長梅雨そして感染拡大…被災された方や罹患された方にお見舞い申し上げます。私、シマヅの方はと言えば…さすがになかなか疲れてきました。お外に出たい、美味しいご飯が食べたい、豪快に肉にかぶりついてビールで流し込みたい…!
筆者と同じようにどうかなってしまいそうな方も多いでしょう…そんな人にそっとおススメしたいのが、高田馬場にある「高田馬場ビール食堂」さんです。
こちらのお店の売りは、世界各国のクラフトビールと激ウマなチキンの丸焼き。取材したのは今年の3月なのですが、思い出しただけでまた行きたくなってきた……!
改めて言いたい、お店で飲むビールは最高だぞ
高田馬場駅から徒歩2分、学生向け飲み屋の街の「さかえ通り」の一番端。神田川を見下ろす風情ある環境ではややオシャレ過ぎる感すらあるのがビール食堂。
通りからはロースターで焼かれるチキンが見え、食欲をそそります。
店内は高田馬場とは思えない(失礼)オシャレさ。女性1人客も気兼ねなく入れる、カフェのような雰囲気です。
唯一カフェと違うのは、やはり、カウンターにズラリと並んだサーバーの数。多種多様なクラフトビールを世界中から仕入れているとあって、サーバーの数も多いのです。
学生向け格安居酒屋などが多い高田馬場でこうした店を開店した理由を、お店の方に伺ってみました。
「基本的には自分が好きな物を揃えてみたという感じです。クラフトビールはどんどん新しい銘柄が出てきますし、20リットルの樽を仕入れて、無くなったらまた新しい物を。常に新しくエキサイティングな物をお客さんに楽しんでもらおうと思ったんです。高田馬場、何軒かクラフトビールのお店あるんですけど、それぞれ仕入れる物も違うんで、競合ではなく、一緒に盛り上げていければと」
ビール好きは高田馬場に集合、ってことですね。しかし、まったく知識が無い場合は、どうすれば良いのでしょう? 聞いたことない銘柄ばかりの中で、なにを手掛かりに注文すればいいのか……?
「ウチはアメリカンが多いですけど、特にこだわりのない場合、『飲みやすい物を』『苦みの強めなやつを』など言ってくれれば、それに近い物をおすすめできます。通の方は、店員に聞くまでもなく決めているか、初めての方と同じように『〇〇に近いような、コク強めのやつはどれ?』と訊いたりですね」
地酒みたいな感覚ですね! お店の方によると、クラフトビール通の方々はSNSなどでレビューしたり、気になる銘柄を仕入れた店を見つけたら行ってみたり紹介しあったりと、映画ファンや音楽ファンのように情報交換しているそうです。
私はクラフトビールの知識が乏しいので、「なんか、爽やかな、素人向けの、とっつきやすい、それでいて普段は目にしないような……そういうのをください」という漠然としたオーダーをしてみたところ、お店の方が快く注いでくれたのがこちら。
明るい黄金色のビール、「バッツ」。スウェーデンのウィザードブルーイングという醸造所が作った、ベルリナーヴァイセスタイルのビールです。「魔法使いの醸造所」が作った「コウモリ」という名のビール……中二病がフツフツと沸き上がり、邪気眼が疼きます。
しかし、飲んでみたらアラ意外。果実酒のような爽やかな香りとマンゴー&シトラスのような酸味。食前酒のようにサッパリといただけます。アルコール度数も4.5%と低めなので、女性向きかも。
料理はオシャレなのにボリューム満点!ビールも進む…!
食前酒を頼んだら、やはり食を頼まなければ……ということで、メニューを見て前菜盛り合わせをオーダー。
出て来るまで少しかかるだろうなと思っていたら、お店の方が「まずは、お通しをどうぞ」ということで小さなお椀を出してくれました。それがこちら!
……どうですか。
見ても何が何だかわからないじゃないですか?
説明を聞いてびっくり「半熟卵の黄身の、トリュフじょうゆ掛け」です。マジかよ、こんなの食ったことねぇ! プルプルの黄身にトリュフの香り、食欲をそそる醤油でさっぱりいただきます。
お通しがこのレベルとは……。わけわからん野菜の切れ端にマヨをビチャー! みたいな、席料ドロボウ的な品とは正直、次元が違います(小声)。
これはビールが進んでしまう。しかし、何を頼めばいいのかわからん!
「なんか、爽やかな、苦みもある、かっこいいやつを……」と、例の如く漠然としたオーダー。
お店の方が選んでくれたのが、こちら!
フリモントブリューイング社の、「ヘッドフル・オブ・ダイナマイトver.17」!
おいなんだ、そのヤバそうな名前! 「ダイナマイトで頭がいっぱい」しかもver.17って、ずいぶんダイナマイトのことばかり考えてるじゃないか! しかもグラスいっぱいに注がれている!! 飲みづらそう!!
案の定、飲みにくいですが、それは最初の一口だけ。こちらも口当たりはオレンジ風味の、トロピカルな印象。その後に苦みが来るのですが、いわゆるIPA(インディアン・ペール・エール)ほどのヘヴィな苦さではなく、快い程度に抑えられています。これは「ヘイジーIPA」というジャンルに分類されるそうです。へー!
そうこうしていると、前菜盛り合わせが到着。
ドーン!
すごい迫力!!
鴨、トントロ、紋甲イカ、チーズ、玉子などの燻製、鶏レバーのムース、ピクルス、豚&鶏のハム、牡蠣のオイル漬け、ゴボウの胡麻ペーストマヨ和え、ポテサラ……。なんちゅう豪華さ! 大人数のグループで来ても全員が十分に楽しめます。紋甲イカの燻製の香り高さと味わい、そして絶妙な食感といったら……数人で店を訪れた場合、この盛り合わせは是非頼むべきです。おひとりさまだとボリューミー過ぎるかも知れませんが。
おひとりさまにオススメなのが、こちらのダチョウのユッケです。
いまやユッケは絶滅危惧種になってしまいましたが、こちらはダチョウのお肉。衛生的に処理され生食が可能な水準で出荷されています。赤身牛のような味わい、コクのあるタレを、生卵と絡めていただきます。おひとり様でも、シェアしても満足できる逸品。
名物ローストチキンと"凄い"ビールでノックダウン!
ダチョウは鳥類……鳥類と言えば、店に入る前に何か見たような……ハッ! ローストチキンだ!
マスター、チキンを! チキンを一羽ください! 丸ごと!!
こちらが看板メニュー「つくば鶏のロティサリーチキン」。通常はカットして出してくれるのですが、「写真撮りたいです!」と申し出たところ、そのまま出していただけました。おお……丸ごと一羽を前にした、この迫力と来たら……こいつは気合いを入れて挑むしかねえ!
……と、鼻息を荒くしましたが、どこからどうやって食べたらいいのか分からなかったので、結局カットしてもらいました。
しかし、なぜつくば鶏にこだわっているのか? その理由を尋ねてみたところ、「もともと僕は鶏肉が好きで、名物料理にしようと思っていたんですけど、どこの鶏を使えばいいか悩んで他店の料理長に色々と聴いたんです。その中で、味わいはありつつもクセが無くてさっぱりしていると教えられたのが、つくば鶏。実際、ローストしてみるとブロイラーなどと違って臭みがないんです。だから大量のハーブやスパイスで臭み消しをしなくても、最小限の味付けで美味しい」とのこと。
実際、食べてみると、ギトギトした脂っぽさや過剰な味付けが無く、味わい深いのにあっさり!
そのまま食べるもよし、レモンを絞ってサッパリさせるもよし、付け合わせのケイジャンスパイスを足してエスニックな味わいを楽しむもよし。コクが欲しい方は、お店特製の、パセリやニンニクを練り込んだクリームチーズを使うことも可能。ビールのおともに最適!!
ということで、ビールを追加注文。
ほかのお客さんがオーダーしていたのですが、その際に店長さんが「今の時間(夕方5時)から飲んで大丈夫?」と念を押していたので気になっていた「チョコレート・ストロベリー・ビア・バニラ・ケーキ」という凄い名前の一杯。
スウェーデンの醸造所が作ったスタウトで、真っ黒でミステリアスなビールなのですが、本当に「ストロベリーチョコ&バニラのケーキだ!」と驚く。ただしアルコール度数は12.3%と、ワイン並み。けっこうヘヴィでガツンとしたアルコールなので飲みすぎ注意!
私はこの1杯でかなり酔いが回ったのとボリューム満点な料理でお腹がはち切れそうになり、ほかに食べたいものも飲みたいものもあったけれどギブアップ。いやー、しかし大満足!
テイクアウトももちろん対応してます!
とても美味しいビールとお料理を提供してくれる「高田馬場ビール食堂」さん。コロナの影響もあって提供できるビールの数を絞っている日もありますが、お料理のテイクアウトも可能となっています。
でもやっぱり、またお店で味わいたい!
梅雨明けとコロナの収束・終息を心から願っています。
紹介したお店
著者プロフィール
ライター/シマヅ
1988年生まれ。フリーライター。 武蔵野美術大学造形学 部芸術文化学科を卒業後、2年ほど美術業界を転々としていたが現在は主にWEB上で文章を書き生計を立てている。女性向けコラム、インタ ビュー記事、グルメレポート、体験記事など、幅広い分野で執筆活動を行う。