こんにちバーガー。ライターの玉置です。
いきなりで恐縮ですが、この記事をお読いただいているあなたにお聞きします。
ドムドムハンバーガーをご存知でしょうか。通称ドムドム。
▲ドムドムハンバーガーのマルエツ蕨北町店(2017年8月27日撮影)
私と同世代(アラフォー)の友人にちょっと聞いてみたところ、こんな声が返ってきました。
「あー、昔よくいってた!」
「好きだったけど、いつのまにか店が無くなってたなー」
「フードコートとかにあったよね」
「なんかお好み焼きのハンバーガー売ってなかった?」
「ドムドムってまだあるんだっけ?」
実は私も似たような感じで、記憶の中のハンバーガーチェーンという印象だったのですが、今年の春に事業譲渡がおこなわれ、ドムドムフードサービスという新会社として再出発したとニュースで知りました。
新しくなったドムドムハンバーガー、気になるじゃないですか。まだお好み焼きバーガーがあるのかとか、新作はどんなバーガーなのかとか。そこで夏の思い出作りにと、8月27日に埼玉県内唯一のドムドムであるマルエツ蕨北町店に家族でいったのですが、なんとお好み焼きバーガーや新作バーガーは9月からだったのです。
▲お好み焼きバーガーが復活している!でもまだ食べられない!ぎゃー!(2017年8月27日撮影)
ちゃんと調べなかった私が悪いですね。せっかくだからと今あるメニューをいただいたのですが、どのバーガーもサイドメニューも、想像していたよりもうまいんですよ。特に「ドムドム応援マガジン DOMain」という同人誌まで出しているドムドム大好きな友人が絶対に食べるべきと推薦してくれた「甘辛チキンバーガー」がただごとではない美味しさでした。
子供も喜ぶ甘辛のタレをまとったジューシーで柔らかな鶏モモ肉に、たっぷりのキャベツとマヨネーズという組み合わせがたまらないんです。皆さんが想像する味の2倍はおいしいかもしれません。
▲このフライドチキン、初めて食べるとびっくりしますよ(2017年8月27日撮影)
やるじゃないか、ドムドム!(謎の上から目線で恐縮です)
こうなると、残念ながら食べられなかった新メニューも試してみたい。
どうせなら、中の人に開発秘話なんかも聞いてみたい。
そこでドムドムフードサービスに取材を申し込んでみました!
▲指定された取材場所はイオン金沢八景店。ロゴが新しい!
▲スーパーバイザーを務める今井さん、商品開発などを担当する浅田さん、そして店長の小田切さん。
ドキドキのドムドムインタビュー
「まずはドムドムハンバーガーを知らない読者もいると思うので、歴史を簡単に教えていただけますか」
※早く新メニューが知りたいという方は、ビューンと読み飛ばしてください。
⇒早く新メニューが見たい
「ドムドムハンバーガーは日本で一番歴史の古いハンバーガーチェーン店で、1970年に1号店が町田にオープンしました。マクドナルドさんの銀座店ができる前の年です。親会社はダイエーで、その企業理念である『良い品をどんどん安く』から『どんどん(DONDON)』と名付けようとしたところ、他社が商標登録をしていたので、『ドムドム(DOMDOM)』になりました」
「それは……きっと結果オーライのネーミングですね」
「元々はダイエーがアメリカのマクドナルドと合弁会社を作ろうっていう話だったみたいですが、資本比率などの交渉がまとまらず、ダイエー独自のチェーンとして誕生しました。だからフードコート内にある店舗が多く、今でもここイオン金沢八景店や蕨北本店みたいに、イオンやマルエツの中にある店舗が多いんですよ」
「店舗数は最大で400~500店まで増えたのですが、ダイエーがウェンディ―ズとフランチャイズ契約をしたことで、ドムドムがウェンディ―ズへと転換をしたり、営業譲渡された先のオレンジフードコートという会社がクレープのチェーンに注力したり、いろいろあって37店舗まで減少しました」
「最盛期の1/10以下って、もはや絶滅危惧種じゃないですか」
「もしかしたら、緩やかに消えていく運命だったのかもしれません。そこに手を差し伸べてくれたのが、ホテルやゴルフ場の企業再生を手がけているレンブラントホールディングスです。ドムドムの歴史とブランド力を最大限に評価してくれ、そこに資本と人を投入すれば復活するだろうと、ドムドムフードサービスという新会社で再出発することになりました」
「なるほど。確かに僕らの世代だと、ドムドムを知らないっていう人はほとんどいないですね。お二人はずっとドムドムでやってきたのですか?」
「私は高校卒業後、バイトからそのまま20歳で就職しているので、ドムドム歴は30年以上です。途中で別事業のクレープを焼いたりもしましたが、やっぱりドムドムが好きなんですよ。ドムドムの仕事がしたい。だから、こうしてドムドムに特化した会社ができてくれたのはうれしかったですね」
▲ドムドムと共に人生を歩んできた今井さん。
「私はまったく逆で、オレンジフードコートではドムドムとは直接関係のない部署で、スウィーツの商品開発などをしていました。このドムドムフードサービスという会社が立ち上がることになり、こりゃグチャグチャになるだろうなー、そっちは大変だろうなーって思ったんですけど、それがおもしろそうだなと。決められたレールから外れてみようとこっちに来ました」
▲ドタバタのタイミングで、あえてドムドムに飛び込んできた浅田さん。
会社の経営陣や広報担当ではなく、長年ドムドムの現場を支えてきた人、そしてこれからのドムドムの商品開発を担当していく人に話が聞けるまたとないチャンス!
せっかくの機会なので、なかなか聞きにくいことも含めて、いろいろ伺っていきましょう。
▲ドムドムの同人誌を恐る恐る見せると、「DOMainって『ドムさんぽ』の人の本でしょ?社内でも有名ですよ。私も仲間に入れてほしいなー」と喜ぶ今井さん。懐が深い。
知られざるドムドムハンバーガーの歴史
「ドムドムというと、お好み焼きバーガーをはじめとする、ちょっと変わったバーガーの店というイメージなんですけど、そのあたりの変遷を教えてもらえますか」
「最初はやっぱりマクドナルドさんがライバルだったのですが、そのうちハンバーガーチェーンが増えていき、1980年代後半にセット戦争がはじまりました。マクドナルドさんが390円のサンキューセット、さらに360円に値下げしたサブロクセット、そしてロッテリアさんが380円のサンパチセットですね。今は当たり前のセット販売って、この頃からなんですよ」
「それは記憶にあります。私が確か小学生くらいの頃ですね。ドムドムもセット販売をしたんですか?」
「なんと350円のお見事セットを出しました。元々はドンドンハンバーガーですから。そんな低価格競争の時代のあとに、モスバーガーさんが登場して、品質重視の流れが生まれました。そこでドムドムもパティを合挽きからビーフ100%に変えたり、生のトマトを使ったりするようになります。この頃から独自商品の開発が盛んになって、グラタンやドリア、サンドウィッチなんかも試しました。こういうメニューは職人の気持ちになれるので、作るのが楽しんですよ。たまに作り方が複雑すぎてキッチンがひっくり返るけど」
▲ゾウのキャラクター(どむぞうくん)なのは、開店前にアンケートをした結果、動物の中でゾウが一番人気だったからだそうです。
▲ちょっとだけデザインが変わったけれど、今後もこのキャラクターは継続されます。
「1990年代から2000年位がドムドムの最盛期でしたね。あのバーガーは売れたねーっていう思い出はみんなこの頃です。ちょっと資料をまとめてみたんですが、お好み焼きバーガー、やきとりバーガー、ビーフカツバーガーとかがありました。えびシューマイバーガーとか、ギョーザバーガーなんていうのもあったみたいです」
「梅小町バーガーは売れなかったな。生の大根と梅ソースを挟んだヘルシーなバーガーだったんだけど。思い出深いのはイカゲソバーガー。店舗限定だったんだけど、うどん屋のトッピングにあるみたいな大きなイカゲソのフライを挟んだやつ。注文したおばあちゃんがびっくりしたって」
▲「こんな手みたいなイカゲソだったんだよ」と、熱く語る今井さん。ドムドムの思い出を語るトークショーとかやってほしい。
「その後、2005年にマクドナルドさんがはじめた100円マックに引っ張られて、また値下げ路線となって、その頃からだんだんと商品の独自性が薄くなってきました。大きく外さないであろう個性を抑えたバーガーが多く、冒険心が足りなかった。商品開発はまずベンチマークをしろといわれて、他社の商品を研究して似たようなものを出したり。いわゆるインスパイア系です。でもそれだと本家には勝てませんよね」
「どこかで見たことのある商品ではなく、これを食べたいからドムドムにいこうって思ってもらえる商品を、今後は積極的に出していかなければいけません。ドムドムらしさって、そこだと思うんですよ」
とっても思い切った発言の数々、ありがとうございます。正直なところ、8月にドムドムへ行ったときに、どっかで見たことのある商品が多いなーとは思いました。
では、お二方の熱い想いを伺ったところで、現在進行形のドムドムハンバーガーをいただいてみましょう!
これが最新型ドムドムハンバーガーだ!
「まずは発売になったばかりの新商品から紹介をお願いします!」
手作り厚焼きたまごバーガー(280円)
「どうぞ、これが自慢の新バーガーです!」
「え、たまごバーガー?……本気ですか?」
肉類は挟まずにたまごオンリー。さすが新生ドムドムハンバーガー、意外な方向から攻めてきます。
「喫茶店にあるような厚焼きたまごのサンドイッチをイメージしたもので、具は店内で焼く厚焼きたまごと辛子マヨネーズだけです。たまご焼きって地域ごとに味が違うので調整は大変でしたが、どこの方が食べてもフィットする味に仕上がっています。他社でやっていないし、やろうと思ってもできない。これくらい小さな規模のチェーンだからできるバーガーです!」
確かにはじめて見るタイプのバーガーです。たまごだけで大丈夫かなと不安いっぱいで食べてみたのですが、バンズよりも厚いたまご焼きがすっごくうまい。ダシの味がしっかりとしている上にトロトロ具合が絶妙で、パンとの相性もバッチリじゃないですか。
ドムドムにハンバーガー(肉)を食べに来たお客さんが、これを注文するのかは私にはわかりませんが、先入観なしに食べると相当うまいです。特にたまご焼き好きの方は、伝説になってしまう前に絶対食べた方がいいですよ!
お好み焼きバーガー(340円)
今日はこれを食べに来たといっても過言ではないバーガーです。なんでも18年振りの復活だそうで、私が食べるのは25年振りくらいでしょうか。当時の味はすっかり忘れましたが、これを頼むと「お、コイツやるな!」と、仲間内で一目置かれたような気がします。
具はお好み焼きと目玉焼きと生のキャベツ。久しぶりに食べてみると、想像よりも思いっきりお好み焼きを食べてる感があります。ソースの味がまさしくお好み焼きで、フワフワの焼き上がりが素敵。
生のキャベツがアクセントとして入ることで、飽きることなく食べられます。復活してくれてありがとう。
先程の手作り厚焼きたまごバーガーもそうですが、既存のハンバーガーとは路線が全く違うけれど、食べてみると意外とうまい!という味が、みんなが忘れかけていたドムドムらしさのひとつと言えそうです。
甘辛チキンバーガー(340円)
この前食べて、その美味しさに驚いた甘辛チキンバーガーは、メニューがリニューアルした後もありました。それもそのはず、なんと販売開始から20年間、ドムドムのハンバーガーでずっと1番の超人気商品なんだそうです。
チキン専門店でもないのにこれが1位というのは、ドムドム七不思議のひとつに思えそうですが、鶏モモ肉の一番良い部分を使ったというジューシーなフライドチキンと、和風でも中華でもないちょっとだけ辛いオリジナルソースの組み合わせは、食べれば1位も納得の味です。
ビッグドム(390円)
続いてはハンバーガーの王道ともいえる商品です。ダブルのパティにたっぷりのレタス、そしてオニオン、ピクルス、ケチャップ、マヨネーズと、しっかり真面目な組み合わせ。個人的にはファーストガンダム世代なので、ビッグドムという名前にグッときました。
どうしても変化球みたいなバーガーばかりに注目してしまいますが、こういうストレートなハンバーガーの味こそが、新生ドムドムの運命を握っているように思えます。
今年の9月に登場して以来、甘辛チキンバーガーに次ぐ人気商品となったというビッグドムの味は、ド定番という組み合わせだけに間違いのない美味しさです。
モリモリのレタスもうれしいですが、大きくカットされた3枚のピクルス(店内で手切り!)がとても効果的。大人が満足できるバーガーですね。
ビッグドムのあまりの人気ぶりに、さらなるフル装備版として「ビッグドムトマト&チーズ」という商品も追加されたそうです。これどうやって食べるんだと口をあんぐりさせてしまいましたが、豪快にかぶりつく気持ちよさが存分に味わえます。これで460円は安いのではないでしょうか。
根菜鶏つくねバーガー(360円)
これは素揚げした2枚のレンコンと、鶏のつくねがメインの具材の新作和風バーガーです。こちらにもレタスがたっぷりと入っています。
ガブリと食べれば、レンコン、レタス、つくね、バンズと、全く違う食感が口の中いっぱいに共鳴しあう楽しさがたまりません。
そして特徴的なのがタレの味付け。しっかりとショウガを効かせた、甘めの味がクセになります。
エビカツバーガー(380円)
エビカツのハンバーガーというのはドムドムが一番最初に発売したそうで(諸説ありますが)、当時の担当者がエビの産地であるタイまでいって作り上げたバーガーとのこと。人気ランキングは今も堂々の3位です。
たっぷりのタルタルソースとキャベツにエビカツという組み合わせの安定感がすごい。
甘辛チキンバーガーもそうですが、ハンバーガーというよりは高級惣菜パンという感じかもしれません。
バターコーン(220円)
最後にサイドメニューからバターコーンをいただきました。これも復活したメニューなので、懐かしいという方も多いのではないでしょうか。
マーガリンではなく贅沢に本物のバターを使っています。セットメニューを頼むときに、ポテトフライではなくバターコーンを組み合わせることができますよ。
このように商品を紹介すればするほど、読者の方にどれを頼むべきか迷わせているのではと心配になってきました。私も迷いすぎて苦しんでいます。他にも厳選ナチュラルチーズバーガーとか気になる商品があるんですよね。
お財布と胃袋に余裕がある方は、ぜひ何種類か注文してみてください。ハンバーガーの2個食い、3個食いって、ものすごーく贅沢した気分になります。私はさすがに食べすぎましたが。
今井さん、浅田さんからのメッセージ
では最後に、今井さんと浅田さんから一言ずついただきましょう。
「ドムドムのブランド力っていうのはやっぱり強くて、出店してほしいという話をとても多くいただいています。今後はフードコートだけでなく、チャンスのある場所にはどんどん出店していきたいですね。新店舗の数だけ店長を育てないといけないので、私もがんばりますよ!」
「まだまだ手探りな状態ですが、幅広い層をターゲットにしつつ、ドムドムらしい、ちょっと外れたような、でも食べたくなっちゃう商品を開発していきたいです。この規模のチェーンだからこそできる、ひと手間かけたこだわりの商品。そしてスタッフが自信を持って売れる商品。来月からは毎月新商品を出す予定で、『こんなの挟むの?』っていわれるくらいの商品もぶちこんでいきますよ!」
ということで、今後の商品展開がとても気になるドムドムハンバーガーでした!
家の近所にできないかなー。
特別に、「ビッグドム」の調理現場を撮影させてもらいました。レタスのボリュームがすごい。
取材したお店
ドムドムハンバーガー イオン金沢八景店
住所:神奈川県横浜市金沢区泥亀1-27-1 イオン金沢八景店内
TEL:045-788-7035
12/8には厚木店がニューオープンしたそうです。しかも路面店!
ドムドムハンバーガー 厚木店
住所:神奈川県厚木市中町3-12-7
TEL:046-240-7261
ドムドムハンバーガーの店舗一覧はこちらからどうぞ
⇒ドムドムハンバーガーの店舗一覧-レストラン ブランド情報【ぐるなび】
プロフィール
玉置標本
趣味は食材の採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は古い家庭用製麺機を使った麺作りが趣味。