こだわり1 おもてなし

夫婦二人、真心をこめて客をもてなす

店主の福田和人氏は、学校を卒業して調理師の資格を取った時に「日本料理を学ぶなら京都で修業。35歳には独立と決めていた」という。念願叶って京都での修業後、東京・横浜で腕を磨き、目標にしていた年齢でこの店を開いた。「これまで目指していたことを表現したい」と研鑽を重ねながら、奥様の創美氏とこの店を営む。

こだわり2 完全予約制

真摯な姿勢で美味しさを日々追求する

店名にはあえて「日本料理」というジャンルを冠しなかったという。献立の流れより「お客様を最優先に」という想いからだ。それが椀物によく表れている。供する直前に、枕崎産血合い抜き本枯れ節を削り、天然利尻昆布と共に出汁をひく。削りたての香り高い出汁で作った椀を味わうと、その温かさが心にまでもしみ渡るようだ。

  • この店の料理は、繊細でありながら量は少なくない。美味しいものを沢山食べて満足してほしいからだという。そのために当日予約は受けない。毎朝築地へ行き、その日に仕入れる量も計算し尽くすからだ。それは、アスパラと鱚の湯引きを層にした上に乗せた余市産雲丹の量を見ても明らかだ。吉野酢でさっぱりとした先付になる。

  • 福田氏のこだわりは、それぞれの素材使いにも表れる。身の質、皮の柔らかさなどから、鱧は天草産しか使わない。それを備長炭で炙り、皮目には更に香ばしさを出す。すだちの割り醤油で食す色鮮やかな一品はこだわるが故の美味しさなのだ。料理の色合いを引き立てる名脇役の器は、親類の蔵にあったアンティークを譲り受けた。

こだわり3

日本人に生まれたことに、感謝する味

コースの締めに出される土鍋ご飯に使う米は、農薬不使用で栽培、天日干しされたコシヒカリ。知り合いの農家が自家用にと大切に育てた美味しい米を、直接仕入れている。生産者の顔が見える米は、味はもちろん信頼できることが何よりという。貴重な店の休みを利用して、夫婦で米作りの体験をさせてもらうほどのこだわり様だ。

  • 土鍋ご飯は、その季節の食材を、米が見えなくなるほど盛り込み、食事のスピードに合わせて火にかける。具材を入れるタイミングも、素材によって変えながら、味と見た目両方で愉しませる。春には、油で揚げて香ばしさを出した由比産の桜エビに小柱とセリを合わせる。炊きあがりを見せた後でサックリと混ぜ合わせ盛りつける。

  • 真冬の楽しみは、琵琶湖で獲れる「氷魚」。身が氷のように透き通っているので名付けられた鮎の稚魚だ。それを茹で、木の芽と共にふっくら炊きあがったご飯に混ぜる。鍋底にできたお焦げの香ばしさもまた絶妙だ。その日のゲストのためだけに炊くご飯は、食べきれない場合お土産として持たせてくれる。そんな心配りも見事だ。

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