こんにちは、福岡在住ライターの篠原修司(@digimaga)です。
冬といえば「牡蠣小屋」の季節ですが、牡蠣小屋ってどこで生まれたか知ってますか?
じつは、佐賀県の太良町(たらちょう)という場所が発祥の地なんです。
この太良町が発祥という話はライターのヨッピーさんに聞きまして、「絶対に取材に行く!」と楽しみにしていました。
だから、2018年冬シーズン、まだ牡蠣を食べていません!
正直スーパーで生牡蠣のパックを見たり、牡蠣小屋の横を通ったりしたときとか牡蠣が食べたくなってメチャクチャ辛かったんですが、我慢しました。
牡蠣が食べたいときはタラの白子を食べると少し気持ちを抑えられます。豆知識です。
こうして年末年始は忙しくて行く余裕がなかったのですが、今回、ようやく太良町に伺うことができました。
だからせっかくなので、太良町で最初に牡蠣小屋を始められたというお店「園(その)」に行ってきました。
日本全国で楽しめる牡蠣小屋はどうやって生まれたのか?
その秘密に迫ります。
甘みと旨味が断然ちがう!竹崎カキの美味しさに悶絶
というわけで福岡市内から車で片道2時間以上かけ、やってきました「園」です。
この写真を見て、
「牡蠣じゃなくてカニじゃん」って思いましたよね?
あってます。カニです。
牡蠣小屋発祥のお店は、カニや海産物の直売所なんです。
そんな直売所で、今回は特別に店長の木下さんに牡蠣を焼いていただきながら、これまでの貴重な誕生秘話を聞かせてもらいました。ありがとうございます。
これまでの牡蠣の概念がかわる「竹崎カキ」
さて、牡蠣小屋発祥の太良町では「竹崎カキ」というブランド牡蠣を売っています。
竹崎カキは外海と比べて塩分濃度の低い有明海で育てられているため、その甘みが特徴的なんだそうです。
その竹崎カキが今、目の前に!
まあ、見た目はほかの牡蠣と同じなんですけど。
でもほんの数分後には牡蠣の口がパカッと開き……
中から美味しそうな牡蠣が現れます。
うん、もう取材とかどうでもよくなってきた!!!
そして思いませんか? デカいと
竹崎カキは身の水分も少ないため、焼いても身があまり縮まないのも特徴なんです。
もう焼きあがっているのに、殻とあまり大きさが変わりません。強すぎる。
こんな牡蠣、絶対に美味しいでしょ!!
竹崎カキは何もつけずに食べるのが最強!
それでは食べていきます。
店長の木下さんに「竹崎カキは何もつけないのが一番うまいよ」と言われたので、そのままパクりといきます。
何これ、めっちゃ美味い!
ハンパなく美味い!
この取材のためだけに2018年からずっと牡蠣小屋に行くのを我慢していたことを考慮しても、これまでの牡蠣とはレベルが違う!!
牡蠣の味が濃いだけではなく、甘みが断然違います!
この甘みのおかげで旨味もハッキリ。海のミルク、こういうことやったんや……。
これは…これは最高の牡蠣や……こんな美味い牡蠣は食べたことがない……!
ちなみにポン酢も用意されているのでかけてみましたが、個人的にはない方が好きです
。
そのままが一番ウマい!
と、声を大にして言いたい。絶対、そのままがいい。
コスパ最強小粒牡蠣。小さいけれど身はぎっしり!
あとは注文した牡蠣をひたすら焼くだけですが、「園」は直売所なので牡蠣にもサイズの違いがあります。
そう、小粒の牡蠣もあるんです。
もちろん同じ竹崎カキのブランド牡蠣です。
海から揚げたときに小さかったというだけの存在。
大きさの比較としては左が大、右が小です。
これだけ差があると「やっぱ大かな」と思うでしょうし、せっかく牡蠣小屋にきたのだからまずは大を食べてみるのは正解なんですが……
小も正解です!!
見てください。この美味しそうな牡蠣を。
小さいけれど身はぎっしり。
どれを開けても美味しそうな牡蠣ちゃんとご対面できます。あー、たまらん。
何より小粒牡蠣は同じ値段でたくさんの量が入っているのも嬉しいポイント。
なるべくたくさんの牡蠣を食べたいなら小です。
殻をあけて、中身をチュルン。
空いた場所に新しい小粒牡蠣を載せて、そしてまた焼けるのを待つ。
これをエンドレスできます。
たくさんあるのでなが~く牡蠣を楽しめますよ。
そして、この牡蠣はどちらもお持ち帰りできます。
つまり家に帰ってからも牡蠣を楽しめるんです(楽しみました!)。
ドラム缶と薪から生まれた元祖牡蠣小屋
冒頭で、こちらのお店「園」はカニや海産物の直売所と書きました。
今も牡蠣やそのほかの海産物が売られています。
もちろんカニもあります。
なぜ海産物の直売所から牡蠣小屋が始まったのでしょうか?
最初に牡蠣を店先で焼き始めた理由は、牡蠣の味見です。
まだ「竹崎カキ」というブランドがない時代。販売している持ち帰り用の美味しい牡蠣を買ってもらうため、34年前(1985年)に初代の店長がドラム缶で焼き始めたのがきっかけだそうです。
しかも、今のように炭ではなく薪で焼いていたそうです。
もちろんドラム缶で直焼きなので屋根なんてありません。
雨が降ったときはブルーシートで防いでいたそうです。
また、薪なので牡蠣の汁が落ちるとかなりの煙が出て大変だったとか。
でも、そんな「売ってる牡蠣を食べられる直売所」は徐々に有名になり、牡蠣小屋を始めてから3年後には……お隣さんも牡蠣小屋を始めてしまいました!
それから10年くらいで一気に太良町に広がり、私が住む福岡県糸島市の漁協組合はもとより、日本全国各地から視察団が訪れるようになりました。
こうして、牡蠣小屋は日本に広がっていったのです。
牡蠣小屋の文化って、意外とまだ新しかったんですねぇ。
そんな牡蠣小屋の元祖が、先ほど牡蠣を焼いていただいたこの炭火焼きハウス。
ハウス内は牡蠣を焼くテーブルでいっぱいです。
これと同じくらいの広さの建物が隣にあり、全部で300人くらい入れるそうです。
牡蠣だけでなく、かにめし&かに汁もオススメ
そして、読者の皆さんは忘れてはいませんか?
「園」はカニのお店だと。
牡蠣小屋では牡蠣だけではなく、カニも食べられるんです。
なかでもオススメは「かにめし&かに汁セット」(1,100円)です。
「園」なら「竹崎カキ」だけではなく、「竹崎カニ」も一緒に食べられるんです。
まずはかにめしからいきましょう。
アツアツなので湯気がすごい。
かにめしをすくってみると……カニの身だけではなく、かにみそも入っていることがわかりますよね?
そして食べると……もちもち!
思わず「これモチ米入ってますか?」と聞いたほど。
でも、入っていないそうです。
地元太良町の契約農家から仕入れている、市販には出回っていないお米だとか。
なにそれ、売ってください。
普通、炊き込みごはんはパサッとしてるイメージがありますが、このかにめしはもちもちです。
そしてカニとお米の自然な甘さが良い。
なかなか食べられない味です。
続いてかに汁です。
こちらはなんと……カニが半身でドーンと入ってます!
普通、かに汁といったら申し訳程度にカニの脚が1本、2本入ってるくらいじゃないですか?
でも「園」は半身。じつは竹崎カニの旬は夏~秋で、冬はカニが獲れにくいらしいのですが、それでも半身が入っています。
もちろん身もみそもぎっしりで食べごたえあります。
カニが、カニがうまい!
かに汁じゃない、今、俺はカニを食っている!!
と、カニの美味しさに感動しながら、汁の方も味わってみてください。
飲むとわかるのですが、柑橘系の香りがして濃厚なカニ出汁のお味噌汁なのに後味がさわやか。
なんでも柚子胡椒を入れているそうです。
辛さをまったく感じなかったので、柚子胡椒とはわかりませんでした。
こんなかにめしとかに汁、そうそうない。
1,100円でこれだけのものが食べられるのは「園」だけです。
ちなみに牡蠣のシーズンは3月で終わってしまうのが通例ですが、「園」では冷却装置を使って5月のゴールデン・ウィークまで竹崎カキをもたせているそうです。
だから、GWまで美味しい牡蠣を食べられます。
なお、カニは通年でやっているためこちらはいつでも大丈夫。
夏場はオス、冬場はメスが美味しいとのこと。
店内
さきほどは牡蠣小屋を紹介しましたが、カニをメインで食べる場合はレストランの方もあります。
こちらは個室もあるため、牡蠣の煙に燻されることなくゆっくり食べられます。
竹崎カキと竹崎カニ、ぜひ食べに行ってみてください!
マジでうまいです!!
メニュー
牡蠣小屋メニュー
レストランメニュー
紹介したお店
- 店名:園(その)
- 電話番号:0954-68-2277
- 住所:佐賀県藤津郡太良町大浦乙124-21
- 営業時間:9:00~18:00(18時以降は要予約)
- 定休日:不定休
アクセス
車の場合:九州自動車道、武雄北方インターから下道を約50分(駐車場100台)
交通機関の場合:鹿島バスセンターから県境路線に乗車して牟田で下車