10~25席程度の規模となる“小バコ”と呼ばれる店に、人気店や個性派店が多い福岡。屋台と同様、従業員と客、客同士の距離が近い雰囲気は、福岡の飲食店の魅力のひとつといえます。
そこで今回は、福岡の数ある小バコ店から「福岡!ヤフオクドーム」近くで“福岡らしさ”を感じることができる、ほっこりとした雰囲気が魅力のカレー店をご紹介しましょう。
\地下鉄唐人町駅4番出口から30秒で行ける欧風カレーの店/
どこか懐かしいレトロなアーケード商店街が街のシンボルになっている、福岡市中央区の唐人町商店街にやってきました。
約400年前の江戸時代にあった唐津街道の宿場町が起源とされるこの商店街は、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの本拠地「福岡 ヤフオク!ドーム」の最寄り駅が近くに位置。野球の試合や人気アーティストのコンサートがドームで開催される日は特に、この商店街を多くの人が行き交います。
アーケードの天井には「鷹唐(党)商店街」と大きく書かれた垂れ幕、BGMはホークスの応援歌と、商店街全体で地元プロ野球チームを熱烈応援。1996年に全国の「元気のある商店街100」で入選した実績もあるほどで、ホークスが優勝へ近づけば近づくほど大いに盛り上がります。
そんな商店街の一角に、今回ご紹介する「カレー&ハンバーグ Hono(ホノ)」があります。地下鉄唐人町駅4番出口から唐人町商店街へと抜ける細い路地を、徒歩30秒ほど進むと現れる隠れ家的なお店。2015年4月に誕生しました。
店内は、カウンターとテーブルをあわせてわずか10席。カウンター越しに会話が無理なくできるほど、キッチンと客席が近接しています。
ランチはもちろん、カフェやディナー、ちょい飲みと、さまざまな利用シーンで使えるところも魅力です。週末は満席&行列必至。ドームの行き帰りにお腹を満たすべく、この店に多くの客が立ち寄ります。
窓のある壁側には、毎年夏に行われるホークスの恒例イベント「鷹の祭典」で過去使用されたユニフォームのレプリカが飾られていました。温かな照明に彩られたアットホームな雰囲気で、居心地の良さを感じることができます。
大相撲九州場所が開催される11月には、唐人町商店街近くの寺を宿舎にする高砂部屋の力士たちが店を訪れることもあり、相撲ファンの利用も多いそうです。マガジンラックには、相撲専門の雑誌も置かれてありました。
そんなお店を1人で切り盛りする、オーナーの岩永京子さん。自分のお店を開きたいと模索していた時、唐人町商店街の一角に佇むこのスペースの雰囲気に一目ぼれ。老若男女を問わず、誰もが気軽に入れる空間をコンセプトにしたお店を作りました。
店内には、「博多黒豆カレー」(レトルト加工食品)や「黒酢と蜂蜜のほのぼのドレッシング」というオリジナル商品も販売されていました。
「博多黒豆カレー」は、岩永さんが福岡県産黒大豆・筑前クロダマルという豆の素晴らしさに出会ったことをきっかけに約半年かかって完成させたという、身体に優しいオリジナルカレー。「黒酢と蜂蜜のほのぼのドレッシング」は、糸島にある手造りドレッシング工房「爽風」と一緒に制作したもので、素材の持ち味を大切にしたジャポネ風に仕上げられています。
「博多黒豆カレー」は、「Hono」の店頭やネット通販だけでなく、博多駅の「KITTE」や「マイング」、中洲川端の「リバレインモール by TAKASHIMAYA」でも購入できますので、興味がある方はぜひ!
さて、こちらがメニューになります。カレーを中心に、ディナータイムにはお酒にピッタリなアラカルトもあり。2018年からは定食も始めました。
アルコールもウイスキー、ワイン、日本酒、ビールなど種類が豊富。クラフトビールは、飲み比べセットもありました。
今回は、岩永さんから“ホークスにゆかりがあるメニュー”と教えてくださった、「チーズたっぷり焼きカレー」(1,000円)を注文。看板メニューの「ハンバーグカレー」(850円)や、珍しい鯛のフライがトッピングされた「鯛のコロコロフライカレー」(950円)も気になりますが、それはまた別の機会に…。
\3種の味が楽しめる熱々コク旨焼きカレー/
唐人町商店街にある各店舗でホークス応援メニューを作ろうとする動きがきっかけとなり、考案したという「チーズたっぷり焼きカレー」。当時のホークスのスローガンで、今は松田宣浩選手の代名詞になっている「熱男(あつお)」をモチーフに創作されました。
当初は期間限定メニューの予定でしたが、客からの評判が良かったため、レギュラーメニューに昇格。今では、看板の「ハンバーグカレー」に次ぐ人気を誇っています。
おいしさの決め手になるカレーのルーは、全メニュー共通の欧風カレー。ほどよくスパイシーで、甘すぎず辛すぎないところが特徴です。
フォン・ド・ボーをベースとしたスープには、牛のひき肉やタマネギ、ニンジン、ショウガ、ニンニク、トマトほか複数のスパイスをイン。じっくりコトコトと、手間ひまをかけて煮込みます。
味にコク深さを出すため、ルーは創業以来つぎ足して製造。たっぷりと赤ワインを入れて、高級感も演出します。
オーブンでこんがりと焼き色がつき、グツグツと音を立てながら運ばれてきた焼きカレーのビジュアルに、食べる前から私の食欲はMAXに。熱々のうちにいただきましょう♪
まずは、表面のチーズと中のカレーを一緒にスプーンですくって一口。岩永さんの言葉通り、ほどよくスパイシーで、チーズの相乗効果もあってコク旨。表面にパン粉をまぶして焼かれているため、サクサク感もあります。
食べ進めていくと、中から半熟卵がお目見え。これを割って、黄身とチーズ、カレーを絡ませて食べると、まろやかで優しい味わいへと変化しました。
最後は、焼きカレーの別添えで用意された粉チーズをかけましょう。今度は、濃厚なチーズの味わいがさらにアップ。よりいっそうまろやかになりました。
1皿で3種の味わいを堪能できるとは、ちょっと得した気分。ホークスの優勝が近づくと割引になる日もあるので、訪問する際は事前に、お店の公式SNSをチェックです!
\ 力士たちをトリコにするオトナ味のフレンチトースト/
高砂部屋の力士たちの口コミから人気になった、数量限定の「厚切りフレンチトースト」(700円)もオススメです。
厚めに切ったパンは、卵液に丸1日をかけて浸したものを用意。フライパンやオーブンで、じっくりと焼いていきます。
焼きあがったら、その上に塩分控えめの自家製ホイップバターをトッピング。大分県豊後高田市の近藤養蜂場とコラボして作った、オリジナルシロップをかけて完成です。
生地はプリンのようにふわとろで、味は濃厚。でも、そんなに甘さは感じません。自家製ホイップバターやオリジナルシロップとのハーモニーもバッチリ。“大人のスイーツ”といえる、上品な味わいを堪能できました。
常連客の間では、このフレンチトーストをウイスキーのストレートで楽しむのが定番になんだそうです。数量限定のため、どうしても食べたいという時は、前日に予約をしておきましょう。
スプーンや割り箸の袋を5枚集めるとドリンク1杯になるサービスにも注目です。ソフトドリンクだけでなく、ミニサイズの生ビールやワイン(赤、白)にも適用されるので、店を利用した際はお忘れなく。
「開業以来、試行錯誤をしながらお店を進化させています」と話す岩永さん。2019年1月からは、子どもたちがもっと気軽に店自慢のカレーを楽しめるようにと、終日注文OKの「お子様カレーランチ」を始めました。
岩永さんの多彩なアイデアが光る料理やサービスはもちろん、その気さくな人柄と笑顔にひかれて、福岡県内外にリピート客がどんどんと増加中。一度店に足を運べば、野球好きも、相撲好きも、ライブ好きも、どんな方でもきっと、その魅力にハマるはずですよ!
紹介したお店
営業時間:月~金曜11:30~14:00、17:00~22:00、土曜11:30~22:00、日曜・祝日11:30~17:00
定休日:不定休
書いた人
ニシダタケシ
福岡・九州の編集プロダクション・シーアールに所属。生まれも育ちも福岡という生粋の九州男児。
流行りもの&甘いもの好きで、嫌いな食べ物はほとんどなし。「毎日完食!」をモットーに、小さなカラダで福岡のおいしいものを食べ歩きます。
憧れの人は出身校の大先輩・タモリさん。グルメレポではたま~にデカ盛りにも挑戦しますよ!