日本酒飲み比べがこんなに楽しいとは!日本酒ド素人が新宿「日本酒スタンド 酛(もと)」で目覚めてしまった

新宿の日本酒バーでオススメなのが「日本酒スタンド 酛(もと)」です。お店は立ち飲み形式で、店員さんとも気さくに話せる雰囲気です。種類豊富で美味しい日本酒が揃っており、初心者からマニアまで楽しめます。新宿の穴場としてぜひ覚えておきたい名店です。(ビール・ビアガーデン 新宿)

日本酒飲み比べがこんなに楽しいとは!日本酒ド素人が新宿「日本酒スタンド 酛(もと)」で目覚めてしまった

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新宿3丁目エリアには、デパートなど大型商業ビルのほか、飲食店も数多く並びます。そんななか、今回紹介するのは全国の日本酒とお料理を楽しめる立ち飲みバー「日本酒スタンド 酛(もと)」。大都会の新宿にありながら、ひっそりと隠れ家的に存在しています。

隠れ家的な日本酒バーと聞くと、いかにも「日本酒に詳しい人しか入れない」イメージがありますが、こちらのお店では日本酒に詳しい店員さんが要望にあわせて美味しいお酒をセレクトしてくれます。そのため、日本酒マニアはもちろんのこと、初心者でも十分に楽しめる場所になっているとか。

 

今回は店長の天野直生さん、唎酒師の永木三月さんと一緒に、日本酒ド素人でも今日から楽しめる日本酒入門をお届けします!

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こちらが店長の天野直生さん。

今回は天野さんにオススメなどを伺いましたが、こちらの「日本酒スタンド 酛」では、なんと月に1度、酒蔵を見学する研修があるのだとか。毎月このように勉強していらっしゃるお店の方にお酒をオススメしていただけるとは……!

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こちら利き酒師の永木三月さんです。 

天野さん、永木さん、本日はよろしくお願いします!

 

さっそく飲み比べたい!けど、何を注文したらいいの…?

ーー今日のテーマは「日本酒入門」です。まったく日本酒の知識がない!何を注文したら良いのかもわからない!という日本酒初心者にもオススメなお酒ってちゃんとあるんでしょうか……?

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天野さん:大丈夫ですよ、たくさんあります。それでは、飲みやすいものからお出ししていきましょう!

 

なんとも笑顔が素敵なイケメン店長さんから頼りがいのある一言……!知識豊富な店長さんのオススメとあれば、「飲みきれないかも」という心配もなく安心してオーダーできますね。立ち飲みスタイルだと、なおさらこういったコミュニケーションが取りやすいです。

 

さらに、こちらの酛(もと)では、お料理にもかなり力を入れているそう。せっかく利き酒師の永木さんにもお越しいただいているので、お酒に合わせて1品ずつお料理も紹介しますよ。

 

風の森 愛山80 純米しぼり華 無濾過無加水 生酒(奈良 油長酒造) 税抜580円

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天野さん:一杯目にオススメしているお酒です。開けてから日が経っても旨みが増して美味しくいただけます。燗にして飲んでも美味しいですよ。

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永木さん:味の前半が根菜を思わせるようなやや青みのある香りで、後半は薫製のようなコクのある香りですね。味わいは、南国のフルーツを思わせます。

 

ほんのりフルーティな味わいのあと、旨みが感じられます。透明感のある味です。濃厚な感じもするのに、スイスイと飲めてしまうのは生酒だからなのでしょうか。とてもフレッシュな味わいで、たしかにこれは飲みやすい!

 

「風の森」にオススメのおつまみはこれだ

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【温製ポテトサラダ】(税抜480円)

お店の名物でもあるのがこちらの「温製ポテトサラダ」。開店当初からずっとあるメニューだそうです。「ポテトサラダ」といわれると、マヨネーズで和えてある白いポテサラを思い浮かべますが、こちらの「ポテトサラダ」はゴロっとした皮付きのじゃがいもが熱々で出てきます。ホックリとじゃがいも本来の味が楽しめますよ。

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永木さん:皮付きのじゃがいもが野趣あふれる趣きで、風の森の香りの、コクのある部分とよくマッチしていますね。

 

味付けが和風なことも手伝ってか、日本酒との相性は抜群……!熱燗と合わせても良さそう。

さぁ、続いて2つめの日本酒を紹介しましょう!

 

而今(じこん)純米吟醸 山田錦火入れ(三重 木屋正酒造) 税抜580円

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天野さん:初心者向けですと、こちらもオススメです。

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永木さん:ライムを思わせる柑橘系のフルーティな香りがしますね。味の方は、口当たりに酸味を感じます。全体的にフルーティで、穏やか、デリケートな印象です。

 

先ほどの風の森も飲みやすかったのですが、こちらもなんだかさわやかな感じ!ジューシーな味わいでした。あまり日本酒を飲みなれていない人でも美味しくいただけると思います。

 

「而今」にオススメのおつまみはこれだ

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【ぶりのなめろう】(税抜680円)

なめろうといえば、アジやイワシといった青魚のイメージがありますが、こちらはぶり!季節によってなめろうにする魚は変わるそうです。盛り方も特徴的で、思わず写真を撮りたくなる……!

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永木さん:ぶりの香りが而今とよくマッチしています。お酒は刺激が少ない一方、なめろうには薬味がたっぷり含まれて刺激が多いので、お酒単品で飲むのと、なめろうと一緒に楽しむのとで、かなり印象が変わる組み合わせだと思います。

 

粗めなのでゴロゴロとしたぶりの身の食感も楽しめて◎。少し濃い目の味付けが日本酒の肴にもってこいです。つい日本酒が進んでしまう。今回はなめろうをチョイスしましたが、これだけスッキリした味わいのお酒なので、お肉にもお魚にも合いそうです。特に青魚とは相性が良さそうだと感じました。

 

江戸開城 純米吟醸原酒 TS-18(東京 東京港醸造) 税抜580円

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天野さん:全国のお酒を特集する「都道府県ウィーク」というものをやっているのですが、ちょうど今日が「東京ウィーク」初日ということで、お出ししました。東京都港区芝にある醸造所のお酒となります。

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永木さん:香りは白玉粉のような、粉っぽいふかふかした甘い香りがしますね。味わいも、ふっくらとした粉っぽさ、甘さがあります。

 

たしかに味わいはふんわりと甘い!でも後味はスッキリしていて、くどくないです。日本酒といえば新潟や秋田などのイメージがありましたが、東京のど真ん中にも酒蔵があるのですね。聞けば、およそ100年ぶり、2016年に復活を果たした酒蔵なのだとか。東京でこんなに美味しい日本酒を作れるなんて……と目からウロコが落ちる思いです。

 

ちなみに、「都道府県ウィーク」について補足。こちらは(ほぼ)毎月恒例のイベントで、取材に伺った4月は東京を特集されていました。5月22日~28日には山形県ウィークが開催されていたようです。新宿にいながら、全国のお酒を飲み尽くせる神イベント、47都道府県制覇したい……!次はどの都道府県が特集されるのか、気になった方はお店のTwitterアカウントなどをチェックしてみてくださいね。

 

「江戸開城」にオススメのおつまみはこれだ

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【皮付きべったら】(税抜380円)

大根を麹に漬けて作るべったら漬けは、実は江戸時代からある由緒正しい東京の名産品。ふんわり甘い江戸開城とべったら漬けのコンビ、はたしてその相性は?

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永木さん:お酒のデリケートな甘さを引き出す組み合わせですね。べったら漬けの甘さがお酒の甘さを邪魔していません。ちなみに、江戸開城は先ほど紹介したポテサラとなめろうとも相性が良いと思います。

 

たしかに江戸開城はお米本来の甘さを感じられるお酒だったので、おひたしといった野菜系おつまみと合わせると野菜の持つ甘みをふんわり広げてくれそうです。個人的には、この後に紹介するきんぴらとの相性も抜群だと思いました。

 

川鶴 Heart&Soul 純米 自家栽培山田錦(香川 川鶴酒造)税抜480円

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天野さん:香川県の川鶴酒造という酒蔵で、自家栽培のお米を使ったお酒です。米作りから一貫して醸造することにこだわっているんです。精米歩合が80%と高いことが特徴ですね。

 

――なるほど、精米歩合が高い……といっても「精米歩合って何だよ」とお思いの方もいらっしゃると思うので、天野さんに教えていただいたことをまとめておきます。

精米歩合

「お酒の原料であるお米をどれだけ削ったか」を示す数値です。米粒の中心には白く濁った部分(心白と呼びます)がありますが、日本酒作りでは米粒の外側を削って中心部分を多く使います。外側を削り落とす度合いを精米歩合というのです。精米歩合の数字が小さいほどお米を削る度合いが大きく、贅沢に米を使っていることになります。よく「大吟醸」という言葉を耳にするかと思いますが、大吟醸酒は精米歩合が50%以下と定められています。

さて、川鶴は精米歩合が「80%」(つまり20%削っている)。自家栽培するくらいお米にこだわっていることもあって、あえてあまり削らずに作られています。精米歩合が高いとお酒に雑味が出てしまうなどと心配されがちですが、こちらの味わいはとてもクリアなのだとか。

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永木さん:香りと味わいの両方に、玄米のような香ばしさがありますね。口当たりはややざらつきがあり、しっかりした味わいです。

 

筆者も飲んでみましたが、最初は少しフルーティな香りもしつつ、飲んでみると本当にスッキリしています。物足りなさがあるかと思いきや、クリアな中にもしっかりと旨みが感じられました。

 

「川鶴 Heart&Soul」にオススメのおつまみはこれだ

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 【きんぴら】(税抜380円)

たくさんの山菜が入ったにぎやかなきんぴらです。山菜のきんぴらなんて初めて食べたかも……。 

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永木さん:きんぴらの食感がじょきじょきとにぎやかなので、力強い味わいの川鶴に負けないですね。コクの深いなめろうも合うのではないでしょうか。

 

山菜のほろ苦さが、玄米のような香ばしさを持つ川鶴の味わいによく合います。ちょっと大人なマリアージュです。「川鶴には山菜が合うんだよ」などと渋く言えたら日本酒上級者の仲間入りといえそうですね……!

 

afs(アフス) 純米生原酒 高温山廃一段仕込み(千葉 木戸泉酒造)税抜680円

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天野さん:初心者の方に、最後は少し変わったお酒を、ということでお出ししました。afs(アフス)という変わった商品名は、このお酒の開発に携わった3人の頭文字を綴ったものです。

ちなみに、「山廃(やまはい)」は、自然界に存在する乳酸菌を利用し、じっくり時間をかけて酵母を繁殖させてお酒を作る方法。正確にいえば、以前は発酵の途中で「山卸(やまおろし)」という、お酒の原料になる蒸したお米をすりつぶす作業を行っていたのですが、その重労働を省略したのが山廃です。山廃は濃厚な味わいが特徴なんですよ。

「一段仕込み」とは、通常は3回に分けて入れる米・米麹などのお酒の材料を、一度に全て入れて仕込むことです。この方法だと甘みが強調されますね。

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永木さん:香りはりんごの皮などを思わせ、香ばしさもありますね。口当たりは酸味が目立ち、ボディに熟成香、ヨーグルトのような余韻。とろみを感じます。口当たりはビネガーのような刺激の強さがあり、甘みのあるコクもあり、いろいろな要素を取り込んでいる変わり種のお酒ですね。

 

筆者も一口飲んでとてもビックリしました。最初の印象はまるで白ワインのよう!「これが日本酒!?」と思わず叫んでしまいました。同じ原料でこんなにも味の違いが生まれるとは……本当にフルーツから作ったお酒では?と思うほど、奥深い香りがしました。

にしても、一番最後にこのお酒を紹介してくださる店長の天野さんのセンスがすさまじい!日本酒の奥深さを垣間見せていただきました。 

 

「afs」は単体で飲むのがオススメ

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afsはとても個性の強いお酒なので、何かと合わせるというよりは単体で味わってみるのがオススメとのこと。たしかに、お酒だけで満足度が非常に高いです。

どうしても何かをつまみながら飲みたい、という方には、レーズンがオススメだそう。レーズンの熟成した香りとafsのフルーティーな味わいが相性バッチリ。レーズンで日本酒を飲む日がやってくるなんて、少し不思議な感じがしました。 

 

日本酒スタンド 酛ってどこ?

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新宿駅中央東口を出て、左手に曲がり、靖国通りにぶつかったら右に曲がります。そのまま靖国通り沿いにまっすぐ進むと、左手に「白鳳ビル」と書かれたビルがあり、その地下1階に「日本酒スタンド 酛」があります。

 

まとめ

今回は「初心者でも飲みやすいお酒」というテーマで日本酒を選んでいただきましたが、もちろんその日の気分や自分の好みを伝えればオススメの日本酒を出してもらえます。スタッフの方が研修で見学に行った酒蔵のお酒も多いので、詳しくお話を聞くこともできます。

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立ち飲み」というと女性が入りづらいイメージもありますが、酛は女性1人でも気軽に入れそうな雰囲気です。最近では1人で日本酒をたしなみにくる若い女性も増えているそう。取材に伺った日も、女性1人のお客さんがいらっしゃっていましたよ。

お箸や和らぎ水のグラスにも男性用と女性用があって、細やかな気遣いを感じます。このお水は天然水だそうです。

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お店の人にオススメを聞かなくても、ぱっとわかりやすいタイプ別メニューもあります。あまりたくさんは飲めないけど、気軽に飲み比べてみたいな~という要望にも応えられる「飲み比べセット」もあります(平日15~18時、休日12~15時限定)。

 

日本酒にトライしてみたい、けどちょっと難しそう……」なんて思っている方にこそ、日本酒スタンド 酛はオススメ!もちろん、日本酒マニアもうなってしまうほどのラインナップですよ。

 

紹介したお店

日本酒スタンド 酛(もと)
TEL:03-6457-3288
住所:東京新宿新宿5-17-11 白鳳ビルディングB1F
営業時間:[月〜金] 15:00~23:00(フード L.O. 22:00 / ドリンク L.O. 22:30)
[土・日・祝日] 12:00~21:00(フードL.O. 20:00 / ドリンクL.O. 20:30)

(編集:フードクリエイティブファクトリー http://foodcreativefactory.com/

                             
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