にわかに盛り上がりをみせている昆虫食。イナゴや蚕などの定番ものは食べ飽きたという方に、ぜひ行って欲しいのが、今回紹介するミャンマー料理専門店「ノング インレイ」だ。
ミャンマー料理専門店というだけで割と珍しいのだが、なかでもシャン族の料理を取り扱っているのは、この店を含めてほんのわずかだとか。
高田馬場駅早稲田口を降りたら、すぐ目の前の雑居ビルに入居している。
店員さんもミャンマーの人だし、お客さんもほとんどミャンマーの人。店がコミュニティー機能もはたしているようで、食事が終わったあとでも、そのまま雑談をし続けてる人たちもちらほら見受けられる。現地の言葉が飛び交って、アジアなムードがぷんぷんしている。
鯉のなれ寿司
いきなり虫をがっつくのも色気がないので、ちょいとジラして特製ミャンマー料理をいただくとする。
注文したのは、鯉の熟れ寿司(なれずし)。日本では「フナのなれ寿司」が有名だが、ミャンマーでは鯉を利用するらしい。運ばれてきたのは、日本のそれとはまるで異なる鮮やかな色どりの料理であった。名称こそ寿司となっているが、米はなく、魚のソテーのような見た目をしている。
鯉を発酵させてから、かるく焼いた料理なんだそうだ。発酵食品特有のツーンと鼻を刺激する、アンモニアの香りがしている。塩気が相当強く、唐辛子がぴりっと効いてる。しょっぱ辛い代物なので、ご飯のおかずというより、酒の肴によさそうだ。
竹蟲
なれ寿司で口火を切ったら、いよいよ、虫をいただこう。
まずは竹蟲。銀皿いっぱいに盛られて900円だ。細長いイモムシ状の虫で、等間隔に黒い斑点がはいっている。小鳥の餌として活用されているミールワームによく似てる。足の突起や頭の丸っこい部分をそのままに、カラット揚げているので、虫感がまるで損なわれていない。
山に生えてる竹のなかで暮らしているそうで、虫にありがちな土臭さがまるでないので食べやすい。チーズのような濃厚な動物性の甘みがあり、カリカリした食感もあいまって、かっぱえびせんみたいだ。やめられない、とまらない。見た目さえ気にしなければ、小腹が空いたときオフィスでつまむのにちょうどいい。オフィスグリコのラインナップにぜひとも加えていただきたいところだ。
コオロギ炒め
締めはコオロギ炒め。中指サイズのコオロギが10匹で900円。コオロギってこんなにデカかったっけ。
店員さんいわく「ミャンマーでは、若い女性に大人気!」だそうだ。ブラックサンダーと同じ売り文句だが、チョコ菓子感覚で食べられているのだろうか。
手足がトゲトゲしているので、口のなかで刺さらぬよう、慎重に噛みくだく。やっぱり香りが土っぽいのだが、味はかなりエビに近い。季節によってはコオロギが子持ちで、卵の旨みも加味されるという。
1人で皿いっぱいの虫を平らげてるのは、ボリューム的にも多すぎるし、周りの客からも「どんだけ虫が好きなんだよ。ガチ勢かよ」と思われることだろうから、グループで行ってキャッキャ食べるのが正解だろう。
なお、竹蟲もコオロギ炒めも真冬は置いてない場合があるのでご注意ください。
取材したお店
ノングインレイ
住所:新宿区高田馬場2-19-7 TAK11・1階
電話:03-5273-5774
ぐるなび - Nong Inlay(ノングインレー)(高田馬場/アジア料理)
作者:松澤茂信(まつざわしげのぶ)
東京別視点ガイド:http://www.another-tokyo.com/
Twitter:https://twitter.com/matsuzawa_s