和の美達人が教える、大人であれば覚えておきたい和食のマナー1「会席料理と懐石料理」

世界遺産にも認定された「和食」。けれど、フォーマルな和食文化に触れ合う機会がなかなかないという方も多いのではないでしょうか? この連載では、和のプロがマナーについてお伝えしていきます。第1回のテーマは「会席料理と懐石料理」。(四ツ谷のグルメ和食渋谷の和食

和の美達人が教える、大人であれば覚えておきたい和食のマナー1「会席料理と懐石料理」

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みなさん御存知の通り、世界遺産にも認定された「和食」。けれど、フォーマルな和食文化に触れ合う機会がなかなかないという方も多いのではないでしょうか? ここではThe IKI Company代表として着付けや和マナーのレッスン、セミナーやイベントを開催している坪井恵実さんに「和」のマナーとその意味について解説してもらいます。

日本食って何?

皆さんはどの程度日本食についてご存知でしょうか?  日本食の文化はその国が長い時間をかけて培ってきたもの。是非、皆さんの手で次世代へ繋げていけたら私たちの祖先も喜ぶに違いありません。

今現在、私たちが目にしている日本食の形式は、家庭料理でいうと一汁三菜、お料理屋さんに行くと、会席料理懐石料理という呼び名の形式があります。

これは全て“本膳料理”が元となっています。本膳料理は、かつて1の膳から7の膳まであり、食事だけで5~6時間かけて頂き、その中にも細かな作法があるとっても複雑な食事形式でした。これじゃあ慣れるまでは、食事するのも大変ですね。

それが段々と簡略化され家庭での食事の形式として構築されていったのが、一汁三菜です。これはご飯に汁物(基本的には味噌汁)とおかず3品(主菜+副菜+副々菜)です。

よく旅館や宴会で出てくるお料理は“会席料理”と呼ばれ、一斉に数多くのお料理が並べられます。これは、予め「献立」のある料理で、お酒を楽しむためのお料理と言えます。

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懐石料理とは?

同じ読みで、“懐石料理”もあります。

これは、茶道から来た食事形式です。お茶時をする際にお茶を楽しむ為に出された食事形式として千利休によって形作られました。この“懐石”の由来は、僧侶が空腹の折、温めた石を懐に入れ精神的に空腹をしのいだと思われます。

茶事においては、濃い茶と言われる、粘り気のある濃いお茶を頂いてから始まるものであり、お茶の成分が胃の負担になる為、頂く前に食物を入れて整えるために考案された食事でした。

その際、とびっきりのおもてなしの達人だった千利休が、ただの準備としての食事ではなく、その食事から楽しんで欲しいと願って作った形式が“懐石料理”なのです。

 

この会席(懐石)料理には、また二つの形式があります。

宴会料理と喰切料理です。

宴会料理はお膳や机の上に予め全てのお料理が同時に並べられている形式です。ですので、料理を美味しく頂きたい食通の人にはあまり好まれない形式と考えられます。しかしこの形式は、元々中国の豪華な食事形式(満漢全席)から来た本膳料理の色が強く、沢山のお料理によるおもてなし、それによる亭主の気持ちが込められた形式でもあります。

 

それに対して喰切料理とは、一品一品を美味しく頂けるように、「温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいまま」頂けるよう、また、料理人によって全体的な量や年齢や体調をも吟味した味付けのバランス、召し上がる人のスピードにも気を払い出される形式です。大切なお客様のおもてなしや食通の方に好まれる形式です。

 

一品一品、季節を味覚と視覚でお酒、食事自体を楽しむことができるのもこの形式の醍醐味でしょう。

あなたの食事に欠かせない道具と言えば?

そうお箸です。

お箸は元々中国から伝わったものと言われています。

日本人の一生は、“お箸に始まり、お箸に終わる”(箸初めに始まり、死に水:骨上げで終わる)と言われるほど私たちには欠かせないツールです。

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家族それぞれに決まったお箸があり、昔は今の割り箸のような簡易なものではなく、漆で出来たものを長く大切に使い、使用しない時は箸箱にしまうなどといったように、お箸は私たちの生活(=生きること)に無くてならない、道具だったのですね。

 

また、両細のお箸は口に運ぶ先は人間のもの、そのもう一方は神様のものと言われていました。食事を神様と頂くようにして大切な時間として捉える想いがお箸には込められていたのですね。

 

今でも「箸使いを見れば、その親が分かる」と言われてきたように、お箸は私たち日本人として大切なものです。家族揃って食事ができること、そして親や家族はもちろん、食べ物、そしてそれを与えてくれた神様に感謝をして食事を頂く。「いただきます」「いただきました」という言葉も、全て生きていた命をいただく=私たちが生きるという感謝の気持ちによる言葉です。他国語でもこの日本語は翻訳される単語がない程、日本人特有の考え方です。

 

そんな心を是非次世代に引き継いでいきたいものです。今やTPPなど、自国内での食料自給率が問題視されていますが、こんな考え方を改めて自分事として取り入れる人が増えれば、自然と改善方向に進んでいくのではないかと思っています。

 

次回からは、私たちのこの食文化をどう楽しむかについて、“マナー”ですとか“作法”という切り口からお話していきたいと思っています!

 

【お店紹介】

今回の紹介は、「懐石 大原」さんです。

カウンターとテーブル席が数席と、こじんまりとして綺麗な空間でいただく隠れ家的懐石料理店です。

旬の食材を毎朝築地から仕入れ、その日に一番美味しくいただける懐石コースを提供していただけます。華美にすることなく、味は確かな正統派懐石をいただくことができます。懐石料理の山場といえば目と味覚で楽しめる八寸と私は思っていますが、ここでいただいたいくら漬けは最高でした。

利休箸を使用し、最後には薄茶が出てコースは終わります。

是非、懐石料理ってどんなもの?と思った方は訪問してみるのはいかがでしょうか。

 

懐石 大原

住所:東京新宿区荒木町1 なかばやしビル 2F 

TEL:03-6380-5223

アクセス:東京メトロ丸の内線 四谷三丁目4番出口 徒歩3分

http://r.gnavi.co.jp/gcw9300/premium/

 

・著者紹介

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坪井 恵実 Emi TSUBOI

1987年静岡市の老舗料亭に生まれ、和の文化に触れて育つ。現代人に親しめるカジュアルにそして楽しむ事のできる和を提案したいと2013年にTHE IKI COMPANYを設立。現在は着付けとお座敷での和マナーレッスン、和食の作法も身につけられるレッスンなどを開講中。またセミナーや定期的なイベントを開催し和を楽しむ人を増やす活動を行っている。

HP: http://www.theikicompany.jp

Blog: http://blog.livedoor.jp/theikicompany/

Facebook: https://www.facebook.com/theikicompany

 

                             
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