秋葉原から神田駅方向へ
観光客や買い物客でごった返す秋葉原電気街から神田駅方向へとちょっと足をのばすと、一転もの静かなエリアにつきあたる。
ひっそりとした一帯、神田やぶそばすぐ近くの路地に、猛烈におススメしたいとんかつ屋「万平」はある。
ときおりラーメン屋さんで「三度食べるとハマる味!」などと謳っているところがあるけれど、ここ万平も一度二度ではなく、最低でも三度は行ったほうがいい店なのだ。
なぜなら、半端じゃなくうめえ必食メニュー(命あるうちに必ず食べておくべきメニュー)が3つあるから。まだ私は3回しか来店していないのでひとまず3つと言うだけで、ほんとはそれ以上、必食メニューがあるかもしれない。底知れない。
とんかつ屋でありながら、冬場だけメニューに加わるカキバターが有名で、昨年秋から訪れているんだけど、つい先日、三度目の正直でようやくかきバターにありつけた。1回目の来店時はかきバターが冬季限定メニューとは露しらず、2回目は直前のお客さんで品切れ、そして3回目というわけ。
テーブル席が4つあるだけの、飾り気のない店内。混んでいると相席になる。シンプルな内装ながら、とても清潔感があって「これは旨いメシが出てきそうだ」と期待が高まる。
夫婦や友だちづれで来ている人も多いんだけど、どの席のお客さんも粛々と食事をしていて、あまり会話をしていない。ギスギスしているというわけではない。みんながみんな、食べることに集中しているのだ。人当たりのいいおかみさんがホールを回していながら、なんだかちょっと厳かなムードが漂っているのだ。
「緊張感あるな」なんて思っていたけど、出された料理を一口食べて「そりゃあ、夢中になって無言で食べますわ!」と一気に納得した。
【必食その1】トンカツがうまい!
▲ロースカツ定食 1,650円
「かきバターは冬だけなんですよ」と告げられて意気消沈、一度目の来訪で注文したのはトンカツなんですけど、一切れ食べてね、意気消沈なんて吹っ飛びましたわ。むちゃくちゃうまいの。
まず特徴的なのが、衣の薄さ。普通のトンカツと比べて、とにかく衣が薄くて、シャクシャクと歯ごたえの良さをあじわうやいなや、すぐさま肉に到達しちゃう。肉は肉で、まあムチムチとして柔らかくて、衣のクリスピーさが肉のムチムチ感を引き立てるわけ。
衣が薄いから、トンカツとおもえないほどさっぱりしてるのもまた良いのね。トンカツっておいしいんだけど、食べられる胃のコンディションの時ってかなり限られてて、しょっちゅう食べたくなるものじゃないけど、万平のトンカツならいつでも食えるわ。
【必食その2】ポークソテーがうまい!
▲ポークソテー定食1,650円
そして、二度目の来訪。
目の前でカキバターが品切れになったけど、ほかのメニューもうまいに決まってるので、前回のような意気消沈はなく、ポークソテーを注文してみたら、これがもう大当たりなわけですよ。
見てください、このツヤ、この輝き。ネックレスにして首からさげたい。
肉厚なお肉に甘めのソースがたっぷりかかってるから、白米がすすむのなんの。一度白米にバウンドさせれば、着地地点にソースがついて、肉でも食えるソースでも食えると、丼一杯のご飯なんて一瞬で胃の中へと消えてなくなりますわ。
皿の隅っこに添えられてるカラシが、これまたヤバい。
「ん?ポークソテーにカラシなんて合うの?」と疑問におもいながらも、ぴょっとつけて食べてみたら、これが、マジでうまいんだ!カラシによってソースの甘さが際立って、最高の最高。ポークソテー頼んだら、半分終わったあたりからでもいいので、絶対カラシをつけてみてください。
定食には白菜のお漬けもの、味噌汁がついてるんだけど、どっちも控えめな味つけだから、トンカツやポークソテーと組み合わせてちょうどいいバランス。
なんだか、万平で飯を食っていると「いま、丁寧な食事をしているな〜」としみじみ思えるのだ。
【必食その3】カキバター焼きがうまい!
▲かきバター焼き 1,750円
つい先日、とうとうありつけた、カキバター焼き。
はい、決定。
ウマいこと、決定。
こんなの食わなくったって、見ただけでうまいことが分かる。
バター焼きという名称だけども、どうやら小麦粉でうす〜く衣をつくって、バターと醤油でソテーしてる、手のかかった逸品のようだ。
そのまま一粒、ご飯とかっこんで一粒と、あっという間に平らげた。
薄くまとった衣に、ポークソテーにも似たちょっと甘味のあるソースが染みこんでいる。外側のカリッとした食感と、カキのぽてっとしたジューシーさがうますぎる。こんな食い方あるのかよ、カキ。ポテンシャル凄いな!
カキバター焼きは冬季限定。3月のどこかしらで終わっちゃうとのことなので、いますぐ駆け込まないと数ヶ月おあずけくらっちゃいますよ!
取材したお店
作者:松澤茂信(まつざわしげのぶ)
東京別視点ガイド編集長。
るるぶとか東京ウォーカーが積極的に載せないようなとこばっかし巡ってます。
そういう人生です。けっこー楽しいです。
(編集:編集プロダクション studio woofoo by GMO)
東京別視点ガイド:http://www.another-tokyo.com/
Twitter:https://twitter.com/matsuzawa_s