“サードウェーブ女子”を三軒茶屋でもてなす、産地にこだわりすぎる激旨ビストロ【谷口マサトのもてなし飯 第三話】

LINE株式会社で広告事業部のチーフプロデューサーを務める谷口マサトさんの連載「もてなし飯」第三話です。自慢のグルメでいろんな人をもてなします。今回のゲストはコーヒーが大好きな「ゆめ」さん。もてなす舞台は、島根県・隠岐の厳選食材を楽しめる三軒茶屋の「ビストロ・リゴレ」さん。産地を厳選して楽しめるところが、今話題のサードウェーブ・コーヒーとも共通します。果たしてもてなしの結果はどうだったのでしょうか。(三軒茶屋のグルメビストロ男性社会人100人に聞いた出会い方と彼女の作り方

“サードウェーブ女子”を三軒茶屋でもてなす、産地にこだわりすぎる激旨ビストロ【谷口マサトのもてなし飯 第三話】

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 こんにちは。谷口シャーロットです。色々な人をもてなすこの連載ですが、今回のゲストはコーヒーが大好きな「ゆめ」さんです。

 

今話題のサードウェーブ・コーヒーは、まるでワインのようにコーヒー豆の産地を厳選して楽しめます。同じように、島根県・隠岐(おき)島の厳選された食材を楽しめるビストロを今回ご紹介します。

 

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三軒茶屋駅で待ち合わせ。

「まだ早いから、まずはサードウェーブ・コーヒーを飲みにいこう」と誘う。

 

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「三軒茶屋にもサードウェーブあったんだ?」

 

「今話題のブルーボトルコーヒーで並ばなくても、東京を代表するコーヒー専門店という声も多い『オブスキュラ』がある。産地ごとにコーヒー豆を選べるし、いれ方にもこだわっているからすごいよ」

 

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駅から300メートルほど歩くとその店はある。コーヒー豆は次のように説明されており、読んでいても楽しい。※説明は一例。

 

ケニヤ(コモタイ農協)マンダリンオレンジを彷彿とさせる果実味が、黒糖のような甘さへと変化する表情豊かな珈琲。

 

ルワンダ(ムショニ農協)シルキーな口当たりに白ワイン、余韻にジャスミンティーの香りを感じる明るい珈琲。

 

コロンビア(エルディビソ農園)ビターチョコレートに、キウイやザクロが溶け込んだような香りが楽しめるマイルドな珈琲。

 

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コーヒーを受け取ると透き通った香りが漂う。高い品質基準をクリアしたスペシャリティコーヒーを自家焙煎でいれてくれるので、これでまずかったらコメディだ。彼女が選んだのはケニヤ産のコーヒー。

 

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「確かに美味しい…。コーヒーなのにどこか果物のような香りと味がする。コーヒーってこんなにバリエーションがあったんだ。でも、そもそもなんでサードウェーブっていうの?」

 

「コーヒーを革新したスターバックスなどのシアトル系コーヒーがセカンドウェーブと呼ばれた。そして最近では、アメリカの都市ポートランドを中心に、凝ったルメなコーヒーがウケて第三の波と呼ばれているそうだよ」

 

「なるほど。でもなぜわたしを呼んだの?」

 

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 「手芸が好きだったよね。それならサードウェーブ・コーヒーや、ビールの手芸品と呼ばれているクラフトビールも好きになると思う。どちらもハンドメイドな文化だから」

 

「クラフトビールって、地ビールとかの、少数生産のビールだったよね?」

 

「そうだね。ビール職人のこだわりを活かして今人気になっている。コーヒーもビールも、大量生産されたモノでは飽き足らない人が増えて、より自分に合ったモノを探したり、手作りする人が増えているんだろうね」

 

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「そしてその流れはレストランも同じで、シェフのこだわりを活かした、個性的な店が多くなっている…」と話しながら着いたのが「ビストロ・リゴレ」。

 

リゴレとはフランス語で「笑い」を意味し、その言葉通り、シェフのこだわりと遊び心を活かした料理を楽しめる。

 

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スタッフの明香(あすか)さんが出迎えてくれた。

 

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美人な明香さんと…

 

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無骨なオーナー・シェフ、亀谷剛さん。

一見怖そうだが、話すと人柄の良さがにじみ出る。そして作る料理は次のように鮮やかな盛り付けと繊細な味わいで、善き人にしか作れなそうな料理だ。

 

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 こちらは穴子のフリット。この店の魚は、亀谷さんの出身地である島根県の隠岐島から送られてきたもの。父親が漁業協会の組合長なので、厳選された新鮮な魚が週に何度も届くのだ。

 

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 巨大な穴子がこちらを睨んでいる。新鮮すぎて目が怖い

 

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そしてこちらが、亀谷さんが生まれ育った隠岐海士町の名物、岩牡蠣の「春香」

“一番美味しい岩牡蠣をつくる”という思いで、非常に手間がかかる作り方をしたサードウェーブな牡蠣だ。

通常だと牡蠣はひとまとめにして海中に釣っておくが、春香は「耳つり」という、一つひとつの岩牡蠣の先端をドリルで穴をあけて糸を通す方法を用いる。

これによって牡蠣それぞれが距離を保ち、すべての牡蠣に栄養が行き渡るようにしているのだ。非常に手間だが美味さを追求した方法だ。

 

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 黒板のメニューは手に入った食材によって日ごとに書きかわる。来るたびにメニューが変わるので飽きない。ちなみに店のFacebookページで日々のメニューを紹介している。

www.facebook.com

 

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店内の様子。シェフを目の前にしたカウンターで、調理する様子と料理の話を楽しみながら味わえる。

 

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明香さんと話せるのも楽しい。

 仲間とワイワイできるテーブル席もあるが、デートはやはりカウンター席だ。

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もちろんここの料理は魚介だけではない。亀谷さんは単身フランスに渡って料理修行を重ねてきたため、フレンチの肉料理も極めている。

こちらは「豚カシラ肉のカリカリ焼き」

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 豚のアタマを1週間ほどマリネ液に漬けてハーブの香りをつけ、6時間ほど野菜と一緒に煮込んだ後に、フライパンで焼いたもの。カリカリした表面の香ばしさと、中身がとても柔らかい不思議な食感でとても美味しい。まさに絶品だ。

 

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「豚肉ってこんなに美味しくなるんだね…」

 

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こちらは「穴子とフォワグラ、赤目里芋のテリーヌ」の断面。端から赤目里芋、穴子、真ん中がフォワグラ。こんなに手の込んだ料理も楽しめる。

 

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野菜もこのようにオシャレに盛り付けられている。

店内の外観、内装、盛り付け、全てにセンスがいい。

 

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こちらはイチゴと濃縮ヨーグルト。

フランス仕込みだけにデザートも充実している。

 

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明らかにテンションが上がるゆめさん。

 

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明香さんと記念写真。

 

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読者モデルもやったことがあるという明香さん。

 

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美人な明香さんとついつい10分ほど話し込む。

 

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「・・・・」

 

「あ、ごめん。

でもその不機嫌な表情もいいね。写真もサードウェーブな時代。不機嫌とか、怒りとか、変顔だけにこだわった自分だけの写真集をつくりたいんだよね」

 

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「変顔・・・こう?」

 

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「いや、もっと激しく…

 

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「もうちょっとかな…」

 

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「ちょっと、いいかげんにしてよ!

あとさっきからサードウェーブサードウェーブって何回言えば気がすむの?

自分らしさを追求と言いながら、流行り言葉に踊らされている姿が滑稽だわ。

 

あなたは昭和生まれの昭和ウェーブで滋賀出身なのよ。隠岐の店を見習って、滋賀料理の店でもやってみたら?」

 

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そう吐き捨てるように言うと、彼女は去っていった。

 

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ゆめさん…

 

確かに表面的にサードウェーブを語る姿は痛々しいかもしれないが、本物の品質を求めようとするその文化は、今回の店のようにコーヒー以外の分野でもさらに発展していくだろう…。

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フラれておいてなんだが、三軒茶屋のデートに「ビストロ・リゴレ」はオススメだ。この店をきっかけに、隠岐島への旅行に誘ってみても良いだろう。特に隠岐のローソク島の夕日は、ロマンチックすぎて有名なのだ。

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ゆめさん…。

 

今回ご紹介した店

ビストロ・リゴレ

 

 

色々な人を“もてなす”店を紹介するこの連載。

面白いレストランがあれば教えてください。

どこでも取材に伺います。

 

バックナンバー

【第二話】“ヒツジ系肉食女子”をもてなす、極上のラムチョップを“焼き鳥感覚”で食べられる店

【第一話】“北陸女子”を上質にもてなす、日本産ワインの図書館レストラン

 

著者:谷口マサト

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