世は空前の、お肉戦国時代。焼肉、ステーキ、ローストビーフなどが幅を利かせていますが、その一員となってもおかしくない程のポテンシャルを秘めたモノがあります。
ソーセージです。
筆者(私)は主にビールのおつまみとして居酒屋でソーセージを嗜むのですが、本場ドイツのなんとかブルスト(ソーセージのこと)が置いてあったりすると、一気にその居酒屋への愛が嵐のように巻き起こり、ソーセージ自体の高い戦闘力にも圧倒されます。
ただ、居酒屋の気の利いたソーセージって、ちょっとお高くないですか? 原価が高いからしかたないのは知っているけれど、でも、「長いの1本だけ」で500円とか、「盛り合わせ3本」で980円とか……もうちょっと食べたい。食べたい食べたい! おいしいソーセージ食べたい、おなかがはちきれるくらい!! もちろんビールも飲みたい!!!!
そうして探し出したのが、今回ご紹介するお店。本場ドイツ直輸入、一流ブランドの激ウマソーセージ10種類やサイドメニューがわずか2,500円で食べ放題という、「インビスハライコ」さんです!
ドイツ、ソーセージ……ときたら欠かせないビールも+1,500円で飲み放題なんです。合計4,000円で高級ソーセージ食べ放題、ビール飲み放題って、それどんな天国?
というわけで、さっそく行ってまいります!
ドイツの味と雰囲気をそのまま味わえる「インビスハライコ」
JR飯田橋駅、または地下鉄九段下駅からいずれも徒歩6分。目白通り沿いのビル1階に、「インビスハライコ」九段店はあります。
店内は、海外のファストフード店を思わせる雰囲気。狭めでプラスチックな感触ながらも日本とどこか違った印象が強く、一風変わったオシャレな感じ。
それもそのはず、「インビス」とは、ドイツでは駅前などによくあるソーセージやビールを手軽に楽しむ軽食スタンドのこと。
こちらのお店は、ドイツの老舗・ドューリングハライコ社がつくるHareico(ハライコ)ブランドのソーセージを出すので「インビス・ハライコ」という店名にしたそうです。つまり、店構えもメニューも、本場ドイツそのままということ!
「ハライコ」ブランドは、ドイツでは毎日食卓にのぼる大衆ブランドではなく、ちょっと特別なときに買ってくるような高級ラインだそうです(日本だと「鎌倉ハム」あたり?)。
いやしかし、ソーセージ大国ドイツで「ちょっと高級」なら、日本では「超高級」になっちゃうんじゃないの!? それが2,500円で食べ放題って、経営は大丈夫なのかしら……。
激ウマ本場ソーセージ食べ放題! 生ハムもザワークラウトもだ!!
お店の心配はさておき、お待ちかねの食べ放題、行ってみましょう!
上の写真からもわかるとおり、いくつか条件があります。こちらだけご注意を!
・要予約
・水、金、土限定
・90分入れ替え制(15時~、17時~、19時~、土曜のみ13時~も受付)
食べ放題の対象になるのは、10種類もの「ハライコ」ブランドソーセージ。それに加えて、ドイツ産生ハム、ザワークラウト、ドイツドーナツ、アップルクーヘン。これが90分、どれだけ食べてもOKなのです。
しかもプラス1,500円で、5種類のドイツビールが飲み放題になります。
オーダーは、卓上の紙に必要な本数を書いて店員さんに渡すスタイル。注文を受けた店員さんは即座に焼きに入り、アツアツの状態でどんどんソーセージを出してくれます。
ということで、到着を待っているあいだにビールを注文! やっぱりソーセージといったらコレでしょう!
こちらはエルディンガー。白ビールで、柑橘を思わせるものすごく華やかな香り。白ワインを彷彿とさせるほどで、ホワイトビールでもここまで香り高いものには初めて出会いました。美味しい!
ケストリッツァ。ゲーテの愛した黒ビールだという。黒ながらも個性が強いというほどではなく、すいすい入ってくる印象。軽いロースト感、ほのかな甘みが心地よいです。
ビットブルガー。モルトの香りと苦みのバランスが絶妙で、どこまでもビールの本場らしい本格的な風味なのに、おかしいくらいスムーズな喉ごし! ヤバいくらい喉にどんどん入ってきます。さすが、ドイツナンバーワンビールと言われるだけのことはある……。
美味い美味いとビールをがぶ飲みしていたら、来ました! お待ちかねのソーセージ!
1回の注文本数、種類ともに制限はないので、まずは全種類を1本ずつオーダーした筆者。どれもこれも美味しそうだし、見た目からも特別感が漂っている! ではでは、満を持して、いただきます!
皮はパリッと、中はジューシー、ほのかな燻香という、日本人からするといちばん身近なタイプのように思えますが、まず皮のパリッとさが半端じゃない! ボリンッ、って感じ!
肉の味も相当しっかり! 燻香だけでなく、スパイスもきっちり香る、とても本格的な逸品。これが本場の一流ソーセージか……というのがこの1本だけでも味わえます。
【2. シンケン・クラカワ】
ポーランド西部、クラクフ市(ドイツ名・クラカウ)の名物。コショウがしっかり効いていてスパイシー! 大昔、こしょうが金や銀と同価値だった理由がちょっと分かる! 粗挽き肉の食感も楽しいし美味しいしで抜群!
【3. チューリンガー・ソーセージ】
ドイツ中部、チューリンゲンの名物。キャラウェイという、爽快で芳しいスパイスの風味が強めに感じられます。濃い肉感をキャラウェイの爽やかさが和らげて、どんどん食べられる美味しさ!
【4. ニュールンベルガー・ソーセージ】
ドイツ南部、ニュルンベルク名物。小ぶりのソーセージが2連という、珍しい見た目。食感は柔らかめですが、柔軟な皮が肉をより引き締めるのか、ギュッと旨みが閉じ込められており、ハーブやスパイスの香りも高いです。もちろん美味い!
【5. ミュンヘナー・ソーセージ】
ドイツ南部、ミュンヘン名物。焼きではなく、ボイルでの提供です。こちらも皮が柔らかいタイプですが、ニュールンベルガーとは違い、お肉がふわっふわ! 優しい味わいながら、肉の旨みも肉汁もしっかり感じられ、パセリなど香草の香りも効いていて最高! 個人的には一番好きな味です!
「ズースマスタード」というかなり甘いマスタードをつけて食べるのがドイツ流。でも、つけなくてももちろん美味しい!
【6. ケーゼウインナー】
チーズ入りのソーセージ。口に入れると、溶けて染み渡ったチーズの旨味が大爆発! なのに、肉の風味もしっかりと感じられる! これは凄い! ビールが欲しくなるお味です。
【7. ピザソーセージ】
チーズといっしょにパプリカが入っており、スナックっぽい懐かしピザの味がする。でもそのベースは本格ソーセージなので、全く安っぽさを感じないのはもちろん、どこまでいっても美味しいドイツの味。ちょっと不思議な感じ。
ナイフを入れるとチーズがあふれてきた! 味はもとより見た目でも楽しめます。
【8. グローベ・ブラート・ソーセージ】
ドイツの伝統的なソーセージ。ボリューム満点で、肉の旨みだけでいうならナンバーワン! シンプルだけど、「これこそ肉、これこそドイツソーセージ」な逸品です。
【9. カリー・ソーセージ】
カレー味のソーセージ。日本人からすると珍しい気もするけど、ドイツの人はカレー味が好きらしく、ドイツのインビスでは人気の1本だそうです。
カレーケチャップをかけていただきます。カレー感は日本人からするとかなり薄め。でも、ソーセージとしてはちょっと変化があって美味しい!
【10. リーズン・カリー・ヴォースト】
こちらはカレー味の、肉が細かく挽いてあるハムソーセージです。カレー味はこちらもそう強くはないのですが、肉の味が絶妙に引き立つ軽いスパイス感はお見事のひとこと。細挽きで太めなので、ガブリといくと「肉食ってる~!」って感じがします。
【ドイツ産の生ハム】
ソーセージだけでなく生ハムも食べ放題!
ドイツの生ハムはイタリアやスペインのものと違い、スモークしてあるのが特徴だそうです。これはハライコ社のものではないのですが、スモーク香と塩っ気、熟成された肉の旨みが抜群! ビールと非常によく合います。超絶うまい。ソーセージだけじゃない食べ放題、本当に素晴らしいな。この生ハムだけでも2,500円分食べてみたいところ。そのくらいうまい!
【ザワークラウト】
お肉のオンパレードの救世主が、ドイツ名物・ザワークラウト。本場のものだけあって、キャラウェイなどのスパイス感がしっかり! これがあればもっとソーセージに向き合える!
さて、インビスハライコでいただける全ソーセージに共通しているのは、お肉の旨みが想像よりずっとずっとしっかりしていて、ブリンブリンとした食感のフィリングから溢れ出る肉汁もメチャクチャ濃厚なこと!
「ソーセージってやっぱり肉なんだな」と、当たり前のことを再確認させてくれるような本格的な味で、「もっと食べたい!」が止まらなくなります。ああ、もっと食べたい! 早く、早く次を!!
やっぱりこのサービス、赤字覚悟でした…!
食べ放題をいいことに、また全種類(お気に入りのミュンヘナー・ソーセージはプラス3本)を追加オーダー。
いやしかし、こんなに美味しいソーセージをたったの2,500円で食べ放題にするなんて、お店の経営は本当に大丈夫なんでしょうか……?
店員さん「このお店(インビスハライコ)を経営しているのは、ハライコのソーセージを扱う商社なんです。ブランドの認知度を高めようと思い、直接食べられるお店を出しました。予約制にして数を絞っているとはいっても、高級ソーセージの食べ放題なので、完全に採算度外視ですね……(笑)。有料の試食みたいな感じです」
やっぱり、赤字覚悟だった! でも容赦なく食べますからね!
本場ドイツの一流ブランドソーセージを好きなだけ食べられる、インビスハライコの食べ放題。「食べ放題」と題したブッフェなどにありがちな、「単価の安い混ぜ物」がどこにもありません。本物のソーセージによる、本物の食べ放題。お肉戦国時代のニューウェーブを、ゼヒ皆様も実感してください!
しつこいようですが、採算度外視のサービスゆえ、以下の条件があります。
・要予約
・水、金、土限定
・90分入れ替え制(15時~、17時~、19時~、土曜のみ13時~も受付)
必ず予約のうえ、ご来店ください!
ちなみに筆者、あまりに美味しすぎてソーセージを1.8kgも食べてしまい、店員さんに「おめでとうございます!」と讃えられてしまい、嬉しいやら恥ずかしいやらでした。
紹介したお店
- ジャンル:ドイツ料理
- 住所: 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋1-7-8 サンハイツ九段
- エリア: 飯田橋
- このお店を含むブログを見る | 飯田橋のドイツ料理をぐるなびで見る
著者・SPECIAL THANKS
ライター/シマヅ
1988年生まれ。フリーライター。 武蔵野美術大学造形学 部芸術文化学科を卒業後、2年ほど美術業界を転々としていたが現在は主にWEB上で文章を書き生計を立てている。女性向けコラム、インタビュー記事、グルメレポート、体験記事など、幅広い分野で執筆活動を行う。