骨付きマトンの煮込みカレー「ニハリ」が未体験の濃さ…東京東部の団地にある名店で鮮烈な体験をした

「ハビビ ハラル レストラン」(東京都江東区大島4-1-2 大島四丁目団地2棟107)を紹介します。インド・パキスタン・アラブ料理を謳うお店で、バターチキンやキーマ、ダルカレーといったインドカレーがあるかと思えば、マトンコルマやチキンアチャールといったパキスタンカレーもあります。なかでも「ニハリ」というマトンの骨付きすね肉をじっくり煮込んだカレーがとにかく濃厚で未体験の美味しさでした。肉以上に骨から旨味がたっぷりと出ており、うっとりするような味わいです。ほかにも、スパイシーな炒めご飯の上に肉料理が満載の「ハビビプラッター」もオススメ。お値段は張りますが、シークカバーブやチキンティッカ、シャーミカバーブ(コロッケのようなもの)などが全部盛りでお値段以上の満足感を得られる夢のようなプレートです。団地の中にあるという特殊な立地ですが、わざわざ訪れたくなるほどの名店ですよ。最寄り駅は都営新宿線の西大島駅ですが、総武線の亀戸駅から散歩がてら歩くのも楽しいかもしれません。(亀戸のグルメカレー

骨付きマトンの煮込みカレー「ニハリ」が未体験の濃さ…東京東部の団地にある名店で鮮烈な体験をした

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団地のショッピングモールが好きなココロ社です。

 

意外なところで最高にすばらしい店に出会えたので報告させていただきたい。
具体的には、高度経済成長期のたたずまいを残す団地のショッピングモールに、食べたことのない味のカレーを供してくれる異国情緒満載のパキスタン料理店があったのだ。

 

先日、「そういえば東京暮らしが長いのに亀戸に行ったことなかったな」と思い、考えなしに界隈をうろうろしていたときの話である。
亀戸といえば、亀戸駅よりも北にある亀戸天神社だけれども、その日は「南にしておこう」と思ったのだった。理由は海に近い方が何かあるかなと思ったから。

 

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駅を降りると、ガード下には100年くらい経っていそうな風格あふれる壁画があった。だが、描かれているものからして新しいものだろう。

 

しばらく歩くと唐突に緑道が現れた。

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しかも直線ではなく、ゆらりと蛇行していて、そのときはハハーン、これは下に川があるってことだねぇ、と(想像上の江戸っ子言葉で)思いつつ機嫌よく歩いていたのだが……。

 

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これはどう見ても線路。
この道、かつて都電が走っていたルートであり、いつのまにかわたしは、ウキウキ廃線めぐりをしていたということだ。

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もっと味わって歩けばよかった……。

 

歴史的背景を知らなくても素晴らしい緑道だなぁと感激しながら歩くうちにみるみる風景が変わっていき団地群が見えてきて、緑道を離脱した。団地の1階に、昔ながらの食堂か、あるいは昔ながらの喫茶店などを見つけてモリモリ食べたいと思ったからだ。

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わたしの知っている団地とは全然違った。団地というか1棟で町を形成している。

 

ショッピングモールが楽しそうな棟に行ってみよう。

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ふれあいショッピングセンター。
そういえば「ふれあい○○」というフレーズを平成に入ってから見ることが少なくなってきた気がする。
まあわたしもふれあいは特に好きではないので嘆く立場でもないのだが……。

 

そして、その大島四丁目団地ふれあいショッピングセンターを眺めていたら、思わず二度見してしまう佇まいの店があった。

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それがこの店、「ハビビ ハラルレストラン」である。ロゴが力強くて興奮する。

「たしかに団地の中にエスニックな店があるとうれしいかも」くらいの気持ちで、入店するほどではなかったのだが、店先のメニューをよく見てみると初見の料理多数で、興味を惹かれて入店。

 

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お店の中は現地仕様で、先ほどまでの緑道~団地までの記憶が一瞬で吹っ飛ぶ。

 

メニューの1ページ目は、平均的なインド料理の店で供されるランチメニューである。

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何度か通って法則をつかんだが、近所から来た風の人は、この1ページ目から選んでいた。大喜びで食べていたのでこの標準的ランチメニューも素敵な味がするに違いない。

 

ページをめくると……。

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パキスタンカレーが登場。

遠くからきた風の人を見ていると、慣れた様子で「ニハリ」を頼んでいる人が多かった。わたしは慣れていないので、初めて訪れたときは、「このニハリは、ニハリだけですか、セットになりますか」と確認したら、「ナンか、ライスか……あとロティもできます」のこと。選択肢の最後にもってくるということはおすすめなのかなと思ってロティをお願いした。

 

しばらく待つとご本尊登場。

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説明では、「マトンの骨付きすね肉の煮込みカレー」とあり、それだけでじゅうぶん期待できるのだが、実際いただいてみると想像していたよりもずっと煮こまれていて、「骨のスープにカレー的な味付けがしてある」と表現した方がむしろ適切かもしれない。羊の肉よりも骨のスープのうっとりとするような濃厚さがマインドシェア100%なのである(おいしさに興奮しすぎて若干意味不明)。

インドカレーはもちろん、金沢カレーと比較しても、こんな濃いカレーをいただいたことはない。

 

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そして骨付き肉の筋のコラーゲン量に驚き。

 

ロティは全粒粉を焼いたものだが、ナンと違って発酵させない分、密度が高くて香ばしい。

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全粒粉のワイルドな風味が最高で、濃いカレーにはぴったりだと思った。

 

 

……と、大満足して帰宅したのだが、数日経って、「なんかビリヤニの豪華すぎるような感じのものがメニューにあったような……」と思い出した。思い出したら食べたくてたまらなくなり、翌週も伺ってしまった。

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気になっていたのはこの「ハビビプラッター」である。店の名を冠しているのに食べないわけにはいかんやろ……。
さすがにハーフでいいかなと思ったけれども、1,800円する。
しかし、よく考えてみると、ランチのセットが700円からのお店で1,800円出したら夢のような気持ちになるはずである。

 

注文してしばらく待つ。いろいろ調理しているらしく、ほかのお客さんのランチメニューよりも後になった。

 

そして真打ち登場。

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すごい迫力……これをひとりじめできるなんて、大人になってよかったと思う瞬間。
ビリヤニのようにも見えるが、具が多すぎてお米がよく見えない……贅沢な悩みである……。

順に具のみなさまを紹介させていただきますと

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チキンティッカは2種類。タンドリーチキンに味が近いものと、焼き鳥をジューシーにしたようなシンプルなもの。

 

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タンドリーチキンも用意。

 

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これはシャーミカバーブという、豆と鶏肉で作ったコロッケのようなもの。日本のカレー味のコロッケがレベルアップしたような味がする。

 

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そして頂点に君臨するのは羊のシークカバーブ。

 

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お米部分も、ビリヤニのような炊きこんだものではなく、炒めたごはんなのだが、しょうが、クミン、干しブドウなどがまぶしてあり、スパイシーでジューシーなお肉たちとのマッチング具合が最高。

身近な食べ物にたとえると、焼肉定食を際限なく豪華にしたような感じ。


そして、ランチのドリンクとは独立してアラカルトで「ハビビドリンク」(500円)をお願いした。

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ドライフルーツ、はちみつ、牛乳のドリンクで、メニューには「エナジードリンク」と書いてあるが、この色を見てほしい……いかにも甘そうだが実際すばらしい甘さで、覚醒する感じがある。ミックスジュースを濃縮したような魅力がある。


そしてあれこれ考えながら食べているときも、外はやはり団地なのであった。

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東京の西側に住んでいるわたしにとってはちょっと遠いのだが、この店に行く目的で、ついでに亀戸天神でも行くか……という感じでお出かけ計画を立ててしまう名店である。

 

なお、ハラルレストランなのでノンアルコールなのだけれども、お客さんはおいしさでみんな笑いながら食べていて、アルコールがいらない世界を実現しているともいえるかもしれない。

 

次に行くときはニハリにするか、ハビビプラッターにするか、すごく迷っている。

 

紹介したお店 

ハビビ ハラル レストラン
〒136-0072 東京都江東区大島4-1-2 大島四丁目団地2棟107

 

著者プロフィール

著者 ココロ社
ライター。主著は『マイナス思考法講座』『忍耐力養成ドリル』『モテる小説』。ブログ「ココロ社」も運営中。 

ブログ:ココロ社
Twitter:ココロ社 (@kokorosha) | Twitter

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