2015年も、幕が明けて約1ヶ月が経過。そろそろ、今年のラーメンシーンのトレンドがどのようなものになるかが、判明しつつある。今年のキーワードはズバリ、人気店が新機軸として、従来とは全く異なる味のラーメンを提供する「コンセプト・チェンジ」。というわけで、今回は、これまでに登場した人気店のセカンドブランドや、知る人ぞ知る隠れた人気メニューを紹介してみたい。
長野の大御所が仕掛ける新機軸「チラナイサクラ」は王道の味
日中はビジネスマン、夜は仕事終わりのサラリーマンやOLで賑わう繁華街、御徒町。この御徒町の玄関口であるJR御徒町駅に隣接する形で「御徒町ラーメン横丁」というラーメンテーマパークが存在することはよく知られているが、この度、この「ラーメン横丁」が店舗数を拡充し、装いを一新。なかでも、注目の的となっているのが、新規出店組のひとつである「チラナイサクラ」だ。長野ラーメン界の雄、塚田氏が統率する「ボンドオブハーツ」が、満を持して新しい味を提供。
基本メニューである「中華そば」は、鶏ガラ、豚足などの動物系のうま味と、香味野菜のナチュラルな甘味が舌上で一体化。その後、間髪を入れずに迫り来る、ハマグリ、アサリ、利尻昆布を始めとする海産物の華やかな香りにノックアウト必至だ。具にも、肉汁がこぼれ出しそうなアグー豚のベーコンを配するなど、盤石の構成。王道のノスタルジック中華そばらしい顔立ちながら、塚田氏のラーメンづくりの真髄が体感できる1杯となっている。
チラナイサクラ
住所:東京都台東区上野5-10⁻14
営業時間:11:30~29:00(無休)
電話番号:03-5812-4140
「鶏と魚だしのつけめん哲」が提供する、意外過ぎる1杯
「つけめん哲」と言えば、都内に住むラーメン好きであれば、誰もが耳にしたことがある超有名店。もちろん、代表メニューはつけ麺であり、「哲」が手掛けるつけ麺の特徴と言えば、即座に「途中で焼き石を投入できること」と答えられなければ、「モグリ」のレッテルを貼られてしまうほどだ。しかしながら、いや、哲=つけ麺というイメージが強すぎるからこそ、その「哲」の系列店において、隠れた人気メニューが存在することを知る人は少ない。それがこちらの「かけそば」だ。弱火でコトコト煮込んだ淡麗スープに、パツンと口の中で弾けるようなコシを有する細ストレート麺のコラボレーション。
本メニューの主役は、このスープと麺の2者に完全に絞り込まれ、搭載される具は、油揚げとネギ、ショウガのみと、極めてシンプルだ。上質な立ち食いそばを食べているような気分を体感させてくれるこの1杯。濃厚な動物系と重厚な魚介系の競演が楽しめる華やかなつけ麺と対極に位置する、潔いまでの素朴さに、驚きを禁じ得ない。提供価格も、破格の580円! この一品を是とするか非とするかは、あなた自身が判断してほしい。ちなみに私は、もちろん「是」と判断している。
鶏と魚だしのつけめん哲 御徒町店
住所:東京都台東区上野3-23-11
営業時間:11:00~23:00 無休
電話番号:03-5817-4012
南東北の雄「若武者」が期間限定で提供する、究極の素ラーメン
福島県中通りの要衝である二本松市。その二本松市に、福島県はおろか、南東北エリアのラーメンシーンをけん引する人気店が存在する。そのお店の名は「麺処若武者」。店主は、南東北のラーメンシーンを盛り上げるべく、全国各地で開催されるラーメンイベントなどにも精力的に参加。もちろん、そのアグレッシヴな姿勢はラーメンづくりにも反映され、同店が提供する限定メニューは、全国からラーメン好きが駆け付けるほどの人気ぶりだ。
なかでも特に、ラーメン好きの注目の的となっているのが、今回御紹介する「極上上湯麺」。 金華豚のハム、伊達鶏の胸肉、エゴマ豚のモモ肉など、通常、ラーメンのスープには使われることのない高級食材を駆使。中華の出身である店主の知識と経験を総動員して創作される渾身のスープには、具の中で最もこぢんまりとしたアイテムであるネギですら、味の妨げにしかならない。肉のうま味とコクが一滴一滴に凝縮されたスープをひと口味わえば、もはや、食べ手は丼を空っぽにせざるを得なくなるはずだ。
若武者
住所:福島県二本松市本町2-86-1
営業時間:月~土曜日11:00~14:00、17:00~22:00。日曜日11:00~19:00
電話番号:0243-22-7107
白河中華そばの名店「やたべ」で味わえる超レアな逸品!
白河中華そばと言えば、改めて申し上げるまでもなく、全国屈指の御当地ラーメン。鶏ガラを縦横無尽に駆使して創り上げる透明感に満ち溢れたスープと、朴訥な太めの手打ち麺のコラボレーションは、他エリアのラーメンからは得られない独特の味があり、全国各地のラーメンを食べ歩く猛者の中にも「一番好きなラーメンは、白河ラーメン」と豪語する者がいるほど。
こちらの「手打中華やかべ」も、白河屈指の名店。ベーシックなメニューである「手打中華」から、チャーシューとワンタンがたっぷりトッピングされた「チャーシューワンタンメン」まで、いずれのメニューの人気も高いが、特筆すべきは、中華そばが提供される前に、サービスメニューとして供される「鶏ガラ」。絶妙な塩梅で肉が付着した「鶏ガラ」は、甘じょっぱい濃口醤油ダレをたっぷりと含んだ絶品中の絶品。世の中にラーメン店は数多く存在するが、素材のひとつである鶏ガラを食べさせてくれる店はほぼ皆無。ラーメン好きを自認するのであれば、一度は味わっておくべきだ。
やたべ
住所:福島県白河市旗宿広表74-1
営業時間:11:00~18:00(定休日は木曜日)
電話番号:0248-32-2007
上北沢「らぁめん小池」の替玉は、フリーク驚愕のCPの高さ
昨秋、つけ麺専門店からラーメン専門店へと、華麗なる転身を遂げた「らぁめん小池」。現在、同店が提供しているメニューは、「醤油ラーメン」「煮干しラーメン」などの汁そばがメイン。いずれも、一騎当千の傑物だが、今回御紹介するのは、これらのラーメンの「替え玉」。価格は、替え玉がシステムとして確立している博多ラーメン専門店の替え玉と比較しても、安価な部類。にもかかわらず、その「替え玉」に付加されているオプションが凄すぎるのだ。
替え玉を盛り付けた丼の底には甘じょっぱく芳醇なカエシが湛えられ、替え玉を丼に投入するまでもなく、「和えそば」として食べ切ることが可能。加えて、刻みタマネギ、魚粉、鶏そぼろなど、およそ替え玉に付くはずのないトッピングまで搭載されており、この替え玉だけで、1杯のラーメンとしてカウントしても差し支えないほど。これは、どう考えても、圧倒的すぎるCPの高さ。「体験しておかなければ損するぞ」と断言できる、国宝級の1杯(?)だ。
らぁめん小池
住所:東京都世田谷区上北沢4-19-18
営業時間:11:30~15:00、18:00~22:00(定休日は金曜、第1・3・5木曜日)
電話番号:非公開
推薦人:田中一明
フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。現在までの通算杯数は8,000杯を超える。