まいど憶良(おくら)です。
たまには、ちょっと変わったところで飲みたい、珍しいビールを味わいながら、特別な空間の中で、特別な時間を過ごしたい。そんな時にぴったりのお店があります。
飲めるビールは60種類以上。時には世界のビールに囲まれてみませんか。
この店に行けば、まさにその日が特別な日になりそうな気がします。
京都は近代的な部分と、日本古来の文化が不自然でなく融合している、他県の者からすると特殊で不思議な空間です。
ここは世界中から観光客が押し寄せる、言わば世界中の人々が集まる場所ともいえます。
昨日まで数万キロ離れていた人たちが、ここで出会い、時には話し、時には一緒に食事をしたりして、時間を共有する。
そう考えるとなんだか不思議な気がします。
この重厚な建物が今回の舞台です
そんな京都からまた1つ、非日常空間のご紹介です。
京都は猛暑。そこへ、突然やって来た土砂降り。涼しくなるのかなと思ったら、蒸しっとして暑いっ。そんな中たどり着いた店。
京都でも最大級のPUB「パブリックハウス」
建物正面のドリス式オーダーの4本の円柱、細部の幾何学的装飾、さらに古典様式の名残があり、アール・デコなどモダニズムへと至る過渡期の、いかにも大正初期らしい建物と言えます。(←アンチョコを見ながらなので、自分でも何を言っているのかイマイチ解っていない)
京都の大正モダニズムと店内の本場アイリッシュパブのレトロの雰囲気が不思議と融合し、えっと、つまり、とにかくオシャレなのである。
冒頭でも書きましたが、古き良き物と、近代の融合というか、異文化を上手に和へ取り込むテクニックというのは、日本文化の奥深さだと思うのですが、このお店でもそういう空気を感じる事が出来ます。
ふと横を見ると、金庫の文字が。
えっ、金庫?でかっ!
こんな巨大な金庫を使うほど儲かっているのか、などと思いつつ奥を覗くと、そこは厨房でした。
そうなんです。
ここは元々大正時代に建てられた銀行だったのですが、その美観を損なうことなくPUBとして生まれ変わった店なんです。
こういうおしゃれな場所ならデート使いにさぞ大活躍だろうと思っていたのですが、意外と女子会やら、ちょっとした飲み会、二軒目使い、ちょい呑みにも重宝されているとの事でした。
そして時代のかかった階段を上ると大宴会にも対応できる2階へ。
2階だけでも170席、1階の74席と合わせると最大で244席対応可とのことで、様々なパーティや、会社全体での宴会など幅広く使えます。
結婚式の二次会など、特別な日に使えば、より印象深い、そして思い出深いパーティになりそうです。
注目したい5つのビールサーバー
さて、建物が珍しいのでどうしてもそこに目が行ってしまいがちですが、この店の魅力は何といってもビールです。
そこでまず、こんな日の一杯目にぴったりのビールはなんですか、とお聞きしました。
何せ、京都でもビール通に「ここは凄い」と言われているお店です。
難しい注文かと思いましたら、
今日のお天気なら・・・と、カウンターへ案内されました。カウンターには5つのサーバーが並んでいます。
こちらでは5つのドラフトビールが味わえます。また、夏場にはエクストラコールドも含めて6種類のビールが楽しめます。
ここでは珍しいレーベンブロイのドラフトが飲めるのですが、是非飲んでいただきたいのがこちら、ヒューガルデンホワイトです。
と、お勧めのまま一杯、ゴクリっ。
私は初めて飲んだんですが、「えっ、なんで、なんでこんな味なの」というショッキングな味でした。
ホワイトビールの、その白さの秘密は小麦を使っているところにあります。
そこにオレンジピールとコリアンダーの風味が加わって、スキっとして飲みやすいんです。
こう書くと飲み手を選びそうですが、全然変な癖なし。せっかくパブリックハウスに来たなら是非味わってほしい一杯です。
いろんなビールがある中、ちょっと変わった味からのスタート。
これからどんなものが出てくるのか、という期待感を膨らませてくれつつ、このベタッと蒸っとした空気を払うような飲みやすいビール。
さすがプロの選択です。
珍しいビールもたくさん
ラベルも格好いいライオンスタウトはスリランカ産。
世界中から高い評価を得ている、スタウトの傑作。甘いアロマが立ち込め、フレッシュなモカチョコのような味わい。
デンマークのカールスバーグは口当たりがまろやかで、モルトの風味もしっかりしている。ちょっと辛めのラガービールは、デンマーク王室ご用達ビールとしても有名。
ベルギービールから、デュエルは悪魔のビール。ビール自体は刺激的で、泡は甘い。
後からフルーティなアルコールの香りと苦み、コクが感じられる。
こちらもベルギービール。ベルギービールは特に充実しているようです。
シメイレッド。シメイトラピストの中で最も歴史のあるビール。
カシスのような、ほのかな芳香が特徴的。
どんな注文の仕方をしても大丈夫なのか
先ほどは、まずはこれっという最初の一杯を選んで頂き、なるほどと納得しましたが、こうなると無茶な注文の仕方にどこまで応えてくれるのか、聞いてみたくなりました。
「初デートの最初の一杯、彼女のためにお勧めのビールは何でしょう」
そうですねぇ。まずはラベルをみて、会話があって、味わって、また会話があって、というビールで、まだ相手の味の好みがわからないとしたら、日本人にも親しみやすいものが飲みやすくていいかと思います。
と、すると、こちら、ヒナノビールですね。
タヒチの代表的ビール。日本のラガービールに似た味わいで、飲みやすく、その上ラベルの可愛さもあって、女性に人気だという事です。
なるほど、またもや流石の選択。
ふとメニューを見てみると、レッドビールの文字を発見。
では、レッドビールって、あまりなじみがないんですが、そんな私にお勧めのレッドビールはなんでしょう。
それなら、こちらですと、即答。
ローデンバッハクラシックは、レッドビールの代表格。
6~8週間熟成させた若いビールと、オーク樽で2年間熟成させたビールをブレンドして作られた、甘酸っぱくて、口当たりも良いビールです。
だめです。
話を聞いているうちにたまらなくなってきました。
レッドビールの代表だというのであれば、飲まずにいられましょうか。
いや、いられますまい。と、いう事で、本日2杯目。
うんっ、これも美味しい。
「美味しいっ」に、到達する角度が先ほどのビールと違うので、同じスッキリしたビールでもまた別の味わいが楽しめました。
すきっ腹のまま、2杯のビールを頂きますと、酔いが回ってしまいそうです。
オススメのメニュー
このへんで料理を。
こちらのお店ではコース料理などもあるのですが、今回はビールメインで楽しみたいという事で、一品ものからお勧めを頂くこととしました。
こうなると、全てお任せ発注です。
そうですね。定番のソーセージ盛りや、人気メニューのフィッシュ&チップスもいいのですが、期間メニューもありますので、そちらから・・・。
とお勧めして頂いたのがNZ生牡蠣プレートです。
見事な、大ぶりの牡蠣です。ぷりっぷりです。
そして折角ですので、この牡蠣に合うビールをお願いします。と、注文。
知らないことは詳しい人に聞くのが一番。
どんなのが出てくるのか、楽しみでもありますし、この注文方法だとまず外す心配なしです。そうですね、魚介系には白ビールも会うのですが、それはもう先ほど飲んでいただいた所ですし、続けて、いうのもどうかと思いますので、
先ほどお話ししていたヒナノも、美味しいと思いますよ。
と、ヒナノを選択。私が先ほどの話を聞いていた時に、どんな味なんだろうという顔をしていたのを察知されたのかも知れません。
それでは、レモンをかけて頂きます。
あっ、旨っ。
甘みが強く、潮の香りが口の中でふわっと広がって鼻に抜けていきます。ニュージーランドから取り寄せた牡蠣はぷりぷりっとした食感も魅力です。
特に紐の部分が甘い。
ここが苦手という人が多い、おなじみの苦い部分も嫌な苦みでなく、そう、ヒナノビールと同じ、旨味が勝ってる苦さです。レモン以外、何もいりません。
牡蠣を頂きながら、更にお聞きしました。
それでは逆に一人静かにビールを味わいたいという時に合うビールは何でしょう。
そうですね、ゆっくりとビールの味そのものを味わうとなると、デュシェス・ド・ブルゴーニュ。
オーク樽の香りと、チェリーやブドウのような甘酸っぱい風味が特徴。赤ワインのような酸味も楽しいダークレッドビールです。
グラスも、ワイングラスみたいでしょう。実は、グラスの形状も、そのビールによって変わっているんです。
不思議と、このビールを味わうなら、この形が合うってことがあるんですよ。
「へえぇぇぇっ!」確かにいろんな形のグラスがあって、見ているだけでも楽しいです。
チェコのピルスナーウルケル。華やかな香りと、長~く余韻として残る苦みが特徴。ピルスナースタイルのビールの元祖的存在。
ヴェデットも白ビールの代表格。ヒューガルデンホワイトと飲み比べてみるのも楽しいかも。
お話を聞いているうちに次のお料理が運ばれてきました。
先ほどは海鮮系でしたので、次はお肉をお持ちしますね。
AUリブアイステーキ(自家製ステーキソース)
とても柔らかでジューシーな、このお肉に合うのは、どんなビールでしょう。
こちら、ロシュフォールをどうぞ。
ベルギーのノートルダム・ド・サン=レミ修道院で造られるトラピストビール。
アルコール度はベルギービールでは一番度数の高い11.3%。
味も深い。
フルーティな苦みがまず感じられ、後でゆっくりとビターチョコのような甘みが追いかけてくる、高級ビールです。
いちじく、乾しぶどう、バナナの風味のフルーティさ、カラメル、ハチミツ、そしてビターチョコの甘みがあり、そして苦みも強め。色々な味が複雑に絡み合っていて、それでいて違和感は一切なし。
えっ、一体どんなビールなんだ、と思った方は、是非ここで味わってみてください。
建物も、店の雰囲気も、そしてビールの味も日常ではなかなか出会えない素敵な物ばかりでした。
ビールを楽しみたい、でもよく知らない。
そんな私にも、本当に親切に、世界のビールの楽しさを教えてくださいました。マネージャーの流石さん。
最後に、今までに印象に残ったお客さんはいますか、とお聞きしました。
東京から出張で来ていたお客さんが3日通い詰め、全ビールを制覇した強者が。
そして、「また来年も来るから、是非新しいビールを仕入れておいてね。」と言い残して帰っていったそうです。
ビールの魅力は底知れず。
京の町で、あなたも世界のビールを味わってみませんか。
お店の場所、季節メニューなどはこちらからチェック
紹介したお店 Public House
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
著者・SPECIAL THANKS
憶良(おくら) :
元ゲームプランナー、元ゲームプロデューサー。
ゲーム企画講師や駄菓子屋店長などを経て現在に至る。休日は名古屋から鳥取あたりの温泉に浸かり、地元スーパーで珍しい食材を買っては料理する。
その際食べ歩きにも積極的と、食に対してはかなり貪欲。
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