20年ぶりの再会で、人は友に何を語れるのか? 映画『AMY SAID』が描くかつての夢と少し違う現実

吉祥寺の老舗ジャズクラブ「サムタイム」を舞台に描かれる映画『AMY SAID』を紹介します。企画・製作から脚本、出演俳優まですべてを1つの会社で手がけた、非常にユニークで挑戦的な作品で話題になっています。映画や演劇の世界には、同窓会や再会における悲喜こもごもを描く「リユニオンもの」というジャンルがありますが、『AMY SAID エイミー・セッド』もその系譜に連なる1本。日本映画を支える実力派俳優たちの演技アンサンブルに加えて、映画好きなら思わずニヤリとしてしまう仕掛けもたっぷり。三浦誠己さん、渋川清彦さん、松浦祐也さん、渡辺真起子さんにたっぷりとお話を伺いました。(吉祥寺のグルメバー

20年ぶりの再会で、人は友に何を語れるのか? 映画『AMY SAID』が描くかつての夢と少し違う現実

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「みんなのごはん」読者のみなさん、はじめまして! 映画や音楽について書いている、ライターの大谷隆之といいます。今回は『AMY SAID エイミー・セッド』という映画を紹介させてください。本作は、俳優マネジメント事務所「ディケイド」の設立25周年記念作。企画・製作から脚本、出演俳優まですべてを1つの会社で手がけた、非常にユニークで挑戦的な作品です。

登場人物は、かつて大学の映画研究会に所属していた8人の仲間たち。若い頃は同じ夢を追いかけていたけれど、グループ内のヒロインだった「エミ」という女性が自ら命を絶ってしまったことで、ずっとバラバラになっていました。そんな男女が久々に再会し、エミが最後に言いたかった言葉を見つけようとする――そんな一夜のやりとりが描かれます。

映画や演劇の世界には、同窓会や再会における悲喜こもごもを描く「リユニオンもの」というジャンルがありますが、『AMY SAID エイミー・セッド』もその系譜に連なる1本。撮影はほぼワンシチュエーションで、吉祥寺の「サムタイム」という老舗ジャズクラブが使われています。日本映画を支える実力派俳優たちの演技アンサンブルに加えて、映画好きなら思わずニヤリとしてしまう仕掛けもたっぷり。何より、過去を背負いつつもまだまだ先に歩いていかなければいけない世代には、きっと響くはずです。4人の出演者に、その魅力を存分に語っていただきました。

 


 

40代前半の世代が「真にオトナになる」映画

――みなさん、最初にこの企画について聞かれたときの印象はいかがでした?

三浦 僕は、同じくディケイドが20周年で作った『Playback』(三宅唱監督)という映画にも出演させてもらったんですね。だから今回、社長でプロデューサーの佐伯(真吾)さんから声を掛けていただいて、「ああ、もう5年もたったのか」というのが素直な感想でした。時間の流れるのは早いなぁ、って。

渋川 うん。俺もそれに近いかな。「また一区切りだ」って感じ。

松浦 相変わらず淡々としてますね(笑)。僕、今回の座組みでは最年少だったんです。過去の回想シーンには、若い子がたくさん出てるんですけど…。

渡辺 松浦くん、メインキャストの中では唯一の80年代生まれでしょ?

松浦 はい。劇中では同級生の設定なんですけど(笑)。親しい事務所の先輩たちと一緒のフレームに写れるのは嬉しかったし、個人的にもすっごく居やすい現場でした。撮影は短期間でハードだったけど、妙な安心感があった。

三浦 わかる。でもその半面、気を引き締めなきゃって思わせられる部分もあったよね。テーマ自体は誰もが思い当たるものなんだけど、今の商業作品ではなかなかできない、ちょっと実験的な作りだったりもするじゃないですか。

渡辺 そうだね。決して難しくはないんだけど、観客にすり寄ってもない。

三浦 俳優として「お前はこの作品を通じて、どこまで成長できるんや?」という課題をもらったような。そういう感触もありました。

渡辺 私はね、この映画自体が“佐伯真吾バンド”みたいな考え方だと思うんです。好きなプレーヤーだけを選んで、その演奏のアンサンブルなり化学反応を楽しんで見ている感じがする。

渋川 “佐伯真吾バンド”、それいい喩えだね(笑)。

渡辺 あと、今回の登場人物たちは私よりちょっと年下の設定なんですけど、そういう40代前半の世代が「真にオトナになる」というテーマも、リアルで面白いなと思いました。生活とか、いろんなものを背負いながらも、一歩前に踏み出していくというほろ苦いテイストも含めてね。……でもこれ、本当に「みんなのごはん」にぴったりの映画なのかしら? 喋っててちょっと心配になってきた。

――大丈夫です(笑)。「再会」や「同窓会」というのは、それこそ誰もが関心を持てるテーマですし。劇中には“食の小道具”も効果的に使われてますから。

渡辺 じゃあよかった(笑)。

――改めてストーリーを振り返っておきますと、『AMY SAID エイミー・セッド』に登場するのは大学の映画研究会で自主映画を撮っていた仲間たち。かつては同じ夢を見ていたものの、サークルのヒロイン的存在だったエミという女性が自ら命を絶ってしまったことで、今はバラバラになっています。その8人が久々に集まった一夜が描かれるわけですが…。

三浦 うん。みんな口ではいろいろ言いながら、実は誰もが昔の夢に囚われながら生きている。そういうグループですよね。

渡辺 面白いのはこの物語は、映画サークル以外にも置き換えられると思うんですよ。もちろん劇中には、映画好きの方がご覧になるとニヤッとできる仕掛けもいっぱい入ってるんですけれど…。かつて抱いていた夢とは少し違う現実を生きている事って、多くの人にも当てはまるんじゃないでしょうか。また40代前半というのが、とりわけそういう過去が思い出される年頃なような気がしますし。

渋川 なるほどねえ。俺はそういうの、あんまりないからなぁ…。

渡辺 あははは、ないんだ! 渋川くんらしいけど。

三浦 でもさ、若い頃の友だちと久しぶりに会ったりすることはあるでしょ。そういうキー君は、どんな感じなん?

渋川 会っても、バカな話しかしないなあ。あんな風に一人ずつ、昔の話を始めたりすることは…。

松浦 それはまあ、映画ですから!

渋川 俺はまだそんなでもなかったけど、他の人たちはセリフも長かったじゃないですか。「何だか大変そうだなぁ」、なんて思いながら見てました(笑)。

――でも渋川さんが演じられた「飯田収」というキャラクター。すごく自然なリアリティーがありましたよ。同じサークルで知り合った奥さん(中村優子)と無農薬野菜を作っていて。明るく振る舞ってるんだけど「実は生活、大変そうだなぁ」という空気感がほのかに漂っていて。

渋川 たぶん、空気で見せるのがうまいんじゃないですかね(笑)。役者やっててこんなこと言うとバカみたいだけど、俺、セリフを言うのが苦手なんですよ。どうしても恥ずかしいと思っちゃう。

三浦渡辺松浦 はははは!

渋川 でも実際、そうじゃないですか? 自分の言葉じゃないと、それに縛られて緊張しちゃうでしょう。若い子が「やっとセリフもらえました!」なんて喜んでるのを見ると、いつも「その感覚、俺にはねえなあ…」って。

渡辺 でもまあ、「縛られるくらいならない方がいい」って考え方自体は、私にも分からなくはないな。フレームの中でも、できるだけ自由ではいたいもんね。

渋川 それでいうと今回は、しっかりセリフがあったわりには緊張しなかった気がします。やっぱ、気心が知れた人たちとやれたのがよかったんでしょうね。

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渋川清彦(飯田収 役)

 

久しぶりに昔の友だちに会うとき、大抵は今の自分を盛って見せようとする

――その信頼関係みたいなものは、スクリーンから滲んでいた気がしました。今日お集まりいただいた4人は、仕事以外でも顔を合わせることが多いんですか?

渡辺 さすがに4人全員が揃うことは少ないですけど……でも、顔を合わせる機会はけっこうあるよね?

三浦 そうですね。ゴールデン街のバーでばったり会ったり(笑)。誰かが舞台に出ていたら、観にいったり。もちろん事務所ですれ違うこともありますし。それと今回、撮影に入る前にスケジュールを調整して、事前のホン(脚本)読みも丁寧にできたんです。そういう関係性は、うまく作品に反映できたんじゃないかなと。

――三浦さんが演じた「朝田圭一」は、かつてサークル内でもっとも才能があると目されていた映画マニアで、現在はパン屋を営んでいます。そして映画の前半部はほとんど言葉を発せず、ずっと黙り込んでいる。ストーリーが進むにつれて見えてくるその理由が、映画の大きな鍵になっているわけですが…。

渡辺 あれはあれで難しい役だよねぇ。

渋川 うん。セリフはなくても、あれは大変だと思う。

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三浦誠己(朝田圭一 役)

 

三浦 難しいというか……これは以前、キー君には喋ったんですけど、同窓会って独特の嘘っぽさがあると思うんですよ。久しぶりに昔の友だちに会うとき、大抵は今の自分を盛って見せようとする。脚本を読ませてもらった際、僕が最初に感じたのは、そういう“ギゴチなさ”やったんです。だったらそれを逆手にとって、今回はとことん何もせんとこうと(笑)。周囲がどれだけ盛り上がっていても、気のない相づち打ったり、生返事をするだけで…。

松浦 うん、うん。

三浦 極端な話、プロの役者の中に一人素人を連れてきたみたいな。ただ座ってるだけで、そういう生々しさ、居心地の悪さを出せたらいいなと。

――いわゆる役作りのようなことは?

三浦 あ、それはそれで考えました。例えば、パン屋として日々、どんな暮らしをしてるんだろうとか。たしかに朝田は、この話の中でもっとも深く過去に囚われたキャラクターなんですけど、でも20年間ずっとそればっかり思い出してたわけじゃないと思うんですよね。むしろ青春時代に夢を諦めて、ふと気付くと20年たってたという感じに近いんじゃないかと。

渡辺 きっとそうなんでしょうね。

三浦 あとね、今回『AMY SAID』に描かれたキャラクターって、どれも佐伯プロデューサーから見た僕らの素顔に近いと思うんですよ。いや、むしろ、それぞれの役者に合った課題を与えてるって感じかな。

渋川 各自の性格をちょっとだけ摘まんで、色付けした感じね。それわかる。

渡辺 たしかに当て書きされてる感、あったかもしれない(笑)。例えば松浦くんなんて、飲み会があると一番最後にタクシーを捕まえるタイプでしょう。ちゃんとみんなを見送ってから、自分も家に帰る。

三浦 みんなに気を配って飲み物を作ったりね。でも自己主張がないかというと、全然そんなことはなくて。最後はやっぱり自分も喋りたいという(笑)。そういうところすごく愛嬌があって、可愛らしい。

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松浦祐也(五島春樹 役)

 

――松浦さんが演じられた「五島春樹」は介護士という設定でしたね。

松浦 はい。世話焼きキャラで聞き上手なんだけど、残念ながら自分の話はあまり聞いてもらえない(笑)。一応、デイケアセンターに見学に行ったりして役作りもしたんですよ。でも、そういう三浦さんだって、最初に知り合った頃は朝田みたいな取っつきにくい雰囲気ありましたよ!

三浦 ははは。要するに煙たがられてるんだよね(笑)、朝田と同じで、「あいつ呼んだら暗くなるけど、呼ばなしゃあないかぁ」という存在。

渡辺 それは深読みでしょー。

渋川 普段はよく喋りますもんね。

三浦 まあ、いずれにせよ佐伯プロデューサーは「奴にこういう役を当ててみたら面白い」と思ってくれたんでしょうね。少なくとも自分なりに考えて、成長できるきっかけを与えてくれたのかなと。そこは本当にありがたいと思います。キー君が演じた「飯田収」も、けっこう実物に近いところあるよね。

渡辺 っていうか、何でも自分に引っ張ってるんでしょ(笑)

渋川 引っ張ってますよね、そうかもしんない(笑)

三浦 でも飯田って、根がやさしい感じが滲んでるじゃない。中村(優子)さんが演じる奥さんが、ぱっと見は明るいんだけど実はエキセントリックな人で。何かがきっかけでバーンと爆発しちゃったりする。そうするとスッーと横に行ってね。

渋川 へへへ。スーッと行けてました?

松浦 行けてた、行けてた。

渡辺 みんなと久しぶりに会った場で、奥さんが爆発しちゃうっていうのも気の毒だけど、飯田の動きを見ると「あ、今日だけじゃないんだ…」って感じがするんですよね。この人は、無農薬野菜を作りながら、こういう奥さんとずーっと向き合いながら生きてきたんだって。自然な動作で、そう感じさせてくれる。

渋川 なら、よかった。映画のマジックじゃないですかね。

――渡辺さんが演じられた「香田文」は他のお三方とは違って、同級生ではないんですよね。山本浩司さんが演じた「岡本亮介」役が、卒業した後も細々と売れない役者を続けているというキャラクターで。その事務所の社長という役どころ。

三浦 ある意味、いろんなものを背負わされてる役ですよね。俳優事務所が作った映画で、マネジメント論を語らなきゃいけないという(笑)。

渡辺 そうなの! まあ出番そのものは短いし、あの映画の中に出てくる事務所はたぶん社長と岡本の2人しかいないでしょうから、ディケイドとは規模がまったく違うんですけどね(笑)。でも、言ってることはすごく共感できました。要するに「夢を捨てないで、役者の可能性を信じ続ける」って人でしょう。夢想家に見えるかもしれないけど、ああいう社長と出会えた役者は幸せだと思うな。

松浦 いいこと言ってますもんね。

渡辺 まあ、佐伯さんのマネジメント論を代弁させられたってことで(笑)。

 

実は高校生の頃から吉祥寺の「サムタイム」に通ってたんです

――8人が再会する一夜の舞台には、吉祥寺の老舗ジャズクラブ『サムタイム』が使われています。1975年創業で、年季の入ったいい雰囲気のお店ですね。

渋川 あそこで撮影できたのは大きかったですよね。あの空間が持っている歴史というか、染み付いた何かが、映画にすごくいい効果を与えてくれた気がする。壁に昔っぽくて大きな時計が掛かってたりして…。

三浦 あの時計が物語の中でも、あの夜の時間経過を示してくれてるんですよね。みんなが集まってどれくらい経ったのか、観客には一目で分かる。

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▲渡辺真起子(香田文 役)

 

渡辺 実は私、高校生の頃から通ってるんですよ、あの店に。

松浦 へえええ! すごいな。やっぱり真起姉は不良だなぁ(笑)。

渡辺 不良じゃないから! あと、そのマキネエっていうのは禁止だから!!

渋川 不良じゃなくて“シティー・ガール”ね(笑)。

渡辺 単に、実家が吉祥寺に近かっただけ。ただ女子高生にとっては少し大人びた場所というか、背伸びして通った記憶はあるかな。80年代のカフェバー・ブームのハシリというか。昼は美味しいコーヒーとケーキがあって、パスタも食べられて、夜はお酒が出るという…。私にとっては青春の象徴みたいな場所(笑)。

――そういう1980年にお洒落だったお店に歳月が流れて、2017年にはいい感じに古びているところがまた、この映画のテーマにぴったり合っていました。

渡辺 そうなんですよね。たぶん村本(大志)監督が決められたと思うんですが、本当にいい場所を選んでくださったなと。

――そういえば劇中、渋川さん演じる飯田が、爆発してぐったりした奥さんを隅に連れていくシーンがありました。その際、店内のちょっと仄暗い感じが、誰の人生にもある“明”と“暗”を象徴しているようで、とても効果的に思えたんです。偶然かもしれないですけれど…。

渡辺 いや、それは偶然じゃないと思うな。フレームの中に写ったものには全部、監督やカメラマンの意図が込められているはずなので。

渋川 あと、美術さんとか照明さんもね。俺も最近、セットとか小道具とか、広い意味での“背景”をうまく使えた方がいいなと思えるようになってきた。その意味で今回も、あのロケセットに力をもらった部分は大きかったですよね。

三浦 でもキー君は、端っこのソファーに座ってから、ちょいちょい居眠りしてたでしょ(笑)。いいなぁ、羨ましいなぁと思いながら見てましたよ。

渋川 ははは。そうだっけ?

松浦 でも、落ち着くというか演りやすい空間ではありましたね。

――撮影期間はどのくらいでした?

三浦 たしか4日か、5日。

松浦 夜の9時か10時くらいに現場入りして。そこから翌朝の10時、11時くらいまで、連日12時間くらい撮影してました。けっこう苛酷でしたよね。

 

“食の演技”で、記憶に残っている映画とは

――小道具で言いますと、飯田が持参した無農薬野菜の「トマト」も劇中で重要な役割を果たしていました。

三浦 そういえば俺、前半はずっとあのトマトを触ってたんですけど、その映像はまったく使われてなかった気がする。

渋川 そう言えば、ずっと触ってたよね。

三浦 僕、トマト大好きなんで(笑)。忘れられないのは、途中から大西(信満)さんが加わるじゃない。

――かつて三浦さん演じる「朝田」の相棒だった「川崎洋」ですね。ある理由から一人だけ同窓会に呼ばれておらず、思い出の店で偶然鉢合わせしてしまう。

三浦 そうそう。で、シナリオにはなかったんですけど、その川崎が途中いきなりガブッとトマトを囓ったんですよ。シーンの繋がりとか、一切無視して(笑)。

松浦 あはははは。

渋川 あのイキナリ感は大西っぽかったよねえ!

松浦 監督も小道具さんもびっくりしたんじゃないかな。お汁がダーッと出て。

三浦 僕は思ったんだけど、やっぱり途中から登場する役どころでしょう。きっと大西さんなりに、何か一石を投じたいと思ったんじゃないかと。

渋川 でもトマト囓るって、ベタと言えばベタじゃん(笑)。大島渚監督の『青春残酷物語』みたいで。

渡辺 あるいはショーケンさんのドラマ『傷だらけの天使』とかね。

三浦 あそこで一気に“昭和感”が出ますもんね。まあ、川崎は大学を辞めてタイに行ってたという設定なので、ワイルドさを表現したかったのかもしれないけど。

渋川 それをあえてやっちゃえるのが、あいつの良いところなんだけどね(笑)。

松浦 僕、『AMY SAID エイミー・セッド』では、大西さんの演技が大好きだったんです。他の映画ではけっこう二枚目だけど、今回は二・五枚目というか…。一見かっこいいんだけど、すぐボロが出ちゃう役でしょう。それすごい上手いんですよね。この引き出し、もっともっと使えばいいのになと。

渋川 あいつは使えないよ、不器用だもん。あれは大西の“地”でしょ(笑)。

三浦 酔っ払ったらあんな感じだよね。

松浦 そうそう(笑)。いい意味で今回、その地がすごく出ていた気がして。

渡辺 実際、傍から見てても楽しそうだったもんね。

――ちなみにそういう“食の演技”で、記憶に残ってる映画ってありますか?

三浦 あ、ありますよ。阪本順治監督の『どついたるねん』というデビュー作で、麿赤児さんが演じるボクシングジムのおやっさんが、タバコの煙を吐き出しながらパンを囓るんです。

渡辺 ははは、そりゃすごいよね。

三浦 ふつう、煙を吐き出してからパンを囓るじゃないですか(笑)。でも麿さんの場合、吐き出してる口にパンが入っていくんですよ。そこで一気にキャラクターがグワッと際立つというか…。

渋川 そういうの、あるよね。俺も昨日、たまたま阪本監督の『王手』を見返したんですけど。若山富三郎さん演じる将棋指しが、こうやってタバコを下から持って吸ってるんですよね。ニュアンスがまったく違って見える。

三浦 あれはたぶん、昔キセルを持ってた人の持ち方でしょ?

渋川 そうだろうね。俺もいつか使ってやろうと思ってますけど。

渡辺 ああ、また「みんなのごはん」からどんどん遠くなっていく(笑)。“食”がメインの映画っていったら、もっといろいろありそうなのに。

松浦 結局、お洒落な“グルメ”の映画は1つも出てこないという。

――でも『AMY SAID エイミー・セッド』の最後、パン屋で接客をしている朝田がほんの少しだけ写るでしょう? あのパンは食べてみたいと思いましたよ。少なくとも映画の冒頭に写ったパン屋とはまったく別のものに見えました。

三浦 そうですか。うん。もしそう見えたのなら、それはすごく嬉しいですね。

渡辺 それがこの映画における、彼の変化を象徴してるのかもしれないよね。さっきもお話ししたように、世代は違えど「ああ、私もその年齢を通り抜けてきたんだな」と思いながら観ることが出来たのが嬉しかったんです。40代前半って、いろいろ人生のしんどさもリアルに感じつつ、家族とか仲間のためにもうひと頑張りしなきゃという年頃でしょう。まだそこに至っていない若い人たちも、「ああ、先輩たち頑張ってるな」という感じで楽しんでもらえたらいいと思うし、過ぎた世代の方々も「あの頃があったなぁ」と再び思ってもらえたらいいと思います。

三浦 うん。どんなに孤独を気取っていても、人はやっぱり人を介して生きるしかない。その中で、ある思い出を共有している人たちと再会することって、やっぱり助けになると思うんです。それによってこの映画みたいに、自分が囚われていた過去がまた別の意味を持ち始めることだってあるでしょうし。

渋川 うん。それは俺も、そう思う。

渡辺 この映画を観た人が、ふと、仲間や友達に会いたいって思ってくれたら最高に嬉しいですね。

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写真すべて:海山基明(UTAR INC.)

 

 

AMY SAID エイミー・セッド

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映画『AMY SAID エイミー・セッド』公式サイト

配給:ディケイド

2017年9月30日(土)テアトル新宿ほか全国公開

 

 

同窓会など大切な仲間との集まりにおすすめなお店ならこちら。『AMY SAID』限定ステッカーも配布中!(なくなり次第終了)

新宿エリア】

橙家 新宿店 https://r.gnavi.co.jp/g145300/

新宿店 https://r.gnavi.co.jp/g220013/

肉亭ふたご 新宿店 https://r.gnavi.co.jp/a15nkw0z0000/

とめ手羽 新宿店 https://r.gnavi.co.jp/e185802/

樽一 新宿店 https://r.gnavi.co.jp/bp7s74y70000/

 

渋谷エリア】

Itacica Ku(イタチカクー) https://r.gnavi.co.jp/2udr5w800000/

BISTRO BAR KU(ビストロバークー) https://r.gnavi.co.jp/g694500/

THE MEAT&LABORATORY https://r.gnavi.co.jp/gfcpjsr00000/

 

                             
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