お好み焼き、たこ焼きと並ぶ大阪のソウルフードといえば、やっぱり串カツ。「ソース二度づけ禁止」なんてのも有名ですよね。通天閣の建つ新世界が串カツ発祥の地とされていますが、大阪各地に串カツの老舗や名店が数多く存在しています。
なかでも、梅田における串カツ店の代名詞的存在ともいえるのが「松葉総本店」なのです!地元民の憩いの場でもありますが、観光で来たときにもぜひ寄ってみてほしいお店。最後には独特のお会計方法も紹介していますので、大阪観光のおともにどうぞ。
「梅田で串カツ」なら黙って「松葉」へ行くべし
松葉総本店は、65年以上も前に創業した歴史あるお店。
JR大阪駅・各線梅田駅からそっこーで到着する「新梅田食道街」の中にあります。場所柄もあって、連日多くのお客さんで賑わっています。
そんな便利な「新梅田食道街」の一画にあり、年中無休で営業しているのが松葉総本店。平日は14時〜、土日祝日は11時〜オープンしています。
暖簾がかけられた入口は計4つ。ドアはなく、一年中こんな感じでフルオープンなのです。
そう、これも観光の際にぜひ立ち寄ってほしい理由の一つ。初来店であっても気兼ねなく入れる雰囲気なのです。詳細は後述しますが、昔ながらのスタイルを守り続け、地元の人からも愛され続けるTHE 串カツ屋さんです。
暖簾をくぐると「いらっしゃいませ〜」と愛想よく出迎えてくれます。店内はこんな感じ。
▲今回は特別に、開店前を撮影させてもらっています。
メインは立ち呑みのカウンターなので、グループ客であってもこちらへ案内されることが多いです。カウンターが埋まっている場合は、店内各所に配置されたテーブルに案内されることもあります。
認められた職人しか揚げることを許されない
今回は特別に、厨房の撮影にもご協力いただけました!串カツを揚げている厨房へと潜入です。
温度管理された大型のフライヤーで次々に揚げられていく串カツたち。いい音が響いています。
この松葉総本店では、先代から受け継ぐ技術を習得できた職人だけが、揚げることを許されているそう。あえてレシピを作らず、経験豊富な職人の感覚で串の状態を見極めながら丁寧に仕上げていきます。
素材は火の通り具合を考えて均等な厚みとサイズにカット。それを1つずつ串打ちするのがこだわりなんだそう。素人目線でも、手間がかかっていることが容易に想像できるな。
たしかに厚みが均一!
ややトロミのある生地がとっぷり。
営業前はこんなにたっぷり入っているのに、営業終了時にはこれがすべてなくなっているというんですから驚きです。いったい1日に何本揚げているんだろうか……。
食感の決め手になるパン粉はかなり目が細かいです。これでサックリした食感を生み出しているんですね。
あえての「揚げおき」こそが松葉スタイル
揚げたての串カツたちは、カウンター前に設けられたアルミ製のバットに次々と並べられていきます。
ずらっと並ぶ串たち。お客さんは自分の好きな串を自由に選んで小皿へ。置いてある商品から好きなものを取る、いわば回転寿司のような仕組みですね。
一般的には「注文してから揚げる」ほうが良さそうなもの。揚げおきスタイルに対しては「冷める」「衣がしなっとしそう」などネガティブなイメージがある人もいるかもしれません。
でもよく考えてみてください。
揚げおきしてあれば、入店してすぐ串カツが手もとに届くんです。…これって最高じゃないですか?
ビールが届いたら即カンパイ!ですよ。
昔は忙しい大阪商人たちの利用も多く、このスタイルが非常にウケたんだとか。駅チカのサク飲みスポットとして、とても正しいあり方だと思います。
そもそも、人気店なので串たちの回転が速いというのも揚げおきが成立する理由のひとつかもしれませんね。
串カツと一緒にいただくのは、もちろん「生ビール(中)」(450円)!大阪人はソース味のものとビールの組み合わせが大好きなんです。筆者だけではないはず!
ソースは「毎日入れ替え」、その理由は実に合理的だった
さて、ではいよいよ串カツをいただいていきます。最初はやっぱり名物の牛串から紹介したい!
衣に隠れていると何が何だか伝わらないかもしれませんが、これこそ松葉の名物。
なんと100円の牛串です。長年にわたってお値段据え置きなんですよね~うれしい!
安いのに美味いのが、大阪で支持される本場の串カツなのです。
さて、串カツといえば、二度づけ禁止のソースが有名ですよね。松葉にも、もちろん卓上にドボン!と串カツを浸す用のソースがセットされています。ソースの味は甘辛め。創業時から不変の味だそうです。
松葉でももちろん、衛生面からソース二度づけは禁止されています。
串をかじった後に「もう少しソースつけたいな」と思ったら、そう、キャベツの出番です。
これも串カツの必須アイテムですね。
追加でソースをかけるときは、こんなふうにキャベツをスプーン代わりにしてソースをすくいましょう。
ちなみに、よく「○○年継ぎ足している秘伝のたれ」的なものを耳にしますが、こちらのお店では毎日ソースを入れ替えています。
なぜなら、ソースは空気に触れると酸化して味が変わるから。秘伝のたれを否定する気はまったくありませんが、めちゃくちゃ合理的だと思いませんか?商人の都市だからでしょうか……?
ソースのほか、コショウ、七味、カラシ醤油、醤油もスタンバイしていますよ。ソースで味わうのがもちろんイチオシですが、串に応じて使い分けましょう。
牛串以外ももちろん絶品です。牛串に並ぶ看板メニューのえび(120円)。やっぱりソースにドボンとつけるのがオススメです。
次は玉ねぎ(120円)ときす(120円)をパクリ。
人気の若鶏(160円)は骨付きタイプ。
骨を持ってソースへダイブ!これにカブりつけば、ワイルドな気分になれそうですね。
ちなみに、揚げおきされた串をアツアツで食べたい場合は、二度揚げしてもらえるので気軽にオーダーしましょう。
気さくなスタッフさんたちが愛想よく対応してくださいます!(撮影協力スタッフ:青野英人さん、中島匠さん)
お会計は、食べた串の形や長さで料金がわかるようになっています。
左から180円、160円、150円、120円、100円ですね。
ちなみに、取材に伺った日は平日だったにもかかわらず、オープンと同時にお客さんが。
常連さんのほか、観光客もちらほら。近年では若い女性グループやファミリーの利用なんかも多いそうですよ。
どこか懐かしさを感じる串カツ店。大阪・梅田に立ち寄った際は絶対に立ち寄ってほしい一軒です。
紹介したお店
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
大阪のウマいもんは串カツだけじゃない!
著者・SPECIAL THANKS
クエストルーム
街のトピックス、人物インタビューなどの取材をベースに、各媒体のコンテンツ制作を手がけるクリエイティブ集団。大阪、東京、名古屋に事務所を構え、各地のブレーンスタッフとともに幅広く展開している。
オフィシャルHP http://www.questroom.co.jp/