昨年から今年にかけて、注目の店が続々とオープン。福岡では、今「立ち飲み酒場」がブームです。
立ち飲み酒場というと、大衆的な雰囲気やカジュアルな内装が一般的。しかし、今回ご紹介するお店はその真逆!超ラグジュアリーな雰囲気の、ネオ立ち飲み酒場へご案内します。
やって来たのは、福岡の中心部・天神と中洲の間に位置する西中洲エリア。寿司、和食、フレンチ、オーセンティックバーなど、高級店や美食店がひしめく大人の街です。
お目当ての店はこちら!今年2月にオープンした『立呑 邑久十(オクト)』です。暖簾と提灯には、しっかりと「立呑」の文字が。しかし、店内へ足を踏み入れると……。
!?!?!?!?!?
「どこだここは…?高級クラブ?バー?ちょ、入るお店間違ったんじゃない!? 」と、慌てますが、大丈夫。間違っていません。
高級クラブも真っ青のハイクラスな設え
店内にドドンと鎮座する2つの大きな立ち飲みテーブルは、なんとケヤキの切り株!それも、銘木の里として知られる宮崎県綾産。推定樹齢800年という巨大な古木を磨き、特注で造られた代物です。
(一体、おいくら万円するのかしら…!)
店名の「オクト」は、ラテン語で「8」の意味。お店のシンボルともいえる2つのテーブルが並ぶと8に見えることから、この名が付けられたのだとか。
さらに気になるのが、頭上に吊るされた巨大な物体。なんとこれ、スピーカーなんです。それも世界に4台しか現存していないうちの1台だとか!
英国「BTH(ブリティッシュ・トムソン・ヒューストン)」社製の貴重すぎるスピーカーで、1930年代、イギリスの映画館で使用されていたものだそう。
(い、一体、おいくら万円するって言うのよ!?)
設置された真空管アンプは、ヨーロッパでもトップクラスの高性能、高品質を誇る、イタリア「Unison Research(ユニゾン・リサーチ)」社製。この最強タッグからこぼれる音色は、まろやかで深みがあり、心に染み入るような心地よさがあります。
店内の随所には、中国の骨董品や香炉、美しく手入れされた盆栽が飾られており、立派な生け込みにも目を奪われます。
改めて言いますが「この雰囲気、この設えなのに、本当に立ち飲み酒場なの…?」
もしや、お酒もおつまみも、さぞやお高いのでは?(涙)震えながらメニューを開くと……。
生ビール小400円。レモンサワーも500円。
やすーーーーーい!!!
しかも、立ち飲み酒場らしく、レモンサワーは中身のおかわりが300円でできちゃう。
いや、でも、実はおつまみがすごく高いのでは? 高いチーズとか、“コレいくらすんだ”的なフルーツ盛りとか?(震)ドキドキしながらメニューを開くと……。
アラカルト1品300円〜。
やすーーーーーい!!!
しかも、酢モツにパリパリピーマン、牛スジ煮込みって、なんて親しみやすいんだ。酒飲みのツボをグイッと押さえてあり、嬉しすぎます。チャージ料も500円と手ごろ。
酒呑みのツボを押す、絶品メニューたち
「この金額なら安心して飲みまくれる!」と、早速「レモンサワー」(500円)でカンパイ!+100円でソルティドッグ使用の「塩レモンサワー」にしていただきました。氷代わりの氷レモンがどっさり入って、この塩気がイイッ!うまい!
「パリパリピーマン」(500円)も、もちろんオーダー。パリッとみずみずしくジューシーなピーマンに、旨味たっぷりの肉味噌が文句なしによく合います。
人気メニューという「味噌チーズバゲット」(700円)は、カナッペスタイル。コクのある味噌とチーズに、大葉とミョウガのアクセントが絶妙です。
これは日本酒が欲しくなる〜!と、早速追加注文。
地元・福岡はじめ、全国各地より厳選した銘酒をリストオン。福岡県八女市の名蔵「高橋商店」の「繁枡 クラシック特別純米」(一合500円)と、福岡県糸島市にある「白糸酒造」の「田中六五」(一合700円)。いずれも福岡が誇る美酒。升からたっぷりこぼれるほど注いでくださるなんて、サービス精神旺盛すぎる!
メニューにはその他、「獺祭焼酎」を筆頭に、ヴィンテージウイスキーやワインなど、珍しい洋酒や和酒も用意されていますよ。
内装も料理も、細部までこだわり抜く
日本酒に合わせて牛スジ煮込みを注文しようとカウンターを覗くと、輝きを放つ真鍮の箱が目に飛び込みました。この中には一体何が……?
「牛スジ煮込み、すぐにご用意致しますね!」と店主の武市さん。
箱の中身は、なんと牛スジを煮込む鍋や酒燗器でした!こちらも、もちろん特注。こだわりが細部にまで行き届いています。
『立呑 邑久十』名物の「牛筋煮込み」(600円)。なんでも、西中洲で有名なお寿司屋さんとフレンチ店、2店のご店主に試食していただきながら、試行錯誤で生み出した逸品なのだとか!余分な脂やアクをきっちりと取り除くなど、丁寧に下処理を施した牛スジは臭みなし。モチっと弾力あるスジの食感、トロトロにとろけるコラーゲンがたまりません。
小さなカスエラに入って登場したのは「辛トリッパ」(800円)。バゲットが3枚付いており、追加バゲット(3枚300円)もできます。とろけるチーズが絡むトリッパは大ぶりでとっても柔らか。旨味たっぷり、ピリ辛のトマトソースがあとを引きます。
フリーWi-Fi、充電用コンセントも完備!
「お待ち合わせや0次会、ちょっとした空き時間や飲み足りない時など、1杯からでもフラッとお越しいただけると嬉しいです」と、武市さん。
西中洲にはカフェがほぼない上に、カジュアルな雰囲気のバーも限られているため、実にありがたい!立ち飲みだったら、気軽に立ち寄れますよね。翌4時までの営業で、深夜帯にも活躍してくれます。
「2軒目どこ行く?安い店希望!」
「次の店、席が空くのにあと30分くらいかかりそう」
「仕事帰り、気になるあの子をサラッと誘いたい」
なんて時にも、迷わず訪れたい1軒。
それに、この店なら「今日は、西中洲で奢ってやる!」とドヤ顔できますね(笑)。
店内はフリーWi-Fiで、充電用のコンセントも設置されているため「充電がやばい!」という時にも重宝。何から何まで、“幹事の味方”な『立呑 邑久十』へ、ぜひ訪れてみてくださいね。
紹介したお店
『立呑 邑久十(オクト)』
電話:092-781-5262
営業時間:18:00〜翌4:00
休み:日曜、祝日
著者・SPECIAL THANKS
えり もりか
Twitterでの食べ歩き日記をきっかけに福岡の編集プロダクション「シーアール」へ入社し、2018年フリーランスへ転身。地元タウン誌やグルメ情報誌の編集・ライティングを中心に活動を続け、年間300軒以上のグルメ取材をこなす。得意ジャンルはラーメン以外。高級ランチから路地裏の酒場までオールマイティに、日々放浪中。
Instagram:https://www.instagram.com/morika0812/