愛媛・松山で「三津浜焼き」を食べないなんて!牛肉&牛脂を使うお好み焼きは激ウマすぎて箸が止まらなくなるよ

愛媛県のグルメといえば、みかんや鯛めしなどが有名です。しかし、松山の三津浜地区には隠れた名物「三津浜焼き」があるのです。お好み焼きの一種ですが、独自の進化を遂げていて大阪風とも広島風とも異なります。麺を使うところは広島風と同じですが、味付けした麺を生地にのせる、牛肉を使う、ちくわを具材に入れるといった点が特徴。三津浜焼きの人気店といえば、地元民からも愛される「日の出」です。一番人気の「そば台付き肉玉」をいただいてきました。B級グルメらしく安いのに、思わず箸が止まらなくなる美味しさです。(松山のグルメ和食

愛媛・松山で「三津浜焼き」を食べないなんて!牛肉&牛脂を使うお好み焼きは激ウマすぎて箸が止まらなくなるよ

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こんにちは、さすらいの畦道ライダー、四国案内人の林ぶんこです。

お好み焼きといえば関西風、広島風などありますが、愛媛にも独自のお好み焼きがあることはご存知でしょうか?松山市民のソウルフードともいえます。

それが「三津浜焼き」。松山市西部の港町、三津浜地区には約30軒のお好み焼き屋さんが所狭しと軒を並べ、昭和の時代から庶民派ご当地グルメ・三津浜焼きを提供しています。

今回はそんな三津浜焼きの人気店「日の出」を訪ね、雨にけむるレトロな三津浜の街をぶらぶら散歩してみました。

 

三津浜焼き」の人気店「日の出」へ

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松山の中心部から三津浜は電車ですぐ(詳しいアクセスは後述します)。

昭和の中頃まで松山の海の玄関となっていた三津浜。お隣、広島県からの漁師が伝えたといわれるお好み焼きがアレンジされて独特のスタイルになったものが三津浜焼きです。

このあたりで「お好み焼き」といえば、問答無用でこの「三津浜焼き」を指します。三津浜地区には30店舗近くのお好み焼き店があるとか。数あるお店のなかでも、今回紹介するのはこちらの「日の出」です。

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三津浜焼きなら日の出!」と即答する松山市民が多い超人気有名店です。いよてつ三津駅から徒歩3分程度で到着しますよ。

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雨がそぼ降る平日の15時過ぎ、こちらのれんをくぐってみました。カウンター周りの5~6席しかない小さなお店です。

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「いらっしゃい!今ならすぐ焼けるよー!」

大将が1人で電話注文分もさばいているため、お店が空いていても、注文から焼き上がりまで30分くらいは待たなければならないことも多いのです。しかし、ありがたいことにこの日はそこまでは混んでおらず、大将のおやつ(というか遅いランチがわりの食パン)が鉄板で焼かれていました。

長年の煙と油でいぶされて、いい感じにくすんだ店内。ピンク電話が昭和の昔を思い出させます。そしてこんな肌寒い雨の日には鉄板まわりの温かさが嬉しい。

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メニューはホワイトボードのこれだけ。

三津浜のお好み焼きクレープ状の生地に具材を乗せて焼く、広島お好み焼きと同じ「乗せ焼きスタイル」。そばやうどんを入れたものは「台付(だいつき)」と呼ばれます。

一番人気のそば台付き肉玉(650円)にトッピングで油(50円)とキャベツ大盛り(100円)、お好み焼きの肉玉(550円)、焼きそばの肉玉(600円)、と計3つをオーダーしました。

 

三津浜焼き広島お好み焼き、ここが違う

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三津浜焼き広島お好み焼きと違うのは、台の中華そばやうどんをソースで味付けしてから生地に乗せる点(一方、多くの広島お好み焼きキャベツなどの具材が下、味付けされていない麺がその上に乗ります。広島お好み焼きについてはこちらの記事が詳しいです)。

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▲入ってくる注文を手際よくさばいていく大将の児玉さん。クレープ状の生地の上に乗せる焼きそばを味付けしています。

 

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お好み焼きで肉というと豚肉がほとんどかと思いますが、日の出はじめ三津浜焼きでは牛肉を使うのが一般的。先ほど、そば台付き肉玉にトッピングした「油」とは牛脂のことで、山盛りキャベツに甘みとコクをプラスしてくれます。ジュワーっと焼ける牛脂の香ばしい匂いが漂います。

 

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具材の中から顔を出しているピンク色の物体。何かというと、ちくわです。これも三津浜焼きになくてはならないもの。蒸しただけのちくわは鉄板の上で焼かれる時に程よい弾力とダシを出し、三津浜焼きをいっそう美味しくさせる役目を担っています。

 

というわけで三津浜焼きの特徴をおさらい。

中華そばやうどんを味付けしてから生地に乗せる
・豚肉ではなく牛肉を使う
・ちくわ(紅白のものが多い)を入れる

 

ビールが進む!箸が止まらない!旨すぎる!

では、あともう少し、三津浜焼きができるまでを見ていきましょう!

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一度に16枚まで焼けるこの鉄板で、毎日100枚前後を焼いているという児玉さん。昭和30年代から続く日の出の2代目大将です。 

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ジリリリーン!

突然鳴り響くレトロなピンク電話。「はいはい、4時に肉玉3枚ね!お名前は?」

なんと、この電話は現役なのです!この電話で毎日多くの注文を受けているんですね……!

ちなみに、ジーコロコロ…と電話もかけられますので、昭和のダイヤル式を試してみたい方は10円入れてどうぞ。

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次々に注文の電話が鳴り響き、手が休まらない児玉さんにちょっと質問してみました(忙しいときにすみません)。

 

――商売繁盛ですねー。なんで日の出さんのお好み焼きはこんなに人気あるんですか?

児玉さん「えぇー、なんでだろうねー」

――こだわっている食材とかありますか?

児玉さん「うーん、別にないねー」

――じゃぁ、こだわっているレシピとか焼き方とかは?

児玉さん「えぇーっと、そういうのも別にないんだよねー」

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児玉さん「僕はゆずり受けたやり方そのままにやっているだけなんだよね。今年88歳になるおばがいるんだけど、そのおばから教わったとおりにしてるだけ」

 

児玉さんがいうには、以前は日の出というお風呂屋さんがあり、そこのおやじさんがお風呂屋さんの片手間に始めた小さなお店を児玉さんのおばさんが引き継いだんだそう。

児玉さん「昭和37~38(1962~1963)年頃におばが始めた店を、20年くらい前に僕が引き継いだんだよねぇ。昔はお店はもっと港に近い場所にあったんだよ」

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へぇーー!初めて聞く日の出の誕生秘話。だから「日の出」っていうちょっとお風呂屋さんぽい(!)ネーミングだったのかぁ。

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話をしながら、でも児玉さんの手は止まることはなく、仕上げの青のりをふりかけ、 

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児玉さん「ハイ、できたよ!全部ここで食べてっちゃいなー!」

左から、そば台付肉玉+トッピングの油+キャベツ大盛り、焼きそば肉玉、お好み焼き肉玉の完成です。美味しそう~!そしてご覧のとおり、かなりのボリュームです。

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ソースは甘口からピリ辛、大辛まで用意されているので好きなものをかけていただきます。七味もあります。

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飲み物はセルフなので、後ろの冷凍庫を開けてグラスを出し、

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 冷えたビールと共にいただきます!

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まずはそば台付肉玉から。

うまーっ!しっとりキャベツにふわふわ玉子、甘すぎずしょっぱすぎず、硬さもちょうどいい麺にからむちくわと牛肉の超絶ハーモニー。うまい!

ビール片手に、ひょっとしたら(持ち帰りのつもりだったのに)3つとも全部いけちゃうかも……と、箸が止まらなくなるキケンな美味しさ。

やっぱり日の出の三津浜焼きは最高です。ぜひ店のカウンターに座って、鉄板から焼きたてを食べてみてください!ふんわりさっぱり、じわじわ来るこの美味しさが分かりますよ!

 

電話も鳴りやみ、ちょっとだけ一段落した児玉さんに、また質問してみました。

――好きな音楽とかありますか?どんな歌手とかお好きですか?

児玉さん「えっ!?」

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児玉さん「そんな質問が来るとは思わなかったなぁ……。いきなり聞かれると出てこないなぁ……。ちょっと待ってね」

 

考え込む児玉さん。真面目なお人柄です。先ほどのお好み焼きについての質問の答え、「別にない」ってのも、こんなふうに考えながら丁寧に言葉を返してくれてました。

 

児玉さん「…うん、甲斐バンド、甲斐バンドが好きだねぇ!」

――甲斐バンド(!)ですかぁ!(困った、全然知らないや……)

 

……甲斐バンドについては知識がない私ですが、無謀にも続けて質問。

――じゃ、お好きな曲は何ですか?私は『安奈』くらいしか知らないんですけど……。

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児玉さん「えぇーっと、『安奈』もいいけど他だねぇ…。えーとねぇ、急に聞かれると困っちゃうなぁ…。うーん、何だろうなぁ……」

またまた考え込んでしまう誠実な児玉さん。 

こんな生真面目な大将が20年以上焼き続ける日の出の三津浜焼き。焼き手と同じく素朴で飾らないやさしい味が、松山っ子から愛されています。休日は行列必至ですが、一番人気の三津浜焼き「そば台付き肉玉油入り」をぜひ試してみてください。

 

児玉さん、お店とは関係ない質問しちゃってすみませんでした。次は甲斐バンドについて勉強してから行きますので、曲についてはまたその時に教えてくださいね!

 

紹介したお店 

店名:日の出
住所:愛媛県松山市三杉町11-8
TEL:089-952-3676

r.gnavi.co.jp

 

三津浜焼きの「日の出」へ行くには

最寄駅は伊予鉄道の三津駅かJRの三津浜駅。

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三津駅のほうが日の出には近いです。伊予鉄道は1時間に4本程度の割合で松山市駅から三津駅までを結んでいます。所要時間は約14分。

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JRの場合は、JR松山駅からJR予讃線・伊予西条行きに乗ってわずか4分!あっという間の電車旅です。

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ただし、時刻表はこのようにずいぶんあっさり……。1時間に1~2本程度なので、帰りは時刻表を確認してから駅に向かった方が良さそうです。 

 

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三津駅前にあったこの看板によれば、航路しかなかった昔は三津浜は松山の交通の要だったそう。松山を代表する偉人、正岡子規や秋山兄弟などもここ、三津の港から東京に向かったようです。 

 

雨にけむる三津浜の街をお散歩

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日の出でお腹いっぱいになったら、腹ごなしに三津浜の街を歩いてみましょう!レトロな街並みが何とも良いのです。この日は雨がしとしと降っていましたが、それも風情があります。

三津駅前から通りの向こうをまっすぐ伸びる三津浜商店街をぶらぶら。ここにも「みよし」という三津浜焼きのお店があります。

 

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喫茶店の前では猫がバイクの上で雨やどり。

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少し歩いただけで、また別の三津浜焼きのお店を発見。噂どおり、かなりのお好み焼き店密度高し!であります。

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このお店は古時計修理工房らしいです。中に入ってみたかったけど、私の足音と雨の音しかしない三津浜の商店街はとても静かで、言葉を発するのが億劫になるほど。しっとりした雰囲気を壊さないように、そのまま通りすぎてしまいました。

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レトロ感漂うお店が続きます。

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男子専科ヤング。看板の下には「五女ありて後の男や初幟(はつのぼり)」。5人女の子が続いた後に男の子が生まれて、大喜びで初節句をお祝いしている知人の様子を詠んだ子規の俳句です。これをセレクトして男子専科をアピールしているところ、やっぱり松山のお店ですね。男子専科なのに女子制服指定店、ってのもおもしろい。

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金物屋さんでは焼き印を売っているのを見つけました。漁具とかに使うのでしょうか……?

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そんなこんなでぶらぶら歩いているうちに雨が上がってきました。海の方まで行ってみましょう。

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路地裏を通って、

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松山魚市場まで。

「おねえさん 呼ばれしぶしぶ 魚買う」「白飯に ウナギのせずに タレかける」など、ここでもやっぱり色とりどりののぼりに俳句が書かれています。

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空がだんだん明るくなってきました。もしかしたら夕日が見れるかな?と思い、西端のふ頭の方まで行ってみましたが、

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厚い雲の隙間からわずかにオレンジの光のグラデーションが見えただけでした。沖に浮ぶ島々のシルエットは忽那諸島(くつなしょとう)です。三津浜港、高浜港、北条港から行ける松山の秘境。秘境といいつつ日帰りでも行けますよ。

 

レトロな街並みと美味しい庶民派B級グルメがある三津浜。松山へ旅行に来たらぜひ立ち寄ってみてくださいね!

 

 プロフィール

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林ぶんこ

相棒エストレヤと四国の畦道や山道をトコトコするさすらいの0850(オバハン)ライダー。

ブログ:四国トコトコ
Twitter :@tepo11734

                             
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