9月29日はフグの日だそうです
9月29日はフグの日だそうです。秋から冬にかけてフグが一番美味しくなることと、2(ふ)9(ぐ)の語呂合わせで1997年から実施されているそうです。他にも10月29日はトラフグの日、2月9日は下関ふく連盟の制定したふくの日と、もう2と9が付いたらフグの日というくらいふぐ関連の記念日はたくさんありますが、いかんせん、フグは高級品です。筆者も生まれてこの方、数えるほどしか口にした記憶はございません……
しかし、ランチだったら1,000円台で、銀座でふぐをいただけると聞き、早速うかがってきました。
吸い込まれるように地下への階段を下りていくと、秋の装いで可愛らしい紙風船のフグちゃんがお出迎え。
本場下関、北九州ではフグは「ふく」と発音します。
フグは不遇につながることから濁点を取ったら福になる。
まさに災い転じて福となす!運気まで上がりそうな予感。
中に進むとさらにリアルなフグたちが並んでいます。
ちょっと集合!
センターはやっぱりフグの王様トラフグさん。まん丸のコロコロ!さすがの貫録です。
左のお肌つるつるのお嬢さんはフグの女王様といわれるマフグさん。
右の小ぶりな坊ちゃんはゴマフグちゃんです。
なんとも愛嬌のある顔。よく見ると立派な前歯が生えています。
こんな可愛らしいフグちゃんたちですが、ご存じのとおり猛毒をお持ちでいらっしゃる。
でもご安心ください!
こちらの銀座ふく太郎はこの道30年以上、フグ業界で初めてNASAの宇宙食にもなれるほど厳しい基準HACCPという認定を受けた自社の水産加工施設から直送される国産ふぐのみを使用しています。
ふくしゃぶランチ 1,480円(税別)
よくあるてっちり(ふぐ鍋)ではなく、しゃぶしゃぶでマフグをいただきます。
これはお刺身でも食べられるほど新鮮なものだからできること。
マフグの身、トラフグつみれ、コラーゲンとらフグ皮、山盛りのお野菜と〆の雑炊、香の物がついてこんなに贅沢なのにこのお値段です。
まずはこちらのトラフグつみれからいただきたいと思います。
黒く見えるのは皮の部分です。
身、皮、骨まで新鮮なトラフグを余すところなく丁寧にすり潰して作られたコラーゲンの塊のような一品です。
ぐつぐつと沸き立つ昆布ベースのお出汁の中に投入して……。
ピリッと一味の効いた紅葉おろしを添えていただきま~す。
骨まで入っているとは思えないほどふんわりなめらかな舌触り。
ホロホロとほどけて、トラフグのうま味が口いっぱいに広がります。
贅沢に厚切りにされたフグの女王様マフグの身はツヤツヤと輝いております。
さすがコラーゲンたっぷりの皮に包まれているだけのことはありますね。
お刺身でもいただけるほど新鮮なものですので、火を通しすぎないように。
いざ、しゃぶしゃぶ!
さっとお出汁にくぐらせて、表面が軽く白くなったら食べごろです。
ツヤツヤだった身がお出汁をくぐって白く引き締まりました。特製のぽん酢につけていただきます。
ひと口噛むとコリッ!シャクッ!?
驚くほど心地よい弾力が歯を押し返してきて、いつまでも噛んでいたくなります。
噛めば噛むほどジワジワとふぐの味が出てきて、飲み込むのがもったいない!
鯛とか平目とか歯ごたえのいい白身魚はありますけど……フグ別格です。
このフグの味を引き立てているのが、こだわりのフグ専用の特製ぽん酢。一升瓶でドーン!
「だいだい」という福岡県産の柑橘類が使われていて、爽やかな香りとツーンとしない、ほんのり甘みのあるまろやかな酸味がフグにベストマッチ!
お次は、コラーゲンたっぷりという、トラフグ皮。
こちらはそのまま先ほどのぽん酢をかけていただきます。
お箸で掴んだ瞬間、プルプルと小刻みに震えておりました。
皮に添えられた見たこともないミクロな小ねぎは本場下関でフグ料理専用に作られたという安岡ねぎです。
お口に入れると……何コレ~!プリプリを通り越してブリンブリンです。
凄まじい弾力!これがコラーゲンの塊。もの凄く効きそう……。
心ときめく食感に箸が止まりません!
あっという間に最後の一切れ。
大変名残惜しゅうございますが、いざ、ラストダイブ!
丁寧に、でも火は通しすぎないようにさっとくぐらせるだけ。
渾身の集中力でタイミングを見極めて……ピックアップ!
最後の一切れは最高の食感を引きだす火加減にできたと自負しております。
コリッ!プリッ!半生だからこその歯応え、たまりません!
そして最後の一切れを心行くまで味わっておりますと、完食を見計らって店員のお姉さんが作ってくださいました。
フグと野菜のうま味が溶け出したお出汁にふんわり半熟卵と安岡ねぎの鮮やかな雑炊。
あんなにたくさんお鍋いっぱいありましたが、ペロッと平らげてしまいました。
香の物のお皿の底には可愛らしいフグの絵が描かれています。
このユニークな器もお店のこだわりで、白いものは長崎県の波佐見焼、緑色の湯飲みは愛知県瀬戸市の赤津焼だそうです。
そしてデザート!?にもう一品。
入口に並んでいた缶詰がすごく気になって……雑炊で〆ておきながら、こちらもいただいてしまいました。
今年の7月に発売されて現在は品薄状態の人気商品なんだそうです。
ふく焼きカレー 1,290円(税別)
高級食材のフグとみんな大好き庶民の料理代表カレーの夢のコラボレーション!
さらに卵とチーズを乗せてオーブンで焼き上げた鉄板入りの焼きカレーです。
焼きカレーは北九州の門司港発祥の名物。
スパイスの効いた本格的なカレーにゴマフグの身がたっぷり入っています。
中辛だそうですが、辛めなのでとろけたチーズと半熟卵がよく合って、ふくしゃぶ完食にも関わらずこちらもペロリ。
ごちそう様でした~。
満腹という名の幸福とともにお店を後にしました。
フグのコラーゲンの効果も楽しみです!あの食感……思い出すだけでも効きそうな予感。
これからお肌の乾燥が気になる季節とともにやってくるフグのシーズン。
銀座ふく太郎のお手頃なふくランチは強い味方になってくれそうです。
紹介したお店
銀座ふく太郎
住所:東京都中央区銀座5-5-8 坂口ビルB1
TEL:050-5797-5514
「人と料理の交差点」をテーマに、単なる料理の技術を学んでいただくための教室ではなく、お友達や家族に笑顔を届けてもらえるようなレッスンを展開中。笑顔と歓喜溢れるレッスンには、毎回多くの人が集まる。
HP: https://www.facebook.com/23fanDecookrentoLiaoLinoJiaoChaDian?pnref=lhc
文:23番地cook専属ライター 金岡 布見子(かねおか ふみこ)
料理は食べるのも、作るのも大好きなアラサー女子。趣味は味コピー。気に入った味を盗んで自宅でこっそり再現しています。得意料理はお酒と白米に合う激辛料理。