こんにちは。料理漫画研究家の杉村 啓です。料理漫画に実際に出てくるところに行き、作中と同じ料理を食べる「料理漫画。聖地巡礼」。二次元なのか三次元なのかよくわからないこの企画も五回目になりました。
今回紹介する料理漫画&お店はこちらです!
京都の料理情報が満載の「はらへりあらたの京都めし」です! ちなみに掲載誌はなく、描き下ろしで、しかもデビュー作という異例の作品でもあります。
この作品は美大に通う謎の生き物(?)あらたと、その周りの美大生が京都のおいしいお店に行ってあれこれ食べるという漫画です。この表紙にいる謎の生き物が主人公のあらたなのです。でも、周りの人は普通の人間です。
ちょっと面白いのは、お店が学生向けということでしょうか。京都のご飯と聞くと、料亭がどうのとか、懐石料理がどうのとかを思い浮かべる人が多いかもしれません。でも、あらた達は学生です。行くお店も学生が行くようなお店ですし、中華やエスニックやモンゴル料理など、変わったお店にもばんばん行きます。いわゆる観光客向けのお店ではなく、住んでいる人が行くお店ですね。
周りの人とのかけあいも楽しいし、そして京都のおいしいお店を知ることができる一冊です。
今回紹介するのは、3食め「尻とエスニック」です。
行ってきたお店はフォーン・ヴィエット(Tiem an HUONG VIET)です。
ちょっと雨が降っていました。
あらたと、あらたのいとこの育江、そしてその旦那の3人で行ったお店です。
「この前ベトナム行ってみたいって言ってたやろ?」
「ってことで今日はここよ」
という通り、本格的なベトナム料理を楽しめるお店です。
本当は作品通り3人で行きたかったのですが、友人と2人で行ってきました。
早速注文してみました!
揚げ春巻きです。
まずはこれから!の油ものです。
これが美味しいんですよ。本場ではどうも生春巻きよりもこちらの方が人気らしいです。それも納得の味。タレはちょっとお酢風味で大根とか人参の千切りが入っていました。
そしてもう一品。
ソフトシェルクラブの米衣揚げです。
これ、蟹の姿をしていますが、丸ごと食べることができるんです。脱皮直後の殻が柔らかい状態の蟹を、揚げているのですね。おいしい!
チリソースと塩とどちらも合います。
ソフトシェルやわらかですねー
こんな料理が出たら、もう行くしかないじゃないですか。というわけでこれも最初から飲んでます。
ミントが載っているゴールデンコーラ……もとい、ミントビールですね。揚げ物によく合います。
そしてお次は定番メニューのこちら!
空心菜ニンニク炒めです。
これ、おいしいです。ニンニクが効いていてとてもおいしい。
シャキシャキのとろとろで、ちょっとピリ辛なところがぐいぐいお酒が進んでしまう、魔性の食べ物です。あ、ちなみに僕は空心菜初めてじゃないです。でもこれはとてもおいしかったです。
というわけでこの辺で早くもビールがなくなりかけました。ので、こっそり追加です。
作中でもあらたが頼んでいる(ただしもう少し後)のマンゴービールです。
甘くておいしい。
そうやって飲んでいる間にきたのがこちら!
海鮮炒飯です。作中の育江のお気に入りです。
濃い味の炒飯なんですが、パクチーの爽やかさが後味をさっぱりとさせてくれます。使われているベトナムの醤油は、ヌック・トゥーン・オット(大豆醤油のチリソース入り)でしょうか。
ちょっと辛いのですがエビも貝もおいしく、もりもり食べてしまいます。
次は作中には登場していないのですが、こちらを頼んでみました。
ソフトシェルクラブを食べたことによって蟹欲に火が点いてしまい、急遽頼んでしまったのです。蟹の春雨炒めですね。
春雨炒めって日本の麺料理とはちょっと違った食感がまたいいですよね。ローカロリーな気がしますし!
そして、バイン・セオです。
ココナッツミルク入りの米粉生地ともやしと豚肉とエビ、でいいのかな。ベトナム風のお好み焼きなのかも。
はい。これがまあおいしいの何のって。
僕もめっちゃ好きになりました。
もっと最初の方に頼んでおけば良かった……
そして、最後の〆はこちら。
フォー・ガーです。自家製生フォー。
ガーは鶏肉のことになります。
びっくりするほどもっちもちの麺でした。さすが自家製。これはいくらでも食べられます。
サイズもS、M、L(Mがラーメンどんぶりサイズ)と選べます。これはMサイズですね。
作中ではここで最後にデザートに行くのですが、もうお腹いっぱいに。3人で食べたのと同じ量(ひそかに蟹春雨が追加されている)を2人で食べるのはさすがに厳しかったです。やはりもう一人連れてくるべきだったか……
京都で本格的なベトナム料理を食べたくなったらここです。他にも名物料理がたくさんありますので、何度となく通うことになりそうです。
とりあえず一番気になったのは、「ベトナムではこうするんです」とメニューに書いてある、ヤカンビール(2リットル)ですね。よくわからないんだけど、ヤカンから注がれたらおいしい気がする! 気がするだけなのかも!
Webで予約もできますので、電話をして予約するのが面倒という人も安心です。
是非、『はらへりあらたの京都めし』を片手に行ってみてください!
店舗情報
フォーン・ヴィエット(Tiem an HUONG VIET)
〒604-0842
京都府京都市中京区押小路東洞院西入ル118
050-5787-4081(予約専用)
075-253-1828
ランチ:
月・水~金・祝日 12:00~14:00(L.O.13:45)
土・日 12:00~15:00(L.O.14:30)
ディナー:
月・水・木・祝日 18:00~23:00(L.O.22:30)
金・土 18:00~24:00(L.O.23:30)
日 18:00~22:00(L.O.21:30)
今回の料理漫画
魚田南 「はらへりあらたの京都めし」祥伝社
公式ページ
Amazon.co.jp: はらへりあらたの京都めし (Feelコミックス): 魚田 南: 本
杉村 啓
料理漫画研究家、醤油愛好家、日本酒ライター
料理漫画や醤油や日本酒をこよなく愛するライター。それらに関する本を書いたり記事を書いたり、テレビに出たり、ラジオに出たりしています。近著に醬油手帖、酩酊女子 〜日本酒酩酊ガールズ〜(共著)など。
料理漫画や醤油や日本酒に関するお仕事はいつでも募集中です。
(編集:編集プロダクション studio woofoo)
料理漫画ブログ:http://mumu.hatenablog.com
醤油手帖ブログ:http://shouyutechou.hatenablog.com