麺類が好きだ。
たらふく食べたいならラーメン、かき揚げや天婦羅とつるつるやりたいならうどん、ちょっと小腹がすいたならそば、エスニックにいきたいならフォーだし、最近は刀削麺もローテーションに絡んでくる。
その時の腹具合や気分によって、あらゆる麺類が選択肢にくわわるので、気がつけば1週間で10食以上麺だったなんてこともザラだ。
麺は太ければ太いほど好ましく、可能な限り咀嚼回数を少なくし、原型をとどめたままでつるりと飲みこみ、麺の太さで喉を刺激したい。味がうんぬんも、もちろん大切な要素だけれども、ビールじゃないが麺の喉ごしをかなり重視している。
数ある麺類のなかでも、喉への刺激という点において、そばはそれほど刺激的ではなく、どうしても麺食い生活のなかで優先順位が低くなりがちであった。
▲浅草おざわ
「ガツンとぶっといソバがあればなぁ……」と調べてみると、都内に何店舗か太打ちそばを提供しているそば屋さんがあった。
浅草のおざわは、雑誌のそば特集でも名前があがる人気店。雷門から歩いて5分ほど、浅草のメインストリートからちょっとはずれた、人通りの落ち着いたエリアにある。
▲太打ちざる 850円
「つるつる細切り もちもち粗挽き もぐもぐ太打ち」とメニューに書かれている通り、3タイプの麺が楽しめる。おかわり蕎麦も可能だ。
お目当ての太打ちざるを注文した。
▲卵黄の味噌漬け 550円
麺が太く、ゆでるのにちょっと時間がかかりそうなので、そのあいだにつまめる物をと、卵黄の味噌漬けを注文した。
温泉卵から黄身だけを取りだして、特性の味噌に漬けこんで作ったものだとか。塩気がありつつ、ほんのり甘い。やさしく箸でつままなければ、潰れてしまうほど柔らかい。酒のつまみにも、ごはんのおかずにも、食後のデザートにだってなりうる、不思議な味わい。美味しい。
▲太打ちざる
卵黄をちびちびつまみながら、待つこと10分ほど。
運ばれてきた太打ちざるが、想像していたよりずっと太い。一般的なきしめんよりもさらに太く、そして厚い。つやつやしてて、見るだに旨そう。
箸でもちあげると、1本なのにしっかり重い。
細切りそばのように何本もまとめて手繰ることはできそうもないので、1本ずつ、つゆにつけて食べた。
極力そのまま飲みこんでしまいたいのだが、これだけ太いと噛み砕かなければ喉をとおっていかない。もぐもぐ太打ちというキャッチフレーズは伊達じゃあない。しばらくもぐもぐしていると、香ばしいそばの匂いが口のなかに立ちこめてくる。
この太さ、この食感、もはや一般的なそばとは別の食べ物の領域。太い麺がお好きなら、ぜひ一度体験してみてほしい。
取材したお店
作者:松澤茂信(まつざわしげのぶ)
東京別視点ガイド編集長。
るるぶとか東京ウォーカーが積極的に載せないようなとこばっかし巡ってます。
そういう人生です。けっこー楽しいです。
(編集:編集プロダクション studio woofoo byGMO)
東京別視点ガイド:http://www.another-tokyo.com/
Twitter:https://twitter.com/matsuzawa_s