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不思議な旨味のエチオピア激辛カレー「ドロワット」の魔力にやみつきになりそう【東京エス肉めぐり第10回】

家では自炊ベジタリアン、外食は肉、というスタイルを貫くエスニック料理の研究家であるサラーム海上さんが東京近郊のエスニックな肉料理を食べ歩く連載です。連載第10回目に訪れたのは、赤坂にある、エチオピア&アフリカ諸国料理の「SAFARI」さん。ワニやカンガルー、ホロホロ鳥といったエス肉目当てで行ったのですが、エチオピアの激辛カレー「ドロワット」の魅力に中毒になってしまったようです。(赤坂のグルメランチ

不思議な旨味のエチオピア激辛カレー「ドロワット」の魔力にやみつきになりそう【東京エス肉めぐり第10回】

赤坂 ランチ グルメレポ サラーム海上

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東京周辺のエスニックな肉料理を食い尽くすこの連載「東京エス肉めぐり」第10回は赤坂リトルコリアンタウンのド真ん中にあるエチオピア&アフリカ諸国料理レストラン「SAFARI AFRICAN RESTAURANT BAR」で、ワニやカンガルーの肉、羊肉にホロホロ鳥、そして中毒性のあるエチオピアカレー「ドロワット」だ!

 

エチオピア料理は日本でこそ馴染みが薄いが、ロンドンやワシントン、アムステルダムなど、エチオピア移民の多い都市では、高級なアフリカ料理として定評がある。「SAFARI AFRICAN RESTAURANT BAR」はエチオピア人のオーナーシェフ、ワンダサンさんがエチオピアの家庭料理を中心に、日本で学んだアフリカ各地の名物料理を提供するお店だ。

 

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平日の午後2時、赤坂駅から一歩裏通りに入ると、辺りには焼き肉の香りが漂い、ランチを終えたスーツ姿のサラリーマンが足早に歩き去って行く。そんな赤坂リトルコリアンタウンの一角にあるビルの2階に「SAFARI AFRICAN RESTAURANT BAR」がある。

 

お店に入ると、日本の演歌とレゲエを足したようなエチオピア独特の民謡ポップス「アズマリ」が流れ、壁にはアフリカ各地の木彫りやペナントが飾られている。キッチンの中のワンダサンさんもお洒落なアフリカンらしく、赤黄緑のラスタカラーの帽子でキメていた。

 

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ワンダサンさんが最初に来日したのは1996年。それまで中国に留学をしていたのが、日本に足を運んだきっかけだった。そして、当時、新宿にあった東京で最初のアフリカ料理レストラン「ローズ・ド・サハラ」で働き始めた。2007年に同店が閉店し、翌2008年に赤坂にSAFARI AFRICAN RESTAURANT BARをオープンした。

 

「エチオピアでは男性はキッチンに入らないんです。キッチンに入るのは女性だけ。でも、僕はそんなこと気にしてなかったし、子どもの頃に母親から家庭料理を習っていました。アフリカの他の国の料理、北アフリカのクスクスや西アフリカのジョロフなどは日本に来てから、お店や知りあったアフリカ人から習いました。アフリカの料理は地域や言語によって名前が変わるけど、同じもの、共通するものが多いね。逆にエチオピアだけの料理はドロワットとインジュラ(イネ科の穀物、テフを使ったクレープ)がある。今日はドロワットを用意したよ」

 

豆サラダでスタート。豆と玉ねぎの食感のコントラストが美味い

それでは、いつものようにお店の人気メニューを片っ端から頂きま~す。南アフリカ産の赤ワインで乾杯していると、まず最初に運ばれてきたのはエチオピアのビーンズサラダ。煮たレンズ豆と刻んだ玉ねぎ、トマト、ピーマンに酢と塩と油で味付けたシンプルなサラダだ。レンズ豆のホクホクと刻み玉ねぎのシャキシャキの食感のコントラストが美味い。これはエチオピアだけでなく、イエメンやイスラエルなど中東にも広く存在する料理だ。

 

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お次はワニの唐揚げとカンガルーの唐揚げ!

次に2皿同時に運ばれてきたのがワニの唐揚げとカンガルーの唐揚げ。どちらも厚い衣にくるまれているので、外見からはどちらがワニで、どちらがカンガルーか全く見分けが付かない。

 

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衣を割ってみると、ワニは肉が白身、カンガルーは赤身だ。味もワニは爬虫類なので、鶏肉と魚を足したようなクセのない味、そして、カンガルーは牛肉に似たコクのある味がする。衣はちょうど沖縄のサーターアンダギーに塩とスパイスを効かせたような味で、ワインよりもビールによく合いそうだ。

 

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「唐揚げはローズ・ド・サハラから受け継いだレシピ。カンガルーはアフリカにはいないけど(笑)、ワニはアフリカでは幾つかの民族が食べています」

 

 

ラムシチューはアフリカらしいシンプルな料理

今度はラムシチュー。スパイスでマリネしたラム肉を玉ねぎや人参、トマトペーストで炒め煮にしたもの。いかにもアフリカらしいシンプルな料理だが、ラム肉の出汁が野菜にしみていてなかなか美味い。これは赤ワインによく合うな。

 

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ホロホロ鳥の足一本ローストが美味すぎる!

豪快な肉料理はないの?という皆さんの期待に応えるのがホロホロ鳥のロースト。大きなホロホロ鳥の足一本をローストし、玉ねぎとタヒーニ(練りごま)のソースで絡めてある。タヒーニは中東からアフリカ料理に欠かせない調味料。日本の練りごまより苦みが少なく、クリーミーなのが特徴だ。今では新大久保をはじめ、日本各地のハラールフード店で手軽に買えるので、エス肉料理好きなら是非常備するべき食材だ。そのタヒーニを玉ねぎと砂糖とともに炒めた甘く濃厚なソースを、ターメリックなどのスパイスでマリネしてローストしたホロホロ鳥にたっぷりとかけていただく。これは美味い! 鶏肉よりもうまみがあるホロホロ鳥に甘いソースがパンチを加えている。この連載を続けていると、こうして毎回なにかしら初めての味に出会えるのが嬉しい。

 

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「ホロホロ鳥はフォークやナイフを使わずに、アフリカ料理らしく指でちぎって食べて欲しいね。エチオピアでは玉ねぎは「煮こんでも、焼いても、炒めても、どうやって食べても美味しいもの」と言われています。アムハラ語で玉ねぎは「シュンクルテ」。シュンクルテには本当に良いものという意味もあります」

 

 

激辛好きはマスト!中毒性が高いエチオピアカレー「ドロワット」

そして、本日最後の料理はドロワット。見た目はほぼインドのバターチキンカレー。

 

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濃い赤茶色のソースに鶏肉が沈んでいて、上に薄切りのゆで卵が飾ってある。このソースをターメリックライスにかけて食べるところもカレーそっくりだ。口に入れるととにかく辛い! その場で汗がだらだらと噴き出してきた。日本の激辛カレーで言えば30倍や50倍レベルは軽くありそうだ。しかし、この辛さは日本やインドやタイの赤唐辛子とはちょっと違う、不思議な旨味のある辛さだ。それが鶏肉の出汁と混じり合って、カレーとは異なる味わいを生んでいる。これは一度食べたらクセになる、中毒性が高そうな味だ。この赤唐辛子とスパイスはいったいなんだろう?

 

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「ドロワットは一度食べるとやみつきになる。「ドロ」とは鶏肉の意味、「ワット」はカレー状の料理のこと。作るのにとても手間がかかるから、エチオピアでは正月や結婚式のお祝いの時のごちそう。赤い色はエチオピア独自の赤唐辛子を使ったミックススパイス「バルバレ」の色。バルバレは日本では手に入らないから、エチオピアの家族から送ってもらっています。ドロワットは辛くて、食べると汗をかく。だから元気になる。身体に残ったお酒も汗とともに出る。だから夜はドロワットとビール一杯やって帰るお客さんも多いよ。お一人さんも多いから、夜の定食メニューも23時半までやってます」

 

なるほど、赤坂は都心のオフィス街だけに、エスニック料理店と言えど独身サラリーマンのための定食屋的なニーズまであるわけか。

 

今回はエス肉兄弟団としてはホロホロ鳥のローストを一押ししたいが、最後のドロワットもやみつきになりそうだ。漫画「庖丁人味平」のブラックカレーならぬ、ワンダサンさんの赤いドロワット、夢に出てきたらどうしよう……。

 

 

紹介したお店

SAFARI AFRICAN RESTAURANT BAR

 

住所: 東京都港区赤坂3-13-1 ベルズ赤坂2F

TEL:03-5571-5854

r.gnavi.co.jp

 

 

 

プロフィール

サラーム海上 Salam Unagami
音楽評論家/DJ/中東料理研究家。肉食。中東やインドを定期的に旅し、現地の音楽と料理シーンをフィールドワークし続けている。活動は原稿執筆のほか、ラジオやクラブのDJ、オープンカレッジや大学での講義、中東料理ワークショップ等、多岐にわたる。著書に『おいしい中東 オリエントグルメ旅』(双葉文庫)、『21世紀中東音楽ジャーナル』(アルテスパブリッシング)ほか。朝日カルチャーセンター新宿にて「ワールド音楽入門」講座講師、NHK-FM『音楽遊覧飛行エキゾチッククルーズ』のDJを担当。中東や東欧の最新音楽をノンストップDJ MixしたCD「Cafe Bohemia~Shisha Mix」(LD&K)も発売中。www.chez-salam.com

 

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