渋谷から東急田園都市線で2駅という都心に位置しながら、ノスタルジックな雰囲気でいっぱいの三軒茶屋。駅の周辺には多くの飲食店があり、毎夜遅くまで人が耐えず、世代を問わず愛されている街です。
その立地のよさと味わい深い街並みから、『住みたい街』として高い人気を誇る三軒茶屋の、更にディープで下町情緒溢れる『三角地帯』周辺を食べ歩きしたいと思います。
路面電車も走る、味わい深い街『三茶(さんちゃ)』
三軒茶屋で、ほぼ唯一の高層ビルでありシンボルの『キャロットタワー』に直結している東急世田谷線。
世田谷を走るこの電車は、今では珍しい路面電車で、三軒茶屋のノスタルジックな街並みに欠かせないアイコンのひとつです。
レトロな細い小道でできた迷路、まるで異世界の『三角地帯』
駅からすぐ、世田谷通りと国道246号線に挟まれた『三角地帯』と呼ばれる場所がある。住民でなければまず曲がろうとは思わないこの細い道の先に、戦後の闇市がそのまま商店街として残っています。
そこはまるで異世界で、やっと一人通れるだけの道をあけ、味のある小さな飲食店が肩をぶつけながら連なっているのです。
三軒茶屋から行ける小さなモロッコ、『Dar Roiseau(ダールロワゾー)』
怪しくレトロな三角地帯の商店街の中で、突然異国の香りのするお店が目に飛び込んできます。三軒茶屋駅から約1分の『Dar Roiseau』は本格的モロッコレストラン。
日本の商店街にいることを忘れてしまいそうになるほど、壁の色、ソファの柄、テーブルのモザイク模様のタイルといった全てからモロッコを感じることができます。
本格的なエスニックの味わい、『クスクス・メルゲーズ』
ランチメニューのクスクス・メルゲーズをオーダー。メルゲーズとは、ラム肉と牛の赤み肉のソーセージ。日本では市販がないらしく、なんと自家製!お好みでつけて召し上がってください、と添えられたアリサ(ニンニクや唐辛子などで作られたペースト)も自家製で、まさに本場の辛さなのですが味わい強くクセになる香り。スープをかけていただいたクスクスも、スパイスが効いていて美味。小さな異国の空間の、忘れられない味となりました。サラダ、デザート、ドリンクもセットでお手ごろな価格なのも嬉しいです。
三軒茶屋のいたるところで感じるノスタルジー
満たされたお腹をさすりながら三角地帯をフラフラ歩くと、看板の文字が右から左に並ぶ、見るからに年季の入った劇場を発見。ここ『三軒茶屋中央劇場』は今年の冬に閉館されたものの、約60年もの長い間シンボルとして街の人々に愛されているようです。
大通りは近代的な建物も多いのですが、一本奥に入るとまるで過去の遺跡のようなレトロなお店や建物に出会える。それが『三軒茶屋・三角地帯』の魅力なんです。
三角地帯の隠れた屋上、『a-bridge(エーブリッジ)』
中央劇場の横、これまた細い道をクネクネ曲がると、ひときわ怪しいビルが一棟。入り口の看板にさそわれて屋上階までエレベーターで上がると、そこは外観からは想像できない開放感のあるオシャレなカフェ。オーダーした洋ナシのタルトは、ゆったりとした店の空気にピッタリの、ほっとする甘さでした。
そして何と言ってもこのお店でオススメなのがテラス席。三軒茶屋の決して先進的ではない親しみやすい街並みを眺めながら、気取らないオシャレな時間を過ごせるはず。
三軒茶屋・三角地帯周辺を食べ歩いてみて
三軒茶屋の三角地帯を食べ歩いてみて、決して広い範囲ではないのに、いくつもの異世界を発見することができました。
三角地帯には数え切れないほどの小さなお店が並んでいます。時には迷子になりながら、まだ曲がったことのない角を曲がって、お気に入りの異世界を見つけることが、ここ三角地帯の楽しみ方かもしれません。また、街の味わい深い古い部分を、街の人々が大切にしているのだなと強く感じました。
次に来るときもまた新しい味と出会えることを願いつつ、三角地帯を訪れたいと思います。