こんなに濃厚で美味しい魚があったのか…!体の40%が脂肪の深海魚「アブラボウズ」を小田原の食堂で堪能する

脂がのった深海魚「アブラボウズ」を食べられるお店を紹介します。このアブラボウズ、神奈川県・小田原あたりでは「オシツケ」と呼ばれ、豚角煮のように甘辛い煮付けにしていただくのが一般的です。オシツケの煮付けとおかわり自由のごはんを食べられるのが、小田原漁港からすぐの「港の台所 なみ」(神奈川県小田原市早川1-6-10 水産会館 2F)。アブラボウズは体の40%が脂肪というくらい、脂がのった身が特徴。濃厚でこってり、まろやかな脂がたっぷりの味わいです。脂がたんまりのっているため、大量には食べられないものの、ついご飯を何杯もおかわりしてしまう美味しさですよ。こちらの「港の台所 なみ」には、オシツケ(アブラボウズ)の煮付けのほか、鯛の子や海鮮丼、漬け丼など魅力的なメニューがいっぱいです。(小田原のグルメ海鮮・魚介料理

こんなに濃厚で美味しい魚があったのか…!体の40%が脂肪の深海魚「アブラボウズ」を小田原の食堂で堪能する

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好きな魚を聞かれたら、どう答えるだろう。

サンマ、マグロ、ブリ、アジ、イワシ、サケ、ヒラメ、ナマズ、コイ……わたしはこのあたりで詰まってしまう。世界には3万種類の魚類がいるというのに、もったいない話である。

とはいうものの、マイナーな魚がマイナーであるのには概ね理由があって、多くは記憶に残るほど味に特徴がなかったり、あるいは、珍しいけれども万人受けしなかったりするものである。

 

――そんななかで、メジャーではないが、ビジュアルも味も孤高ともいえる存在感を放ち続ける魚がいる。

その名はアブラボウズ。深海魚の仲間として言及されることが多く、その愛のない名づけも相まって、おいしい魚というよりも珍しい魚という位置づけがされているのだけれども、まだ味わったことのない人は、ぜひ食べてみていただきたい。その味に驚き、また食べたいと思うはずである。

 

アブラボウズ=体の40%が脂肪=おいしい!

アブラボウズ先生が悠然と泳ぐ姿は、沼津の深海水族館で拝むことができる。常にいるとは断言できないけれども、わたしが行ったときには特別展示中だった。

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このアブラボウズ、1メートルを軽く超える大きさや、その政治家風味の風貌に目を奪われるが、体の40%が脂肪分。写真を見た印象ではそうは見えない。せいぜい30%くらいに見える……そう言われてもアブラボウズ的にはうれしくもなんともないだろうけれど。

 

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アップで見ると、なんで大理石みたいな感じにするの!と抗議したくなるようなお肌の様子である。

 

以前、沼津で、深海魚の刺身定食を食べたとき、アブラボウズの切り身がいくつか入っていて食べる機会を得た。こってりしていておいしいと感じ、深海魚の刺身オールスターズの中で唯一、アブラボウズの名前だけがわたしの脳裏に刻まれた。

 

アブラボウズ料理の聖地、小田原へ向かう

そしてある日の朝、ガバリと起きて、「そういえばアブラボウズ食べたいな~」と思いたってお店を検索していたら、アブラボウズが「オシツケ」という名で小田原では煮付けなどで親しまれていることを知り、小田原に急行した。(ロマンスカーではなく急行で……)

 

アブラボウズという名前も、エレガンス皆無だけれども、オシツケも大概なネーミングだと思う。しかしお腹にズシンとくる魚の名前としては、かなりのフィット感。

 

 

目当てのお店は「港の台所 なみ」という店で、小田原漁港近くにある。JR早川駅(東海道本線)からすぐなのだけれど、小田原駅から歩けば30分。小田原城に行くのであればその先になるので、歩いてもいいかもしれない。

 

漁港自体はこじんまりとしているのだけれど、上を西湘バイパスが通っていたりして、首都圏近郊の漁港だなぁーと思う。

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そして、魚市場の周囲にありがちな、魚待ちの猫と鳥。

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駐車場でひたすら魚を待つアオサギたち。(たぶん待ち魚は来ない……休日なので)

 

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思い思いの場所でうたた寝する猫たち。

 

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え!キミ前から見たらそんなんやったのか!!!

 

 

ひとしきり漁港を歩いたら目的のお店でアブラボウズである。

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「迷ったら上へ」と書いてあるが、わたしはそもそも迷っておらず、一直線で上へ行った。

 

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入ってすぐのところに券売機。お店の名を冠した「なみ海鮮丼」「なみ漬け丼」といった料理が大きめのボタンで決断を迫ってくる。考えなしに入店すると、これら大きなボタンの引力に吸いこまれてしまうだろうけれども、それもまた楽しいだろう。

わたしは鉄の意志で早起きして東京から来ているので、「オシツケのあら煮」を探す。そして、ごはんセットのボタンもポチリと押す。

それで終わりにしようかと思ったのだが、魚卵が大好きなわたしは、「本日の魚卵」というパワーワードに釘付けになってしまい、手が勝手にボタンを押してしまったのだった。

 

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お店は市場の近くにある食堂ということもあり、朝早くから開いているのだけれど、10時前に来たときにはすでにけっこうな数のお客さんがいた。どう考えても地元の人だし、朝から地元の人でごった返している店がいい店であることは言うまでもない。昼はさらに混雑すると思われるが、このようにカウンターがあるので、ひとりや少人数なら困ることもないだろう。

 

東京から行く人にオススメなのは、たとえば熱海沼津に日帰りで行くとして、途中下車してこの店で朝食を取る、というプランである。熱海沼津はランチタイムは混雑する。ここで優雅に朝食をいただいておくと、魚への執着が薄れ、観光に集中することができる。

 

「アブラボウズのあら煮+おかわり自由のサバごはん」の最強タッグ

席に案内され、ほどなくしてお茶碗が登場。このお茶碗は自由を意味する。

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これが(わたしの脳内で)噂でもちきりの「ごはんセット」(280円)である。

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イサキごはん/サバごはん/海藻ごはん/ノーマルごはんを、好きなだけよそって食べてよしという意味である。

 

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次にきたのは「本日の魚卵」(420円)。鯛の子だった。なんとなく鯛の子来るかなーだったらうれしいなーと思っていたのでラッキーである。朝から運を使ってしまった。

本体も来ないうちから、いきなりサバごはんにするのは欲望に忠実すぎて恥ずかしいという気がしたので、一杯目はノーマルごはんにした。

いま振りかえってみると、そんな恥じらいは無用だった。

 

大阪に住んでいたときは、食卓に鯛の子があるのがあたりまえだったのだけれど、東京に来てから、年に1回も食べなくなってしまった。東京では、鯛の子を積極的に食べる文化がないのかもしれない。口の中いっぱいに弾けるおいしさに夢中になっていると、本日の主賓であるところの「オシツケ(アブラボウズ)のあら煮」(1,180円)がやってきた。

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お皿に山盛りではないのだが、それには理由がある。脂が多すぎてたくさん食べられないからだ。

まるで豚の角煮のようにぎっしり煮染めてある。この調理法が、この地域のアブラボウズの食べ方なのである。

 

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脂身は、関西でよくある鯨のコロの関東煮を思わせる味。それに魚の身がついているのだから、夢の競演である。

 

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皮のすぐ下の、うるおいゾーンにご注目。皮下脂肪の厚さを感じとっていただきたい。

この脂、濃厚だが、まろやかでドキドキする味なのだ。

以前、沼津でお刺身でいただいたときに比べ、この調理法が正解であると確信した。

 

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これをおかずに、サバごはんを2杯食べてしまった。合計3杯。肉では経験があったが、魚をおかずに、ごはんを何杯もお替わりする経験をしたのは生まれて初めてである。

 

 

アブラボウズが食べられる店はいくつかあるのだけれど、アブラボウズをおかずに、何杯もごはんをお替わりすることで、アブラボウズにしかない魅力を感じることができる店である。

 

この店に行ったあと、あなたが「好きな魚は?」と聞かれれば、あの濃い味を思い出しながら頬を染め、「アブラボウズかなぁ……」と答えることだろう。

 

紹介したお店 

 

著者プロフィール

ライター。主著は『マイナス思考法講座』『忍耐力養成ドリル』『モテる小説』。ブログ「ココロ社」も運営中。 

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