食べ歩くのが好きな中年オヤジが紹介する中年メシ!今回紹介するのは、そば屋のラーメンだ。
「そば屋のカレーが意外と旨い」というのはよく聞く話。この場合の「そば屋」は、そば専門のお店というより、カツ丼や天丼などのご飯ものも出す、いわゆる“まちのそば屋”。
この“まちのそば屋”にはもうひとつ侮れないメニューがある。それがラーメンだ。インパクトはないけど、昔懐かしい味のラーメンは中高年にとって感涙ものですぞ。
不思議だけど本当にあるんです
「本当にそば屋にラーメンがあるの?」と疑問に思う人はいるだろう。確かに考えてみれば不思議な話だ。でも実際にちゃんとあるんですよ。たぶん多くの人は、そばやご飯ものを食べようと思ってそば屋に行くから、気づかないんじゃないかと思う。
ということで、今回は私が住んでいる東京都東村山市にある、ラーメンを出す“まちのそば屋”を2店、紹介しようと思う。まず最初に紹介するのは、西武新宿線の久米川駅南口から歩いて5分ほどのところにある「しなの」。
入り口の左横にはちゃんとメニューが掲示されている。
上の段には、定番のそばのメニューがズラリと並んでいるが、目を下の段に移すと……。
ほら、「中華の部」があり、「ラーメン」をはじめ「ソース焼そば」や「ギョーザ」まである。ここまでハッキリ出しているのに、意外と気づかない人が多いんだよね。
それでは、お店に入っていただくとしますかね。
こだわり故に夏は販売中止
早速、お店に入り、「ラーメン」(500円)を注文。しばらくして運ばれて来たのがコレだ。
何ともノスタルジックなビジュアルじゃないの!
50代以上の人なら「おっ!」と思うはずのビジュアルじゃないかな。
いわゆる昔の「中華そば」ってヤツだ。
このスープの色がいいんだよね。白濁していたり、背脂でギトギトもしていない。
そして香り。豚骨臭や味噌、煮干などではなく、醤油。これがたまんないんだなぁ。
このチャーシュー、見てくださいよ。自家製ですよ。そば屋なのにちゃんとこだわってつくっている。では、スープからいただいてみますか。レンゲですくって……。
旨いねぇ(´ ▽`).。o♪♪
鶏ガラスープの醤油味。優しい味わい。「郷愁」という名のスパイスも効いて、体に染みる、染みる。
続いて麺をいただきま~す……
うんうん、この柔らかな中太麺。まさに小さい頃、両親に連れて行ってもらって食べた中華そばだ。いやあ、旨いッ!
健康のことを考えたら、本当はやっちゃいけないんだけど、スープを飲み干して完食!
旨かったッO(≧∇≦)O!!!
そりゃね、今時のラーメンのようなガツンと来るインパクトはないよ。
でも、いろいろ食べて、ひと回りして、「やっぱりコレだなぁ」と戻って来た感じなんだよね。20代、30代の人にはわからないだろうなぁ。「ふぅ~」とひと息つきつつ、何気なくお店の壁を見ると……。
エッ、何だって?
「お待どう様 中華麺再開です」って、どういうこと?
中華麺、休んでたってこと?ご主人に聞くと、7月くらいから9月半ばまで毎年、中華麺を休んでいるのだという。
「ウチはちゃんと鶏ガラでスープを取ってるんだよ。でも、使い終わった鶏ガラを回収してくれる業者がなくなってさ。仕方なく普通にゴミに出してるんだけど、夏場は臭いが出るから近所に迷惑をかけることになると思って、鶏ガラスープを使う中華麺を出さないことにしたんだよ」
へぇ、そうなんだ。そば屋なのにそこまでラーメンのスープにこだわっているんだ。これはビックリしたなぁ。
そば屋なのにラーメンがウリ?
ラーメンを出すそば屋が存在することを知らない人は多いと思う。
実は私も数年前までは知らなかった。「エエッ、そば屋にラーメンがあるんだ」と気づくキッカケとなったのが、次に紹介する「八山庵」だ。
場所は西武新宿線の東村山駅東口から市役所方面に向かって歩いて8分くらいのところ。
よくある普通のそば屋の佇まいなのだが、私が「エエッ!」と驚いたのは、入り口右横にあるディスプレイ。
メニューのサンプルを飾ってある、よくあるものだが、下の方を見ると……。
「ラーメン」があるよ!
展示されているメニューサンプルは10品。数あるそば屋のメニューの中で厳選した、言わば「ウリであるメニュー」の中に「ラーメン」が入っているのだから驚きだ。
ということで、気になって食べたのが「そば屋のラーメン」を知るキッカケだった。
早速、お店に入ってカウンターに座り、「ラーメン」(600円)を注文。そして出てきたのが……。
コレですよ。このビジュアルにキュン死してしまう中高年、きっといると思うなぁ。
この黄金色のスープの透明感。たまんないなぁ。
先ほどの「しなの」とは違うタイプのチャーシューだけど、このタイプのチャーシューも昔はよくありましたよね。懐かしさで目が霞んでしまいそうだ。
ということで、やらかしてしまいました。麺上げでまさかのピンボケ。面目ない。
このお店の「ラーメン」も、インパクトはないけどジワーッと染みる優しい味わいで、旨いんだよなぁ。
多様なニーズに応えるため
それにしても、どうしてそば屋なのにラーメンを出しているのだろうか?
その疑問に「しなの」のご主人はこう答えてくれた。
「家族連れだと、食べたいものがいろいろあるからね」そういうニーズに応えるためにカレーライスやラーメンがつくられるようになったのだとか。
ファミレスが人気になる以前は、こういう“まちのそば屋”がファミレス的な存在だったのかもしれない。
こういう“まちのそば屋”は、全国どこの街にもある。もしそのお店のメニューに「ラーメン」の文字があれば、一度食べてみてはどうだろうか?
アナタが中高年であれば、おそらく心を鷲づかみされるような郷愁あふれるビジュアルのラーメンが出てくると思いますよ。
紹介したお店
しなの
住所:東京都東村山市萩山町4-1-22
電話:042-391-9800
営業時間:11:30~14:00/17:30~19:30
定休日:木曜と第3水曜
八山庵
住所:東京都東村山市本町3-5-1
電話:042-395-4879
営業時間:11:00~20:00
定休日:月曜と第1日曜
著者:薄井政美
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