「辛い食べ物」には中毒性があるらしい。
一部の説によると、「めっちゃカラい物を我慢して食べ続けていると、ある瞬間に脳がなんかの信号を出しカラさを美味さの一部と認識させ、一度その状態を経験すると定期的にカラさを欲するようになる」のだとか。
それが事実かどうかは分からないが、ひとつだけ分かることがある。
「カラさ」は漢字にすると「辛さ」。
つまり、カラい食べ物はツラいのだ。
よって、筆者(私)はカラい食べ物が(ちょっとカラいくらいなら平気なのだが)苦手である。
カラい物を美味いといって食べている人の気が知れない。
しかし、世の中には多くの「激カラマニア」がいるわけで、彼/彼女らを理解したいという気持ちがあるのは紛れもない事実だ。
ということで、激カラ中華(四川)料理で有名なお店に伺い、激カラ料理を存分に堪能してきたぞ!
激カラにハマる人の気持ちが理解できた……かどうかはまだ秘密。
筆者、怖気づいてカラくない料理を頼む
▲川香苑2号店
お店の名前は『川香苑』さん。
チェーン店じゃないのに、新宿は歌舞伎町に2店舗を構えるほど人気があるお店だ。
店内は「中華料理店」というより、白を基調とした内装に清潔感のあるテーブルとイス、観葉植物などのインテリアがオシャレ感を演出している。飲み会だけじゃなく、デートにも使えそうだ。
食べきれなかった場合の保険として呼んだ激カラマニアの友人と合流。「初めからカラい料理はちょっと……」と怖気づき、『セロリのさっぱり冷製』をオーダー。友人は少し不満そうな顔をしていた。
▲セロリのさっぱり冷製
料理を口にした瞬間、友人の顔は一変。
「この店にしては珍しく辛くないけど美味い!」と、筆者をよそにモリモリと食べ始めた。
無くなる前に奪ったところ、確かに美味しい! 酢とゴマ油をベースにしたドレッシングで和えているシンプルな料理ながら、セロリ以外にもキュウリや大根などの細切りを混ぜており、料理した人の腕の賜物なのかスペシャル感がある。
珍しい肉を使った料理もカラい!
川香苑は、激カラ料理だけでなく「珍しいお肉が食べられる」ことでも有名。
なので、次は『ウサギと生山椒、生唐辛子香味炒め』をオーダー。ウサギの肉って、日本人にはフランス料理店の高級メニューのイメージが強いと思うんだけど……。
▲ウサギと生山椒、生唐辛子香味炒め
料理自体の見た目に、特に高級感はなかった。
しかし、量が多い!
器が大きく、思ったより深いので、ひとりで食べるのは至難の業!
味はというと、ウサギの肉は小さな唐揚げ状態なものの、肉自体は鶏肉よりコクがあり美味しい。肉と一緒にネギや唐辛子やニンニク等と炒めており、生山椒のスパイシーさと相まって、ビールによく合う。
ただ、唐辛子を使っているので、やはりカラい。しかし美味しかったので、結構な量を食べることができた。
次は『カエルと根菜の煮込み』をオーダー。
鍋(?)の下で炎が燃えているので、少し特別感があり心が躍る。 カエル肉は鶏肉に似ていて非常に食べやすい。肉に衣をつけて揚げ、酢豚のような甘辛ピリ辛味に仕上げられている。
ただ、やはり辛い。
さらに、刻んでいないニンニクも大量に入っている。カラさだけでなく口臭も気になったが、無事に完食できた。 ここにきてやっと、カラさ耐性がついてきた感じがする。
ラスボス登場。強すぎて歯が立たない!
最初のセロリ以外、激カラが苦手な筆者にとってこの店の料理は(注文した範囲だと)、すべて「舌が痛くて泣きそう」なレベルのカラさだった。
しかし、ずっと食べていると「カラいのも美味しい!」と思えるようになったのである。
「今の私なら大丈夫だ!」と強気になり、満を持してお店の看板メニュー『川香沸騰魚』を注文!
▲川香沸騰魚(2人前より注文可)
赤唐辛子が大量に入っている鍋。
「すごい何これ!」と盛り上がったのは事実。
しかし、激カラ初心者の筆者は見た目でもう、今までとは違うレベルの激カラなのが分かり少し引いた。
一方、激カラマニアの友人は「これだよコレ!」と狂喜乱舞。
▲赤唐辛子は、店員さんが取り除いてくれる。これはデフォルトのようだ
赤唐辛子が除かれた『川香沸騰魚』。中には白身のお魚やモヤシ、白菜、きゅうりなどが入っている。
スープに見える液体は、全部アブラだ。アブラに味が移っているのか?
だとしたら、飲むものなのか?
と思ったら、そうじゃなくて残すものらしい。花椒や唐辛子の欠片も入っているが、ただでさえ激カラなのに更にカラさが強まるため、食べる際はふるい落とした方が良いだろう。
思った通り、今までの料理より群を抜いてカラい。
しかし、激カラマニアの友人によると「思ったより辛くない」とのこと。
確かに、白身魚はふっくらとした食感と豊かな旨味があり、野菜にもその旨味が移っているので、美味しいのは間違いない。 ただ、もう一度いうが、とにかくカラい。
【結論】激カラマニア気持ちが分かった気もするけれど……
カラいのに美味しい料理のおかげで、筆者も激カラ料理にハマりそうになった。
しかし、美味しかったのは事実だけれど『川香沸騰魚』は一気にレベル上げに挑戦しすぎた感がある。
コチラのお店には、カラくない料理もカラ過ぎない料理もそろっているので、激カラマニアの気持ちを理解するために暫く通いつめようと思った。
『川香沸騰魚』は、激カラ耐性レベル80くらいになったら再度、挑戦したいと思う。
紹介したお店(東京都新宿区歌舞伎町)
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
著者・SPECIAL THANKS
ライター/シマヅ
1988年生まれ。フリーライター。
武蔵野美術大学造形学 部芸術文化学科を卒業後、2年ほど美術業界を転々としていたが現在は主にWEB上で文章を書き生計を立てている。女性向けコラム、インタ ビュー記事、グルメレポート、体験記事など、幅広い分野で執筆活動を行う。
https://twitter.com/Shimazqe