愛媛・松山といえばやっぱり道後温泉!
その道後温泉から歩いてすぐのところに、本格的な四川中華のお店があるのです。
名物料理はなんといっても担々麺と天津飯。担々麺は花椒とゴマの風味が際立って悶絶するくらい美味しく、天津飯は食材のポテンシャルを引き出すために引き算の調理法で作られており、ストイックなまでのシンプルさ……!
道後を巡ってひと風呂浴びたら、あるいは浴びる前に、この「門福(もんぷく)」に立ち寄ってみてください。というわけで紹介します!
看板メニューは「サブリミナル担々麺」…って何?
道後温泉本館から少し西へいくと、パッと見カフェのような白いドアの建物が現れます。これこそが「食楽命泉 門福」です。
ランチメニューが外に出ているのでチェックしてみましょう!
「謹製サブリミナル担々麺」とは……?映像とか音楽とかでよく聞く、潜在意識に刺激を与えるとかいうアレのことですよね?担々麺の形容詞になっているのは初めて見ました。
いったいどんな意味なんでしょうか??頼んでみなければ!
サブリミナルな旨さ!一番人気の担々麺
というわけで、看板メニューの「濃いめのコク担々麺」(730円)をオーダーしてみます。やってきたのがこちら!
見た目の美しさもさることながら、なんともいえない良い香りが漂います。赤いスープに浮かぶ乾燥サクラエビもいい!
麺をすくいあげると、よりいっそう、この良い香りが立ち上ってきます……たまらない!
さっそくいただきます!
良い香りを漂わせていたスープは飲んでみると、ピリッとした花椒と香ばしいゴマが合わさって……一口のつもりがもう一口、もう一口と飲みたくなってしまいます。
麺は中太の平打ち麺。ここに香り高いスープに絡まって、うわぁーっっ(悶絶)!!
このスープ、濃厚なのにクドくないんです。口に入れた瞬間はかなりの存在感があるのに、お腹に収めてしまうとスッキリしてるという……不思議なスープです。
それにしても、こ、これは……旨い!ウマすぎる~!舌だけでなく全身で感じるこの旨さ、これが食のサブリミナル効果……?気づいたらこの担々麺を食べに通ってしまうかもしれない。
四川料理の決め手は辛さじゃなく香り
こんな美味しい担々麺、いったいどんな人が作っているの?ということで、厨房にお邪魔させていただきました。お話を聞かせてくれるのは店長の門田さん。
東京・麻布の四川料理店でシェフを勤めていたこともあるベテラン四川料理人の門田さんが、故郷の愛媛に戻って2014年にオープンさせたのがこの門福なのです。
――サブリミナル担々麺、すごく美味しかったです。特に香りが最高でした。
門田さん「四川料理は辛さが決め手って思ってる人が多いんだけど、違うんだよね。四川料理のキモは香りなんだよ!
香りと味付けは僕の中ではだいたい同じ位置づけ。美味しいものは良い香りもするでしょう?美味しさは頭じゃなくて、体全体で感じるもの。だから香りも重要な要素なんだ」
――あの担々麺を食べた後だと説得力が違います!ちなみに、スープも濃厚なのにすっきりしているというか……どんな秘密があるんですか? あ、この鶏ガラを煮出している寸胴鍋に秘密があるんですね!?
と、覗かせてもらっていたら、
門田さん「胃もたれしないのは化学調味料を一切使っていないからかな。良い食材にはそのものに圧倒的な旨さがあるから、余計なものは使いたくない。使う必要もないんだよね」
聞けば、門福では愛媛県産の食材にこだわっているそう。食材だけでなく醤油や酢といった調味料もできるだけ愛媛県内のものを使っているそうです。
愛媛の良い食材をたっぷり使っていることが美味しさの秘密なのか~。
ここで、四川料理の定番中の定番である麻婆豆腐を作っていただくことに。
――麻婆豆腐の味付けで決め手になるものは何ですか?やっぱり麻辣(マーラー)なんでしょうか?
門田さん「うーん……麻辣も大事だけど、うちの場合は酢だなぁ」
――え、酢なんですか!?
門田さん「四川料理には麻辣を入れないメニューもあるんだけど、辛さを立たせる隠し味として多く使われているのが実は酢なんだよね。酢を入れると辛さにハリが出てくる。
うちでは愛媛産の米酢を使っていて、それをベースに味を作っている。音楽にたとえると、基本の音、音叉の役割をしているのが酢になるわけ」
酢がそんなに使われているとは知りませんでした……。しかもかなり重要な役割を果たしているとは。なんとも奥深いですね。
完成した麻婆豆腐はこちら。パーフェクトな見た目!
▲基本の米酢に絶妙なブレンドの麻辣が効いた「四川麻婆豆腐ランチ」(1,180円)の麻婆豆腐。
卵とご飯だけでこの旨さ…!潔すぎる天津飯
米酢をベースに、素材の美味しさを引き出すべく、引き算のレシピで作っているという門福のメニュー。素材のポテンシャルを最大限に発揮できるように、最低限のものしか合わせないのだそう。
その引き算のレシピの王道を行くのが、この天津飯!(単品580円)
見てください。この究極のシンプルさ……!
ふわっふわ玉子にとろーり甘酢あん、そして白ご飯。他のものは一切入っていない、ストイックなまでにシンプルな天津飯です。
門田さんいわく、「『ネギもカニも入っていない!何も入ってなくて、こんなの天津飯って呼べるのか!』ってお客さんからクレームがきたこともあったけど、玉子とご飯だけでうちのはMAX美味しいから。ネギやカニ、グリーンピースなんか入れても全然合わないんだよね」とのこと。
シンプルなだけに、素材の味と料理人の腕が問われるこの天津飯。今ではこの天津飯を食べに県外からもお客さんがやって来るほど、担々麺と並んで門福の看板メニューになっています。
ご飯には、白米だけでなく、松山市の隣町である東温市(とうおんし)のもち麦が入っています。白米だけで食べるより一層美味しい!と門田さんが力説していました。
このシンプルさながら、たしかに物足りなさを全然感じない!この天津飯はこれで完成された一皿であり、ヤミツキになってしまう人が多いことにも納得しました。
ランチタイムには「天津飯とハーフ担々麺のランチ」(880円)があるので、どっちも食べたい!という人にはオススメ。
担々麺はスタンダード、汁なし、辛々の3種類から選べます。上の写真はスタンダード担々麺。クリーミーなゴマとラー油のハーモニーが絶妙です。
ちなみに、「汁なし担々麺」(単品580円)はこちら。
本場四川の花椒がたっぷりで香り高く、シビれる辛さがクセになります。
他のメニューはこちら。
実は担々麺だけでも、スタンダード、汁なし、黒酢担々麺、炒め唐辛子の辛々、濃いめのコク担々麺の5種類があるのです!
美肌茶ランチの美人粥、エビチリ、唐揚げなど気になるメニューはたくさんありますが、初めて訪れるならばやっぱり天津飯と担々麺は食べてみてほしい!
営業時間は昼と夜、2時間半ずつ
門福の営業時間は昼は11:30~、夜は17:30~の2時間半ずつ。美味しいものを良い状態で出すために、これ以上は営業時間を延ばす予定はないとのこと。
土日は店の外に列ができる人気店でもありますので、道後観光の一環で訪れるなら、オープンと同時の入店を狙ったほうが良さそうです。
店内は外観と同じく白を基調にしており、カウンター席6席とテーブル席合わせて20席。天井が高く、広々とゆったりした空間なので、落ち着いて食事を楽しめます。
壁には愛媛が誇る石鎚山、道後温泉、秋山好古(よしふる)、松山城の絵。
野菜ソムリエの資格を持ち、自ら農園で野菜を育てている門福のオーナーの言葉も書かれています。
道後温泉から徒歩2分、飛鳥乃湯泉から徒歩1分
道後の中心にある道後温泉本館は現在、保存修理の工事中。本来の玄関はクローズされています。「再生」ということで、手塚治虫先生の『火の鳥』とコラボ。「道後REBORN×火の鳥」の垂れ幕がかかっています。
道後温泉本館には神の湯と霊の湯、それぞれに休憩室があるのですが、2019年3月現在では神の湯の入浴のみが可能(2階と3階の休憩室も工事中)。入口は西面です。
夜には火の鳥のライトアップとプロジェクションマッピングも行われていますよ!
その道後温泉本館から徒歩1分程度のところにあるのが新しい道後の顔「飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」。
この飛鳥乃湯泉からまた徒歩1分、写真左の道を奥に進んだところに「門福」があります。
松山・道後を訪れた際には、道後の名店「食楽命泉 門福」で愛媛の美味しい食材をつかった中華料理をぜひ食べてみてくださいね。
紹介したお店
営業時間:11:30~14:00、17:30~21:00(L.O.は終了時間の15分前)
定休日:水曜日
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