まいど憶良(おくら)です。
このマグロ2色丼が500円だったら安いと思いませんか?ここ京都「魚楽」では実際、500円なんです。でもこのお店のスゴさはコスパだけではありません。
今回は変身する丼をご紹介したいと思います。「変身する丼」と言うとわかりづらいかもしれません。簡単に言うと、食べている途中で他の丼のネタだけを注文できるのです!
超コスパな海鮮丼に震える!
京都は淀にやってきました。
並んで待ってでも食べたい美味しい丼があるとの事ですが、 「それだけではない、『どころの話では収まらない』」と、2段、3段重ねの驚きが味わえる店だと聞き、それは言い過ぎなのではと、半信半疑でここ、「魚楽(ととらく)」さんの暖簾をくぐりました。
入って正面には「春夏冬二升五合」の文字が。春夏秋冬の秋が無い、そして一升を一枡(マス)ととらえて、五合が一升の半分なので、「商い益々繁盛」という、落語好きならニヤリと笑う符丁。
お世辞にも広いと言えない店内はなんと七席。
しかし、店内は本当にきれいで、ピカピカです。
この店で提供されている丼は30から40種類。 どれもこれも美味しそう、そして安い!
京都でマグロ2色丼といえばこれ!これが500円とは・・・
その中でも人気なのが、この店を訪れた人がまず食べたいというこちら。
京都で2色丼と言えば?というと、ああ、魚楽のでしょ、というくらい有名なこれ。「まぐろ2色丼」(500円)。
圧倒的なビジュアルを誇る、というだけでも特筆ものなのですが、 値段がこれまたすごい。
まぐろ2色丼500円、プラス大盛り代金30円、計530円!!!
実物を見るまで、いや、実物を見たからこそ信じられないメニューが、ここにあります。
さて、わさび醤油をかけて食べたいのですが、そうすると斜面をそのまま伝って全部こぼれてしまいます。
そこでしばらくは何もつけず、そのままネタだけを食べ進めていくのですが、これがまた、旨いっ!
マグロにネギトロを乗せて食べるという、変わったスタイルですが、これが食べ物として成立することが凄いと思います。何もつけなくても、甘味を感じます。
食べて、食べて、わさび醤油をかける事が出来るレベルに。当たり前ですが、わさび醤油が合います。
そしてようやく到達したご飯。
こっ、これは。シャリです。そうなんです。ここは4代続くお寿司屋さんということで、単なるご飯でなく、シャリの上にネタが乗っているんです。
そうなると、これはもう寿司食べ放題状態と同じではないですか。
食べている途中で違う丼に変更する裏ワザも可能!
これだけでも充分驚きのサービスなんですが、さらなる驚きが待ち構えていました。
食べている途中で違う丼に変更したい。
そんな裏ワザも可能なのです。
例えば、ここまで食べておいて悪いんですが、海鮮丼に変更したいんです。
と、通常ならば頭の状態を疑われるようなワガママを言いますと、ネタを食べつくして、残ったシャリの上に、替えの丼ネタを乗せてくれるんです。
「替えネタは元の値段の200円引きです。」
つまり、海鮮丼に途中チェンジすると、海鮮丼500円(←これまたメチャ安い)の200円引きで300円。
えと、頭が混乱して、理解しづらいのでいったん整理すると、
マグロ2色丼大盛りが530円、足すことの替えネタ海鮮丼300円で税抜き830円です。
こんなマグロがどーんと乗って、エビと甘海老とイカだけでなく、イクラも乗っています。
すでに食べているマグロ2色丼でさえ十分に安いのにこの豪華な替えネタ・・・。
あかん。
あかん気がします。申し訳ないです。
注文に罪悪感すら感じるメニューです。
「凄い、ウマイ、そして安すぎる。 ごちそう様でした。」と、普通なら、ここでレポートは終わりです。
メニュー豊富ゆえ組み合わせは無限大 マグロ+トロロも激旨です
しかし、実は、これだけではないのです。(ええっ、マジかあっ)
このメニュー構成は実は初訪問時にありがちな、入門者用とも言える、いわば、入り口メニュー。
これだけで満足したら、勿体ないんです。
なにせ、30種類か40種以上のメニューを誇る魚楽さんです。
まだまだ組み合わせは無限にあります。
例えば、
マグロ二色丼にトロロをプラスしたら、そら美味しかろう。
山掛けマグロ二色丼600円の登場です。
旨いんです。
そりゃもう、脱力してしまうくらい、トロロが入ったら旨いんです。
なんでだろう。
嘘だと思ったら、食べてみてください。
醤油をかけ忘れて食べすすめるくらい美味しい丼から、替えにチョイスしたのは
赤エビ、甘海老、サーモン丼。
勿論みんな美味しいんですが、特に、赤エビがおいしかったぁ。
替えネタなので780円の200円引き、580円で新たにONしました。元の山掛けマグロ二色丼600円からのチェンジですので合計1180円です。これだけ贅沢してもこの値段。
そうなんです。
この店では、我が侭の限りを尽くし、想像できるレベルを超えたサービスが提供されています。
誕生秘話(いや、秘話でもないか)
マグロ二色丼は、握りのネタにはならない部分の有効活用を考えてスタートさせたメニュー。
それでも寿司職人の手に掛かると、こんなに美味しくなるんだと思えるお味。
更に替えネタに至っては、二杯も丼は食べられない、でも、あの丼も食べたかったな。という言葉を聞いて、じゃあ、こうすれば満足いただけると始めたサービス。
お客さんの言葉を聞き、満足度を優先させたからこそ、圧倒的な支持を得ているというお店です。
はじめは、「すっげー、二色丼っ」というノリでもいいと思います。
でも、色々食べていくと、次はこれ、その次はこれも食べてみたいと、毎回いろんな魅力が用意されている。
そういう貴重な店の一つだと思いました。
最後に、店主さんのこだわりをお聞きしました。
ネタは京都中央から毎日仕入れているということで、こだわりはここか、と思ったのですが、一番のこだわりはシャリにあり、でした。
特に水加減と炊き始めるまでにどのくらいの時間水につけておくかには気を使っているとの事。
同じお米でも季節によって水の吸い方、炊き上がり、酢の浸透の仕方も違ってくる。
同じように炊いたのでは味、食感が変わってしまいます。
季節ごとにコメの状態が変わるのなら、人間が出来上りを想像して手を加える、そしてしっかりと理想のシャリをキープすることが大切なんだと、店主さんは言います。
4代に渡って、守り続けたシャリは暖簾の重み。
頑なまでに変わることなく、守り続けている味です。
私も、これは美味しいと感じたのでシャリだけを食べてみたのですが、本当に美味しいです。
機械ではできないことが、やっぱりあるんですよ。
と、店主さんは笑って答えてくれました。
お客さんから、「白ごはんだったら食べきれなかったと思う。でも、この酢飯が旨いから食べきれるんだ」
と言われたりすると、やっぱりうれしいそうです。
・・・。
ちなみにその方は大盛りを2杯立て続けに食べたそうです。
「ラッキーなことに」と、店主さんは続けました。
「米にものすごくこだわりがあり、研究熱心なお米屋さんが近くにあるんですよ。そして定期的にウチの丼を食べて、ウチのシャリがベストになるよう、米をブレンドしてくれているんです」
ネタはというと、季節ごとに
春は桜エビ、
夏は赤エビ、そして宮古島から直接仕入れる海ぶどう、
秋は秋刀魚、サバ、
冬は蟹などなど。
一年中飽きることなく楽しめそうです。
是非一度味わってみてください。
きっと味、値段、そしてボリュームに満足できると思います。
この日、満腹過ぎて晩御飯も食べられなかった私ですが、ずっと幸せは寝るまで続きました。
今回取材したお店 魚楽(ととらく)
京都府京都市伏見区淀本町173-82
075-632-6303
https://www.facebook.com/totoboss555/
プロフィール
憶良(おくら) : 元ゲームプランナー、元ゲームプロデューサー。
ゲーム企画講師や駄菓子屋店長などを経て現在に至る。
休日は名古屋から鳥取あたりの温泉に浸かり、地元スーパーで珍しい食材を買っては料理する。
その際食べ歩きにも積極的と、食に対してはかなり貪欲。
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