岡山県のごく狭い地域に根づく「笠岡ラーメン」とは何か?
岡山県民ですら県北では笠岡ラーメンを知らない方もいて、まだまだメジャーではありませんがそれが、それが逆に「地ラーメン」の知る人ぞ知る!感を高め、食べたいという意欲をかきたてられます。
笠岡ラーメンの特徴は、スープは鶏ガラベースで醤油ダレ、チャーシューは豚肉ではなく親鶏を煮たものが使われている点などがあります。
数多く笠岡ラーメンを提供するお店がある中で本日訪れたのは中華そば専門店「坂本」。
味のみならず、店主さんの人柄もあってか、多くの常連さんで賑わうラーメン店です。
中華そば専門店「坂本」
創業昭和33年と現存する笠岡ラーメンのお店では最も古く、地元の方々以外にも広く支持されているお店です。
ラーメン店は派手な看板に大きな文字でアピールするお店が多いなか、看板は無くひさしテントに小さな文字で中華そばと書かれているだけの潔い外観。目立つお店ではないが長く続いているお店としての風格を感じます。
昭和の雰囲気を感じる店内で昔から変わらない昭和の味を堪能できます
こじんまりとした店内にはテーブル席があり、15名程で満席です。
お昼頃になればお店の外で席が空くのを待たれる方の姿も珍しくありません。
メニュー表はこちら
提供されてる品は中華そばのみで並盛と大盛りが選べます。
ライスすらない所が潔く、さすが中華そば専門店!って専門すぎでしょう!!
気になるのは横に書かれた「万札お断り」との注意書きなのだが、その件は後に触れるとしましょう。決して頑固親父的な店主が営むお店ではありませんのでご安心下さい。
テーブル調味料は、コショウ、一味、元ダレが置かれてます。
このスペースで全ての作業を行える様に配置された厨房
創業当時と変わらぬ製法で先代から引き継いだ味を守る2代目店主の坂本英喜さん。
中華そば坂本オリジナルTシャツの背中には、
一に、鶏ガラ
二に、人ガラ
三枝が文枝で、いらっしゃ~い!の文字が。ユニークですね。
羽釜でスープが煮込まれていました
笠岡ラーメンを提供するお店では、鶏ガラスープのみと、鶏ガラと魚介系素材を使ったお店がありますが、「坂本」は鶏のみを使用してスープを仕込んでいます。
予備のスープも別鍋で備え、羽釜に注ぎ足し調整しながら常にベストな濃度を保つ様に心掛けているそうです。 羽釜にはたっぷりと鶏ガラや鶏皮などが入っていました。
丁寧かつ素早く湯切を行います
多くの湯を使い、麺を広く泳がせ茹でる鍋の形状から、平ザルを使われていました。
リズム良く湯切りする音も心地いいです。
坂本の麺の茹で加減は一般的にはカタ位の茹で加減で提供されるので、ヤワが好みの方は柔目でとオーダーして下さい。快く対応してくれますので遠慮なくお申し付け下さいとおっしゃってました。
オーダー後、わずか1分程で運ばれて来た笠岡ラーメン
中華そば(並盛り) 600円(消費税8%時税込み価格です)
笠岡ラーメンの最大の特徴でもある、親鶏を使った鶏チャーシューは目を引きます。豚肉チャーシューとの違いは一目瞭然!
斜めに切られたネギも笠岡ラーメンを提供するお店では多く見られる特徴です。
親鶏チャーシュー・ネギ・メンマが乗ったシンプルな具材と、澄んだ鶏ガラ醤油スープは、まさに昭和を感じさせる、昔から変わらない姿の笠岡ラーメンが運ばれて来ました。
ただ鶏肉をチャーシューとして使うだけでは、笠岡ラーメンとは呼べない!
鶏チャーシューは肉質が柔らかい若鶏を使わず、噛み応えがしっかりとある親鳥でなければ笠岡ラーメンとは呼べません!
噛めば親鶏ならでわの凝縮された旨みが広がり、若鳥とは違いコリコリとした食感が楽しめます。
素朴ながらもジワジワ旨味が増すスープ
鶏ガラ醤油と素朴なスープながら、醤油と鶏の味もしっかりと主張しておりバランスも良く、スープの上に薄っすら乗ったチー油が旨みを引き立てます。
約60年続く「坂本」の味を守り続け、昭和から変わらない味のスープは1口目でガツンと来る旨みではありませんが、じわじわ押し寄せる旨みがあり最後まで美味しく頂けます。
昭和の味と言えど現代でも十分通用するポテンシャルを持つスープでしょう。
麺の茹で加減は、好みを伝えなければやや硬めとなります
麺は低加水の細麺ストレート。
地元笠岡で高品質な麺を作ると評判が高い、丸新麺業の麺を使っています。
噛めば小麦の風味が広がる美味しい麺でした。
鶏ガラスープに親鶏チャーシューで、乗っている脂はチー油と鶏づくしの1杯です!
ご馳走様でした。完食です!
早くラーメンを出すのもサービスの内と、店主さんはオーダーを受けてから1分程での提供を心掛けてるそうです。
お客様も待つ時間は短い方が助かるし、お店側にしても回転率が上がる。どちらにとっても良い事ですよね。
お店を1人で切り盛りしている店主さんが、お会計で手を止める事なく調理に専念する為に至ったお会計方法がコチラ!
勝手に精算機!?
食べ終えたお客は、お店の方にお金を渡すことなく、自らこの容器にお金を入れます。つまり、お客自身で会計をする、実にアナーキーな会計システムなのです。万札お断りの理由も納得!でも本当にこれで大丈夫なのか!?と心配にもなってしまいます。
「勝手に精算機」と題した会計コーナーには、1000円・500円・100円の3つ容器が置かれてます。
食べ終えた方がお会計をする様子を見てましたが、当然初めての方は戸惑いますが、店主さんは「料金はそこにある容器に入れといてー」とお客の良心を信頼しきっている模様。こんなお店は今時珍しい!
「勝手に精算機」を体験してみた!
勝手に精算機と名付けてはいるが「機」の要素は無く、自らの手でお会計を行います。
私が食べたのは中華そば(並)は600円なので、1000円を置きます。
百円玉置き場からお釣りの400円を勝手に取ればお会計の完了です。
常連さんは「ごちそう様」と慣れた様子でお会計を済ませ帰っていきます。スマートですネ。
当然の事ですが訪れる皆さんマナーも良く、売り上げ金額に誤差が出る日は滅多に無いそうです!
たまたま居合わせた常連さん
綺麗な方でしたので顔出しはNGなのは残念ですが、月に2回程は1時間位の距離を通い「坂本」の中華そばを食べに訪れるラーメン女子さん。
「ラーメンが好きで数々のお店に行ったけど、ここの味が好きで食べたくなり来ちゃいます。お店が近ければ毎日食べたい位ですよ!」とおっしゃってました。
最後に、店主さんに気になる点を質問してみました。
お会計をしようと財布を見れば万札しか無かった場合どうすればいいのですか?と尋ねると、その時は店主さんがお会計してくれるそうなのでご安心下さい。
紹介したお店
中華そば「坂本」
住所:岡山県笠岡市笠岡中央町34-9
営業時間 9:30~14:30
定休日 日曜・祝日
TEL:0865-63-6454
著者:モフモフたん
岡山県を中心に色々なジャンルのお店に食べに行きます。 初めて訪れるお店はワクワクドキドキですがそれが楽しみです♪
ブログ:気ままに食べ歩き隊