早朝に鈴木シェフに掛かる電話は五島列島・小値賀（おぢか）の漁協から。水揚げ情報を受け取ると、シェフのメニュー作りが始まります。外海の海流に育まれる身の質は、引き締まり旨味も深いのが特徴。黒味を帯びる天然一本釣りのイサキや、400gにも成長するカサゴなどが、カルパッチョやアクアパッツァで堪能できます。

「野菜を甘やかさない」農法で有名な栃木の野菜農園とは約6年の付き合い。品種や季節によっては、土も虫もついたまま届けられます。鈴木シェフの手によって、潜在的な魅力が引き出される、旨味を凝縮した野菜たち。お薦めは「炭火焼き盛り合わせ」で、野菜ごとに異なる火入れを施す「LA SPIGOLA」の名物です。

2階のU字型カウンター席と3階のフロア席から成る一軒。石造りの床や木材、漆黒のアイアンが力強い質感を魅せる空間です。装飾を極力排した店内には、フォルムや色にも妙味を効かせる照明がカラーポイントに。ワイン樽をイメージしたアーチ型のカウンターや「鱸」を模ったオブジェも、ゲストの目を楽しませます。

東京の有名ホテルにて13年、研鑽を積んだ鈴木シェフ。仕事を共にした2人のイタリア人シェフとの出逢いが、現在の道へと進ませました。渡伊し、本場を知り、帰国して数年。「素材と味」を真っ直ぐに提供したい思いは募り「LA SPIGOLA」をオープン。ホテル仕込みのクオリティを親しみやすい価格に注ぎ込みます。