ふしぎ指圧の斎藤充博です。ぼくは埼玉県に住んで足かけ10年。今日はとっておきの埼玉スポットをご紹介したいと思います。それは……
埼玉県運転免許センター
あそこの「パンチ丼」がめちゃくちゃうまいんです。
「鴻巣に行く」=免許センター
だいたいどこの都道府県でも「免許センターは不便なところにある」というのはあるあるとして伝わるんじゃないか。
我らが埼玉県の免許センターがあるのは鴻巣市だ。地理的には県の中央部に位置しているのだが、県の人口は南側に極端に寄っており、ちょっと不便。そのため「鴻巣に行く」というと「ああ、免許センターだな」と思ってしまう。
しかしちょっと待ってほしい。埼玉県の免許センターには「レストランけやき」がある。これだけで大宮で快速アーバン号に乗り換える価値があるといっておこう。
これが「レストランけやき」だ
というわけで「レストランけやき」のために免許センターにやってきた。
「レストランけやき」は食券方式の「食堂」だ。飾らない設備がリアルな昭和レトロ感かもしだしてくる。ここをレストランといい切るのがすがすがしい。
この何も主張してこない風景はものすごく落ち着く。
クリーム色をしたテーブルの天板と、イスの緑色の取り合わせがいい。100年先にも残しておきたいセットである。
さて、問題のメニュー構成だ。普通のそばやカレーにまじって急に埼玉県名物が登場してくる。
埼玉県名物肉汁うどん
肉汁うどんだ。
汁が本格的で、あのえげつない濃さを遠慮なく再現している。具は大きめにカットされた油揚げと豚バラとネギでぬかりない。
麺は気前よく1.5玉。最高。 今すぐ国道17号線沿いに店を出してほしくなる味だ。
埼玉県名物「パンチ」とは
そしてもう一つ「パンチ定食」。「パンチって何ですか?」なんて食堂のおばちゃんに聞いてしまうと非埼玉県民とバレてしまうので注意していただきたい。モツ煮込みのことである。
埼玉県民のソウルフードといえなくもないパンチ定食。いや、この際ソウルフードといいきろう。いったもん勝ちだから。
このパンチがソウルのおもむくままにフィーチャーされている。
うどんつきのセットでおしてきたり。
丼バージョンの「パンチ丼」なんてものもある(注文した)。
また、おかず単品での注文も可能。まったくあの手この手でパンチを食らわせようとしてくる(うまいこといった)。
パンチ丼の中に入っているのは「モツ」「めんま」「細切りこんにゃく」。食感村の三兄弟だ。咀嚼するごとに具が口の中で元気にブレイクダンスを始める。
これがめちゃくちゃうまい。
北関東っぽい味付けの汁も、いい感じでご飯にしみこんでいる。パンチ定食もあったけど、丼でかきこんじゃうのが一番正解の注文だと思う。
曜日限定メニューも
さらには曜日限定メニューも。もう毎日免許の更新に来たっていいくらいだ。埼玉県運転免許センターが擁する「レストランけやき」のクオリティ、お分かりいただけたでしょうか。
運営者に話を聞いてみた
この「レストランけやき」を運営しているのは埼玉県警察福祉協会。村山専務理事にお話を聞くことができた。
「利用者数は1日にだいたい200人から300人くらいでしょうか。日曜日はご家族連れで来る人も多いです。お父さんが免許の手続きしている間に、お子さんが近くの公園で遊んでいたりしてね。そしてお昼を食べてゆくという」
うどんを食べるぼく(写真撮影:村山専務理事)
「私は『天ぷらそば』に玉子をトッピングするのが好きですね。おいしいですよ。メニューに「天玉そば」ってのがあればいいのですが、それはないんですよね」
「埼玉県警と警察福祉協会を合わせて在籍しているのが400人くらい。職員も食堂で食べることがあります。職員からは『カツカレー』が人気あるみたいですよ」
センターくんがでかい(写真撮影:村山専務理事)
理事、ひとりで取材に来ているぼくを気の毒がって写真撮影を手伝ってくれた。すごく市民に開かれた埼玉県警察福祉協会だ。お忙しいところ、恐縮です……!
木製の免許証がある
免許センターの見どころは「けやき」だけではない。
まずは昔の免許。
埼玉県の最初の免許は「木札」だった。木札を携帯するのテンション上がるだろう。なお車の無い県も存在したため、免許の様式は県によってバラバラだったそうだ。
やがて紙製になったり、
プラスチック型になったり。このへんになってくるともう今のやつとほとんど変わらない。
一番最新のやつは小型化して本籍欄が消えて、さらにIC機能が付くようになった。免許証みたいなものでも工夫されてどんどん変わってゆく。
土器も見れる
さらにもっと時代を感じられる展示もある。土器だ。
土器ってデカい。うちにある100均で買った調理器具とついくらべてしまう。
完全に復元されているのがすごい。免許証手続きのついでに見るにしてはありがた過ぎだろう。
なんで免許センターで土器を展示しているかというと「もっと土器を見たかったら免許をとって自動車で『埼玉県文化財収蔵施設』に行こう」というPRだった。
この場所は車で行くしかなく、高速の関越自動車道か、主要幹線道路である国道407号線を使うことになる。免許取りたての人がドライブするにはちょうどいい練習になるのだ。一見関係ないようで、しっかり運転免許と関係あった……。
ね、楽しいでしょ。免許センター。
というわけで、埼玉県の免許センターがおすすめというお話でした。ぼくは次の免許更新は免許センターに行かないといけなくて、ちょっと面倒に思っていたけど、なんかもう楽しみ。
みんな、免許の更新忘れずに!
紹介したお店
レストランけやき
住所: 埼玉県鴻巣市鴻巣405−4(埼玉県警運転免許センター内)
取材協力
埼玉県警察本部
一般財団法人埼玉県警察福祉協会
プロフィール
斎藤充博
1982年生まれの指圧師(国家資格)。「下北沢ふしぎ指圧」で施術しています。いついかなる時でもお客さんに来てほしいとノイローゼ気味に思っている。
ツイッター:@3216
ホームページ:下北沢ふしぎ指圧
*「美人のタネ」で指圧師っぽい連載はじめました。