

新宿駅西口の「思い出横丁」。昔ながらといった雰囲気のお店が数多く並びます。いまは居酒屋さんが多いのですが、以前は食堂が多かったそう。そんななかでも、特に有名なのが「つるかめ食堂」(東京都新宿区西新宿1-2-7)です。名物「ソイ丼」は大豆をたっぷり使ったカレー。カレーの具として大豆を使っており、大豆の旨みが溶け込んでいます。味噌汁付きで500円と安いのもありがたいですね。ほかにも「バカでアホでフラメンキン」といった独創的なメニューが並びます。歴史が長いお店だけあって、老朽化した建物を建て替える際、さまざまな苦難に見舞われましたが、なんとか再スタートを切ったという経緯があります。(新宿 忘年会・新年会)

新宿・思い出横丁の生ける伝説「つるかめ食堂」は昭和の記憶がなくなってしまう前に行っておきたい心のふるさと

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新宿駅西口には、昭和にトリップできる入口があるのをご存知ですか?

昔ながらといった雰囲気の飲食店がひっきりなしに並び、おそらく何十年も店前で営業を見守ってきたであろう提灯や看板がずらっと顔をのぞかせる――平成になってから生まれた筆者でさえも、ノスタルジーを感じざるをえない風景がそこには広がっています。

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そう、ここは「思い出横丁」。JR新宿西口を出て小田急ハルク側に歩いていくと右側に見える、ひっそりとした路地です。今でこそ居酒屋さんがメインで並ぶ思い出横丁ですが、以前は定食を出す食堂のほうが多かったのだとか。今回はそんな食堂のひとつ、有名店でもある「つるかめ食堂」にお邪魔しました。

 

つるかめ食堂名物「ソイ丼」って何だ?

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路地を入り、2分ほど歩いたところにある「つるかめ食堂」。創業58年を誇るこちらのお店は、思い出横丁の生ける伝説といっても過言ではありません。

「あれ?でもそのわりにお店きれいじゃない?」と思った方、正解です。このつるかめ食堂、実は建て直した歴史を持つのですが、そのエピソードについてはまた後ほど詳しく。

まずは、つるかめ食堂の長い歴史の中で多くの人に愛されたメニューをチェックしていきたいと思います!

さっそくですが、看板メニューがこちら。その名も「ソイ丼」(味噌汁付き・500円)!

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はい、見たことない料理ですね。

ソイ=大豆の名のとおり、丼ぶりに見えるは大量の豆。カレーに絡められた大豆が、あふれんばかりに盛られています。真ん中には彩り要員のハムが。ひよこ豆を使ったインドの豆カレー(ダルカレー)はよく聞くけど、それとも全然違う見た目です。

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材料を聞いてみると、甘みがあって粒が揃っている北海道の大豆を使っているのだそう。このツヤ!みずみずしい粒が美しい……!

しかし、なぜこんなにも豆推しなのでしょうか?

その理由は、現会長が病気を患った際、お医者さんから「大豆を食べるといい」といわれ、大豆を積極的に摂取し始めたのが始まりだそう。「お店のお客さんにも、栄養が摂れる大豆を提供できないだろうか」という考えからカレーの具として大豆を使い、「ソイ丼」が生まれたのだとか。にしても、大豆を煮物とかでなくカレーにしちゃうという発想がスゴいと思いませんか。 

 

この大胆に豆を使った「ソイ丼」、一口食べてみたら、新たな世界が開けました。

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何しろうんまい!!!

柔らか~い歯ごたえの大豆と、大豆の旨みが溶け込んだカレーが絶品。ソイ丼、こんなに美味しかったんか。そしてカレーに味噌汁がマッチするという新発見も。カレーに占領されているところへ、味噌汁を流し込むと口の中がリセットされるため、永遠にカレー→味噌汁→カレー……のループが楽しめて箸が止まりませんでした(完食)。

ふだん、こんなに大量の大豆を一気に摂取することがないので、なんだか500円で得した気分。健康に気遣っている感もあるので、罪悪感も少ないです(しかもワンコインって……!)。こちら、お酒のおつまみにもできるよう、ご飯なしの「ソイのあたま」(400円)も提供されています。

 

人気メニューが「バカでアホ」ってどういうこと?

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店内の壁には所狭しとメニューの実物写真も貼られています。

……さて、思わず二度見してしまうような名前のメニューに皆さんは気付きましたか? 

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あくまで筆者の個人的な感想ですが、

トルティージャ→なんとなくわかる。
バカコンポジャ→わからないけどなんとなく愉快。
バカでアホでフラメンキン→もはや、●イキンマンが●ンパンマンにやられた後の捨て台詞っぽい。

「あまりにもメニュー名投げやりすぎでは……?っていうか何の料理だかわからんし」と不安になったので、スタッフの方に由来を聞いてみました。

スタッフの方によれば、この3品はスペイン料理!バカでアホなのに???と思っていたら、「バカ」はスペイン語で「牛肉」、「アホはスペイン語で「にんにく」という意味なんだとか。世界は広いですね。

 

肝心の料理の内容は、

・トルティージャ→トマトと卵の炒め物。
・バカコンポジャ→牛すじを鶏のささみで包んだ揚げ物。
・バカでアホでフラメンキン→巻いたベーコンににんにくを加えた揚げ物。

とのことです。ど、どれも美味しそうじゃん……!

なんでも前会長がスペイン好きでお店のメニューに取り入れてみたのだそう。ただの悪口ではないようです。すみませんでした。

フードメニューにはきちんと解説が載っていますのでご安心ください。

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ちなみに、アルコールメニューは最初数種類だったそうですが、お客さんのリクエストに応えていくうちにどんどん増えていったようです。

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お客さんの要望でメニューが変容していくあたりも、横丁ならではの寛容さを感じます。

 

思い出横丁の名店「つるかめ食堂」知られざる苦労 

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つるかめ食堂の店内はこんな感じ。あれれ、なんか明るくて真新しい感じ……?それもそのはず、実はつるかめ食堂は建物の老朽化により、一度取り壊されてから建て直し、現在の姿に至るのだそう。

 

その裏側では、知られざる苦労も……。

心機一転、新しくお店を建て直そうと更地にしたのですが、それが原因で「建築基準法」の適用となってしまい、役所から許可が下りなかったのです(改築ならOKだが、新築はNG)。新しい店舗を建てようにも建てられず、8カ月の間、営業が全くできなかったのだとか。

そのタイミングと重なるようにして「店長」が亡くなってしまい、現在は店長の娘さんを迎え、「仮設店舗」として営業を再開したとのこと。結局、新築の許可は下りずじまいなのですが、なんとか開閉式の屋根を持つ仮設店舗として営業されています。

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最近では海外からの観光客も増え、女性客も格段に増えたそう。以前よりも横丁で飲むハードルは低くなっているのかもしれませんね。たしかに、新しいつるかめ食堂はお店もきれいだし、若い女性が入っても居心地が良いかもしれません。 

様々な不運に見舞われながらも奮闘し続けたつるかめ食堂は、昔からの常連さんと新しい横丁ファンが入り混じる交差点といえるかもしれません。

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紹介したお店

つるかめ食堂
住所:東京新宿西新宿1-2-7
TEL:03-3343-4078

 

著者・SPECIAL THANKS

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ライター・コラムニスト/いちじく舞
1990年生まれ。シナリオを学んだ後、フリーライターとして活動中。
現在、雑誌「Samurai ELO」で恋愛コラムを担当。
得意分野は、グルメ・恋愛・中央線界隈
Twitter:https://twitter.com/ichijiku_mai
ブログ:千円以下アート宣言

 

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