東京の玄関口として様々な人が行き交う上野界隈。上野駅から御徒町まで抜けるエリアはアメ横をはじめ飲食店や洋服店がひしめき合う、ターミナル駅ならではの賑わいだ。そんな中において昭和通り(首都高)を挟む東上野界隈は、問屋や町工場が立ち並び、下町ならではの落ち着いた風情が残る。普段ラーメンでは注目されないこのエリアの鉄板ラーメンをご紹介したい。
鳥取大山鶏の押し寄せる旨味「富白」
元音楽業界で活躍していた店主が、飾らず気取らず始めた鶏専門のラーメン店。鳥取大山鶏を使用するというこだわりのスープは、透明感を残しつつもこれでもかと押し寄せる鶏の風味。ショウガの香味油が味を引き締め、鶏の風味の輪郭を調える。麺はブランド製麺『浅草開化楼』を使用。ツルシコの素直な食感はこちらのスープと相性良好。
富白
住所:東京都台東区台東3-14-10
アクセス:東京メトロ日比谷線 仲御徒町駅 1番口 徒歩2分
http://r.gnavi.co.jp/fvzcmnba0000/
都内初! 喜多方系背脂ラーメン「喜多方食堂 麺や玄」
喜多方の名店『麺や玄』の暖簾分け店。スープは喜多方ラーメンらしく動物系•魚介系の旨味がバランスをとる醤油味。麺も喜多方から取り寄せる『曽我製麺』で独特のウェーブが特徴的。そして特筆すべきは丼を覆う背脂。一見環七系の背脂ラーメンを彷彿とさせるこってりなビジュアルだが実はこれも喜多方に根付く文化。是非裏の一面を堪能して欲しい。
喜多方食堂 麺や玄
住所:東京都台東区元浅草4-7-15
アクセス:東京メトロ銀座線「稲荷町」駅から徒歩約2分
たまり醤油と中華技術の融合「しゅうまい屋」
黒濃ラーメンを看板に掲げ、色濃い醤油ラーメンを柱に据えるこちらのお店。長年中華料理店で腕をふるった店主が、その技術で作り上げたラーメンがこちらのメニューだ。たまり醤油の旨味を支える魚介の風味とペッパーのアクセント。メンマに施されたしっかりとした調理からも、ラーメンを一品料理ととらえる真摯な姿勢が窺える。
しゅうまい屋
住所:東京都台東区東上野4-3-8
アクセス:東京メトロ日比谷線「上野」駅1番口 徒歩約2分
http://r.gnavi.co.jp/f5n7hp510000/
「米線」のモチモチ感に脱帽必至「過橋米線」
一般に中華麺と言えば小麦麺を指すが、こちら『過橋米線』では屋号が示す通り米麺を主に提供する中華料理店。中国雲南省で主食として食べられる「米線」。アジア料理のフォーと異なり、ご飯を食べているかのような強い香りとモチモチ感が特徴。薬膳を織り交ぜた鶏の清湯に、米麺と一緒に湯葉や豆苗など複数具材を合わせるのが伝統的作法。
過橋米線
住所:東京都荒川区西日暮里2-26-2 ツカハラビル1F
アクセス:JR日暮里駅東口 徒歩3分
http://r.gnavi.co.jp/kcj7c5t00000/
元力士が放つ豚骨ストロングスタイル「さんじ」
厨房に存在感を示すのは元力士という森下店主。オーストラリアで出会ったラーメンに感銘を受け修行を開始。帰国後ラーメン店を開くことに。豚骨を濃厚に炊き出したスープは九州さながらのストロングスタイル。ニンニク•唐辛子が軸となる看板メニュー「スペ」は、素材の刺激を豚の油脂がマスキングする絶妙なバランス感だ。
さんじ
住所:東京都台東区東上野3-25-12
アクセス:JR山手線「上野」駅から徒歩約10分
賑やかな上野駅近辺ではなく、少し足をのばせば寺社仏閣やコリアタウンなどディープなスポットが点在する東上野界隈。小規模な個人店が多く、それだけ店主のこだわりが味に反映されやすい。激戦区秋葉原や浅草を含む都心東側のエリアに要注目だ。
推薦者:石山勇人
自著「最新ラーメンの本」シリーズをはじめ「王様のブランチ!」や「週刊現代」など、様々なメディアでラーメン情報を発信するラーメン研究家。監修したラーメン本は20冊を越え取材軒数2000軒以上。インスタントラーメンの開発やラーメン店のメニュープロデュースなど活動は多岐にわたる。実家は20代続く神社の家系。自ら神主として奉仕し大晦日に年越しラーメンをふるまうという一面も。
※「みんなのごはん」では、グルメキュレーションマガジン「メシコレ」にキュレーターとして参加しているラーメンの猛者によるリレー連載をスタートしています。今回の記事を執筆していただいた田中一明さんや、青木誠さん、石山勇人さん、山本剛志さんの4人で毎週月曜日にラーメンの記事を公開していきます。
連載第1回はこちらから。
【ラーメン猛者が沿線を食べる】ラーメンで女子力をさらにUP!大人の女性に奨める池袋の5軒【田中一明】 - みんなのごはん
連載第2回はこちらから。
【ラーメン猛者が沿線を食べる】渋谷の路地裏で見つけた実力派ラーメン5店【山本剛志】 - みんなのごはん
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