東京に47都道府県すべての郷土料理店があるか調査→香川料理の思わぬウマさに驚いた

東京には47都道府県の郷土料理店・名物料理店が全部そろっているのか? そんな疑問を調べていると、宮崎料理や群馬料理といったマイナー郷土料理・ローカルフードの店がたしかに存在していることを発見しつつ、一方で東京、埼玉、神奈川、栃木、兵庫の5県は都内に店が存在しませんでした。郷土料理店が存在した42県のうち、香川県は讃岐うどんが名物というイメージですが、意外にも郷土料理がバラエティ豊かであることがわかりました。「レストラン 花季月」(東京都港区三田1-11-9 東京さぬき倶楽部2F)にて実際に食べてみると、肉もお酒も思わぬ旨さ。香川県の郷土料理はうどん以外は知られていないので、予想外の結果です。この驚きを全世界に伝えるべくレポートいたします。 (麻布十番のグルメ和食

東京に47都道府県すべての郷土料理店があるか調査→香川料理の思わぬウマさに驚いた

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1385万人が暮らす大都市・東京。地方から集まる人にとって、東京にある各県の郷土料理店は、ふるさとの味をもたらしてくれる貴重な存在だ。

しかし、ふと思った。はたして東京には、47都道府県の郷土料理店が全部そろっているのだろうか?

さっそく調べてみた。

 

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↑こちらは宮崎料理店。こういう店は東京に全都道府県ぶんある?

 

42道府県の「◯◯料理店」があった!

今回の調査では、いわゆる「秋田料理の店」「高知料理の店」などに代表される、オールジャンルかつ、なるべく全県的な郷土料理を扱う店をカウントすることに。

つまり、「◯◯地方の料理店」のような範囲が狭い店や、「鉄板焼き屋さん」のようなジャンルの限定された店は含まない

さっそく結果を見ていただこう。これだ。

 

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先にインターネットなどでリサーチし、見つからない県については在京の県機関に電話して有無を確かめた。

さすが東京。42道府県もの郷土料理店が存在した。

東北地方や北海道沖縄など、料理のうまそうなイメージのある所が順当にラインナップされる中、群馬千葉茨城・佐賀・香川あたりの筆者的ダークホースも「ある県」側へ立派に名を連ねた

 

群馬料理店があった

たとえば、群馬料理を提供する店が、白金にある「このむ」。

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下仁田こんにゃくの味噌漬け」「北関東のいもフライ」「高崎名物 オランダコロッケ」など、数々の群馬料理で楽しませてくれる。

 

千葉料理店や茨城料理店もあった

立川には「チバラキ酒場」なる、千葉茨城の2県をカバーする郷土料理店が存在した。

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大洗あんこうの唐揚げ」「白ハマグリの浜焼き」など両県の名物が味わえる。

 

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茨城料理の「大洗あん肝ポン酢」

 

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千葉料理の「さんが焼き

 

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北関東一帯で愛されるモツ煮も!(以上ぐるなび https://r.gnavi.co.jp/45h8z37y0000/ より)

 

42道府県の郷土料理店リスト

ちなみに、42道府県のお店リストは以下の通り。なお、2018年12月15日時点での情報なので、閉店していたり、郷土料理の提供をやめたりしている可能性もある。来店前にはご確認を。

 

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石川は「能登」、岐阜は「飛騨」となっているが、それぞれ全県的な名物も楽しめる店だ

 

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▲西日本のなかで兵庫のみ郷土料理店がなかった

 

5都県で郷土料理店が見つからず

逆に、東京埼玉神奈川栃木兵庫郷土料理店が、東京で見つからなかった。

郷土料理店がないということは、郷土料理自体ないの?」と思われる方もいるかもしれないが、この5都県も実はけっこうローカルフードがある

 

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東京名物「からし焼き」。ほぼ北区のみで愛されている局地的フード

 

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神奈川川崎・横浜)名物「ニュータンタンメン」。辛いスープと大量の溶き卵&ニンニクが食欲をそそる

 

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埼玉名物「スタミナラーメン。さいたま市を中心に愛されてる一品。塩辛さ&ウマさを味わえる

 

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栃木那須塩原)名物「スープ入り焼きそば(by Snap55 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Soup_in_yakisoba.JPG

 

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兵庫加古川)名物「かつめし」(by Corpse Reviver  https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Katsumeshi_Asahi-syokudo_02.jpg

 

これらのきら星のような人気ローカルフードがあるにはあるが、県全体の郷土料理を集めた店は見つけられなかった。

なお、5都県それぞれの東京への出店状況はこんな感じ。

 

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首都圏の県が多く含まれているのは、東京に近いせいなのかとも思ったが、関西地方などの離れた地域でも「埼玉料理屋」「東京料理屋」などは見つからなかった

入念に調べているものの、あくまで「見つからなかった」のであり、実際に存在する可能性はゼロではないのであしからず。

 

うどん以外にもこんなにある! 「香川料理」を食べに行こう

僕はこの42道府県の郷土料理店の中で、一軒行きたくなった所がある。香川料理店だ。なぜなら香川はあまりにも「うどん」の存在感が強すぎて、逆にそれ以外の郷土料理を知らないからだ。

はたしてどんな料理と出合えるのか。麻布十番にある東京さぬき倶楽部」へ向かった。

 

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麻布十番の閑静な住宅街の中にあった

東京さぬき倶楽部は、共済会館のひとつ「讃岐会館」を前身とした施設だ。かつて、東京には各県の共済会館がいろいろあったが、その多くは現在なくなっており、ここは貴重な生き残りのひとつ。施設内にはロビーや大宴会場、会議室、レストランなどがある。

 

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香川料理を出す店は東京でも珍しいが、この施設内には2店ある。今回は、リーズナブルに讃岐の味が楽しめる「レストラン花季月(かきづき)」に入ることにした。

 

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郷土料理店には珍しい、洋式レストランスタイルの店。やや年季の入った施設ならではの落ち着ける雰囲気だ。

 

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▲香川出身、まんが日本昔ばなしの童絵作家・池原昭治さんによる絵画が多数ある

 

注文してしばし待つと、料理がやってきた。

 

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知られざる「香川料理」づくしである。さっそく食べ進めよう。

 

香川の冬の風物詩「しっぽくうどんはじめました」

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まずは、メインディッシュとなる「しっぽくうどん(900円)から。香川では冬の風物詩とされており、「しっぽくうどんはじめました」と告知されるとか。

香川でうどんは冷たくして食べることが多く、「煮込みのうどんはややレアな存在」なため、珍重されるとのこと。

 

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▲細切りの大根と人参がメインの、珍しいフォルム。けんちん汁のようなスープで、冬の寒さにはピッタリ

 

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▲香川の工場から取り寄せている麺

 

脂が乗ってやわらかいふぐ「讃岐でんふぐ」

続いては、讃岐でんふぐ唐揚(950円)だ。リーズナブルなこのレストランでは高級料理と言ってもいいだろう。

 

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▲横長の厳かな器に盛り付けられてやってくる

 

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▲大いに脂の乗りを感じる

以前にフグを食べたことがあるが、そのときとは別次元の脂身の濃厚さを感じる。

フグは単に値段が高いだけのものだと思っていたが、これは非常に食感がやわらかく、おいしい。口の中で、肉がなくなっていくのが名残惜しいほどだ。

 

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使用されているのは、瀬戸内海で穫れる讃岐でんふぐ」というブランド魚。ちょっと小ぶりで、身がぷりぷりしているのが特徴だ。

 

さらなる、知られざる香川料理の世界へ

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香川の食卓への登場率が高いしょうゆ豆(320円)は、ちょうどいい甘じょっぱさ。食感は「アンコ」にも似ているような感じ。ついもう一個、もう一個と手が伸びる風味だ。

 

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こちらは、鰆(サワラ)の押し抜き寿司(420円)。

 

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関東人には馴染みのない鰆が使われており、酸味の強い酢飯と相まって、なつかしいちらし寿司のような味。うどんに格好のおともだ。

 

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こちらのてっぱい(320円)は、秋から冬にかけて水を抜いたため池で捕った寒ブナで作る料理。ため池の多い香川ならではの一品である。

 

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すっぱくて爽やかな味のあとに、香ばしさがきいてくる。玉ネギがふんだんに使われていて、シャリシャリと噛み進めるのが楽しい。

 

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国重(300ml、1,000円)

そして、香川県の地酒「国重(綾菊酒造)」を飲む。香川はもともと古代米で有名らしく、お米から作る日本酒や米焼酎などのラインナップが多いという。

 

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口に含んでみると、日本酒特有のキツさが少なくて非常に飲みやすい。

アルコール度数がしっかり15%あるとは思えない、穏やかな口当たり。居酒屋で見つけたらリピートしようと思った。

 

香川は、うどん以外も魅力的!

他県民にとってはうどんの影に隠れてしまっているように見える香川料理だが、提供する側はどう思っているのか?

そこで、東京さぬき倶楽部の営業部・古川健太さんにお話を伺った。

 

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▲「香川は第二の故郷です」と古川さん

古川さんは福岡出身。大学を卒業して、東京さぬき倶楽部を運営する香川の会社へ就職し、今年で10年になる。香川から東京に派遣されて2年になるそう。

 

うどんで香川が知られるのはいいことですが、それ以外の魅力も知っていただきたいですね。骨付鶏やしょうゆ(豆)、オリーブで育った『オリーブ牛』など、おいしいものがたくさんありますので」(古川さん、以下同)

 

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東京さぬき倶楽部内のもう一つの食事処「ばんげ」

 

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骨付鶏(2~3人前、2,000円)。うどんに続く香川名物として注目されている

 

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地蛸唐揚(850円)

 

「香川県民の方に加え、ご近所のお客さんもいらっしゃいます。最近では外国人の方も多いですよ。東京さぬき倶楽部は宿泊施設ですので、香川から東京に来る大学の受験生にも使われています。受験のときに食べた味をもう一度と、来てくれる方もいますね」

 

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オリーブを使った飼料で育つオリーブ牛 味比べ」(4,800円)は、店いちばんの高級品。サーロイン・ヒレ・ランプの3部位を味わえる

 

「香川の料理は『独特』です。普通の料理でも味付けなどがちょっと変わっていて。皆さんもぜひ、さぬきうどんを入り口として、香川のいろんな文化に触れていただきたいなと思います。東京さぬき倶楽部が香川を知るきっかけの一つになってくれればうれしいです」

 

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▲取材を行ったロビー。香川ゆかりの世界的木工作家、ジョージ・ナカシマによる家具が置かれている

 

郷土料理店は、ふるさとを知ってもらえる店

香川はうどんだけではない。もちろん、うどんはソウルフードとして愛されているが、それ以外の知られざる魅力が伝わることを香川の人は祈っている。古川さんのお話を聞いて、そう感じた。

「若者の旅離れ」などと語られる昨今。東京にある各県の郷土料理店たちは、「ふるさとの味を知ってもらいたい」という望みを乗せた、小さな希望なのかもしれない。

 

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ウマかった!

 

紹介したお店

レストラン 花季月

住所:東京都港区三田1-11-9 東京さぬき倶楽部2F

TEL:03-3455-5551

URL:http://sanuki-club.tokyo/restaurant/

営業時間:11時半~14時/17時半〜22時 (ラストオーダーは20時55分)

※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。

 

筆者プロフィール

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辰井裕紀(たつい・ゆうき)

ローカルネタ・卓球・競馬などが得意のライター。過去に番組リサーチャーとして秘密のケンミンSHOWなどを担当。

Twitter:@pega3

編集:宇内一童(ノオト)

                             
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