蕎麦を塩とオリーブオイルで食べるという革命…京都・西陣「十割そばカフェバー」の斬新な旨さに驚いた

京都で美味しい十割そばを楽しめる「十割そばカフェバー」(京都府京都市上京区村雲町406-1 福井ハイツ1F)を紹介します。注文を受けてからそばを打って茹でるこだわりのお店。とはいっても、通常は提供まで10分とかかりません。それを実現するために、手打ちではなくあえて機械打ちを採用。打ちたて、ゆでたてのせいろそばは、そばつゆのほか、塩とオリーブオイルでいただきます。同じそばなのに、別の食べ物を食べているような新感覚で、お酒のあてにもピッタリですよ。鴨せいろの鴨肉は生産者からこだわっており、味はもちろん絶品。そのほか、そば粉を寒天で固めた「そばの刺身」などユニークなメニューがもりだくさんです。独自に研究して作り上げたそば打ちの機械は、新たにそばを提供したい飲食店に販売もしていますよ。あえての機械打ちのユニークなそば、京都に来た際にはぜひ食べてみてくださいね。晴明神社の近くなので、寄り道もオススメですよ。

蕎麦を塩とオリーブオイルで食べるという革命…京都・西陣「十割そばカフェバー」の斬新な旨さに驚いた

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こんにちは、昼飲み好きの赤坂です!京都や大阪の美味しいお店を食べ飲み歩いています。

そばといえば東京や長野……というイメージがあるかもしれませんが、京都にも美味しいおそば屋さんがたくさんあるんですよ。そば好きな筆者はあちこちのお店へよく行くのですが、その中でもちょっとおもしろいお店を見つけたので、今回はそちらを紹介します!

 

市バス「堀川今出川」と「一条戻橋・晴明神社前」の間くらい。バス通りの一本裏側、東堀川通沿い。こちら側は、ちょっと静かな通りです。

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なぜか上は珈琲の看板。お店はこの1階です。

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ここがお店。

店内に入ってみると…… 

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スナックみたい!!!

実は、以前は喫茶店、さらに遡るとスナックなどが営業していた物件を居抜きで使っているため、こんな感じでスナック感のある店内なんですね。

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よくある「おそば屋さん」の感じは一切感じられません。

 

初体験!塩とオリーブオイルでそばを食べる!? 

今回は、せいろの中盛り(160g:800円)をいただきました。

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つやっつやのそばです!見た目から伝わってくる美味しそうな麺の輝き……!

 

注文してからそばを打つのに、本当に10分とかからず提供されます(このヒミツはのちほど)。

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さっそくいただきますー!

ゆでたての麺がしっかり締められて、コシのあるそば。ツルツルっといただくと、もうのど越しがたまらん!香りも豊かで、これはしっかり美味しいそばだ……!

さぞやお店の方がこだわって作っているんだろうなぁという味わい。

いろんなそばつゆをブレンドしたというオリジナルそばつゆ。関西風なので関東のものほど濃くないですが、香りが良くてお出汁の風味がしっかりしています。つゆの味が強すぎないおかげか、そば自体の味・香りが損なわれていない感じ。

さらに、通常のそばつゆに加えて、3種の薬味がついてきます。

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手前から(わかりにくいけども)塩、オリーブオイル、わさびの3種。わさびはわかるけど、塩とオリーブオイル……?

意外な組み合わせなのですが、これがハマってしまいました……!

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そばをオリーブオイルに絡めて、塩をちょこっとのせていただきます。

口に入れた途端にオリーブオイルの香りとそばの味が絡まって、別の食べ物を食べているようです。これはこじゃれたお店で出てくるオードブルレベル!わさびや塩をきかせると、お酒のアテになりそう!

初めての味でしたが、これはどこのおそば屋さんでも出してほしいってレベルで美味しかったです。

ちなみに、わさびはわさびで、そばに直接ちょこんとのせ、つゆにつけていただくと、よりいっそうわさびの香りが口に広がって美味しかったです。今までつゆにわさびをといていた人……ぜひマネしてみてください。

 

鴨せいろ

続いて、オススメしていただいた鴨せいろ(中盛り160g:1,600円)もいただきます!

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たっぷりのお椀に鴨とネギがたっぷり。贅沢です。

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この鴨が美味しかった〜!!!

食感はしっかりしてるんだけど噛み締めると鴨肉の味がしっかりして、それでいて柔らかい……素晴らしかったです。 

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こだわりの鴨は、北海道滝川市の滝川新生園の合鴨を使用しているそう。お客さんから鴨追加のオーダーが増えてきたので、メニューに「鴨肉W増し」を追加したほどの人気です。

そばつゆの味がよく染みた白ネギも、この鴨も、それぞれがお酒のあてにもなりそうな美味しさです。良いお店だ。

 

あえて「機械打ち」にこだわる

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うちは、「機械打ちのそば屋なんですよ」とご主人の上田幸宏さん。

機械打ちのそば……?おそば屋さんというと、お店のご主人がこだわりの手打ちで提供するイメージが強いですよね。いったいどんな機械を使っているのか?

店内奥を見てみると、ありました!

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カウンターの奥に機械が鎮座している、この2台でそばを打つのだとか。それにしてもだいぶコンパクトでは?

そば打ちの様子を見せていただきました。

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まずはそば粉を計ります。この時期は夏そば。季節ごとに違うそば粉を使います。

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ちなみに、そば粉は京都市左京区の河村そば製粉のもの。京都の有名なおそば屋さんにも卸している会社です。

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そば粉と水を機械で混ぜ合わせます。これは「水回し」といわれる作業に当たります。

こっちの機械は水回し用だったのですね。

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水回しが終わったそば粉を、製麺する機械に入れます。

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あ!!!そばだ!!!!!はっや!

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にゅーんと次々出てきます。適当な長さまできたら、カット。

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打ち終わったそばは、奥のキッチンで茹でます。それにしても、コンパクトなキッチン!

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茹で上がったら、こだわりの浄水器を使った美味しい氷水で締めて、完成。

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そばを打つところから、本当に10分もしないうちにできあがってしまいました。これが先ほど紹介したせいろそばですね。

注文があるたびにこの作業を行っているため、混み合うとどうしてもそばの提供に時間がかかる場合があります。そば打ちの様子を眺めながらだと退屈しませんので、気長に待ってくださいね。

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ちなみに、機械打ちのそばは、そば粉を打ち粉として使わないので本来はそば湯が出ません。しかし、こちらではそば湯用にそば粉を仕入れているので、こっくりとしたそば湯をいただけます。仕上げのそば湯もぜひ召し上がってくださいね!

 

実は筆者、その昔に某所のイベントで十割そば打ち体験をしたことがあるのですが、ものすっごく大変で難しかった記憶があります。しかもできあがりの麺はプツプツと切れてしまって短かった……。

上田さんに伺ってみると、十割そばは手打ちだとどうしても短くなってしまうのだとか。機械の場合は製麺の仕方が違うので、麺は長いまま。

「手打ちのほうがなんとなく良さそう」というイメージを持っていましたが、すっかり認識が改まりました。手打ちにできないことを機械ならできるんですね(もちろん、逆も然りだとは思いますが)。

 

この一連のそば製造の様子は、目の前で見られます。外国人観光客の方にも大人気だそうですよ。 

 

なぜ機械打ちをしようと思ったのか?

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元々はスマイルフーズという、ポップコーンのお店をされていた上田さん。主にイベントでの販売だったそうですが、それだとどうしても季節や時期に左右されてしまうため、他の業態を考えるようになったのだとか。ちょうどその頃、ポップコーンの仕入れ先から送られてきたそば粉をキッカケに、そばに興味を持ったそう。

 

そばなら、幅広い年齢層に受け入れられやすい。ポップコーンよりも需要が高いのでは……?と思った上田さん。

しかし、そば屋を始めるのは正直ハードルが高いです。これからどこかへ修行に出ることも難しいし、体力仕事のイメージもある……しかも上田さんは当時腰を痛めていました。

いや待てよ、そもそもそば屋って、そんなに大変なことをしないと始められない商売なのか?もっと簡単に美味しいそばを作れる手段があるのでは?

……と、ネットなどを駆使して調べまくって見つけたのが、機械打ちのそば。

さっそく上田さんはネットで見つけたそば打ちの機械を購入し、いろいろと試していきました。あえての「手打ち」じゃない「機械打ちのそば」を始めたのです。

 

現在使用している機械も、上田さんご自身が自ら、改良に改良を重ねてできあがったものです。

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これだけコンパクトなら、大きな厨房施設がなくても、小さいお店でも気軽に始められる。しかも1人前から、注文の都度そばを打てる。高齢でお店を続けられなくなったという方の役にも立てるかもしれない。おそば屋さんはもっと簡単に経営できるはずだ。

そんなわけで、現在はおそば屋さんを始めたい人に、この機械の販売もしているそうです。

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▲熱く語る上田さんの前にあるのは、そば用ではなく夏季限定かき氷の機械

 

「例えば『寿司』は、昔はカウンターで職人が握っているような高級なお店だけだった。でも現在では『回転寿司』が寿司のイメージを変えてくれたでしょう。職人じゃなくても店はできるんですよ。職人にならなくても美味しいそばは作れます!美味しいおそば屋さんがどんどん増えてほしいですね」と上田さん。

 

でも正直、「そばは手打ちじゃないと」っていわれることもあるのでは?と質問したところ、「そういう方も、実際にうちのそばを食べてみたら、『思ってたよりずっと美味しい!』と驚いてくれましたよ」とのこと。

ちなみに、こちらの機械なら、そばに限らず、うどんやパスタも作れます。幅広いメニュー展開ができるそう。気になる方はぜひお店まで。

 

お酒とそばづくしのアテ

そば前として、こちらではお酒もいただけます。

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いただいたのは、西陣麦酒さんの「柚子無碍(ゆうずうむげ)」というクラフトビール(瓶のみ、700円)。お店のすぐ近くに醸造所があるのですが、まだあまり出回っていないそうです。琥珀色で、苦味がしっかりしているのに飲みやすくて美味しいビールでしたよ。

nishijin-beer.com

ちなみに、日本酒は京都にある酒蔵、佐々木酒造の「聚楽第(じゅらくだい)」、焼酎はそば焼酎の「雲海」が置いてありました。

 

お酒のアテにぜひ、とオススメしていただいたのが「蕎麦の刺身」(400円)。

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そばの刺身??と不思議に思っていたのですが、そば粉を寒天で固めたものだそう。中にそばの実が入っています。

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わさびを乗せて、そばつゆにつけていただきます。

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寒天で固めているとはいえ、柔らかい食感!口中にそばの味が広がります。

中に入っているそばの実がプチプチしていて、食感まで楽しいです。これはたしかにお酒に合うなあ。そばは腹持ちがいいので、下手すると、このそば寒天だけでもお腹いっぱいになるかも。

 

この刺身、実はデザートにもなります。それが「抹茶そば寒天」(300円)と「抹茶そば善哉(ぜんざい)」(600円)。

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デザートに使っている抹茶にもこだわっていて、松田桃香園の「宇治清水」という銘柄の宇治抹茶を使っているそう。抹茶はお店で購入することも可能です。グリーンティーも店内でいただけますよ。

 

おそば屋さんなのに、カフェ使いもできるのがこのお店の面白いところ。そばの刺身から始まって、シメのそば、そしてそばのデザートまで、まさにそばづくしを楽しめます。

上田さんいわく 「実はそばコースも考えたんですが、一人でやってたら、流石に対応できなくて」ということで、コースメニューを断念されたそう。コースメニューはないですが、自分で順番に注文していけば何も問題ありません。このお店でしか味わえない「そばづくし」をいただけますよ。

 

一人でやってる店だから泣く泣くメニューを絞っている

現在、お一人でお店を営業されているので、メニューは泣く泣く最小限に絞っているそう。

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次々と新メニューのアイディアが出てくるけど、どうしても一人では手が回らず、全部やっていたら大変!とのこと。

とにかく上田さん、お話が止まらん止まらん。そばの事を日々勉強されているようで、その話などをたっぷり伺えます。静かになるのはそばを作っている間だけです!にぎやかなお店だなぁ〜。

 

お店周辺の情報 

お店の近くには、陰陽師の安倍晴明で有名な晴明神社。

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晴明神社帰りの女の子たちがこちらのお店に食べにくることもあるそうです。

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そば、つゆ、そば寒天は持ち帰りもできます!秋になると新そばも楽しめますよ〜。

そばは手打ちじゃないと、って思ってる方もきっとこの美味しさに驚くはず……!あえての機械打ちのそば、一度試しに食べに行ってみてくださいね。その際は、店主・上田さんのトークもぜひ楽しんでください!

 

紹介したお店

十割そばカフェバー

住所:京都府京都市上京区村雲町406-1 福井ハイツ1F
お店の公式ブログ:https://ameblo.jp/smilefoodspop/
店主・上田さんのTwitter:https://twitter.com/uedayukihiro

 

著者プロフィール

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アカサカナツコ

食べて飲んでうろうろして、がまぐちも作ってます。

ブログ:http://assak-karakara.hatenablog.com/
Twitter:https://twitter.com/assakgamasan

                             
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