大阪だし文化の奥深さよ…! きつねうどん発祥の店・心斎橋「うさみ亭マツバヤ」で、地元民が愛する「おじやうどん」とは

大阪で「きつねうどん発祥のお店」として有名な「うさみ亭マツバヤ」(大阪府大阪市中央区南船場3-8-1 )を紹介します。大阪と言えばなんと言ってもたこ焼き・お好み焼きの「粉モン」文化ですが、大阪グルメの真髄は「ダシ」の文化です。うどんのつゆこそ究極の大阪グルメ…ということで、今回は元祖きつねうどんのお店のきつねうどんと、もう一つの名物「おじやうどん」を紹介します。明治大阪のダシ文化、奥が超深いんです。(心斎橋のグルメうどん

大阪だし文化の奥深さよ…! きつねうどん発祥の店・心斎橋「うさみ亭マツバヤ」で、地元民が愛する「おじやうどん」とは

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みんなのごはんの読者の皆さん、こんにちは。はらぺこライターの旅人間といいます。

旅と食べ歩きが大好きで、旅先では1日5食は当たり前。気取ったお洒落な店よりも地元の人が集う食堂、商売っ気のない素朴な店、また古きを愛し大切な味を真摯に受け継ぐ隠れた名店、そんな店々を深く愛しています。

ここでは私の地元、大阪のグルメを定番から穴場まで幅広く紹介していきます。よろしくお願いします。

 

大阪でだし文化とうどんを語る上で絶対に外せない店「うさみ亭マツバヤ 」

古くから“食いだおれ”として親しまれている大阪の食文化。現在ではお好み焼きたこ焼きと言った「粉もん」は大阪グルメの代名詞。

しかし大阪の「だしの文化」も忘れてはいけません。大阪のだし文化の真髄とも言える「うどん」は古くから大阪人に愛されてきたソウルフードなのです。


大阪うどんを語る上で絶対に外せない店と言えば、明治26年創業の「うさみ亭マツバヤ 」でしょう。この店は「きつねうどん」の発祥としても知られる大阪の名店です。

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観光客や地元の人達で賑わう心斎橋筋商店街から路地を抜け、オフィス街と飲食店がひしめきあう中、老舗の存在感あるお店の前に到着すると「元祖きつねうどん」「船場の味おじやうどんの看板が目に入ります。

 

おじやうどんとは、うどんとご飯が一緒になったこの店の名物料理のこと。炭水化物と炭水化物が合わさった、いかにも大阪らしいメニュー。これが大阪人の心を掴み、今では日本で最初に誕生した名物の「きつねうどん」を飛び越して一番人気だとか。

 

この店の前にある2枚看板を目の前にすると、どちらを食べるべきか悩ましい……。

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暖簾をくくり、お店の中に足を一歩踏み入れた瞬間に感じるだしの香り。心の中からホッと安らぐ感じがたまりません。「あぁ~これだ!」と心が躍り出します。

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「いらっしゃい」と笑顔で迎えてくれる女将さんは、いかにも大阪人らしく愛嬌抜群。話しかけると1.5倍の回答が返って来て、気が付いたら世間話をしてしまいます。

店の奥にいる大将は女将さんとは対照的に頑固一徹な雰囲気、おそるおそる話しかけると、ニコッと笑いながら嬉しそうに応じてくれます。

この職人気質な大将の人間性も含め、まるでドラマのワンシーンに出てきそうな店の温もりもまた魅力的です。

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席に座ってメニューを見ると、さぁ困った。「きつねうどん」にするか「おじやうどん」にするか再び悩みます。しかも、それ以外にも美味しそうなメニューがいっぱい……。

あまり悩んでいると、女将さんから「おじやうどんは、米とご飯が一緒でボリュームあるし、鉄鍋なので寒い日には体が温まっておすすめやね」と言ったアドバイスが入ることも。

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「おじやうどん」は単なる炭水化物×炭水化物では断じてない

ちなみに、この「おじやうどん」も実は歴史と物語があるんです、それは今の大将の先代の頃の話。

かつお節が手に入らない、醤油も少ないと言った戦時中、食材が欠乏する中で「これやったらご飯も麺も半分でいける」と手に入る材料を混ぜ込んで作った料理が「おじやうどん」でした。

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当時は中央市場で、マグロのせせり(マグロの骨と骨の間に残った身をスプーンでほぐし取ったもの)をおじやうどんに入れたりもしていたそうで、この料理がお客さんに大そう喜ばれ、戦後になってからも「あれ食べたい」と言われることが多くなり、オリジナルのメニューとして「おじやうどん」が再登場したそうな。

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もちろん、現在のおじやうどんは、戦時中と違って具も色々入っています。

特製の四角い鉄鍋に、麺とご飯、穴子、鶏肉、カマボコ、椎茸、細かく切ったお揚げさん、根深ネギ、甘酢生姜、そして生卵。

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おじやうどんを、炭水化物と炭水化物が合わさった大阪らしい料理……そんな部分だけを取り上げて、まるでお好み焼きとライスと同じような感覚で捉えていた自分が恥ずかしくなるような深みある一品。

戦争で食べるものが少なかった時代、この料理が多くの人の心を豊かにしていたに違いありません。

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それにしても、だしの旨みが見事。このだし汁の中に麺とご飯が一緒になっていることに違和感どころか、達成感を感じます。あぁ、鶏肉と穴子が実に良い仕事をしてます。卵にいたっては抱きしめてあげたいほどのナイスプレー。カマボコの歯ごたえ。そして後口をサッパリとしてくれる甘酢生姜。鉄鍋に入っている全ての素材が大活躍しています。これは実に美味しい。そして最後の一口まで熱々で、体も温まります。


もし海外に生活していて、5年ぶりに日本に帰国したとしたら何が食べたくなるか?ふとそんなことを考えてみると……。いろいろと頭に浮かぶ中で、きっと最後の最後の選択肢に残るのは「うどん」ではないでしょうか。

 

そう、うどんは日本人の心。そのうどんの定番メニューである「きつねうどん」。このきつねうどんが日本で最初に誕生した店がココ!だから、この店に来て「きつねうどん」を食べずに帰るのは、あまりにもったいない……ここは食べておかないと必ず後悔することになるでしょう。

 

きつねうどん」は明治26年にはじまった

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大阪は古来より水陸両方から様々な食材が集まる「天下の台所」と呼ばれた場所。小麦、塩、昆布をはじめ、新鮮でいい具材が大阪には集まっていました。全国から選び抜かれた材料をもとに作られたのが大阪うどんの特徴です。

あっさり、こってり、まったり、が三位一体になった「はんなり」した味が大阪のだしの味。口に入れた時の上品さ、深いコクとなめらかな舌触り、そして口に残るしつこさがありながら全体にあっさりとした余韻が楽しめる風味。この三つの味が上手く調和した味だからこそ、辛い、甘い、と簡単に表現できない。それが大阪うどんの奥深さ。

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洗練されただしに甘く煮込んだおあげさんを入れた「きつねうどん」の始まりは明治26年まで遡るそうです。

うどんに添えておあげさんと魚のすり身の天ぷらを出した所、お客さんが、うどんの中におあげさんを入れて食べるようになったのが「きつねうどん」誕生のキッカケ。この界隈ではお稲荷さんを信仰している人も多く、毎日おあげさんをお供えしているから、素うどんにおあげさんを付けて出したのは、そんな意味もあったんだとか。

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その当時は、おあげさんの数は2枚。お稲荷さんは、おきつねさんが一対。あうんの呼吸通内で、夫婦円満の意味も込められていたとも、その頃のきつねうどんは「こんこんさん」と言う名で親しまれていたといった逸話も残っています。

だしの色が濃く感じるけど、これは醤油の色。見た目以上に柔らかい味。そこにおあげさんの甘さが加わると絶妙な旨みが際立ちます。きつねうどんは、麺が勝っても、汁が勝っても、具が勝ってもダメ。バランスが命。創業の頃と少し形は変わったとしても、今も変わらず引き継がれている秘伝の味は体の芯から「うまい」と叫びたくなります。やっぱり本物は違います。まさに大阪の味です。

器を持ち上げ、うどんのだしを飲み、器をテーブルに戻した頃に「あぁ~」と体に染みこむ感じ。この絶妙な大阪の「だし」の真髄を極めた「うさみ亭マツバヤ」は、もはや大阪人の心の味と言えるでしょう。

 

紹介したお店

うさみ亭マツバヤ

住所:大阪大阪市中央区南船場3-8-1 

TEL:06-6251-3339

https://r.gnavi.co.jp/2ghcr2rz0000/

※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。  

 

プロフィール

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旅人間

旅と食べ歩きが大好きで「旅人間」のペンネームでライターをしています。マラッカ海峡に沈んだお宝をマレーシアに探しに行ったり、トムソーヤに出て来そうな本格的なツリーハウス探し、またタイの首長族の村に泊りに行くなど、個性的な旅マニアです。現在は関西を中心に美味しいグルメの食べ歩きに夢中でメタボ街道まっしぐら。はらぺこライター。

ブログ:http://tabi2deru.com/

                             
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