ホッとひと息つきたいときのおやつにも、おなかいっぱいだけど甘いモノは別腹な食後のデザートにも、なんならお酒のあとのシメにも、いつ食べても美味しい身近なスイーツの代表格といえば…そう、みんな大好き「プリン」でございます。
ひと言でプリンといっても、この世界にはいろいろな食感や甘さ、風味のプリンがあります。そのなかでも、根強いファンを持ち、エリアによっては完全に主流派(?)なのが「かたいプリン」です。
スプーンですくうとプルプルッとした感触が指に伝わり、口に入れればなめらかな口当たりとともに、甘~くとろけていく…みたいな「やわらかプリン」も素敵ですが、今回注目する「かたいプリン」は、それとはちょっとキャラクターが異なります。
基本的には、「やわらかプリン」に比べてドッシリとした食感と濃厚な味わいが「かたいプリン」の特徴。とはいえ、お店によってかたさや甘さ、トッピングもさまざまなので、本当に知れば知るほど奥深いのです。
そこで今回は、「かたいプリン」の多彩な魅力が存分に楽しめる東京都内のお店を5軒、ピックアップして紹介しましょう。※新型コロナウイルス感染対策を徹底し取材を実施しました
【メニュー】
- 【渋谷】「パーラー大箸」のプリンはかたさとなめらかさのバランスが最強
- 【新宿】「4/4 SEASONS COFFEE」で2層プリンのプルップル感にドハマリする
- 【銀座】イタリアンの老舗が手がけた「カフェ キャンティ」の名物プリンを堪能する
- 【高円寺】「吾輩は山羊である」の絶品プリンは濃厚チーズがたまらない
- 【日本橋】異空間で味わう「イルマン堂」のプリンにホッとする
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【渋谷】「パーラー大箸」のプリンはかたさとなめらかさのバランスが最強
1店舗目は、東急プラザ渋谷のなかにある「パーラー大箸」のプリンです。
店内は落ち着いた“大人の憩いの場”のような雰囲気。
しばし喧噪を離れたところで、さっそく大人気の「ととのうプリン」(500円)をいただきます!
プリンに漆黒のカラメルソースがたっぷりとかかり、それを覆うようにして真っ白なクリームがのっています。色のコントラストを見ているだけて、とろけそうな気分に。ドシッと構えた重厚なフォルムが、高貴な感じでカッコいい…。
スプーンを差し入れてみましょう!
むむ!? なかなかの抵抗力と弾力感。ドキドキとわくわくが高まります。
ひと口食べると…表面はかたくしっかりとしているのに、内側はほどよくなめらかなで、クリーミー。
ビターなカラメルソースには力強いコクがあり、プリンと一緒に食べることで、ほんのりとした苦みと優しい甘さが口のなかに広がって、絶妙なバランスになります。
食感から味わいから、ぜんぶがうまい! うますぎるぞ!! これが大人のプリンというやつか~!
テンションがあがったところで、「牛タンシチュー」(1,500円)を注文。
スイーツだけでなく他の料理も絶品なのがパーラー大箸。
代表料理である「牛タンシチュー」も最高に美味しいんです!
衝撃…! 8時間以上かけて煮込むという牛タンは箸でもすっと切れてしまうほどの柔らかさ。
香味野菜と一緒に煮込んでいるので、口に入れた瞬間にぶわっと野菜の甘みや風味が感じられます。そして牛タンは、やわらかすぎてすーっと溶けていく。こんな極上の牛タンシチューがありましょうか!
さすが“牛タンシチューを超えた”とも称される牛タンシチューです。
開放的で上品な店内にいると、時間がゆっくりと流れるような感覚をおぼえますよ。
ぜひ、極上の洋食とデザートを召し上がってみてはいかがでしょうか。
営業時間:11:00~22:00(ラストオーダー21:00)
定休日:不定休
※営業時間・定休日は変更となる場合があるので、来店前に店舗までご確認ください。
【新宿】「4/4 SEASONS COFFEE」で2層プリンのプルップル感にドハマリする
次は、新宿にある「4/4 SEASONS COFFEE(オールシーズンズコーヒー)」です。美味しいコーヒーが人気なのはもちろんですが、プリンも高く評価されていて、なんと平日にも関わらずプリン目当てのお客さまで行列ができることもあるのだとか。
さっそく意中の「クラシックプリン」(600円)を注文してみましょう!
たっぷりのカラメルソースをたたえた皿の真ん中に、一般的なサイズ感より一回り大きめ(コーヒーカップくらい)のプリンが堂々と佇んでいます。加えて、クラシカルな雰囲気をよりアップさせる生クリームと1粒のさくらんぼ。
つるんとした表面でツヤ感もたっぷりな、いかにも“クラシック”然とした見た目です。
それでは、ドキドキしつつスプーン入刀!
おっ…表面からなかまで、しっかりと抵抗を感じる!
うおお、スプーンがプリンの弾力や表面張力と戦っていて、なかからなかなか出てきません。
ちなみに、差し込んだスプーンがプリンから「出るか、出ないか」の瞬間って、たまらなくキュンキュンしますよね~(えっ、わたしだけ…!?)。
はい! 出てきました!!
つるんとした美しい見た目に惚れ惚れ…。
さっそくいただきます。
この弾力……かためでもっちりとした舌触りに、カスタードの甘みが最高です。
プリンの下にいくほど、よりクリーミーでマットな食感になります。まるで2層プリン。
カラメルソースと一緒に食べると、ソースに加えられたアマレットの爽やかな酸味ときび糖のコクのある甘さを感じます。これが、プリンの甘さと見事にマッチして、病みつき感がさらにアップ。
なんだこれー! ホント美味しすぎます。行列ができるのも納得のお味です。
ちなみに4/4 SEASONS COFFEEさんは、コーヒーに使う豆を焙煎士さんによって店内で焙煎しており、コーヒーがかなり美味しいのです。
今回はプリンと一緒に、プリンにも合う店長さんおすすめのオリジナルブレンドコーヒー「SHINJUKU BLEND」をいただきました。
ほのかな甘みにも通じるような酸味があり、あっさりとした味わいのコーヒー。これが甘いプリンにとっても合うのです。
店頭で好みの味を伝えるとコーヒー豆をブレンドしてくれるそうなので、ぜひプリンと一緒に美味しいコーヒーも味わってみてくださいね。
早朝に行くと外国人のお客さまが8割だったり、午後からは女性で賑わっていたりと時間帯によってもお店の雰囲気が変わるというお店。
ぜひ一度足を運んでみてください。
営業時間:平日11:00~18:00、土日祝日11:00~18:00
定休日:年末年始
※営業時間やプリンの提供時間は変更になることもあるため、お店の公式インスタグラムをご確認ください。
【銀座】イタリアンの老舗が手がけた「カフェ キャンティ」の名物プリンを堪能する
続いては、松屋銀座の6階にある「カフェ キャンティ」のプリン。
「キャンティ」といえば、六本木にほど近い飯倉片町に本店を構える、1960年オープンのイタリアンレストラン。今年で60周年を迎えた老舗のイタリアンが運営するカフェということで、心躍らせながらやってまいりました。
さっそく「キャンティ名物 プリン」(単品880円)とコーヒーのドリンクセット(1,320円)を注文です。
うわっ、美味しそう!
角のついた台形のクラシックなプリン。美しいですね。カラメルソースがふんだんにかかったプリンはタテが約6㎝、ヨコが約5cm、高さが約4cmというボリューム感で、丸皿の上に凜とそびえています(定規で測らせていただきました・笑)。
さらに、ブランデー漬けされたレーズンがプリンの上に添えられていて、“大人のプリン”という風情。その姿から気品すら漂っていますね。
では、スプーン入刀!
すっとスプーンを通したときの、この弾力感!!
スプーン越しに、ぎゅっと中身がつまった濃厚なかたさが感じられます。
すくい取っても、まったく形が崩れていません。このプリンの断面のなめらかさよ…。
ひと口でパクっといただきます。
う~ん! 適度なかたさを限界までキープした後、ぷりっとほぐれていきます。卵の濃厚さがさらに美味しさを引き立てていますね~。
加えて、ブランデーが入ったほろ苦いカラメルソースが、ふくよかなプリンの味わいに絶妙にマッチ。
キャンティのプリンはとくに卵にこだわっているそうで、濃厚で色鮮やかな「奥久慈卵」を用いているとか。黄身を多めにして、卵をたっぷりと使用しているそうです。
また、弱火で1時間ほどじっくりと焼いているので、しっかりとしたかたさもありつつ、クリーミーな食感も両立しているあたりが、ますます魅力的です。
横に添えられた生クリームと一緒に味わうと、プリンがふんわりとやわらかい印象に。生クリームやその上にかかるプラリネも手作り。ひとつひとつに手がこんでいます。
ちょっぴり酸味の効いた濃いめのコーヒーとプリンの相性も抜群で、ボリュームのあるプリンながら最初のひと口目から最後までぺろり…と、いつのまにか完食してしまっているほど。キャンティのプリンに昔からのファンが多いのもうなずけます。
プリン以外のケーキ類も充実していて、ショーウィンドウに並んだケーキに見惚れてしまいました。どれも美味しそうでかなり気になります…!
ちなみにキャンティの本店では以前から、ワゴンサービスでこのように特製の手作りケーキを運んでいるそうです。1960年開業の本店にもうかがってみたいですね。
松屋銀座内のカフェ キャンティは、美しい白を基調としたオープンなつくりなので、とても入りやすく、居心地もよいです。
多くの著名人たちも堪能したという、老舗のプリン。
ぜひ一度足を運んで、味わってみてください。
営業時間:松屋銀座の営業時間に準じる
定休日:松屋銀座の定休日に準じる
※営業時間・定休日は変更となる場合があるので、来店前に店舗までご確認ください。
電話番号:03-3567-1211 (松屋銀座代表番号)
【高円寺】「吾輩は山羊である」の絶品プリンは濃厚チーズがたまらない
4軒目は、高円寺にある「吾輩は山羊である」という喫茶店。店構えだけでなく名前からもレトロ感がにじむ、素敵な雰囲気のお店です。
実はこちら、普通の喫茶店ではありません。これまでおよそ3000種類ものチーズを食べきた経験を持ち、“チーズの仙人”ともあだ名される松田店長が切り盛りしている「チーズ喫茶」なのです。
チーズ喫茶! これは気になりますね。
さっそく、一番人気の「チーズ喫茶のカスタードプリン」(500円)を注文です。
おおお! この姿、もはや芸術の域! たいへんそそられますね~。
たっぷりなカラメルソースに黄色が鮮やかなプリン。上には真っ白なクリームチーズと、アクセントにクルミが添えられています。
おもむろにスプーン入刀!
プリンの表面に弾力があり、かたい!
そして表面をぬけるとその先には…なかにいくほどやわらかくなるような感覚がスプーンを介して伝わってきます。
これは期待がさらに高まるーーー!
絶っ品…! この言葉に尽きます。
レッドチェダーチーズを使用しているというコクのあるプリンと、上のクリームチーズを合わせて食べれば、塩気と甘みが渾然一体となった最高のプリンが口のなかで完成します。
プリン本体は甘さ控えめで、全体的にはチーズの芳醇な風味が際立つようなチューニング。なんともクセになる味わいで、ワインや日本酒にも合いそうなプリンです。普段はコーヒーと一緒に楽しみつつ、特別な日にはお酒を片手に食べてみたいかも。
プリンだけでも十分驚きましたが、他のメニューもチーズたっぷりで、とても美味しいそう。
というわけで、「チーズ屋さん本気のナポリタン」(1,380円)を注文してみました。
ドンッ!
出てきた瞬間「なんだろう? この黄色くふんわりとした山は…?」と、アタマのなかは「?」でいっぱいに。
フォークで黄色い山を割っていくと……。
ぬおお! なかからスパゲティと絡んだチーズが!! のびるのびる~!!!
実は、チーズたっぷりのメレンゲが表面を覆っていて、その下にはたくさんのチーズとナポリタンが隠されていたのです。山を崩すと、ケチャップとチーズの香りが漂ってきて、思わずニヤリとしてしまいます。
こちらのナポリタンには10種類のチーズ(パルメザン・ペコリーノロマーノ・ゴルゴンゾーラ・ステッペン・ゴーダ・モントレージャック・コルビージャック・2種のモッツァレラ・フレッシュモッツァレラ)が使用されていて、とにかくチーズが濃厚。
香り豊かなチーズがナポリタンの下からも上からも現れて、スパゲティがずっとチーズに包まれたような状態だから、もうずっと美味しいです。
けっこうボリュームがあるので、ふたりで分け合って食べてもいいですね。
店頭のひさしに記された、レトロな店名表記が目印。
2階の窓からチーズ仙人の写真が外を覗くように飾られていたりと、チーズだけでなく遊び心もたっぷりとつまっているので、ぜひ訪れてみてください。
※ナポリタンの提供は、平日はディナータイム、土日祝はランチタイムからの提供になります。
営業時間:12:00~22:00(17:00~18:00休憩)
定休日:火曜日
※営業時間・定休日は変更となる場合があるので、来店前に店舗までご確認ください。
【日本橋】異空間で味わう「イルマン堂」のプリンにホッとする
最後は、日本橋界隈でも一際目立つ黒い壁のお店、「イルマン堂」です。
店内に一歩足を踏み入れると、グレーのコンクリート壁に囲まれた、ほの暗い空間が広がります。空気まで、ちょっとひんやりしているような印象です。ただ、居心地は悪くありません。いやむしろ、妙に落ち着いてしまいます。
暗がりと静けさのなか、テーブルの上からは温かいオレンジ色の光。
流れている幻想的な音楽に耳を傾けていると、まるで異空間に迷い込んでしまったかのような気分になってきます。
店内の雰囲気に馴染んだころ、入店時に注文した品が運ばれてきました。
さぁ、「プリン」(600円)の登場です。
ケーキのような美しいスクエア型。タテヨコ8cmくらいで予想以上に大きく、そのサイズ感に少し驚きました。
表面にはそっと添えられた金箔。これが控え目な華やかさを演出しています。
上から眺めると光が反射していて、まるでプリンに月が映っているかのように輝きます。
う、美しい…。食べるのがもったいなくなるほど、いつまでも眺めていられます。もはやアートです。
では、フォークとスプーンを手にして、いただきます!
フォークの先が、かすかな抵抗を指先に感じさせながら、すすーっとプリンのなかに沈み込んでいく…。
んっ、美味しい! 外界から隔離されたような空間のなか、思わず目をつぶって、ゆったりと味わってしまいました。
舌触りはとてもなめらかです。プリンらしい風味や食感をきちんと堪能できる、弾力感と卵の濃厚感の妙味にため息が漏れそう。
ほどよい甘さのプリンにカラメルソースのほろ苦さが組み合わされて、「あぁ、美味しいプリンってこういうことだよね」という納得感。もーたまりません。プリン中毒になりそう。
このプリンにおすすめだという「アイスコーヒー」(700円)もやってきました!
水滴が付きにくい二重構造のグラスに、溶けにくい純氷。そこに、別容器に入れて供されたコーヒーを自分で注ぎ入れるスタイルです。氷とグラスが奏でるカランコロンとした音と、淹れたてのコーヒーの香りがふわっと広がるこの瞬間、最高です。
マンデリンをメインに、グァテマラ、ケニア、エチオピアとさまざまな大陸のコーヒー豆をブレンドして使用しており、ひと口飲むと苦みの奧から酸味とフルーティーさが重奏するようにして浮かび上がってきます。
イルマン堂では世田谷にある「堀口珈琲」のコーヒー豆を使用するなど、随所からこだわりを感じます。いろんな種類のコーヒーを置いているので、プリンと合わせて、自分好みのカップリングを見つけてみるのも楽しそうです。
イルマン堂のコンセプトは「空間と時間を歪める」だそう。
各席の壁には栓があり、それを外すと小さな丸窓から外光が差し込んできます。カメラのレンズ越しに遠い異世界の光を眺めているような感覚! 幻想的な空間演出が素敵です。
日常から少し離れて、五感が研ぎ澄まされるような空間でプリンの味わいに身を委ねてみてはいかが?
営業時間:11:00~19:00(L.O 18:00)
定休日:月・木・金(不定休あり)
※営業時間・定休日は変更となる場合があるので、来店前にお店の公式インスタグラムをご確認ください。
流行の「かたいプリン」にもたくさんのバリエーションがあり、お店によって特徴もさまざま。ここで紹介したプリンはどれも美味しくて、食べたら幸せ爆発です!
アナタもぜひ、いろいろなプリンを食べ比べて、好みの“推しプリン”を探してみてくださいね。
(編集:漆原直行)
著者プロフィール
著者 佐藤樹里
水泳インストラクター兼管理栄養士として勤務後、フィリピン・カナダへ約1年渡航。現地のブランチレストランでカナダ人のシェフと共に働く。帰国後はアスリート向けの食堂と老人ホーム厨房にてWワークを経て独立。現在はスポーツイベント開催、栄養講座、ダイエットサポート、高タンパク質のヘルシーレシピ作成などを行う。炒飯が大好き。
[twitter] http://twitter.com/jurijapan1
[公式ブログ] https://asudorifactory.com