自炊というより自作…!チキンラーメンを小麦粉と鶏ガラから本気で手作りしてみた

NHKの朝ドラ「まんぷく」で再び注目を集めたインスタントラーメン。チキンラーメンを開発した日清食品の創業者・安藤百福がモデルになっていました。ドラマを観ていてチキンラーメンを思わず食べたくなってしまった人も多いのではないでしょうか。製品を買ってくればお安く手軽に食べられますが、今回はなんとチキンラーメンを自作してみます。鶏がらスープを煮詰めてスープエキスを作り、麺を打って製麺したら蒸して味付けをし、油で揚げて完成。ものすごく手間がかかるうえに最初はなかなかうまくいきませんでしたが、スープをさらに煮詰める、麺をもっと細くするといった改良を加えることでそれらしいものができあがりました。ものすごく時間とお金がかかりますが……。とはいえ、自作チキンラーメンの味は唯一無二です。(中華のグルメガイド

自炊というより自作…!チキンラーメンを小麦粉と鶏ガラから本気で手作りしてみた

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チキンラーメンを家で作ってみたい!

ちょっと前に「まんぷく」というテレビドラマで、今や日本の国民食とも言えるインスタントラーメンの開発秘話を放映していたが、あれを観てみんなもこう思ったはずだ。

「チキンラーメン、買って食べようかな!」

でははく、

「チキンラーメン、家でも作れるのでは?」

はい、はい、はい、と読者様の頷く声がここまで聞こえてくるようだ。

もちろんお湯を掛けて作るのではなく、チキンラーメンを小麦粉と鶏ガラから作るという話である。

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以前、当サイトの『あの「チキンラーメン」を小麦粉から手作りできる!横浜「カップヌードルミュージアム」を全力で楽しんできた』という記事で取材したカップヌードルミュージアムに、開発者である安藤百福さんの研究小屋が忠実に再現されていた。

その写真がこちらである。ドラマでもだいたい同じような小屋だった。

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小屋の奥に麺を揚げるためのやたらとでかい鍋が鎮座しているのと、テーブルの上に緑色をした家庭用製麺機という道具がある以外は、一般家庭とそんなに変わらない設備である。

そして肝心のチキンラーメンの作り方だって、もちろんドラマの断片的な情報だけでは不完全だが、ミュージアム内のチキンラーメンファクトリーという体験型アトラクションに参加して、その流れを一から教えてもらっているのだ。

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材料の配合など細かい部分はわからなくても、これらの情報を元にトライ&エラーを繰り返すことで、チキンラーメンっぽい即席麺が家でできるのではないだろうか。

鶏ガラを煮詰めてスープエキスを作る

まず最初に作るのが、麺に味付けをするスープエキス。現在発売されているチキンラーメンを確認してみると、醤油、チキンエキス、香辛料、糖類、他調味料各種が使われているようだ。

ちなみにチキンラーメンファクトリーで使われている材料は、チキンエキス、薄口醤油、アミノ酸調味料、香辛料エキスという説明があった。

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チキンラーメンが発売されたのは昭和33年(1958年)、当時からここまで複雑な材料だったとも思えないので、スーパーで買えるレベルで再現してみたいと思う。洗練された現行品の味ではなく、新発売当時の懐かしい味(生まれる前だが)を目指そうではないか。

ベースとなるスープを作るために用意した材料は、鶏ガラ750g、ショウガ1つ、ネギの青い部分1本分、ローリエ3枚、粗挽き胡椒小さじ半分。メインとなる鶏ガラの味を引き立たせる薬味と香辛料というシンプルな構成にしてみた。

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鶏ガラが徳島県産阿波尾鶏100グラム88円というのしか売っていなくて、これだけで660円もする。作るのは100円もしないチキンラーメンなのに。だが昔の鶏の味に近いであろう地鶏を使うことで、当時の味を再現できるのだとプラスに捉えさせていただこう。

これらを1リットルの水で煮込んで、素材から味を抽出する。

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沸騰してアクが出きったところで、そういえば昆布が入っていないなと3グラムほど足してみた。昆布に含まれるうまみ成分のグルタミン酸ナトリウムは、インスタントラーメンには必須だろう。

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煮込み始めてから1時間半、本当はもっと長く煮るのかもと思いつつ、もう鶏などのエキスは出きっているような気もするので、これを濾して煮詰めて濃縮する作業に入る。

今思うともう少し長く煮込んで、完全に食材を溶かしてもよかったかな。ちょっと焦ったか。

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これが濾した状態である。

ちょっと味を確認すると、さすが阿波尾鶏のスープ、ものすごくうまい。

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きっちりとショウガと胡椒が効いているが、これくらいのパンチがあったほうが麺の味付けとしてはいいだろう。鶏由来の自然な甘味があるので、糖類は不要と判断。

これに塩分だけプラスしてあげれば、本格的なラーメンスープになるだろうけど、インスタントラーメン用とするために煮詰めていく。なんだこの贅沢な作業は。

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269グラムまで煮詰まったところで、薄口醤油を大さじ5杯入れてみる。

醤油の塩分と旨味が加わって格段に美味しくなったが、これだとまだ全然味が薄いので、さらに5杯、合計150mlの醤油を加えた。スープエキスというか醤油ダレである。

ちなみにチキンラーメンは関西で生まれた味なので、ヒガシマルの薄口醤油にしてみた。

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これをさらに少し煮詰めて、380gになったところで完成とした。上に浮いている油は、鶏ガラからでた鶏油(チーユ)。冷まして固めて除去すべきか迷ったが、もったいないのでこのまま使用する。

こうして出来上がったのが、お湯に溶かせば美味しいラーメンスープになるスープエキス。果たして麺にまぶして揚げても、この味は残るのだろうか。

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家庭用製麺機で麺を作る

続いては麺づくり。ファクトリーで習った内容によると、練り水に含まれるのは、水、かんすい、塩、胡麻油。かんすいとは中華麺に必須のアルカリ性の添加物。生地に普通の麺には入らない胡麻油が加わるというのが特徴的だ。

そして粉は、小麦粉をベースに、ビタミン、カルシウム、卵粉が入る。さすがは食べる人の健康にこだわって開発された商品だけあって、栄養満点である。

さてここで問題となるのが卵粉の存在だ。これは生卵で代用すればいいのだが、ドラマでは卵の殻も麺に入れていたので、せっかくなので真似してみよう。きっとカルシウムも含まれるはずだ。

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卵の殻を麺に練りこむには、細かな粉末になるまで砕かねばいけない。発明家である百福(ドラマでは萬平)さんなら、適当な機械を自分で設計するのだろうけれど、さてどうしよう。

とりあえず家にあるミキサーで水と一緒に砕いてみようか。

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グイーーーーーン。

うん、全然だめだ。粉々にはなるけれど、粉末状にはなってくれない。このまま麺に入れたらアサリの砂ぐらいガリっとするやつだ。

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ならば殻をオーブンで焼いて乾燥させて、粉末状にする機械で砕いてみようか。

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先にこっちを試せという話なのだが、普段この道具をまったく使っていないため、これを持っていることを忘れていたのだ。

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ガイーーーーーーーーン。

すごい、ちゃんと粉末状になった。やっぱり餅は餅屋だね。

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ということで、生地に用意した材料は、強力粉(カメリア)500gに対して、水150g、胡麻油10g、かんすい(乾煎りした重曹=炭酸ナトリウム)1.5g、塩5g、卵の殻4.5g(1個分)、全卵25g(半分)である。ビタミンは気持ちの問題として、マルチビタミンのサプリを削って少々入れておいた。

この分量は、ドラマの中で突然料理教室風に始まった謎のシーンで表示された数値を一部参考にしている。ただしその生地は大失敗作だったのだが。

普通の麺に比べてかんすいの量が少ないのは(通常なら5~8gとか)、茹でることでかんすいの成分を逃がすことがない工程だからと思われる。かんすいはものすごく苦いため、控えめにしているのではという予想だ。

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小麦粉以外をよく混ぜた(といっても卵の殻は混ざらないが)練り水を注ぎながら、オカラ状になるよう力を入れずに混ぜていく。

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5分ほど混ぜた状態がこちら。

ファクトリーで作った生地に比べると、ちょっと固いかもしれない。

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これを一つにまとめて、麺棒で伸ばしていく。

生地からは胡麻油の良い香りがしてくる。

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麺棒を転がすのではなく、真上から体重を掛けて押しつぶすのがコツだ。

あれ、チキンラーメンの生地って、こんなに硬かったかな。

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伸ばしたら二つ折りにして、生地の向きを90度変えて、また伸ばす。

これを何度か繰り返して、生地をしっかりとまとめていく。

今更ながら説明すると、私の趣味は製麺作業である。

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ここから先は家庭用製麺機の出番。

『みんな「パスタマシン」を買うべきだ!うどんもパスタもラーメンも、手作りすると圧倒的に美味しくて楽しい』という記事で説明したように、中華麺作りはパスタマシンでもできる作業なのだが(ここまで生地が硬いと壊れるかも)、安藤百福さんの研究小屋にあったものと同じメーカーである、小野式製麺機を用意してみた。

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これは昭和43年製造の機械なので(板の裏に所有者がそう書いていた)、百福さんが開発した時期よりも時代が10年ほど新しい点、ご容赦いただきたい。

ちなみにドラマでは、小野式をあえて改造したオリジナルの製麺機が使われていたようだ(その考察はこちら)。

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この家庭用製麺機のローラー部分に生地を入れて伸ばし、それを折りたたんで伸ばすことを繰り返し、滑らかに鍛えたところで薄く伸ばしていく。生地の手ごたえは明らかに強すぎる。

記憶にあるファクトリーで回した手ごたえはもっと軽かったはずだ。ちょっと水分が少なすぎたか、強力粉100%だとグルテンが多すぎるのか。いやでも、ファクトリーで使っているのは現代版の製麺機で性能がこれよりも格段に良いため、ハンドルを回す手が軽かったのかもしれない。

とか考えているうちに、きれいな麺が完成した。

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ドラマでもファクトリーでも、この麺を1人前(100g)ずつギュッと手で揉む工程が入っていたので、その通りにする。柔らかい生地でこれをやると、麺同士がくっついてグチャグチャになってしまうのだが、この麺だと軽く握る分にはギリギリのところでくっつかなかった。

おや、意外とこの麺で正解なのかもしれない。

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生麺を蒸して味付けする

この麺をそのまま茹でれば、きっと美味しいちぢれ麺となるのだが、インスタントラーメンにするためには、ややこしい工程を経なくてはならない。

まずは蒸し器を用意して、揉んだ麺をザルにフワッと入れて蒸す。この作業はファクトリーだと係員任せなので詳細がわからないのだが、ドラマでは7分間と説明があったので、そのようにしてみよう。

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しっかりと強火で蒸すと、かんすいの熱反応なのか、麺がちょっと黄色くなった。

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確かドラマではジョウロを使ってスープエキスを麺にジャバジャバと掛けるのだが、今回は大量生産ではないので、ファクトリー方式でボウルを使って味付けをする。

まず素早く、少量の胡麻油を麺に絡める。スプレーボトルがあればベストだ。

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そしてまだ麺が熱いうちに、スープエキスを大さじ2杯分染みわたらせる。

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この作業も手早くやることが肝心。早めに数えての10カウント以内に行わなければならないと教わった。

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これを専用のカゴに入れて揚げるのが正しい揚げ方なのだが(研究小屋の写真で大鍋の横にあるやつ)、そんな専用の道具はさすがにもっていないので、適当な大きさの取っ手付きのザルを100円ショップで買ってきた。

よし揚げてやるぞと麺をセットすると、下からスープエキスがジョロジョロジョロー。あれー。

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しまった、どうやらスープエキスの煮詰め作業が余ったようで、麺に絡み切れていないようだ。これだけ流れ出てしまうと明らかに薄味なのだが、とりあえずはこれを揚げるしかない。

麺を油で揚げる「瞬間油熱乾燥法」に挑戦!

滴るスープエキスにちょっとしょんぼりしつつ、160度の油にそっと麺を沈める。

これこそが麺を油で揚げて乾燥させる「瞬間油熱乾燥法」である!

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ジョボボボボー。

油は昨日の天婦羅で使った残りのサラダ油に、少し香りづけに胡麻油を加えたもの。麺を揚げるには深さが必要なので、少し小さめの鍋に移し替えた。

普段は迷うことなくお湯で茹でている麺を、こうして油で揚げるという行為がなんだかおもしろい。いつもと違う電車に乗り込んでみるようなワクワク感。なるほど、これは新感覚だ。でも本当にこれをお湯で戻すとラーメンになるのだろうか。

揚げていると麺が浮いてきてしまうので、必死になって箸で押さえつける。この作業には蓋つきの専用カゴが必要な理由がよくわかった。やっぱりあれを作るべきだったか。

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ドラマの情報だと、麺の揚げ時間は本来なら2分らしいのだが、どうにも色づきが悪いので、時間を延長して4分間揚げてみた。それでも黄金色には輝いてくれない。

こうして出来上がったのが、長崎名物の皿うどん(太麺タイプ)である。

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だめだ、食べる前からわかるけど、これは全然チキンラーメンじゃない。

重さだけは商品版のチキンラーメンと同じ85gだけど、そういうことじゃないんですよ。

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自作版は色が薄すぎるし、麺が太すぎる。ちぢれ具合もちょっと足りないか。

それでも食べてみたら、意外とチキンラーメンだったりして。

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ちなみに本物はこちら。

ほら、全然違った。

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自作チキンラーメンの味は?

自作したチキンラーメンを丼に入れて、熱湯を掛けて蓋をして、期待半分、諦め半分で待つこと3分。

できあがったのがこちらである。

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うん、やっぱり色が薄くて麺が太い。

それでもカチカチだった麺はそれなりに柔らかくなっていて、食べられなくはなさそうだ。

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自分が作ったラーメンで、ここまで味が想像できないのは久しぶり。ドキドキしながら食べてみると、麺の感じが見た目よりはチキンラーメンっぽいことに驚いた。味が絶望的に薄すぎて食べる程に悲しくなるし、麺が太すぎて戻り具合がいまいちだけど、その失敗はあくまで想定内。

大切なのは、これがインスタントラーメンの延長線上にある食品だという嬉しい事実だ。

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このラーメンはまだ美味しくはないけれど、この先に明るい未来はきっとある。

っていうのは安藤百福さんの成功を知っているから言えるセリフであり、なにが正解かわからない段階から、あのチキンラーメンの味を作り上げたっていうのは、やっぱりすごいな。

改良版チキンラーメンを作ってみる

別に商品化を目指しているわけではないので、ここで終わりにしても良かったのだが、せっかくなので改良版を作ってみようか。安藤百福さんだって何度も失敗を繰り返しているのだから、その追体験をすべきだろう。

あの味の薄さはスープエキスを煮詰めることで解消されるはず。塩を少々足してから、焼き肉のタレよりも濃いくらいの粘度になるまで水分をしっかりと飛ばしてみた。この濃縮具合だと、あの材料を使って5杯分くらいしか味付けできない。うわぁ。

もっと簡単に安く作るのなら、ものすごく濃く溶いた市販の鶏がらスープの素に、醤油と塩を足して、煮詰めればいいんだろうけどね。

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麺の太さについては、生地の厚さでもある程度は調整可能だが、やはり切る刃の幅を変えないと根本的な解決にはならない。この時代に存在した家庭用製麺機の切り刃は、うどん・そば用なので、中華麺にはちょっと太いのだ。

そこで2.2ミリの標準的な切り刃から、1.5ミリという中華麺用を装備した製麺機にバトンタッチ。これは家庭用製麺機に中華麺の切り刃がないことに不満を持った方が作ったオリジナルの切り刃である。昭和の時代に家庭用製麺機用の1.5ミリ切り刃は存在しないはずなのだ。

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麺はこれできっとばっちり。ちなみに1.5ミリならパスタマシンの標準切り刃なので、わざわざこんなマニアックな機械を使わなくても、簡単に試作可能である。

それにしてもだ、2.2ミリの製麺機で開発したはずのチキンラーメンなのに、商品ではなぜもっと細い麺が使われているのかという謎が残る。

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もしかしたら当時の商品は今よりも麺が太かったというだけの話なのかもしれないが、発売当初も現在と同じ太さであるとすれば、こんな仮説はどうだろう。

チキンラーメンの製造方法がだんだんと固まって、いざ量産というタイミングで麺づくりを製麺所に依頼する際に(ドラマだとそうなっている)、切り刃の種類が多数ある業務用製麺機で作るにあたって、様々な麺の太さが試されて、その結果とて試作版よりも商品版は細くなったのだ!

これぞ実際に作ってみないとわからない、ドラマでは描かれなかった歴史の1ページである。なんてね。

そんなことを考えながらニヤニヤしつつ、前回よりも麺のちぢれを強くするため、少しコーンスターチの打ち粉をふるって、強く揉んでおく。

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さっき作ったやつを食べてみて、ちょっと蒸し足りない感じがしたのは、この麺の太さだからこその、蒸し時間7分というレシピなのだろう。

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きっと今度こそばっちり。特濃にしたスープエキスには鶏油がたっぷりと入っているので、胡麻油をまぶさずに、麺に直接スープエキスを大さじ2杯分絡めてみた。

この濃度だと麺からスープエキスが垂れることもないようだ。よし!

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百福さんの研究小屋やチキンラーメンファクトリーに比べると、揚げるための油の量が少なく温度が下がりやすいので、最初の温度を180度にして、そこから160度をキープして2分間揚げるという計画を立てた。

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さらに浮いてきた麺を抑えるために、麺を茹でる道具で上から押しこむ。

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イメージにある黄金色になるまで3分かかったが、今度こそチキンラーメンらしい香ばしい色に仕上がった。

よーし、よしよし。

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その断面を確認すると、ドラマでみた「多孔質化」をしてる!

萬平さん、多孔質化(たこうしつか)だよ!

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こうして出来上がった自作版2号を製品版と比べてみる。

なんだか全体的に一回り大きいが、かなりの完成度ではないだろうか。麺の幅はいいとして、切る前の生地の厚さをもっとペラペラにしなければいけなかったようだ。揚げ時間が余計にかかったのも、麺が厚かったせいだろう。

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試作版2号の味は如何に!

それでは運命の試食です。

お湯を掛けて3分待つ。

今度はかなり良いのでは!

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ちゃんと麺に絡ませたスープエキスがお湯に溶けて、それっぽい味になっている。適当な味付けの割には、しっかりとチキンラーメン感があるぞ。これこれ、この香ばしさ。

そして麺も幅が変わったことで格段の進化を見せてくれた。もちろんもう少し薄ければさらによかったのだが、チキンラーメン発売後に出回った粗悪品くらいのクオリティにはなっているのではなかろうか。

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すごい、インスタントラーメンはやっぱり家で作れるのだ。

ただし製造原価は1食あたり200円以上で、制作時間は4時間ほど。いくらで売れば黒字になるんだこれ。

もっと美味しいインスタントラーメンが100円程度で買えるのだから、これほど「買った方が安いし早い」食べ物もなかなかないだろう。でも経験として楽しかったので良し。

安藤百福さんの試作版も、きっとこんな味だったんじゃないかなと思うと感慨深い。

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ちなみに麺を揚げずに、そのままお湯で茹でて、スープエキスをお湯で溶いた生ラーメン方式だと、ツルツルとした喉越しの良い麺とショウガの効いた醤油味のスープがストレートに味わえる。

これぞ、自作しないと食べられない「生チキンラーメン」である。

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ただ卵の殻が練りこまれた麺は、風の強い日に海の家で焼かれた焼きそばのようにザリっていうのが玉に瑕。

生麺タイプは卵の殻抜きがおすすめである。

 

著者プロフィール

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玉置標本
趣味は食材の採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は古い家庭用製麺機を使った麺作りが趣味。

ツイッター:@hyouhon
ホームページ:私的標本
製麺活動:趣味の製麺

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